10/16は世界食糧デー:栄養失調対策に新しい指針を
[11/10/13]
提供元:共同通信PRワイヤー
提供元:共同通信PRワイヤー
2011年10月13日
国境なき医師団(MSF)日本
世界食料デー:食糧支援だけでは解決できない
栄養失調対策に新しい指針を
国境なき医師団(MSF)は、10月16日の「世界食料デー」を前に、先進国から途上国へ提供されている食糧援助を、栄養失調児が必要とする栄養素やたんぱく質を含んだ食糧の支援へと見直すために、世界保健機構(WHO)に対し、新しい指針を導入するよう訴える。
小児栄養失調との闘いは「そのまま食べられる栄養治食」など新しい治療ツールの登場によって近年、前進している。一例をあげると、現在、ソマリアとケニアで発生している栄養失調に対応するため、資金拠出国と援助機関は食糧援助の質を改善している。その一方で、世界的な食糧援助体制は毎年数百万人の栄養失調児に、栄養価の劣る食糧を提供しつづけている。
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MSFインターナショナル会長、ウンニ・カルナカラ医師は語る。
「現在のソマリアやケニアといった緊急事態は、世界全体でみると栄養失調の『氷山の一角』に過ぎません。紛争や自然災害の被害者でなくても、栄養失調児には適切な食糧援助を届けるべきです」
栄養失調は予防も治療も可能な病気である。しかし、世界で推定1億9500万人の子どもを苦しめているほか、年間少なくとも800万人にのぼる5歳未満児の死因の3分の1に間接的にかかわっており、その大半は途上国で起きている。
特に2歳未満児はもっとも栄養失調の被害を受けやすく、成長と発達に必要な高栄養価の食糧、例えば有効性の高い、そのまま食べられる栄養補助食なしには、生涯にわたって身体機能などを弱める発育不全に陥る。現在、提供されている食糧援助の大部分は、サハラ以南アフリカ諸国といった栄養失調の高蔓延国を含めて、トウモロコシと大豆の粉(CSB)からなる強化混合小麦粉であり、成長過程にある子どもが必要とする必須の栄養素やたんぱく質を含んでいない。
世界保健機関(WHO)は2008年末に専門家会合を開いて増えつづける科学的証拠を検討し、食糧援助の栄養基準に改善が必要だとの結論に達した。しかしそれから3年経ったいまも、栄養失調児向けの公式の指針は発表されていない。
カルナカラ医師は述べる。
「WHOからの指針は、資金拠出国の間における食糧援助に関する、よりよい基準の採用と、受益国の間で自国民の子どもが良質な栄養を摂れるように保証する措置の採用促進に不可欠です。次々に危機が起きているいまも、各国政府は、これらの新しい特別な食糧について、安全性と有効性の実証が必要だとしていますが、子どもはこれによる遅れを待てないのです。これでは命を救うプログラムの開始が遅れるばかりです」
一部の主要な食糧援助関係者は変わりはじめている。例えば、世界食糧計画(WFP)は、医療分野の緊急援助活動の基礎として、2歳未満児の栄養ニーズを満たす栄養補助食を使いはじめた。このような食品は、2010年にニジェール、パキスタンの洪水、ハイチ地震で起きた危機への対応で重要な役割を担った。
しかし、これらのよく知られている一部の緊急事態を除くと、大半の栄養失調児たちは、栄養ニーズを満たしていない食品を、国際的な食糧援助分野の主要資金拠出国から受けとっている。
2010年6月、MSFとVII(セブン)フォトエージェンシーは小児栄養失調という、顧みられず、メディアに取り上げられることも少ない危機に光をあてるマルチメディア・キャンペーン「栄養失調 ― 1億9500万のストーリー ― 歴史を書き変える時」を開始した。
VIIの報道写真家たちは、紛争地から新興国に及ぶ、世界で最も「栄養失調に脅かされている地域」を旅して、栄養失調による危機の隠れた原因と、この状況を打破するための革新的なアプローチに光をあてて、8本のドキュメンタリーフィルムを制作した。
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MSFは2010年に、30万人を超える栄養失調患者を、28ヵ国、139プログラムにある栄養治療センターに受け入れた。
国境なき医師団(MSF)日本
世界食料デー:食糧支援だけでは解決できない
栄養失調対策に新しい指針を
国境なき医師団(MSF)は、10月16日の「世界食料デー」を前に、先進国から途上国へ提供されている食糧援助を、栄養失調児が必要とする栄養素やたんぱく質を含んだ食糧の支援へと見直すために、世界保健機構(WHO)に対し、新しい指針を導入するよう訴える。
小児栄養失調との闘いは「そのまま食べられる栄養治食」など新しい治療ツールの登場によって近年、前進している。一例をあげると、現在、ソマリアとケニアで発生している栄養失調に対応するため、資金拠出国と援助機関は食糧援助の質を改善している。その一方で、世界的な食糧援助体制は毎年数百万人の栄養失調児に、栄養価の劣る食糧を提供しつづけている。
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MSFインターナショナル会長、ウンニ・カルナカラ医師は語る。
「現在のソマリアやケニアといった緊急事態は、世界全体でみると栄養失調の『氷山の一角』に過ぎません。紛争や自然災害の被害者でなくても、栄養失調児には適切な食糧援助を届けるべきです」
栄養失調は予防も治療も可能な病気である。しかし、世界で推定1億9500万人の子どもを苦しめているほか、年間少なくとも800万人にのぼる5歳未満児の死因の3分の1に間接的にかかわっており、その大半は途上国で起きている。
特に2歳未満児はもっとも栄養失調の被害を受けやすく、成長と発達に必要な高栄養価の食糧、例えば有効性の高い、そのまま食べられる栄養補助食なしには、生涯にわたって身体機能などを弱める発育不全に陥る。現在、提供されている食糧援助の大部分は、サハラ以南アフリカ諸国といった栄養失調の高蔓延国を含めて、トウモロコシと大豆の粉(CSB)からなる強化混合小麦粉であり、成長過程にある子どもが必要とする必須の栄養素やたんぱく質を含んでいない。
世界保健機関(WHO)は2008年末に専門家会合を開いて増えつづける科学的証拠を検討し、食糧援助の栄養基準に改善が必要だとの結論に達した。しかしそれから3年経ったいまも、栄養失調児向けの公式の指針は発表されていない。
カルナカラ医師は述べる。
「WHOからの指針は、資金拠出国の間における食糧援助に関する、よりよい基準の採用と、受益国の間で自国民の子どもが良質な栄養を摂れるように保証する措置の採用促進に不可欠です。次々に危機が起きているいまも、各国政府は、これらの新しい特別な食糧について、安全性と有効性の実証が必要だとしていますが、子どもはこれによる遅れを待てないのです。これでは命を救うプログラムの開始が遅れるばかりです」
一部の主要な食糧援助関係者は変わりはじめている。例えば、世界食糧計画(WFP)は、医療分野の緊急援助活動の基礎として、2歳未満児の栄養ニーズを満たす栄養補助食を使いはじめた。このような食品は、2010年にニジェール、パキスタンの洪水、ハイチ地震で起きた危機への対応で重要な役割を担った。
しかし、これらのよく知られている一部の緊急事態を除くと、大半の栄養失調児たちは、栄養ニーズを満たしていない食品を、国際的な食糧援助分野の主要資金拠出国から受けとっている。
2010年6月、MSFとVII(セブン)フォトエージェンシーは小児栄養失調という、顧みられず、メディアに取り上げられることも少ない危機に光をあてるマルチメディア・キャンペーン「栄養失調 ― 1億9500万のストーリー ― 歴史を書き変える時」を開始した。
VIIの報道写真家たちは、紛争地から新興国に及ぶ、世界で最も「栄養失調に脅かされている地域」を旅して、栄養失調による危機の隠れた原因と、この状況を打破するための革新的なアプローチに光をあてて、8本のドキュメンタリーフィルムを制作した。
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MSFは2010年に、30万人を超える栄養失調患者を、28ヵ国、139プログラムにある栄養治療センターに受け入れた。