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2011年11月2日

国境なき医師団(MSF)

エチオピア：ソマリア難民の到着が増加、難民キャンプの収容能力が限界に
―MSF、緊急援助の拡大を要求

ソマリアでの食糧不足や紛争から逃れて、多数のソマリア人がエチオピアに避難を続けている問題で、エチオピアの難民キャンプで活動を続ける国境なき医師団(MSF)は、キャンプに到着するソマリア難民のニーズに対応するために緊急に援助を拡大する必要があると警鐘を鳴らす。

MSFは2009年から現地当局や他団体と協力してエチオピア南部の複数の難民キャンプで活動を行っているが、これらの難民キャンプで暮らすソマリア難民の栄養失調率および死亡率は、危機的状況とされるレベルをようやく下回っただけである。緊急事態は現在も終結には程遠い状況であり、キャンプに到着し続ける難民に向けた援助の増大が、現在も依然として緊急に必要とされている。

エチオピア南部のソマリ州リベン地区のドロ・アド難民キャンプを始めとする5ヵ所の難民キャンプは、現在合計で約13万人のソマリア難民を受け入れており、その多くが食糧危機や紛争から逃れてきた人びとである。過去数週間で、国境を越えエチオピアに逃れてくるソマリア難民の数は1日約300人に増加し、これは2011年7月からこれまでで最も高い数字である。

さらに、この5ヵ所のキャンプで受け入れている難民の数は、現在受け入れ可能な収容人数の限界に達している。ドロ・アドキャンプの一時滞在キャンプには、現在約6000人を受け入れているが、この数は今後数週間で数千人規模での増加が予想される。

ドロ・アドキャンプにおけるMSFのプログラム責任者、ボイチェフ・アシュタブスキーは話す。
「現状では、これ以上の難民の収容能力や、必要な食糧、栄養失調の治療、医療ケア、飲料水、衛生環境の整備などの提供が大幅に不足しています。今後数週間で、さらに数千人が到着することが予想されます。新たな難民の受け入れを行うレセプションセンターと、人びとが難民キャンプに落ち着くまでの間に滞在する一時滞在キャンプは、急激に収容人数の限界に達しつつあります。トイレや住居、飲み水も不足しています。現場の受け入れ能力の拡充が必要です」

既存の難民キャンプは既に飽和状態となっている一方で、レセプションセンターと一時滞在キャンプは滞在延期に対応することができない。MSFは、これらの施設における避難所や、水、衛生設備の不足は、既に脆弱な立場にある人びとの状況を悪化させることになると警告する。

一時滞在キャンプの、ある難民は語る。
「この場所が病気の原因になっています。ここに来てから14日になります。安全な場所ですが、寝る所がありません。テントも人であふれています。男性より弱い子どもや女性は、ここで病気になってしまいます」

MSFはこれらの人びとの命を救うための活動を行う用意があり、同時にエチオピア当局に対して外国人スタッフによる必要な支援の許可と、必要とされている医薬品と物資の輸入の促進を要求している。

同時に、他団体による活動の拡大も早急に求められている。新しいキャンプが今後数週間で完成し、開設される予定であり、MSFは一時滞在キャンプへの負荷が即時に軽減されるよう要求していく。

■アフリカの角を襲った干ばつは、既に20年間に及ぶ内戦によって基礎的な医療サービスすら受けられずにいたソマリアの人びとに壊滅的な打撃を与えた。MSFは1991年からソマリアで活動を続けており、複数のチームがソマリア国内ならびに、エチオピアとケニアでもソマリア難民に向けた援助をしている。現在、栄養治療プログラムで2万2000人以上の栄養失調児の治療を行っている。また、これまでに12万6000人以上にはしかの予防接種を行った。