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連休の長時間ドライブで熱中症リスク 知らぬ間に起こる「かくれ脱水」にご用心

20150424

教えて!「かくれ脱水」委員会

連休の長時間ドライブで熱中症リスク
知らぬ間に起こる「かくれ脱水」にご用心

大型連休を控え、ドライブが楽しい季節になりました。渋滞に巻き込まれるのは心配ながらも、快適な車での長距離移動を計画している方も多いことでしょう。しかし、長距離ドライブにも、実は脱水症、熱中症のリスクが潜んでいます。狭い空間で長時間同じ体勢を取ること、エアコンに頼った温度調節、集中をよぎなくされるドライバーの心理状態...。気温が高くなくても、渋滞に巻き込まれやすいゴールデンウィークの車中は室温も上昇し、危険な脱水環境になります。

さらに、運転途中のトイレ休憩を減らすために水分をあまり取らない人もいますが、こうして引き起こされる水分不足が、気づかないうちに脱水状態が危険な状態にまで進行する恐れがあります。安全で快適な移動のために、連休に入る前のこの時期に、車内での脱水予防と対策について「教えて!かくれ脱水委員会」委員長 服部益治医師がアドバイスします。

◆渋滞時の車内環境は、エコノミークラス症候群を誘発するメカニズムと同じ

エコノミークラス症候群は、飛行機に搭乗しているときに機内の乾燥によって体内の水分が失われ、血液がドロドロになって血栓が出来やすい状態になることと長時間の一定姿勢とが相まって、脚の裏側に静脈血栓が出来ることから、その状態での歩行によって血栓が肺の血管につまり呼吸困難などを引き起こすものです。これと同じような状況は、乾燥した室内で同一姿勢を維持しておこなう長時間作業においても起こりうることが知られています。

たとえば道路に日差しがあたる日中の渋滞時の車内は、狭い空間でのエアコン使用によって非常に乾燥した環境になります。

加えてクルマの前後左右の窓からは、長時間にわたって体温上昇に関係する輻射熱(注1)を浴び続けている状態。もともと人間は、汗や呼吸などから失われる水分(「見えない汗」ともいわれる不感蒸泄)を合わせると、60kgのオトナの場合で1日に900ml、だいたい一日1リットルの水分を自然に失っています。

渋滞時の車中では、その場の乾燥や輻射熱の関係から、さらに水分を失う危険性があります。ところが、乾燥した車中では、出ている汗がすぐに蒸発し、「汗をかいてるな」という自覚も薄いので、自分が脱水しているというサインを感じにくくなります。渋滞時の車中は、気がつかないうちにかくれ脱水になる環境であり、かつ深刻な脱水状態へ進行しやすい環境でもあるのです。

◆ドライブ中の脱水症状を防ぐには

1〜2時間に15分休憩を取り、その際に100〜200mlの水分補給をすることが基本。ドライバーの場合、1〜2時間に1回休めば集中力の減退を防げます。次のパーキングエリアがしばらくないと分かった場合は、たとえ1時間弱しかドライブしていなくとも、次の休憩を優先しましょう。

休憩時は、トイレだけでなく、乾燥しきった車内の空気を新鮮なものにリフレッシュし、外で体を動かすこと。また水分や少量の塩分の補給をしっかりすることを徹底します。

飲む飲料も、緑茶やコーヒーではなく、麦茶などのノンカフェイン飲料にするべきで、もちろん同乗者も、利尿作用を促し脱水症状を招くアルコール飲料は避けるべき。

渋滞時の脱水ケア
■1〜最長2時間に1回15分以上の休息
■休憩時に100〜200mlの水分補給
■休息時に車中の空気をリフレッシュ 
■休息時の車外でカラダを動かしてリフレッシュ
■トイレに行くのを億劫がって水分摂取を控えない
■カフェイン飲料を飲まない。同乗者はアルコールも控える
■スポーツドリンクや経口補水液の常備

◆高齢者や小児は直射日光の当たりにくい席に

家庭でのドライブの場合、車内での席決めも重要。輻射熱のことを勘案し、脱水症を起こしやすい子供や高齢者は、席の中で直射日光が当たりにくい場所に座らせましょう。最近では、窓に貼っても透明なまま遮熱するカーフィルムもあるので、そういった商品を活用して輻射熱の少ない場所をつくるのもおすすめ。高齢者の水分補給については「50〜100mlを1時間に1回」。 いわゆる「こまめな」「ちょっとずつ」という水分補給です。

また、クルマを駐車場に停車する場合、幼児を車中に残しておかないことも重要。4cm(注2)窓を開けておけばいい、といわれているようですが、夏の暑い日など直射日光の下での車中は、エアコンを切って30分で熱中症によって生命を奪われた小児の例も。

たとえば、休憩所に駐車したら、小児や高齢者を車中に残さず、家族全員で車外へ出て少し体を動かすこと。
そして出来れば軽い食事としっかりした水分補給を。食べ物から水分と塩分そして少量の糖質を摂ることが、長いドライブ時の体調をケアします。

高齢者や小児を含む車中対策
■スポーツドリンクや経口補水液の常備
■透明でありながら遮断する窓用フィルムを貼る
■透明でありながら遮熱するカーフィルムを貼る
■高齢者の場合、1時間に1回50〜100mlの水分補給
■休憩時に食事を摂る
■休憩時に外に出てカラダを動かす

危険信号は「べた・だる・ふら」(べたつく汗、体のだるさ、体のふらつき)
不調を感じたらすぐに経口補水液を

車内で、肌が「べたべた」したり、カラダが「だる」いと感じたり、カラダが少し「ふら」っとするのは、すでに脱水状態の
分類でいう初期症状です。運転を止めて脱水対策として、経口補水液などを至急摂ることが重要です。

注1 輻射熱とは、空気の存在に関係なく遠赤外線の熱線によって直接伝わる熱。空気を暖めることなく直接人体や室内の壁などを暖める。太陽の自然な暖かさも輻射熱による。

注2 4cmについて
・JAFが「窓を閉め切った車内での温度変化をテスト」
春の最高外気温は23.3度だったが、車内室温は最高48.7度、ダッシュボードは同70.8度にまで達した。4枚の窓すべてを4センチ開けた車では、全閉した車より室温は低いものの、車内温度は最高38.9度まで上昇していた。「直射日光が当たるダッシュボードが熱源となるため、車内温度の上昇に、車種や外装色、外気温はあまり影響ない」としている。 JAF広報部は、「外は涼しいからから大丈夫という思い込みが、幼い子どもの熱中症事故を引き起こす原因」と指摘。「春でも、車内気温は真夏と同じぐらい上昇することを知ってほしい」としている。

教えて「かくれ脱水」委員会のホームページ『かくれ脱水JOURNAL』にて、PDF版とともに公開しています。http://kakuredassui.jp/findout5


  
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