元京大教授の不正: 監査心理学による不正対処の3大ポイント【戸村智憲】
[12/08/02]
提供元:共同通信PRワイヤー
提供元:共同通信PRワイヤー
2012年8月2日
日本マネジメント総合研究所
元京大教授の不正: 監査心理学による不正対処の3大ポイント【戸村智憲】
<報道機関各位>
2012年8月2日 日本マネジメント総合研究所 理事長 戸村智憲
監査心理学に基づき、今般の京都大大学院薬学研究科の元教授による不正について内部
監査・外部監査・監査役(監事)監査などで予め見据えておくべき監査上・不正防止上の
観点について、下記の通り拙著に基づき報道が正しいことを前提として3大ポイントを指
摘致します。
【研究の鬼と呼ばれるほど研究熱心であるということの落とし穴】
「研究の鬼」=「社会や人類の医学などに役立つ研究のためなら多少の不正は許され
てしかるべき」という「高潔なる不正の正当化」に監査人は注意が必要です。
時として、社会的に重要で高潔な理念や理想を追い求めるあまり目の前の多少の問題
が軽微なことに感じてしまいついつい不正に着手する、「大義名分のインフレ化」の心
理状態に監査人は注視する必要があります。
「研究熱心=良い・善いこと」というのは、ある特定の研究分野において、研究成果
をあげることでは有効ですが、その研究を支える日々のマネジメントが不正を起こして
いては、研究活動全体として不正に陥ります。
どれだけ個別に良い・善い成果をあげていても、そのマネジメントや運営・活動全体
が不正であることが免罪されるわけではありません。(情状酌量の余地の可能性はあり
得るかもしれませんが・・・。)
【権威主義に安住し楽な方向に流れる心理的な落とし穴】
大学や医療界では、特に権威主義が根強い傾向にあります。医療機器や薬品など医療
関連サービス提供者としては、「鶴の一声」で受注を決められるという楽な方向に向か
いたい心理にかられます。
また、権威者も、接待や贈答品など、自己の権威欲を満たされ、自己の権威を認める
ような行為に満足して「私は権威者としてこれくらいの特別待遇を受けて当然だ」と、
権威を不正の免罪符にしたくなる心理にも監査人は注意が必要です。
【「まさかあの人が・・・」上長・同僚の信頼が厚いということの落とし穴】
不正を未然防止、あるいは、早期発見・早期是正する上で監査心理学での原則は「信
頼の厚い人ほど十分に注視する」ことです。不正の高度化・巧妙化が著しい昨今、より
不正を「成功」させるためには、不正を企てる人物が不正に気付かれないよう、日頃か
ら信任・信頼を厚くして監査の眼をそらせた上で不正に着手する「企図された不正実行
のための信頼獲得」が行われがちです。
物品販売業者をだまして商品を奪う不正例でも、どんどん取引額を増やし、決済日よ
り早めに支払いをして継続的に良き取引先を演じた上で、不正のXデーを迎えることも
あります。信頼を得ておいて水面下で不正のXデーを企図する不正に監査人は注意が必
要です。
ただし、平時からの監査において、相手を猜疑心から疑う監査のあり方では、企業や
組織を良くするための監査が、逆に、監査で組織に疑われていることによる不快感やモ
チベーションの低下が生じて監査の逆機能が生じかねません。
そのため、監査のおいては、監査の実効性を円滑に高めるための監査コミュニケー
ション技法を備えることが重要です。
【戸村智憲のプロフィール】
http://prw.kyodonews.jp/prwfile/release/M100396/201206255233/_prw_PA2fl_Qil6dBTS.pdf
【『監査心理学“感じる監査”」】
著者: 戸村智憲 出版社: 税務経理協会
詳細:http://www.zeikei.co.jp/cgi-bin-2/booksnew_2.asp?s_code=5739
【『監査コミュニケーション技法“疑う流儀”』】
著者: 戸村智憲 出版社: 税務経理協会
詳細:http://www.zeikei.co.jp/cgi-bin-2/booksnew_2.asp?s_code=5557
以上です。
日本マネジメント総合研究所
元京大教授の不正: 監査心理学による不正対処の3大ポイント【戸村智憲】
<報道機関各位>
2012年8月2日 日本マネジメント総合研究所 理事長 戸村智憲
監査心理学に基づき、今般の京都大大学院薬学研究科の元教授による不正について内部
監査・外部監査・監査役(監事)監査などで予め見据えておくべき監査上・不正防止上の
観点について、下記の通り拙著に基づき報道が正しいことを前提として3大ポイントを指
摘致します。
【研究の鬼と呼ばれるほど研究熱心であるということの落とし穴】
「研究の鬼」=「社会や人類の医学などに役立つ研究のためなら多少の不正は許され
てしかるべき」という「高潔なる不正の正当化」に監査人は注意が必要です。
時として、社会的に重要で高潔な理念や理想を追い求めるあまり目の前の多少の問題
が軽微なことに感じてしまいついつい不正に着手する、「大義名分のインフレ化」の心
理状態に監査人は注視する必要があります。
「研究熱心=良い・善いこと」というのは、ある特定の研究分野において、研究成果
をあげることでは有効ですが、その研究を支える日々のマネジメントが不正を起こして
いては、研究活動全体として不正に陥ります。
どれだけ個別に良い・善い成果をあげていても、そのマネジメントや運営・活動全体
が不正であることが免罪されるわけではありません。(情状酌量の余地の可能性はあり
得るかもしれませんが・・・。)
【権威主義に安住し楽な方向に流れる心理的な落とし穴】
大学や医療界では、特に権威主義が根強い傾向にあります。医療機器や薬品など医療
関連サービス提供者としては、「鶴の一声」で受注を決められるという楽な方向に向か
いたい心理にかられます。
また、権威者も、接待や贈答品など、自己の権威欲を満たされ、自己の権威を認める
ような行為に満足して「私は権威者としてこれくらいの特別待遇を受けて当然だ」と、
権威を不正の免罪符にしたくなる心理にも監査人は注意が必要です。
【「まさかあの人が・・・」上長・同僚の信頼が厚いということの落とし穴】
不正を未然防止、あるいは、早期発見・早期是正する上で監査心理学での原則は「信
頼の厚い人ほど十分に注視する」ことです。不正の高度化・巧妙化が著しい昨今、より
不正を「成功」させるためには、不正を企てる人物が不正に気付かれないよう、日頃か
ら信任・信頼を厚くして監査の眼をそらせた上で不正に着手する「企図された不正実行
のための信頼獲得」が行われがちです。
物品販売業者をだまして商品を奪う不正例でも、どんどん取引額を増やし、決済日よ
り早めに支払いをして継続的に良き取引先を演じた上で、不正のXデーを迎えることも
あります。信頼を得ておいて水面下で不正のXデーを企図する不正に監査人は注意が必
要です。
ただし、平時からの監査において、相手を猜疑心から疑う監査のあり方では、企業や
組織を良くするための監査が、逆に、監査で組織に疑われていることによる不快感やモ
チベーションの低下が生じて監査の逆機能が生じかねません。
そのため、監査のおいては、監査の実効性を円滑に高めるための監査コミュニケー
ション技法を備えることが重要です。
【戸村智憲のプロフィール】
http://prw.kyodonews.jp/prwfile/release/M100396/201206255233/_prw_PA2fl_Qil6dBTS.pdf
【『監査心理学“感じる監査”」】
著者: 戸村智憲 出版社: 税務経理協会
詳細:http://www.zeikei.co.jp/cgi-bin-2/booksnew_2.asp?s_code=5739
【『監査コミュニケーション技法“疑う流儀”』】
著者: 戸村智憲 出版社: 税務経理協会
詳細:http://www.zeikei.co.jp/cgi-bin-2/booksnew_2.asp?s_code=5557
以上です。