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レジエンスが理化学研究所と毛包組織に関する共同研究契約を締結

2015年4月27日

レジエンス株式会社

「毛包組織幹細胞の誘導・増殖と毛包器官の再構築」に関する共同研究契約の締結

レジエンス株式会社(以下「レジエンス」)は、このたび「毛包組織幹細胞の誘導・増殖と
毛包器官の再構築」を目指した共同研究契約を国立研究開発法人 理化学研究所(以下「理研」)と締結しました。本共同研究では、理研 多細胞システム形成研究センター(以下「CDB」) 細胞外環境研究チームのチームリーダーである藤原裕展先生が長年続けてこられた細胞外マトリックスに関する知識とレジエンスの所有するメディウム灌流型3次元培養法などを融合させる
ことにより、毛包の幹細胞ニッチ*を体外で再現し、最終的には体外での機能的な毛包の再構築を目指します。

ヒトをはじめとする高等生物の生命活動は、特殊化した機能を担う多様な分化細胞からなる
組織や臓器によって維持されています。臓器の機能を担う分化細胞は一般的に増殖能力が低く、幹細胞と呼ばれる未分化細胞が増殖、分化することによって供給されます(図1)。幹細胞は
受精卵から個体を生み出す発生過程に関与するだけではなく、個体発生後の組織、臓器の中のごく一部にも組織幹細胞として存在し、組織や臓器の損傷が生じた際の修復や再生過程にも深く
関与することが知られています。このように、生命活動に欠かせない分化細胞を生み出すことができる組織幹細胞は、再生医療分野では非常に重要なプレーヤーとして注目されています。しかしながら、組織に存在する組織幹細胞は極めて微量で、且つ体外での培養を経ることでその幹細胞としての機能を失っていくことが知られています。これらの問題は、組織幹細胞を再生医療へ利用する際の大きな障害となっています。

このような問題点を解決するべく、本共同研究では特に毛を作る器官である毛包に着目し、
組織幹細胞の機能を体外で維持させることができる環境を作り出し、最終的には体外での機能的な毛包再構築を目指します。毛包再構築ために使用する細胞としては、毛包由来の細胞のほかにiPS細胞も含めて研究を進めていきます。これらの細胞を利用しながら、毛包の幹細胞ニッチを試験管内で模倣することで、毛包の再構築を図ります(図2)。本共同研究で得られる成果は、男性型脱毛症患者由来の細胞、もしくはiPS細胞を用いた体外での大量の毛包の作製の実現、それらを植毛によって患者へ移植するという脱毛症に対する根源的な治療へと発展することが期待されます。
レジエンスの代表取締役社長&CEOである村山正憲は次のようにコメントしております。
「細胞そのものの研究も重要ですが、細胞の外部環境を規定している細胞ニッチも再生医療に
おいて極めて重要な研究テーマです。この分野の第一人者である理研の藤原先生と、先ずは毛包の細胞外環境を研究出来る事を非常に嬉しく思います。毛包は成体になっても周期的に再生を
繰り返す器官であり、この細胞環境を明らかに出来れば、他の細胞や器官の細胞環境の研究に繋がっていくものと期待しております。」

理研CDB細胞外環境研究チームのチームリーダーである藤原裕展先生は次のようにコメントしております。
「当研究室で培ってきた毛包の細胞外環境に関わる基礎研究成果や技術を、実際の器官再生に
繋げるべく、全力で取り組んで参ります。」

*ニッチ:もともと西洋建築で利用されていた、彫像や花瓶を置くために作製された壁の中の
くぼみ部分の名称。転じて生物学では、各細胞に適した周囲の微小な環境を示す言葉として使われるようになった。幹細胞ニッチは組織幹細胞が本来体内で存在することが許される微小な環境のことを指す。
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