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スペシャル対談 京セラ開発部と照明家 豊久将三氏

2016年3月15日

京セラ株式会社

〜 京セラ Presentsスペシャル対談 〜
京セラ「CERAPHIC(R)」が実現する“光の演出力”
光にこだわるのには理由がある!照明家・豊久将三氏が語る“光の影響力”

本リリースでは2016年2月末、京セラ株式会社 東京事業所にて実施された、有名な美術館や文化財、ラグジュアリーブランドのブティックなどを手がける世界的な照明家である豊久将三氏と、京セラ株式会社 半導体部品事業本部 メタライズ事業部長である柳澤 美津夫との対談の模様をお届けいたします。

対談では、京セラのLED照明「CERAPHIC(R)(セラフィック)」を含む世の中の照明や光と、生活者との奥深い関係性についてなどを、それぞれの立場から語っていただいております。

京セラLED照明 「CERAPHIC(R)」 について

日常生活やビジネスの場において、「光」がもつ影響力について考えてみたことはありますか?

光は、日常の至るところに存在し、私たちは、日中の太陽光だけでなく照明やランプ、看板など“人工の光”にあふれた社会で生きています。私たちが夜でも昼間のように明るい空間で活動できるのも、この“人工の光”があるからこそ。しかし、この人工の光の色を決める「スペクトル」の良し悪しによって、私たちの気持ちや集中力、仕事の効率や生産性に大きな影響を与えるのだといわれています。

この光がもつ「スペクトル」が私たちの生活やビジネスの現場においてどのような影響を与えるのでしょうか。そして、紫色LEDと「赤・青・緑」の蛍光体の調合技術の組み合わせによって、太陽光に非常に近い自然な光の色=フルスペクトルを実現し、お客様のご要望に応じた「光の質」のカスタマイズを可能にした、京セラのLED照明「CERAPHIC(R)」は、この「スペクトル」にこだわることでどのような世界を生み出すことを目指しているのでしょうか。


■ 京セラ「CERAPHIC(R)」が実現した“光の演出力”がもたらすものとは

まずは、柳澤から「CERAPHIC(R)」が従来のLED照明とどのような違いがあるのかについて、説明を行いました。柳澤によると、「光の色=スペクトル」にこだわったLED照明の開発は2002年から行ってきたといいます。その結果として生み出されたのは、光を生み出す仕組みについて、従来型のLED照明とは異なるアプローチ。柳澤は次のように語っています。

“一般的に主流となっているLED照明は、青色LEDを黄色の蛍光体に当てて色を作るという方法をとっていますが、当社の「CERAPHIC(R)」は、より多彩な色合いの再現ができるように、紫色のLEDを色の3原色であるRGB(赤・青・緑)の蛍光体に当てて色を生み出すという方式を採用しました。これにより、フルスペクトルを実現するとともに、RGBという3つ蛍光体の調合比率を変えることでさまざまな色合いの光を再現することが可能になったのです。”

では、この「CERAPHIC(R)」はどのような利用シーンを想定して開発されたのでしょうか。

柳澤は一言で「モノを照らすということにこだわって開発をしてきた」といいます。つまり、空間を明るくするためだけのLED照明ではなく、特定の対象物を照らすことを目的としたLED照明ということ。「CERAPHIC(R)」はRGBの調合を変えることで、対象物の色合いを正確に照らし出すための光のカスタマイズをすることができます。他のLEDにはない優位性を活用することで、歴史的な建造物がもつ重厚な存在感を際立たせるような照明、美術館における絵画や美術品、ショップ店内の商品などがもつ色合いを美しく再現するための照明、工場で製品の完成度を正確に確認するための照明など、LED照明に新たな可能性をもたらしたのです。

こうした表現力の高いLED照明の登場を、プロの照明家はどのように受け止めているのでしょうか。

豊久さんは、「CERAPHIC(R)」のフルスペクトルによる自然な光の表現や、光の質をカスタマイズできる技術について、次のように評価しています。

“光の表現の自由度が上がるということは、その照明を使うユーザーによって可能性が拡がるということなので、本当に良いことではないかと思います。従来型の電球では、光のスペクトルのチューニングはあまりできず、その電球がもつスペクトルを受け入れていくしかありませんでした。そのため、たとえばアパレルショップの中の光ですと、商品が本来もつ正確な色を再現できていない場合もあるのです。色にこだわる消費者は、商品を太陽光の下にもつていって、本来の色を確認するほどです。「CERAPHIC(R)」によって商品の色が正確に再現できるようになるだけで、ショップにとって非常に大きな価値になるのではないでしょうか”


■ 照明のプロが語る、私たちの生活やビジネスにもたらす“光の影響力”

続いて、フルスペクトルを備えた「CERAPHIC(R)」が世の中から求められる前提として、そもそも「光」が私たちの日常生活やビジネスにどのような影響を与えるのかについて、豊久さんに語っていただきました。

豊久さんは、「光は、音と並んで一番人間の身体に大きな影響を与える。だから大切にしなければなりません。光の色合いや明るさの違いによって、イライラしたり和んだり、やる気や集中力が出たり無気力になったりと、人間の気分や心理の色々な部分に影響を与えるのです。たとえば、赤っぽい光は照度を落としても心地いいと感じますが、白っぽい光は照度を落とすと強い嫌悪感が生まれます」と、私たちにとっての光がもつ重要性を説明。
たとえば、仕事や勉強のやる気や集中力を高めるためには明るく白っぽい光が向いていて、一方で自宅のリビングなど心を穏やかにしたい場合には、白熱電球に近い落ち着いた赤っぽい光が向いているという具合に、その場所の目的や求める雰囲気に応じて光にこだわることが大事なのです。

しかし豊久さんによると、日本人はヨーロッパの人々などと比較して、光に対して意識してこだわることが少ないのだと言います。

「ヨーロッパでは、たとえば自宅の建設を行うときには建築家と一緒に照明家も呼ばれます。間取りや家具の配置と一緒に、どのような光で空間を作るかを決めなければ、家づくりがスタートしないのです。それくらい、光というのはヨーロッパの人にとって重要な要素のひとつなのです。自宅は、日常生活の中で最も多くの時間を費やす場所であり、そこで穏やかな気持ちで心地よく過ごすためには、そこで自分自身がどのような光に晒されるかということが非常に重要なのです」。

一方、日本ではどうでしょうか?自宅においても、お店などの空間においても、光の質にこだわっていると感じる場面はあまりないのではないでしょうか。豊久さんも「有名なショッピングスポットなどでも、照明のミスマッチによってストレスや嫌悪感を抱いてしまう場所はたくさんあります。光が人に与える影響を加味しないで照明を決めているのです」と語っています。これは裏を返せば、光にこだわりをもつことで日常生活はもっと豊かになり、お店がお客様にとってもっと心地よくなり、ビジネスの現場の作業効率が高まる可能性があるのです。

豊久さんは日本人がもつ光への意識について、次のように語っています。

“かつては日本人にも、“光を愛でる”という意識は強くありました。しかし戦後、産業が発展していくにつれて、そういった文化が日常生活や社会の中から薄れてしまったのかもしれません。人は昼夜を問わず自宅、お店、会社などで絶えず何かしらの光に晒されていますが、そこにこだわりをもつことで、気持ちも集中力も、仕事の効率もライフスタイルも大きく変わる可能性がある。そのことに、多くの人が気付いていないのです。「CERAPHIC(R)」が普及することにより、 日本人の中に“光を愛でる文化”がもう一度盛り上がってくればいいですね。”


■ 「CERAPHIC(R)」の光が、社会をより豊かにする

こうした豊久さんの言葉に対して、「CERAPHIC(R)」のフルスペクトル・カスタマイズ技術を活かして、光にこだわる多くの人のニーズに応える光を開発することで、人々の暮らしや社会を豊かにしていくことができれば」と応じた柳澤は、この「CERAPHIC(R)」がどのようなシーンで活躍しているのか、今後どのようなシーンに導入していきたいかについて語りました。


柳澤は、「CERAPHIC(R)の高い色の再現力を活かして、文化財などを美しく照らす、ショップの商品をきれいに見せるといった活用シーンを通じて、社会を豊かにしていきたい」としながら、一方で「モノを照らす」という「CERAPHIC(R)」がもつ役割をさまざまなシーンに拡大していきたいと語ります。

一例を挙げると、医療の現場で「CERAPHIC(R)」の特長を活用したのが、手術室で術野を照らす手術灯です。医師にとって、術野にある血管の色の違いで動脈、静脈の位置を把握することは正確な手術を行う上で非常に重要です。「CERAPHIC(R)」がもつフルスペクトルによって血管や臓器の自然な色を正確に把握できる光を作り出し、医師の執刀をサポートしています。「CERAPHIC(R)の光の調整力、再現力によって、フルスペクトルを生み出すことができ、動脈、静脈の違いをはっきりと把握できるようになりました」。

また柳澤は、こうした光によって対象物を正確に把握するという活用シーンを応用して、「自動車の車体工場における塗装検査(ボディの細かい傷などをチェックする検査)などにも導入検討が進んでいる」といいます。従来の検査灯では検査員の目に依存する部分が大きく、経験のある検査員ほど検査の正確性が高い傾向がありましたが、「CERAPHIC(R)」がボディの色や凹凸を正確に照らすことにより、不具合を発見することが容易になるのだそうです。

加えて柳澤は、「CERAPHIC(R)」の優位性を活かして「野菜や植物を育てる植物工場のLED照明にも市場は広がりそうだ」といいます。「たとえば、野菜や植物の水耕栽培では、成長するために不要な光を省いて、必要な光だけを作り出すことができれば、成長速度の向上などに繋がるのではないでしょうか。CERAPHIC(R)の光のカスタマイズ技術に着目した取り組みです」。


■ 今回の対談を終えて

取材の最後に、豊久さんに「CERAPHIC(R)」に対する評価をコメントしていただきました。

“「CERAPHIC(R)」は、フルスペクトル、光のカスタマイズによってさまざまな色を生み出すことができるので、人間の身体に違和感を与えることが少ない。生み出される光は太陽光に近いものになるので、より自然な光の表現ができるのではないでしょうか。このデジタルの時代にあって、光ぐらいは(違和感のある人工的な色ではなく)きちっと豊かに自然に近いものであったらいいなと思っていますので、自然な光を再現できることが「CERAPHIC(R)」の一番大きい価値だと思います。”

2人が言及したとおり、「CERAPHIC(R)」は、フルスペクトルによる優れた色再現性が生み出す自然な光、さまざまなニーズに合わせてカスタマイズされた光によって、人々の暮らしやビジネスの現場を豊かにしていきます。

今後の「CERAPHIC(R)」の展開にどうぞご期待ください。


京セラLED照明 「CERAPHIC(R)」 について

照明家 豊久将三(とよひさ しょうぞう)
最新のテクノロジーを使った光の表現を主に行う。ニューヨーク近代美術館での「CONTEMPORARY JAPANESE TEXTILES」展における光ファイバーを使用した照明で世界的な評価を得る。現在までに根津美術館や国立国会図書館・関西館をはじめ、国内外の美術館・博物館などの展示照明とともに、ラグジュアリーブランドのブティックにおいてファサード照明や店内の空間照明などを手掛けている。
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