自動運転やインダストリ4.0に向けて リアルタイムにデータを処理・記憶するSSDを開発
[15/02/25]
提供元:共同通信PRワイヤー
提供元:共同通信PRワイヤー
2015年2月25日
学校法人中央大学
自動運転やインダストリ4.0に向けて リアルタイムにデータを処理・記憶するSSDを開発
概要
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)と呼ばれるように、医療、農業、流通、交通、電力網など社会の至る所にセンサが張り巡らされ、人間だけでなく、機器同士、機器と人間の間で様々なデータがやり取りされるようになります。例えば、自動運転ではセンサによって周囲の車、障害物、車線などをモニタしながら運転を行います。また、インダストリ4.0と呼ばれる製造工場でのITの活用では、高速に動くモーターなどを周囲の環境に合わせて最適に調整することで生産性を高めることが期待されています。このようなリアルタイムのIoTの応用では高速にデータを処理、記憶、管理する記憶装置(ストレージ)が必要になります。しかし、従来のITではデータを格納するストレージ(SSD)が信頼性と性能のジレンマを抱えていました。すなわち、データの信頼性を高めるために強力な誤り訂正技術を用いると、メモリを読み出す時間が長くなる(読み出し性能が劣化する)という問題がありました。今回、周辺のメモリからの干渉を補正する技術、メモリセルの劣化にあわせて読み出しのレベルを調整する技術などを開発し、SSDの6倍の高速化と5倍の高信頼化を達成しました。高速かつ高信頼にデータを記憶、処理することが可能になり、自動運転、インダストリ4.0などのIoTの応用が実現することが期待されます。
【注意事項】 本内容については、本日以降すぐに報道していただけます。
【研究者】 竹内 健 中央大学理工学部 教授(電気電子情報通信工学科)
【発表(雑誌・学会)】 本研究成果は、2015年2月22日から26日(米国西部時間)に米国・サンフランシスコで開催された「国際固体素子回路会議(ISSCC 2015)」で発表されました。
論文名:Enterprise-Grade 6× Fast Read and 5× Highly Reliable SSD with TLC NAND-Flash Memory for Big-Data Storage
【受賞】 本論文により、筆頭著者の徳冨 司(中央大学大学院理工学研究科修士課程1年)が、Silkroad Awardを受賞しました。Silkroad Awardは、アジア・太平洋地域からの発表者で、今回がISSCCでの初採択となる学生のうち、優れた論文に贈られる賞です。
【研究内容】
JST戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)の研究領域「ディペンダブルVLSIシステムの基盤技術」において、中央大学 理工学部 教授 竹内 健のグループはフラッシュメモリを記憶媒体とするソリッド・ステート・ドライブ(SSD)のエラーを低減する技術を開発しています。フラッシュメモリはHDDや光ディスク、磁気テープなどの記憶媒体と比べて、高速、低電力という利点があるものの、メモリセルに蓄えた電子がリークすることで記憶したデータが失われ、エラーが発生するという問題がありました。SSDではメモリのエラーをシステム的に訂正する誤り訂正技術が使われていますが、信頼性を高めるために強力な誤り訂正技術を用いると、誤りを訂正するために要する時間が長くなり、メモリを読み出す時間が長くなる(読み出し性能が劣化する)という問題がありました。
このような背景のもと、研究チームは3つの革新的技術の開発に成功しました。まず、あらかじめ記憶したテーブルの情報を参照することで、周囲のメモリセルからの干渉を補正する技術(Quick LDPC)を開発しました。更に、メモリセルへの電子の注入やリークにより、動的に変化するメモリのしきい値電圧に対して、読み出すレベルを動的に調整し、メモリが劣化した際にも常に最適な条件で読み出しを行う、高感度な読み出し方式(Dynamic Vth Optimization)を提案しました(図1)。更に、読み出し中に電子がメモリセルに誤って注入されるエラー効果と、データ保持中に電子がリークするエラー効果という二つのエラー現象を相殺することで、結果として信頼性を高める技術(Auto Data Recovery)を開発しました(図2)。これらの技術により、フラッシュメモリにエラーが生じても、高速かつ高信頼にエラーを訂正することが可能になりました。
今回開発した技術により、様々なITのサービスにおいて高速かつ高信頼に大量のデータを記憶・処理することが可能になります。医療、農業、流通、交通、電力網などITを用いた社会の様々なインフラやサービスで、リアルタイム性に優れた高速かつ高信頼なデータ処理が可能になります。例えば、センサによって周囲の車、障害物、車線などをモニタしながら自動的に運転を行うことが期待されます。更に、インダストリ4.0と呼ばれる製造工場でのITの活用では、高速に動くモーターを周囲の環境に合わせて最適に調整することが可能になります。
*詳細はPDFをご覧ください。
【お問い合わせ先】
<研究に関すること>
竹内 健 (タケウチ ケン)
中央大学理工学部 教授(電気電子情報通信工学科)
TEL: 03-3817-7374
E-mail: takeuchi@takeuchi-lab.org
<広報に関すること>
加藤 裕幹 (カトウ ユウキ)
中央大学 研究支援室
TEL 03-3817-1603,FAX 03-3817-1677
E-mail: k-shien@tamajs.chuo-u.ac.jp
学校法人中央大学
自動運転やインダストリ4.0に向けて リアルタイムにデータを処理・記憶するSSDを開発
概要
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)と呼ばれるように、医療、農業、流通、交通、電力網など社会の至る所にセンサが張り巡らされ、人間だけでなく、機器同士、機器と人間の間で様々なデータがやり取りされるようになります。例えば、自動運転ではセンサによって周囲の車、障害物、車線などをモニタしながら運転を行います。また、インダストリ4.0と呼ばれる製造工場でのITの活用では、高速に動くモーターなどを周囲の環境に合わせて最適に調整することで生産性を高めることが期待されています。このようなリアルタイムのIoTの応用では高速にデータを処理、記憶、管理する記憶装置(ストレージ)が必要になります。しかし、従来のITではデータを格納するストレージ(SSD)が信頼性と性能のジレンマを抱えていました。すなわち、データの信頼性を高めるために強力な誤り訂正技術を用いると、メモリを読み出す時間が長くなる(読み出し性能が劣化する)という問題がありました。今回、周辺のメモリからの干渉を補正する技術、メモリセルの劣化にあわせて読み出しのレベルを調整する技術などを開発し、SSDの6倍の高速化と5倍の高信頼化を達成しました。高速かつ高信頼にデータを記憶、処理することが可能になり、自動運転、インダストリ4.0などのIoTの応用が実現することが期待されます。
【注意事項】 本内容については、本日以降すぐに報道していただけます。
【研究者】 竹内 健 中央大学理工学部 教授(電気電子情報通信工学科)
【発表(雑誌・学会)】 本研究成果は、2015年2月22日から26日(米国西部時間)に米国・サンフランシスコで開催された「国際固体素子回路会議(ISSCC 2015)」で発表されました。
論文名:Enterprise-Grade 6× Fast Read and 5× Highly Reliable SSD with TLC NAND-Flash Memory for Big-Data Storage
【受賞】 本論文により、筆頭著者の徳冨 司(中央大学大学院理工学研究科修士課程1年)が、Silkroad Awardを受賞しました。Silkroad Awardは、アジア・太平洋地域からの発表者で、今回がISSCCでの初採択となる学生のうち、優れた論文に贈られる賞です。
【研究内容】
JST戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)の研究領域「ディペンダブルVLSIシステムの基盤技術」において、中央大学 理工学部 教授 竹内 健のグループはフラッシュメモリを記憶媒体とするソリッド・ステート・ドライブ(SSD)のエラーを低減する技術を開発しています。フラッシュメモリはHDDや光ディスク、磁気テープなどの記憶媒体と比べて、高速、低電力という利点があるものの、メモリセルに蓄えた電子がリークすることで記憶したデータが失われ、エラーが発生するという問題がありました。SSDではメモリのエラーをシステム的に訂正する誤り訂正技術が使われていますが、信頼性を高めるために強力な誤り訂正技術を用いると、誤りを訂正するために要する時間が長くなり、メモリを読み出す時間が長くなる(読み出し性能が劣化する)という問題がありました。
このような背景のもと、研究チームは3つの革新的技術の開発に成功しました。まず、あらかじめ記憶したテーブルの情報を参照することで、周囲のメモリセルからの干渉を補正する技術(Quick LDPC)を開発しました。更に、メモリセルへの電子の注入やリークにより、動的に変化するメモリのしきい値電圧に対して、読み出すレベルを動的に調整し、メモリが劣化した際にも常に最適な条件で読み出しを行う、高感度な読み出し方式(Dynamic Vth Optimization)を提案しました(図1)。更に、読み出し中に電子がメモリセルに誤って注入されるエラー効果と、データ保持中に電子がリークするエラー効果という二つのエラー現象を相殺することで、結果として信頼性を高める技術(Auto Data Recovery)を開発しました(図2)。これらの技術により、フラッシュメモリにエラーが生じても、高速かつ高信頼にエラーを訂正することが可能になりました。
今回開発した技術により、様々なITのサービスにおいて高速かつ高信頼に大量のデータを記憶・処理することが可能になります。医療、農業、流通、交通、電力網などITを用いた社会の様々なインフラやサービスで、リアルタイム性に優れた高速かつ高信頼なデータ処理が可能になります。例えば、センサによって周囲の車、障害物、車線などをモニタしながら自動的に運転を行うことが期待されます。更に、インダストリ4.0と呼ばれる製造工場でのITの活用では、高速に動くモーターを周囲の環境に合わせて最適に調整することが可能になります。
*詳細はPDFをご覧ください。
【お問い合わせ先】
<研究に関すること>
竹内 健 (タケウチ ケン)
中央大学理工学部 教授(電気電子情報通信工学科)
TEL: 03-3817-7374
E-mail: takeuchi@takeuchi-lab.org
<広報に関すること>
加藤 裕幹 (カトウ ユウキ)
中央大学 研究支援室
TEL 03-3817-1603,FAX 03-3817-1677
E-mail: k-shien@tamajs.chuo-u.ac.jp