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Appier CEO チハン・ユー、 アドテック東京インターナショナルで AIの未来を語る

2016年8月24日

Appier,Inc

「Building a better world with AI」
AppierのCEOチハン・ユー、アドテック東京インターナショナルでAIの未来を語る

AI(人工知能)テクノロジー企業のAppier(エイピア、以下Appier、本社:台湾、共同創業者/CEO:チハン・ユー)は、2016年8月23日、上智大学で開催されたソートリーダーシップ会議「ad:tech Tokyo International 2016(アドテック東京インターナショナル2016)」において、「Building a better world with AI」をテーマとしたセッションに参加しました。日本でもAIに対する注目度が増す中、ITジャーナリストの湯川鶴章氏を司会に迎えてのセッションでは、さまざまな解釈がされるAIについての基本的な整理、10〜15年後のAIの展望、より良い世界の実現に向けたAIの役割など、最新のトピックが取り上げられ、AIを発展させるハブとしてのアジアへの期待をチハン・ユーが語りました。

AIの定義
AIは人々の大きな関心を集め、次なる主要テクノロジーとしてもてはやされています。ロボット工学、自動車、あるいは碁をはじめとする伝統的なボードゲームなど、2016年に入ってからAI関連のニュースはさまざまなメディアのヘッドラインを飾りました。しかし、こうした個々の話題はともかくとして、AIの正確な定義とは何なのでしょうか。そしてAIは、起業家、企業、テクノロジストに何をもたらすのでしょうか。将来におけるAIの意義について議論する前に、しばしば区別されずに用いられるAIのいくつかの重要なコンセプトについてチハン・ユーが説明しました。

IoTは、AIと関連付けて用いられることが多いもう一つのキーワードです。チハン・ユーは、「簡単に言えばAIは、人や動物のインテリジェンスを必要とするようなタスクを実行できる、先進的なコンピューターシステムである。つまりAIは、インテリジェンスの証拠と見なされる意思決定や思考の仕方をコンピューターに教えられる。一方、『モノのインターネット』を意味するIoTは基本的に、コンピューター、スマートウォッチ、ヘッドフォン、煙探知機をはじめとする家電など、相互に接続する、あるいはインターネットに接続する、あらゆるデバイスを指す」と説明しました。インターネットに接続するAIシステムの例として、チハン・ユーはeコマースサイトによく見られるレコメンドサービスを挙げました。

さらに、チハン・ユーは、ビッグデータ、マシーンラーニング、AIの関係をケーキ作りに例え、「ビッグデータは単なる巨大な情報セットであり、AIに不可欠な材料。大きな情報セットとしてのデータだけでは、それほど役に立たない。ケーキの材料を一度にボウルに入れるのと同じことである。砂糖、卵、小麦粉はそれぞれ食べられるが、間違いなくおいしくはない」と説明しました。材料をボウルに入れて混ぜ合わせたら、それに手を加える必要があります。ここで必要になるのが「マシーンラーニング」プロセスです。「ブレンダーですべての材料を混ぜ合わせるとケーキの生地ができるように、コンピューターはマシーンラーニングによってあらゆる情報を処理し、パターンを見いだし、『学ぶ』のである。こうしたすべてのプロセスから生まれるのがAIというケーキ」

AIの現在と未来
15年以上前にAI分野でキャリアをスタートさせたチハン・ユーは、AIテクノロジーの台頭、成長、多様化を目の当たりにしてきました。チハン・ユーはAIを躍進させた要素は二つあると考えています。一つは、利用可能な情報(データ)の増加であり、もう一つはコンピューターの処理能力の向上です。「情報の増加と演算能力の向上により、AIシステムがルールを学べるようになった。その結果、AI分野の多様化が進み、ロジスティクス、ビジネス、マーケティングといった幅広い業界でAIが利用されるようになった」

AIは人間にとっての脅威か
AIテクノロジーが急激に進歩し、注目を集めるようになった反面で、AIへの懸念も高まっています。将来的にAIが人間の仕事を奪い、人間より高い知性を持つようになれば、脅威の存在になるのではないかというものです。しかしチハン・ユーは、「どんなイノベーションにもこうした懸念はつきもの。新しいテクノロジーやイノベーションが実現するたびに、人は専門性の高い仕事に移行できるようになった。AIは、むしろ人がクリエイティブになれる機会を増やし、仕事を減らすのではなく、増やす役割を果たしている」と述べました。

さらにチハン・ユーは、AIに対する懸念は非常に誇張されているとして、「実際には、スタンドアロンのAIシステムの導入は容易ではない。そうしたシステムを効率的に動かすのは難しい。世界では、インタラクティブなAIシステムや、人とAIのインタラクションに依存したシステムが主流になってきている」と語りました。人との対話を中心に置いたシステムは導入が容易なだけでなく、パフォーマンスも高いという特長があります。「なぜなら、私たちが生活し、仕事をする環境は常に変化しており、その中で生き抜くためには、創造性と柔軟性という人間にしかない二つの能力が不可欠だから」

AIはより良い世界の実現に役立つか
AIは、人間の仕事の一部を肩代わりすることになるでしょう。しかし、どちらかと言えばAIは、変化の少ない日常的なルーティンワークに適しており、AIによって人々はむしろそうした業務から解放され、より高付加価値の仕事に就くことができるとチハン・ユーは述べました。また、AIは多くの業界や産業に影響を与え、業務の効率や精度を高めることで人々の生活を楽にできると付け加えました。例として挙げたのが、医療と教育という二つです。

例えば、先進的なロボット工学およびデータ主導型インテリジェンスとAIを組み合わせることで、医療を大きく前進させることができます。AI支援型診断システムは迅速かつ正確な診断を可能にし、AI支援型医療モニタリングは日常的な介護の効率を向上させます。AIが制御する「外骨格ロボット」の開発が世界に大きな衝撃を与えたのは言うまでもありません。特に日本では、医療分野でAIの可能性を模索する研究が進んでいます。

教育は、AIが大きな影響を与えられるもう一つの分野です。例えば、生徒の成長を追跡できるAIシステムは、教師が改善すべき部分を特定し、一人一人に高度な学習体験を提供する上で役立ちます。AIアプリケーションで稼働するeラーニングは、個々の生徒の理解度に応じた対応が可能であるため、各自のペースで学ぶことができます。また、従来の学校に代わる学習機会が生まれることで、物理的に学校に通うことが難しい人たちをはじめ、世界中で多くの人が教育を受けられるようにもなります。

世界中でAIの利用が進めば、医療と教育のコストが低減され、誰でも、どこにいても、安価な医療や教育を受けられるようになるでしょう。

AIを育てるのは日本とアジア
チハン・ユーは、スタンフォード大学とハーバード大学という世界のAI研究をリードする二つの大学で学び、そのまま米国で「リトルドッグ」などのプロジェクトに取り組んでいましたが、台湾に戻ってAppierを設立することを選びました。米国で過ごした後、再びアジアに軸足を移す決心をしたことについて、チハン・ユーは次のように語っています。「アジアにおけるハードウェアのサクセスストーリーの影には、HTCやAsusなどの有名ブランドを支えたソフトウェアエンジニアたちがいた。今でもアジアにはそうした人材が豊富である。さらに、インターネットの普及によって台湾ではソフトウェアが主要産業になりつつある。(アジアに帰ってAppierを設立した大きな理由は)アジアの優秀な人材を活用し、彼らが世界を目指す動きに応えたかったから。そうすることで、彼らが自分自身のアイディアやイノベーションを実現できるよう後押しできればと思っている」

ad:techについて
アドテックは世界の主要都市で開催される国際マーケティングカンファレンス。広告主、エージェン シー、ソリューションプロバイダー、メディアなど、各ジャンルのマーケターが集まる。日本では 2009 年に ad:tech tokyo を初開催、今年で 8 回目を迎える。2015 年は、全セッションを英語で行う「アドテック東京インターナショナル」を初開催。世界各国からスピーカーが集まるとともに、日本から世界に対して新たな形で情報発信するカンファレンスとして好評を 博した。

Appier 共同創業者/CEO:チハン・ユーについて
Appierの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のチハン・ユーは、ハーバード大学とスタンフォード大学の研究室に在籍した経歴を持ち、AI(人工知能)、ロボティクス、機械学習の分野で多数の研究論文を執筆してきました。米国特許を2件取得しており、彼の博士論文は、マルチエージェントAI分野の最優秀論文賞にも選ばれています。
直近では、2016年3月に、世界経済フォーラムの「2016年度 ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出されました。彼のリーダーシップによって、創業時5人しかいなかったAppierは、アジア各地にオフィスを構えるグローバルカンパニーへと成長しました。
チハン・ユーは、ハーバード大学でコンピューターサイエンスの博士号を取得しています。ハーバード大学在学時は、ワイス応用生物学エンジニアリング研究所と共同で、ポリオ患者の歩行を支援する自己適応型ロボティクスシステムを開発しました。ハーバード大学入学以前には、スタンフォード大学で修士号を取得しており、ここではDARPA Grand Challengeで優勝したプロトタイプ「Stanley」の開発チームに参加し、Googleロボットカープロジェクトの礎を築きました。
Appier創設以前には、インテリジェントモバイルおよびソーシャルゲームの開発を専門とする独立系ゲームスタジオPlaxieを創業し、運営していた経験も持っています。Appier創業者でCEOのチハン・ユーは人工知能研究の分野においてハーバード大学とスタンフォード大学の研究室に在籍した経歴を持ち、彼の博士論文は同分野の最優秀論文賞に選ばれました。また、Googleが発表したことでも話題を呼んだロボットカーの基となる自動運転車をスタンフォード大学の研究チームとともに開発しました。Appier創設以前はソーシャルゲーム開発会社を運営していた経験も持っています。

Appierについて
2012年設立のAppierは、AI(人工知能)を活用し、マルチデバイス時代における企業の成長と成功を支援するテクノロジー企業です。Appierの研究開発チームは、AI、データ分析、分散処理システム、マーケティングの経験を有するコンピューター科学者とエンジニアの熱意あふれるメンバーによって構成されています。社員は、グーグル、楽天、ヤフー、インテルのほか、ハーバード大学やスタンフォード大学の有名なAI研究グループの出身です。Appierは台北に本社を置き、東京、シンガポール、シドニー、ホーチミン、マニラ、香港、ムンバイ、デリー、ジャカルタ、ソウルのアジア全域に計11の拠点を構え、500を超える世界中のブランドと代理店にサービスを提供しています。詳細はwww.appier.com/jp/ をご覧ください。
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