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CAR-T 細胞に関する研究成果が海外学術誌「Molecular Therapy -Oncolytics」に掲載

2016年12月5日

株式会社メディネット

CAR-T 細胞に関する研究成果が海外学術誌「Molecular Therapy -Oncolytics」に掲載されました

 当社は、次世代型がん免疫細胞治療法の一つとして世界的に注目されているキメラ抗原受容体(Chimeric Antigen Receptor: CAR)導入T 細胞(以下「CAR-T 細胞」)に関して、大阪大学大学院薬学研究科 薬剤学分野(中川晋作教授)等と共同研究開発を行っております。この度、腫瘍内に新たに形成される血管細胞を標的とした CAR-T 細胞製造方法およびその品質や機能評価に関する基礎研究成果について、学術誌「Molecular Therapy -Oncolytics」に掲載されましたので、お知らせいたします。
 CAR-T 細胞治療は、海外において白血病患者に劇的な効果が確認されたことがきっかけとなり、血液がんに対する研究開発・臨床試験が積極的に行われ、数年内の実用化が期待されています。
 一方、CAR-T 細胞治療の開発は、血液がんが主流であり、固形がんに対する開発は未だ十分な結果を得られてはおりません。また、CAR-T 細胞の製造技術についても、CAR をリンパ球に発現させる場合、 CAR の遺伝子をウイルスベクターで導入することが一般的ですが、リンパ球がもともと持っている遺伝子に影響を及ぼす可能性があり、安全性に懸念があります。
 当社では、これら問題を解決するために、固形がんを対象に新しい製造方法を用いた CAR-T 細胞治療の共同研究開発を大阪大学大学院薬学研究科 薬剤学分野岡田直貴准教授等と進めています。

今回、以下の基礎的検討による成果を発表しています。

・エレクトロポレーション法(EP 法)を用いた mRNA 導入技術により、細胞にダメージを与えることなく、効率的に CAR を発現させることに成功しました。さらに、CAR の遺伝子の組み合わせを変えることで、 mRNA CAR の特長である一過性の発現時間を変えられるため、作用時間などをコントロールできることが示唆されました。
・固形がんを対象としたマウスモデルで、上記 CAR の mRNA を導入したリンパ球が VEGFR2 という分子を認識し、腫瘍血管を傷害することで、がん組織が酸素や栄養を補給することができなくなり、縮小することが確認できました。

 本基礎研究成果から、臨床応用に向けた更なる検討を続け、患者様のQOL向上を目指した再生医療等製品の開発へと着実に進めてまいります。また mRNA-EP 法は、T 細胞の性質を変えることなく、CARを発現させられる手法であることから、CAR-T 細胞の新たな製造方法や検査技術などへの応用へと発展につながるように開発を続けてまいります。

論文名:Molecular Therapy-Oncolytics
タイトル:Immunological quality and performance of tumor vessel-targeting CAR-T cells prepared by mRNA-EP for clinical research
著者:Kanako Inoo1, Ryo Inagaki1, Kento Fujiwara1, Shigemi Sasawatari2, Takashi Kamigaki2,3,Shinsaku Nakagawa1, and Naoki Okada1
1Laboratory of Biotechnology and Therapeutics, Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Osaka University; 2MEDINET Co., Ltd.; 3Seta Clinic Group

以上
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