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国立大学法人大分大学×株式会社アデランス 抗がん剤脱毛の予防に関する共同研究をスタート

平成25年11月19日

国立大学法人大分大学
株式会社アデランス

国立大学法人大分大学×株式会社アデランス
抗がん剤脱毛の予防に関する共同研究をスタート
~大分大学の研究成果である「αリポ酸誘導体」を用いた、抗がん剤脱毛予防の研究に関する産学連携プロジェクト~

国立大学法人大分大学(大分県大分市、学長 北野正剛)と株式会社アデランス(東京都新宿区、代表取締役会長兼社長 根本信男)は、抗がん剤治療の副作用である脱毛の予防に関して、2013年11月18日(月)に共同研究の契約を締結し、産学連携のプロジェクトをスタートいたしました。

大分大学医学部では消化器・小児外科学講座を中心に、世界で初めて「αリポ酸誘導体」の抗がん剤脱毛の抑制効果を、ラットを用いた基礎研究にて報告し、その製剤化が期待されております。また、大分大学北野学長は、「高齢化社会を迎え、日本人の罹患する患者数や死亡原因に占める割合も増えている「がん」。その治療法の一つとして重要なのが抗がん剤です。より効果的な抗がん剤によってがんを克服するケースも増えてきている中、抗がん剤の副作用による脱毛に関して悩む方も数多くいます」とコメントしています。

アデランスでは、総合毛髪関連事業を通じて、より多くの人々に夢と感動を提供し笑顔と心豊かな暮らしに貢献することを使命としております。CSR活動(企業の社会的責任)の一環として、抗がん剤治療などを受ける患者さまが気軽に脱毛ケアやウィッグについて相談ができるように、2002年から病院内に順次理美容室を展開し、現在17理美容室を開設しています。こうした活動の中で都道府県がん拠点病院であり、最先端の癌研究を行っている大分大学の抗がん剤の副作用による脱毛の抑制や痛みを軽減させる研究に感銘を受け、この度、共同研究をスタートする運びとなりました。髪で悩まれる患者さまのQOL向上に少しでもお役に立てればとの思いでおります。

■毛髪に関するそれぞれの活動
・大分大学
大分大学医学部では、2009年から総合外科学第一講座の北野正剛教授(現学長)、麻酔科学講座の野口隆之教授を中心に、抗酸化剤とがんや炎症などの疾患との関係を明らかにする研究を始め、2010年に「癌・炎症とαリポ酸研究会(CIA研究会)」を立ち上げました。その中で、がんの治療効果の向上とともに抗がん剤の副作用軽減に向けた研究も行ってまいりました。
抗がん剤の作用は正常な細胞にも及び、細胞の増殖が盛んな毛母細胞においては副作用として脱毛が生じます。抗がん剤治療時の脱毛は患者さんに心理的苦痛を与え、抗がん剤を拒否する要因ともなり、その予防や治療法の開発は早期に対処すべき課題と捉えられていました。そこで、大分大学では猪股雅史准教授ら消化器・小児外科学講座が中心となって、麻酔科学講座、皮膚科学講座、分子病理学講座および総合臨床研究センターなどの研究チームにて、新規抗酸化剤(αリポ酸誘導体)の生体内エネルギー代謝やレドックス制御への関与の他、抗酸化作用、抗がん剤誘発脱毛に対する抑制効果を、動物モデルを用いた基礎実験にて明らかにしました。

・アデランス
1968年の創業以来、総合毛髪関連事業のリーディングカンパニーとして、お客様お一人お一人異なる髪のお悩みやご要望にお応えすべく、さまざまなソリューションをご用意し提供し続けてまいりました。髪と頭皮の健康チェックから、育毛サービス、増毛サービス、ウィッグの提供など、日々、商品・サービスの開発に励んでおります。アデランスグループは国内のみならず、海外にも展開し、米国では植毛事業にも取り組んでおります。また、ヨーロッパでは日本の病院内理美容室(サロン)の開設をビジネスモデルにスウェーデンでの導入が2011年2月からスタートしております。
毛髪と頭皮の研究を深めるために、大学との連携も進めています。2006年より大阪大学大学院医学系研究科に寄附講座を開設。板見智教授を中心に、薄毛で悩む人々への新たな解決策の提供を目指しています。2012年より東京大学大学院医学系研究科老年看護学/創傷看護学分野の真田弘美教授と頭髪に関する新たな科学分野「スカルプケアサイエンス」の共同研究も行っております。

■抗がん剤の副作用による脱毛や痛みのメカニズムと「αリポ酸誘導体」の作用
抗がん剤の副作用による脱毛の痛みやメカニズムはいまだ明らかにされていません。動物実験において、抗がん剤に誘発される脱毛がαリポ酸誘導体などの新規抗酸化剤投与によって抑制し、その際に皮膚の炎症細胞浸潤の軽減、毛根・毛幹障害の抑制、酸化ストレスの抑制、アポトーシス誘導の抑制などが生じていることを明らかにしました。

■共同研究(αリポ酸誘導体を用いた抗がん剤脱毛予防の研究)に関して
北野学長のコメント
抗がん剤による脱毛は、生死にかかわることはほぼないため、専門医の間ではあまり重要に考えられていませんでした。ところが、抗がん剤について説明するとき、患者さんが最も気にするのは、「髪の毛が抜ける」という点です。そこで安心して治療を受けていただくために、脱毛予防剤の研究に着手しました。
・北野学長 プロフィール
和歌山県出身。1976年九州大学医学部卒業。1996年大分大学医学部第一外科教授、2011年10月より大分大学長。専門は消化器外科、内視鏡外科、消化器内視鏡。消化器腹腔鏡手術の権威として知られ、1990年に西日本でいち早く腹腔鏡下胆嚢摘出術を導入して以降、消化器外科全般への応用に向け、先頭に立って手技の開発および適応の拡大を図ってきた。2010年からは日本内視鏡外科学会理事長。2012年世界内視鏡外科連合(IFSES)会長に就任。

猪股准教授のコメント
αリポ酸誘導体は、動物実験において抗がん剤脱毛を抑える効果を持っています。抗がん剤を利用すると皮膚を炎症させる物質が出て、毛根がダメージを受けますが、この物質には抗炎症作用があるため、炎症を抑えることができます。製品化できれば多くの抗がん剤を受けられるがん患者さんにとって、抗がん剤治療を受け入れやすくなると思います。
・猪股准教授 プロフィール
大分県出身。1988年大分医科大学医学部卒業。2010年大分大学医学部総合外科学第一講座 准教授、2011年、同消化器・小児外科学講座 診療科長兼任。2011年、抗がん剤副作用に関する研究で、7th OOTR(国際腫瘍トランスレーショナルリサーチ学会;香港)にてBest Award受賞。2012年、第17回日本臨床毛髪学会(東京)にて平山賞受賞。専門は消化器外科、腫瘍外科、内視鏡外科。
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