一次元ナノ物質で構成されたバルク材料の熱を電気に変える性質を電界で自由に制御することに成功
[14/10/28]
提供元:共同通信PRワイヤー
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2014/10/28
首都大学東京
【研究成果発表】一次元ナノ物質で構成されたバルク材料の熱を電気に変える性質を電界で自由に制御することに成功
首都大学東京大学院理工学研究科 柳和宏准教授、中井祐介助教、真庭豊教授、東京理科大学工学部 山本貴博講師、早稲田大学理工学術院 竹延大志教授の研究チームは、物質が持つ熱を電気に変える性質であるゼーベック係数を、一次元ナノ物質で構成されたバルクな材料において、外部からの電界によって正にも負にも、更にその大きさを自由に制御することに成功しました。また制御した性質を保持させることにも成功しました。この技術は、高性能な熱電変換デバイスの開発に役立つことが期待されます。
電気を流す物質に温度差をつけると、その温度差に比例して電圧を発生する性質があります。これをゼーベック効果と呼び、この電圧の発生する大きさをゼーベック係数といいます。エネルギー資源の有効活用の観点から、現代において、ゼーベック効果を用いて発電する高性能な熱電変換素子の開発は極めて重要な課題となっています。性能の良い熱電変換素子をつくるには、温度差に対して正の電圧を発生する正のゼーベック効果が大きい物質と、負の電圧を発生する負のゼーベック効果が大きい物質の両方を開発することが重要でした。そのため、様々な化学処理を用いて、このゼーベック係数の符号や大きさを調整する物質開発が数多く行われています。
しかし、そのアプローチで最適な解を見つけることは、数多くの要因が影響を及ぼすため、とても難しい作業です。化学処理ではなく、これまでも外部から電場を印加することにより系統的にゼーベック効果を制御する方法は提案されていましたが、バルクな物質のゼーベック効果の制御はできませんでした。
本研究では、単層カーボンナノチューブがネットワークを形成したバルクな薄膜において、イオン液体を用いた電気二重層キャリア注入制御法注1)という手法を用いることにより外部から電場をかけ、その電圧を調整するだけで、バルク薄膜のゼーベック係数の符号と大きさを自由に制御できることを見出しました。
更に、イオンを固定することにより、調整したゼーベック係数の符号と大きさを、電圧を外したあとでも保持させることにも成功しました。今後、この技術を用いて高性能の新規熱電変換素子の開発を行う予定です。
※本研究成果は、2014年10月10日付けで、米国の国際科学誌「Nano Letters」のオンライン版に掲載されました。
本研究の一部は、首都大学東京傾斜的研究補助金および日本学術振興会の科学研究費補助金の支援を受けて行われました。
■本プレスの詳細はこちら
http://www.tmu.ac.jp/news/topics/8257.html
■お問い合わせ先
首都大学東京大学院 理工学研究科 物理学専攻 准教授 柳 和宏
TEL:042-677-2494 FAX:042-677-2483 E-mail:yanagi-kazuhiro@tmu.ac.jp
東京理科大学工学部 講師 山本貴博
TEL:03-5876-1486 E-mail: takahiro@rs.tus.ac.jp
首都大学東京
【研究成果発表】一次元ナノ物質で構成されたバルク材料の熱を電気に変える性質を電界で自由に制御することに成功
首都大学東京大学院理工学研究科 柳和宏准教授、中井祐介助教、真庭豊教授、東京理科大学工学部 山本貴博講師、早稲田大学理工学術院 竹延大志教授の研究チームは、物質が持つ熱を電気に変える性質であるゼーベック係数を、一次元ナノ物質で構成されたバルクな材料において、外部からの電界によって正にも負にも、更にその大きさを自由に制御することに成功しました。また制御した性質を保持させることにも成功しました。この技術は、高性能な熱電変換デバイスの開発に役立つことが期待されます。
電気を流す物質に温度差をつけると、その温度差に比例して電圧を発生する性質があります。これをゼーベック効果と呼び、この電圧の発生する大きさをゼーベック係数といいます。エネルギー資源の有効活用の観点から、現代において、ゼーベック効果を用いて発電する高性能な熱電変換素子の開発は極めて重要な課題となっています。性能の良い熱電変換素子をつくるには、温度差に対して正の電圧を発生する正のゼーベック効果が大きい物質と、負の電圧を発生する負のゼーベック効果が大きい物質の両方を開発することが重要でした。そのため、様々な化学処理を用いて、このゼーベック係数の符号や大きさを調整する物質開発が数多く行われています。
しかし、そのアプローチで最適な解を見つけることは、数多くの要因が影響を及ぼすため、とても難しい作業です。化学処理ではなく、これまでも外部から電場を印加することにより系統的にゼーベック効果を制御する方法は提案されていましたが、バルクな物質のゼーベック効果の制御はできませんでした。
本研究では、単層カーボンナノチューブがネットワークを形成したバルクな薄膜において、イオン液体を用いた電気二重層キャリア注入制御法注1)という手法を用いることにより外部から電場をかけ、その電圧を調整するだけで、バルク薄膜のゼーベック係数の符号と大きさを自由に制御できることを見出しました。
更に、イオンを固定することにより、調整したゼーベック係数の符号と大きさを、電圧を外したあとでも保持させることにも成功しました。今後、この技術を用いて高性能の新規熱電変換素子の開発を行う予定です。
※本研究成果は、2014年10月10日付けで、米国の国際科学誌「Nano Letters」のオンライン版に掲載されました。
本研究の一部は、首都大学東京傾斜的研究補助金および日本学術振興会の科学研究費補助金の支援を受けて行われました。
■本プレスの詳細はこちら
http://www.tmu.ac.jp/news/topics/8257.html
■お問い合わせ先
首都大学東京大学院 理工学研究科 物理学専攻 准教授 柳 和宏
TEL:042-677-2494 FAX:042-677-2483 E-mail:yanagi-kazuhiro@tmu.ac.jp
東京理科大学工学部 講師 山本貴博
TEL:03-5876-1486 E-mail: takahiro@rs.tus.ac.jp