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「年齢と老化に関する意識調査」

2012/5/29

年齢研究所

「年齢と老化に関する意識調査」

 株式会社エバーライフが2012年4月に設立した年齢研究所(福岡市中央区、所長:板倉弘重・茨城キリスト教大学名誉教授)はこのほど、30〜60代の男女2000人を対象に、「年齢と老化に関する意識調査」を実施しました。
 
 老化は、加齢に伴い、骨、関節、内臓、神経、皮膚など、体の各所の不可逆的な劣化が次第に蓄積していくプロセスとして捉えられますが、このプロセスが進行した結果、それぞれの年代で体のどこかにトラブルを抱えることを、年齢研究所では「年齢リスク」と呼んで調査研究および普及啓発を行っています。
 本調査は、年齢研究所がその啓発活動の一環として実施したものです。
 調査結果の主なトピックは以下の通りです。


■老化の自覚症状は、30代は疲れ、40代は白髪、50代は老眼、60代はもの忘れがトップ。
もの忘れは30代でも4割が自覚。

■老化の自覚症状トップ10の中で、30代以下で感じ始めた老化の症状は、「疲れ」に関するもの。

■自分の夫や妻に感じる4大老化症状は、白髪、肥満、老眼、もの忘れ。

■自分の夫や妻に対策を求めたい老化症状は、夫は「太った」、妻は「加齢臭」がトップ。

■既婚男女が心がけている2大老化対策は、野菜中心の食事、よく歩く。

■「老けたね」と言われたくない相手は男性は妻、女性は同性の友人で、夫より同性の目を意識。

■自分の「見た目年齢」は実年齢より「6歳以上若い」と3割以上が回答。
 「若い」と回答した人ほど、病気の予防対策を先延ばしにする傾向。


調査概要
【調査方法】   インターネット調査
【調査対象】   30〜60代の男女 計2000人
【調査期間】   2012年5月11〜14日


1) 老化の自覚症状ランキング
■各年代における老化の自覚症状は、30代は疲れ、40代は白髪、50代は老眼、60代はもの忘れがトップ。もの忘れは30代でも4割が自覚。
 
 老化が原因で起こる症状のうち、自覚しているもの(複数回答)を聞いたところ、各年代を代表する老化症状があることがわかりました。

【30代の老化の自覚症状】
30代では男女ともに「疲れが取れにくくなった」が最も多く、30代全体の約半数(52.2%)を占めました。
【40代の老化の自覚症状】
40代では、男性は「細かいものが見えにくくなった」、女性は「白髪が目立つようになった」が最も多く、40代全体では「白髪が目立つようになった」が6割(60.2%)にのぼりました。
【50代の老化の自覚症状】
50代では、男女ともに「細かいものが見えにくくなった」が最も多く、50代全体の7割近く(68.2%)に達しています。
【60代の老化の自覚症状】
60代では、40代と同様、男性は「細かいものが見えにくくなった」、女性は「白髪が目立つようになった」が最多でしたが、60代全体では「『アレだよ。アレ・・・なんだっけ』が増えてきた」が6割強(62.8%)を占めています。

【まとめ】
年代別にまとめると、30代は疲れ、40代は白髪、50代は老眼、60代はもの忘れが老化の自覚症状のトップ。
このうち、もの忘れは、50代で3位(54.2%)、40代で2位(51.2%)、さらに、30代でも3位にランクインし、4割(40.2%)が自覚しています。

2) 30代以下が感じ始める老化の症状
■老化の自覚症状トップ10の中で、30代以下で感じ始めた老化の症状は、「疲れ」に関するもの。

 老化の自覚症状トップ10において、各老化の症状を感じ始めた年代の問いに対する回答で、30代以下が感じた老化の症状として「疲れが取れにくくなった(42.2%)」と「(日常生活の中で)疲れやすくなった(42.1%)」の「疲れ」に関する症状が上位となり、「疲れ」から老化を自覚し始めていると考えられる。

3) 夫や妻が感じる配偶者の老化症状
■夫が妻に、また妻が夫に感じる老化の4大症状は、白髪、肥満、老眼、もの忘れ。
  夫は妻のシワ・たるみ、皮膚のハリに、妻は夫の加齢臭、薄毛にも老化を実感。 

 既婚男女に「自分の夫・妻が昔と比べて老化したと思うこと」(複数回答)を聞きました。
 夫が妻に感じる老化症状は、白髪(29.4%)、太ってきた(25.4%)、老眼になった(21.5%)、「アレだよ。アレ・・・」が増えた(21.2%)、もの忘れが多くなった(21.1%)の順。
 一方、妻が夫に感じる老化症状は、白髪(38.0%)、加齢臭(33.6%)、薄毛(27.5%)、太ってきた(27.3%)、 「アレだよ。アレ・・・」が増えた(25.8%)の順でした。
 すなわち、白髪、肥満、老眼、もの忘れは、妻や夫に感じる男女共通の4大老化症状となっています。
 これらの共通項を除き、男女のちがいを見ると、夫は妻のシワ・たるみ(20.7%)、皮膚のハリ(19.1%)などもっぱら肌の衰えに、また、妻は夫の加齢臭と薄毛(前掲)に老化を感じています。
 夫が妻に感じる老化症状は平均3.7個、これに対し、妻が夫に感じる老化症状は平均5.3個と、妻のほうが夫の老化症状により敏感なことがうかがえます。

4) 自分の配偶者(夫・妻)に対策を求めたい老化症状
■夫が妻に対策を求めている老化症状は、「太った」。反対に、妻が夫に対策を求めている老化症状は、「加齢臭」がトップ。
 
 次に、既婚男女に「自分の夫・妻に対策を講じてほしい(できれば治してほしい)老化症状」(複数回答)を聞きました。
 夫が妻に対策を求める老化症状は、太った(17.0%)、怒りっぽくなった(11.6%)、記憶力が落ちた(10.9%)、シワ・たるみ(8.7%)、自分の考えを曲げなくなった(7.9%)の順。
 一方、妻が夫に対策を求める老化症状は、加齢臭(23.9%)、怒りっぽくなった(16.9%)、太った(16.0%)、口臭(15.3%)、自分の考えを曲げなくなった(9.4%)の順でした。
 このうち、夫が妻に対策を求める「太った」はすべての年代を通じてトップ。また、妻が夫に対策を求める「加齢臭」も同様にすべての年代を通じてトップで、夫は妻のくずれた体型を、妻は夫の加齢臭を気にしていることが浮き彫りになりました。
 対策を求めたい老化症状の数は、夫→妻1.5個に対し、妻→夫2.0個で、妻の側の要望が上回っています。

5) 心がけている老化対策
■「野菜中心の食事」 「よく歩く」 が既婚男女の2大老化対策。 「サプリメント」 「和食」も4人に1人が重視。

 既婚男女に「老化防止のために心がけていること」(複数回答)を聞いたところ、野菜中心の食事(40.5%)、よく歩く(37.0%)がいずれも4割前後でトップ2。
 次いで、サプリメント(24.4%)、和食(24.0%)もそれぞれ4人に1人が心がけています。
 男女のちがいを見ると、既婚男性では、酒量を減らす(11.9%)が5位に、また既婚女性では紫外線対策(36.7%)がよく歩く(33.2%)をおさえて2位に浮上しています。
 心がけている老化対策の数は、既婚男性2.0個に対し既婚女性3.0個と、女性が男性を上回っています。

6) 「老けたね」と言われたくない相手
■男性は「妻」がトップ、女性は6割近くが「同性の友人」をあげ、夫よりも同性の目を意識。
 
 「老けたね」と言われたくない相手(複数回答)を聞いたところ、男性は妻(32.1%)、同性の友人(24.3%)の順でした。
 一方、女性は6割近く(57.1%)が同性の友人をあげてトップ。夫(40.4%)よりも同性の目を意識していることがわかりました。

7) 病気になりやすいと思う年齢、気をつけはじめたほうがいい年齢
■病気に「気をつけはじめたほうがいい年齢」は、その病気に「なりやすいと思う年齢」からマイナス3〜6歳の開きしかなく、予防対策の遅れが心配。

 さまざまな病名をあげて、その病気に「なりやすいと思われる年齢」と「気をつけはじめたほうがいい年齢」を聞いたところ、「気をつけはじめたほうがいい年齢」は「なりやすいと思われる年齢」からマイナス3〜6歳しか開きがないことがわかりました。一般に、生活習慣病の発症リスクは長い年月の間に少しずつ高まりますので、もっと早くから予防対策の意識をもつ必要があり、啓発の必要性が示唆されました。 

8) 「見た目年齢」と病気の対策意識
■自分の「見た目年齢」は実年齢より「6歳以上若い」と3割以上が回答。「若い」と回答した人ほど、病気の予防対策を先延ばしにする傾向。

 自分の「見た目年齢」を聞いたところ、実年齢より「若い」と答えた人が4人に3人(75.9%)を占め、3割(32.1%)は「6歳以上若い」と回答しました。性別では女性(79.0%)、年代別では50~60代(82.0%~83.0%)で実年齢より「若い」と回答した率が高くなっています。
 病気に気をつけはじめたほうがいい年齢との相関を見ると、実年齢より「若い」と回答した人ほど、病気の予防対策が先延ばしになる傾向がみられますので、注意喚起が必要でしょう。
 

所感 
体の内部の“見えない老化”への想像力を。
茨城キリスト教大学名誉教授 板倉弘重

ひとには、自分を老いたとは思いたくない心理がある。まだまだ若いと思うことで、明日への希望と活力がわき、毎日の生活にはりあいが生まれる。
「見た目年齢」が実年齢より若いと考えているひとが50代以上で80%を超えていることは、その意味で、よいことだと思うが、油断してはいけない。見た目がいくら若くても、老化は体の内部の見えないところで静かに進んでいるからである。

例えば俗に「サイレント・キラー」と呼ばれる動脈硬化は、70%以上の狭窄、つまり血管の内腔が非常に狭くなった後で、狭心症の症状が現われることが多い。クリニックで血管の硬さを調べる検査を行うと、見た目は若々しいひとでも、血管年齢は実年齢より老けていることも少なくないのである。

今回の調査結果を見ると、動脈硬化に「なりやすいと思う年齢」は」50.2歳というのが一般生活者の意識だが、実際は特に男性の場合、40代から心筋梗塞、脳梗塞などの動脈硬化性疾患の発症リスクが高まるので、動脈硬化についてのイメージは実態と少しずれがある。
動脈硬化に「気をつけはじめたほうがいい年齢」、つまりそろそろ予防対策を始めようと思う年齢は44.5歳と意識されているが、予防効果は今日始めて明日から出るというものではない。手遅れにならないためには、できれば30代の頃から、コレステロール、血圧、血糖値、ストレスなど、自分の弱点を見定めて予防対策を始めることが求められる。

その意味で、30代でも多くの老化症状を実感しているという結果は興味深かった。そうした症状をきっかけに、生活習慣の改善に取り組んでみてはどうだろうか。
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