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水中ロボット調査によって琵琶湖の湖底から古代の土器を発見

2017年12月26日

水中ロボット調査によって琵琶湖の湖底から古代の土器を発見

 矢野健一(文学部・教授)、熊谷道夫(総合科学技術研究機構・教授)は、2017年12月14日に水中ロボットを用い、滋賀県長浜市の葛篭尾崎(つづらおざき)湖底遺跡探査において、飛鳥時代から奈良時代に製作された土師器(はじき)の甕(かめ)と推定される完全な形の土器を水深71.5メートル地点で発見し、映像の取得に成功しました。この映像は発見地点の座標を特定する最深地点での映像となり、学術的に貴重なものです。今回の調査は本学・認定NPO法人びわ湖トラスト・いであ株式会社・TBSテレビが協力し、いであ株式会社の所有する水中ロボットが使用されました。調査は2010年から2017年にかけて16回にわたって行われ、従来確認されていなかった7地点で湖底に沈む土器を数点発見し、その映像を取得してきました。湖底から土器が発見される理由は解明されておらず、謎に包まれています。

 これまでの琵琶湖葛篭尾崎湖底遺跡探査には矢野教授と熊谷教授に加え、川村貞夫(理工学部・教授)、島田伸敬(情報理工学部・教授)、坂上憲光(東海大学海洋学部・准教授)らが行ってきました。同遺跡は水深70m付近まで及ぶことや激しい水流の影響することから、人間による潜水調査が極めて困難であるため、研究グループが製作した水中ロボットなどを活用してきました。調査では、葛籠尾崎南端沖から竹生島方向に尾根状に張り出した南側水域で、北東側水域に数多くみられる縄文時代から古墳時代にかけての土器の分布が非常に少なく、6世紀から12世紀頃の須恵器か土師器の坏(つき)とみなしうるものの分布密度が高いことを初めて確認するなどの成果をあげてきました。葛籠尾崎湖底遺跡から発見されてきた平安時代の土器については、竹生島の信仰との関連性を指摘する見解がありますが、立命館大学の調査による平安時代頃の土器発見水域の特定はその見解を地理的位置からも補強するものです。

 今回の調査で見つかった飛鳥時代から奈良時代の製作と推定される土器も、これまでと同じように葛籠尾崎南端に位置しており、この水域で発見されてきた土器と時代も近いものです。ただし、これまで発見されてきた土器とは形態が異なるため、現状では意図的に沈めたものとは考えにくい状況です。

 今後、研究グループでは、水中ロボットが至近距離で撮影した画像の画像処理技術によって精細化することや、調査水域・調査方法の拡張、出土土器の湖成鉄の詳細な分析を進めていく予定です。


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