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瀬田クリニックグループの免疫細胞治療に関する論文が 学術誌『Anticancer Research』に掲載されました。

2016年10月13日

医療法人社団滉志会

瀬田クリニックグループの免疫細胞治療に関する論文が学術誌『Anticancer Research』に掲載されました。

医療法人社団滉志会 瀬田クリニックグループは、がん免疫細胞治療における免疫細胞
の攻撃目標となる「がん抗原」の発現状態について、がん腫ごとの網羅的な解析研究(*1)
を行い、研究結果をまとめた学術論文ががん免疫分野の学術誌『Anticancer Research』に
掲載されましたのでお知らせいたします。
がん免疫細胞治療の一種である樹状細胞ワクチン療法の実施においては、患者さんのが
ん組織に発現しているがん抗原(*2)と同じがん抗原を免疫細胞に記憶させられない場合、
免疫細胞が攻撃対象を認識できず、治療効果が見込めないことが想定されます。
瀬田クリニックグループでは、人工の抗原(*3)を使用した樹状細胞ワクチン療法の実施
にあたり、原則として患者さんのがん組織においても同じ抗原が発現していることを治療前に
確認しており、本治療を受けた患者さんの中から 738 名に対して、各がん腫におけるがん抗
原の発現状態を調べる解析研究を実施したところ、以下の結果が得られました。
(今回確認された主な研究結果)
・全がん腫における WT1(がん抗原)の発現比率は 25.3%であり、過去に報告されていた
発現比率 よりも著しく低いことが示された。更に、より治療効果が期待できる強い発現
(発現評価 2+以上(*4))を認めたがん腫は、8.5%に留まった。
また、がん腫および組織型ごとの発現比率にも偏りがあることが確認された(*5)。
・全がん腫における MUC1(がん抗原)の発現比率は 76.8%と高く、多くのがん腫で発現
していたが、一部のがん腫では発現比率が低いことが確認された。
・多くのがん腫において MHC クラス I(*6)は発現していることが確認された。
上記の研究結果により、樹状細胞ワクチン療法を実施する際には、がん細胞におけるが
ん抗原の発現状況を「免疫組織化学染色検査」等により事前に確認することが、適切な治
療法の選択をするためには重要であることが示されました。
瀬田クリニックグループは今後も、臨床現場で得た最新の知見や研究成果等を速やかに
治療に応用するとともに、研究成果に係る情報発信を継続することで、がん免疫細胞治療
の発展に貢献してまいります。
以上
本件に関するお問い合わせ:
医療法人社団 滉志会 法人本部
東京都千代田区神田駿河台 2-1-45 ニュー駿河台ビル 4F
TEL: 03-5244-5750 URL: http://www.j-immunother.com/
Email: info@j-immunother.com
瀬田クリニックグループの免疫細胞治療に関する論文が
学術誌『Anticancer Research』に掲載されました。
― がん細胞におけるがん抗原(免疫細胞の攻撃目標)の発現状況について ―
2/3
(*1)解析研究
Immunohistochemical Analysis of WT1 Antigen Expression in Various Solid Cancer
Cells
(*2)がん抗原
主 にがん細胞に発現している異常なタンパク質。免疫細胞が正常細胞とがん細胞を見分け
る目印になる。
(*3)人工の抗原
瀬田クリニックグループでは、各種の検査結果等を基に、患者さんのがんの種類や白血球
の型(HLA)に合わせて、WT1、MUC-1、MART-1、MAGE-A3、PAP、NY-ESO-1 などの
様々な人工抗原ペプチドを使用しています。
(*4)発現評価
発現評価は、発現の相対比率(proportion)と陽性反応強度(intensity)をもとに、(−)〜
(3+)の 4 段階で評価が行われています。
(*5)がん腫別および組織型別の WT1 発現頻度
表 1. がん腫 別 の WT1 発現頻度(抜粋)
表 2. 組織型別の WT1 発現頻度(抜粋)
がん腫 (ICD10 分 類 ) 発現率 (件 数 )
胃 癌 18.1% (13/ 72)
結腸癌 8.8% (6/ 68)
直腸癌・S 状結腸癌 10.6% (5/ 47)
肝 癌 9.1% (2/ 22)
膵 癌 30.2% (19/ 63)
肺 癌 35.0% (42/120)
乳 癌 25.0% (12/ 48)
卵巣癌 52.4% (33/ 63)
がん組織型
(ICD-O-3 分 類 )
発現評価 1+以上の
発現率 (件 数 )
発現評価 2+以上の
発現率 (件 数 )
小細胞癌・未分化癌・大細胞癌 28.6% (8/ 28) 3.6% (1/ 28)
扁平上皮癌 24.7% (21/ 85) 3.5% (3/ 85)
腺 癌 22.8% (107/470) 6.0% (28/470)
印環細胞癌・粘液性腺癌・漿液性腺癌 44.2% (19/ 43) 37.2% (16/ 43)
Paget 病・浸潤性乳管癌 22.6% (7/ 31) 9.7% (3/ 31)
3/3
(*6)MHC クラスI
主要組織適合遺伝子複合体と呼ばれ、がん抗原を提示する“土台”となる。MHC クラスIの
発現が少ない場合は樹状細胞ワクチン療法の効果が望めない。
【 医療法人社団滉志会 瀬田クリニックグループについて 】
1999年3月、免疫細胞治療の専門医療機関として「瀬田クリニック」を開院、現在は、瀬田ク
リニック東京(東京都千代田区)、瀬田クリニック新横浜(神奈川県横浜市)、瀬田クリニック
大阪(大阪府吹田市)、瀬田クリニック福岡(福岡県福岡市)の4クリニックを開設しています。
開院以来、19,000名 を超える患者さんに対し、16万 回 以 上 の治療を提供しています(2016
年 9月現在)。2009年に設置した臨床研究センター(現:臨床研究・治験センター)では、開
院以来の治療実績から抽出した臨床データの解析に加え、大学病院、地域中核医療機関
等との共同臨床研究を行い、Evidenceの強化、治療効果の更なる向上に取り組んでいま
す。
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