11月5日は「津波防災の日」「世界津波の日」啓発イベント「東日本大震災の教訓を未来へ」開催
[16/11/08]
提供元:共同通信PRワイヤー
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2016年11月8日
内閣府(防災担当)
11月5日は「津波防災の日」「世界津波の日」
啓発イベント「東日本大震災の教訓を未来へ
〜いのちを守る防災教育の挑戦〜」開催
内閣府では「津波防災の日」の11月5日(土)、東京都・千代田区のイイノカンファレンスセンターで啓発イベント「東日本大震災の教訓を未来へ〜いのちを守る防災教育の挑戦〜」を開催しました。
■東日本大震災を経験した釜石市と、南海トラフ地震被災想定地域の黒潮町の中学生が交流
イベントではオープニングとして「津波防災ひろめ隊」のふなっしー、くまモン、ちっちゃいおっさんらご当地キャラクターが登壇、「津波防災の日」について紹介した後、松本洋平内閣府副大臣より、「南海トラフ地震や首都直下地震のような巨大災害に備え、避難行動の確認や備蓄など、日常生活の中で具体的な取組が進むことを期待」する旨挨拶がありました。
第一部の交流セッションでは、東日本大震災において日頃の「いのちを守る防災教育」が功を奏し、生徒たちが主体的な避難行動を実践、多くの命が救われたことで知られる岩手県釜石市から、釜石中学校の生徒を東京に招くとともに、南海トラフ地震の被災想定地域である高知県黒潮町の中継会場に、黒潮町立大方中学校、佐賀中学校の生徒が登壇、両地域の中学生による取組の発表がありました。
まず、釜石中学校の生徒達から「津波てんでんこを実践し、即座に高台避難後に家族と再会、その後の避難生活で改めて支え合うことの大切さを感じた」など、当時の被災体験の振り返りがありました。その上で、「釜石の災害史の学習」、「今後の釜石をどうしたらいいのか話し合い、考えを纏めた上で、市役所に対して行っている提案活動」、「避難所のトイレ問題の学習」、「『防災手ぬぐい』の製作・配布」など、現在の取組について、発表がありました。
続いて、最大津波高34mという厳しい被災想定に対しても怯むことなく、犠牲者ゼロを目指す高知県黒潮町からは、大方中学校、佐賀中学校の生徒が、「防災マップ作成」や、「保育園から高校まで合同の実践的な避難訓練」、「家庭における避難時の持ち出し袋の取組」など、地域に溶け込んだ活動を中心に紹介しました。黒潮町の会場には「津波防災ひろめ隊」のメンバーで「ゆるキャラグランプリ2016」優勝の高知県須崎市「しんじょう君」も駆け付け、盛り上げてくれました。
釜石の防災教育に携わったことで知られ、高知県・黒潮会場から出演した片田敏孝群馬大学大学院教授は、それぞれの発表に対し、
「当時小学生だった皆さんは、いろいろな辛いことを経験されたでしょうが、それを次の災害に必ず役立てようと、今そんな思いで実践してくれています。その積極的な姿勢を高く評価したいと思います」(釜石中学校)
「犠牲者ゼロを目指し、小さな子供から高齢者のことも考え、地域において中学生に何ができるか、考えられた取組」(大方中学校・佐賀中学校)
と講評しました。
そして、被災を乗り越えた釜石市の生徒に対し、「釜石に倣い、防災教育に取り組みます。これからも教訓を発信してください。」(黒潮町)、被害者ゼロに挑む黒潮町の生徒に対し、「これからも復興に積極的に参加し、経験を伝えていきます。これから起こるかもしれない災害に備え、自分の命は自分で守ることを大切に、一緒に頑張りましょう。」(釜石市)と、両地域の生徒によるエールの交換が行われました。
■講演とトークセッションで防災教育の重要性を再確認
第2部では、東北大学災害科学国際研究所所長の今村文彦教授が基調講演を行い、東日本大震災の振り返りや、津波の発生メカニズムなどについて解説しました。
その後、今村教授をメインコメンテーターに、釜石市の地域防災の実践者である元釜石市消防防災課長の末永正志氏、東日本大震災の被災経験を経て故郷釜石で防災教育に携わることを目指す群馬大学2年生の小笠原舞さん、そしてゲストとして女優・作家の中江有里さんを迎えたトークセッションを開催、過去の教訓をもとに家庭や地域で今後発生する災害にどのように向き合うべきか、防災教育や家族間の信頼関係の重要性などを中心に意見を交わしました。
出席者の皆さんからは、
「『津波てんでんこ』という言葉は、てんでに逃げなくてはいけないほど、津波が切迫した事態であることを示しています。いち早く逃げることが命を守るためには最も大切な行動なのです。逃げることは誰でもできることなので、いざとなっても避難できると思い込んでいます。そうした思い込みを改めていただき、必ず逃げていただくことが私たちの願いです」(今村教授)
「防災の重要性について話をしても、大人の人たちはただ何となく話を聞いて、それで終わってしまいます。実際の行動にはなかなか結びつかないのが実情です。その点を何とかしなくてはいけないと今、思っています」(末永氏)
「東日本大震災以来、防災教育の重要性について考えることが増えました。今日、皆さんのお話を聞いて、自分自身で判断して行動することがいかに大事かということを身にしみて感じました。釜石の生徒さんたちが保護者がいなくても、むしろ自分たちが大人を引っ張っていくような行動が取れたのは、日常の中の教育が生きていたんだなと思いました」(中江さん)
「自然災害はいつ来てもおかしくありません。最終的に自分の命を守るのは自分自身です。そのために今、自分ができることからしっかり取り組んでいきましょう」(小笠原さん)
といった意見が出され、会場に集まった人たちは、熱心に耳を傾けていました。
なお、この日のイベントはインターネット放送局AbemaTVで無料ライブ配信され、多くの方々がその模様を見守りました。
※「津波防災の日」「世界津波の日」について
わが国では、東日本大震災が発生した2011年、津波対策について国民の理解と関心をより一層高めるために法律で毎年11月5日を「津波防災の日」として制定しました。そして、昨年12月の第70回国連総会本会議では日本をはじめ142か国が共に提案し、11月5日を「世界津波の日」として制定されることとなり、当日は全国各地で津波防災訓練や意識啓発の取り組みを実施しています。
ちなみに、11月5日が「津波防災の日」として選ばれたのは、嘉永7年(1854年)のこの日、安政南海地震による大津波が和歌山県広村(現・和歌山県広川町)を襲った際、庄屋・浜口梧陵が収穫されたばかりの稲わらに火をつけて、暗闇の中で逃げ遅れていた人たちを高台に避難させ命を救った「稲むらの火」の逸話に因ります。
内閣府(防災担当)
11月5日は「津波防災の日」「世界津波の日」
啓発イベント「東日本大震災の教訓を未来へ
〜いのちを守る防災教育の挑戦〜」開催
内閣府では「津波防災の日」の11月5日(土)、東京都・千代田区のイイノカンファレンスセンターで啓発イベント「東日本大震災の教訓を未来へ〜いのちを守る防災教育の挑戦〜」を開催しました。
■東日本大震災を経験した釜石市と、南海トラフ地震被災想定地域の黒潮町の中学生が交流
イベントではオープニングとして「津波防災ひろめ隊」のふなっしー、くまモン、ちっちゃいおっさんらご当地キャラクターが登壇、「津波防災の日」について紹介した後、松本洋平内閣府副大臣より、「南海トラフ地震や首都直下地震のような巨大災害に備え、避難行動の確認や備蓄など、日常生活の中で具体的な取組が進むことを期待」する旨挨拶がありました。
第一部の交流セッションでは、東日本大震災において日頃の「いのちを守る防災教育」が功を奏し、生徒たちが主体的な避難行動を実践、多くの命が救われたことで知られる岩手県釜石市から、釜石中学校の生徒を東京に招くとともに、南海トラフ地震の被災想定地域である高知県黒潮町の中継会場に、黒潮町立大方中学校、佐賀中学校の生徒が登壇、両地域の中学生による取組の発表がありました。
まず、釜石中学校の生徒達から「津波てんでんこを実践し、即座に高台避難後に家族と再会、その後の避難生活で改めて支え合うことの大切さを感じた」など、当時の被災体験の振り返りがありました。その上で、「釜石の災害史の学習」、「今後の釜石をどうしたらいいのか話し合い、考えを纏めた上で、市役所に対して行っている提案活動」、「避難所のトイレ問題の学習」、「『防災手ぬぐい』の製作・配布」など、現在の取組について、発表がありました。
続いて、最大津波高34mという厳しい被災想定に対しても怯むことなく、犠牲者ゼロを目指す高知県黒潮町からは、大方中学校、佐賀中学校の生徒が、「防災マップ作成」や、「保育園から高校まで合同の実践的な避難訓練」、「家庭における避難時の持ち出し袋の取組」など、地域に溶け込んだ活動を中心に紹介しました。黒潮町の会場には「津波防災ひろめ隊」のメンバーで「ゆるキャラグランプリ2016」優勝の高知県須崎市「しんじょう君」も駆け付け、盛り上げてくれました。
釜石の防災教育に携わったことで知られ、高知県・黒潮会場から出演した片田敏孝群馬大学大学院教授は、それぞれの発表に対し、
「当時小学生だった皆さんは、いろいろな辛いことを経験されたでしょうが、それを次の災害に必ず役立てようと、今そんな思いで実践してくれています。その積極的な姿勢を高く評価したいと思います」(釜石中学校)
「犠牲者ゼロを目指し、小さな子供から高齢者のことも考え、地域において中学生に何ができるか、考えられた取組」(大方中学校・佐賀中学校)
と講評しました。
そして、被災を乗り越えた釜石市の生徒に対し、「釜石に倣い、防災教育に取り組みます。これからも教訓を発信してください。」(黒潮町)、被害者ゼロに挑む黒潮町の生徒に対し、「これからも復興に積極的に参加し、経験を伝えていきます。これから起こるかもしれない災害に備え、自分の命は自分で守ることを大切に、一緒に頑張りましょう。」(釜石市)と、両地域の生徒によるエールの交換が行われました。
■講演とトークセッションで防災教育の重要性を再確認
第2部では、東北大学災害科学国際研究所所長の今村文彦教授が基調講演を行い、東日本大震災の振り返りや、津波の発生メカニズムなどについて解説しました。
その後、今村教授をメインコメンテーターに、釜石市の地域防災の実践者である元釜石市消防防災課長の末永正志氏、東日本大震災の被災経験を経て故郷釜石で防災教育に携わることを目指す群馬大学2年生の小笠原舞さん、そしてゲストとして女優・作家の中江有里さんを迎えたトークセッションを開催、過去の教訓をもとに家庭や地域で今後発生する災害にどのように向き合うべきか、防災教育や家族間の信頼関係の重要性などを中心に意見を交わしました。
出席者の皆さんからは、
「『津波てんでんこ』という言葉は、てんでに逃げなくてはいけないほど、津波が切迫した事態であることを示しています。いち早く逃げることが命を守るためには最も大切な行動なのです。逃げることは誰でもできることなので、いざとなっても避難できると思い込んでいます。そうした思い込みを改めていただき、必ず逃げていただくことが私たちの願いです」(今村教授)
「防災の重要性について話をしても、大人の人たちはただ何となく話を聞いて、それで終わってしまいます。実際の行動にはなかなか結びつかないのが実情です。その点を何とかしなくてはいけないと今、思っています」(末永氏)
「東日本大震災以来、防災教育の重要性について考えることが増えました。今日、皆さんのお話を聞いて、自分自身で判断して行動することがいかに大事かということを身にしみて感じました。釜石の生徒さんたちが保護者がいなくても、むしろ自分たちが大人を引っ張っていくような行動が取れたのは、日常の中の教育が生きていたんだなと思いました」(中江さん)
「自然災害はいつ来てもおかしくありません。最終的に自分の命を守るのは自分自身です。そのために今、自分ができることからしっかり取り組んでいきましょう」(小笠原さん)
といった意見が出され、会場に集まった人たちは、熱心に耳を傾けていました。
なお、この日のイベントはインターネット放送局AbemaTVで無料ライブ配信され、多くの方々がその模様を見守りました。
※「津波防災の日」「世界津波の日」について
わが国では、東日本大震災が発生した2011年、津波対策について国民の理解と関心をより一層高めるために法律で毎年11月5日を「津波防災の日」として制定しました。そして、昨年12月の第70回国連総会本会議では日本をはじめ142か国が共に提案し、11月5日を「世界津波の日」として制定されることとなり、当日は全国各地で津波防災訓練や意識啓発の取り組みを実施しています。
ちなみに、11月5日が「津波防災の日」として選ばれたのは、嘉永7年(1854年)のこの日、安政南海地震による大津波が和歌山県広村(現・和歌山県広川町)を襲った際、庄屋・浜口梧陵が収穫されたばかりの稲わらに火をつけて、暗闇の中で逃げ遅れていた人たちを高台に避難させ命を救った「稲むらの火」の逸話に因ります。