シンガポール−日本間で環太平洋マルチパスによる8K多重化ライブ配信を実施
[18/02/26]
提供元:共同通信PRワイヤー
提供元:共同通信PRワイヤー
2018年2月26日
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)
シンガポール−日本間で環太平洋マルチパスによる8K多重化ライブ配信を実施
〜パケット複製による多重配信で物理回線断でも途切れない配信を実現〜
【ポイント】
■ IPマルチパス・IPマルチキャストの併用により、多地点多経路の効率的配信を実現
■ 8K超高精細画像で多拠点受信時の途切れない再生が可能に
■ 国際間長距離伝送での8K多重配信が実現可能であることを実証
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長: 徳田 英幸)総合テストベッド研究開発推進センターは、国内の企業、大学等研究機関における実証実験の場として、ネットワークテストベッドJGNをはじめとする様々なテストベッド環境を提供しています。今回、NICTと産学官53組織がそれぞれ技術や人材、機材を持ち寄り実現した実証実験において、北海道札幌市で2月に開催された”さっぽろ雪まつり”及びシンガポールとの国際連携による同国からの超高精細8K非圧縮ライブ映像を用いて、複数の国際回線を使った映像の多重配信に世界で初めて成功しました。これは、送信時に複製した映像データを複数の回線で同時配信することで、物理回線断時にも途切れることなく8K映像ライブ配信を行えることを実証するものです。
【背景】
NICTは、映像配信技術の高度化を見据え、超高精細8K映像のIP伝送技術の実証実験に取り組んでいます。IPネットワークを介してライブ映像をリアルタイムで遠隔地に送受信する場合、通信経路上の物理的な回線や機器でのデータ喪失が発生すると、映像の乱れや再生停止が発生します。これを避けるためには、バックアップ経路への切替配信では不十分で、複数の通信経路から映像を同時に送信することが必要となります。しかし、4Kの4倍、ハイビジョンの16倍と、データ量が非常に大きく伝送に通信帯域を必要とする8K非圧縮映像の場合、多地点に対して多重配信を行うことのできる配信ネットワークの実現が必要でした。
【今回の成果】
今回、複数の長距離国際間回線を使って多重に8K映像を送信することにより、途中での物理的な回線断が発生しても、映像が一切途切れることなく再生できることを実証しました。これは、送信側で映像データを複製しながら複数の回線を使って送信し、受信側で到着するデータの重複削除処理をリアルタイムに行うことによって実現しています。2018年2月6日(火)に大阪(グランフロント大阪 北館2F The Lab.内)にて公開デモンストレーションを実施しました(図1、2参照)。
今回の実験では、国内でのさっぽろ雪まつり会場−大阪会場間の2本の通信経路を使った実験に加え、シンガポールの南洋工科大内に実験拠点を設置し、
・シンガポール→[香港経由]→日本
・シンガポール→[米国西海岸経由]→日本
の伝送遅延時間の大きく異なる長距離100Gbps国際回線2本を用意し、8K非圧縮映像(シンガポール国内での録画映像及びライブ映像)の多重配信を実施しました。8K非圧縮(25Gbps超)の広帯域で遅延時間の大きく異なる多重配信は、IPマルチパス技術の応用によるものです。さらに、複数の宛先に対して効率的にデータ配信可能なIPマルチキャストを併用することにより、多地点で受信することができ(国内6拠点に受信拠点を設置、うち3拠点で同時受信実施)、かつ8K非圧縮の広帯域で遅延時間の大きく異なる経路を使った場合でも実現できることを実証しました。
国内回線は、JGNのほか、国立情報学研究所(NII)が構築運用するSINET5の協力により、札幌−大阪間で2つの異なる通信経路を構築しました。また、海外回線は、2017年秋に開通したJGNアジア100Gbps回線及びシンガポールの学術教育ネットワークを提供するSingAREN、米国の複数の研究開発教育ネットワークとの国際間連携により、太平洋を一周する100Gbps実験回線を構築しました。
実験では、NICTが提供するテストベッドStarBEDにて、8K映像の録画、再送も実施しています。映像配信は、NICTと共同研究を行う神奈川工科大学での実験システムを中心に、実験システム構築は、多くの企業が参画することにより可能となりました。ネットワークや8K映像配信の実験環境は、各企業が持ち込んだ開発中プロトタイプ機器や製品を組み合わせて構築したマルチベンダ構成であり、実験を進める中で開発チームが自らソフトウェアの改良やハードウェアの組換えを行い実現しています。また、サイバー関西プロジェクトを通じた産学官間の連携や、大学の学生、企業の研究者やエンジニア間の本プロジェクトを通じた技術的知見の共有、人材育成の場ともなりました。
これらの実験は、産学官53組織の協力・協賛を得て実施しました。
【今後の展望】
今回の成果により、放送分野での局間や中継地点からの8Kの業務用大容量ライブ映像伝送の現場において、IPネットワークを用いた伝送が実用化できる可能性を示しました。また、医療用途などにおいても、リアルタイム性が高い超高精細映像の配信などの応用が期待できます。本実験の成功を足掛かりとし、国内での8K映像中継技術開発に向けて各組織が一丸となった技術開発を引き続き支援していきます。
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)
シンガポール−日本間で環太平洋マルチパスによる8K多重化ライブ配信を実施
〜パケット複製による多重配信で物理回線断でも途切れない配信を実現〜
【ポイント】
■ IPマルチパス・IPマルチキャストの併用により、多地点多経路の効率的配信を実現
■ 8K超高精細画像で多拠点受信時の途切れない再生が可能に
■ 国際間長距離伝送での8K多重配信が実現可能であることを実証
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長: 徳田 英幸)総合テストベッド研究開発推進センターは、国内の企業、大学等研究機関における実証実験の場として、ネットワークテストベッドJGNをはじめとする様々なテストベッド環境を提供しています。今回、NICTと産学官53組織がそれぞれ技術や人材、機材を持ち寄り実現した実証実験において、北海道札幌市で2月に開催された”さっぽろ雪まつり”及びシンガポールとの国際連携による同国からの超高精細8K非圧縮ライブ映像を用いて、複数の国際回線を使った映像の多重配信に世界で初めて成功しました。これは、送信時に複製した映像データを複数の回線で同時配信することで、物理回線断時にも途切れることなく8K映像ライブ配信を行えることを実証するものです。
【背景】
NICTは、映像配信技術の高度化を見据え、超高精細8K映像のIP伝送技術の実証実験に取り組んでいます。IPネットワークを介してライブ映像をリアルタイムで遠隔地に送受信する場合、通信経路上の物理的な回線や機器でのデータ喪失が発生すると、映像の乱れや再生停止が発生します。これを避けるためには、バックアップ経路への切替配信では不十分で、複数の通信経路から映像を同時に送信することが必要となります。しかし、4Kの4倍、ハイビジョンの16倍と、データ量が非常に大きく伝送に通信帯域を必要とする8K非圧縮映像の場合、多地点に対して多重配信を行うことのできる配信ネットワークの実現が必要でした。
【今回の成果】
今回、複数の長距離国際間回線を使って多重に8K映像を送信することにより、途中での物理的な回線断が発生しても、映像が一切途切れることなく再生できることを実証しました。これは、送信側で映像データを複製しながら複数の回線を使って送信し、受信側で到着するデータの重複削除処理をリアルタイムに行うことによって実現しています。2018年2月6日(火)に大阪(グランフロント大阪 北館2F The Lab.内)にて公開デモンストレーションを実施しました(図1、2参照)。
今回の実験では、国内でのさっぽろ雪まつり会場−大阪会場間の2本の通信経路を使った実験に加え、シンガポールの南洋工科大内に実験拠点を設置し、
・シンガポール→[香港経由]→日本
・シンガポール→[米国西海岸経由]→日本
の伝送遅延時間の大きく異なる長距離100Gbps国際回線2本を用意し、8K非圧縮映像(シンガポール国内での録画映像及びライブ映像)の多重配信を実施しました。8K非圧縮(25Gbps超)の広帯域で遅延時間の大きく異なる多重配信は、IPマルチパス技術の応用によるものです。さらに、複数の宛先に対して効率的にデータ配信可能なIPマルチキャストを併用することにより、多地点で受信することができ(国内6拠点に受信拠点を設置、うち3拠点で同時受信実施)、かつ8K非圧縮の広帯域で遅延時間の大きく異なる経路を使った場合でも実現できることを実証しました。
国内回線は、JGNのほか、国立情報学研究所(NII)が構築運用するSINET5の協力により、札幌−大阪間で2つの異なる通信経路を構築しました。また、海外回線は、2017年秋に開通したJGNアジア100Gbps回線及びシンガポールの学術教育ネットワークを提供するSingAREN、米国の複数の研究開発教育ネットワークとの国際間連携により、太平洋を一周する100Gbps実験回線を構築しました。
実験では、NICTが提供するテストベッドStarBEDにて、8K映像の録画、再送も実施しています。映像配信は、NICTと共同研究を行う神奈川工科大学での実験システムを中心に、実験システム構築は、多くの企業が参画することにより可能となりました。ネットワークや8K映像配信の実験環境は、各企業が持ち込んだ開発中プロトタイプ機器や製品を組み合わせて構築したマルチベンダ構成であり、実験を進める中で開発チームが自らソフトウェアの改良やハードウェアの組換えを行い実現しています。また、サイバー関西プロジェクトを通じた産学官間の連携や、大学の学生、企業の研究者やエンジニア間の本プロジェクトを通じた技術的知見の共有、人材育成の場ともなりました。
これらの実験は、産学官53組織の協力・協賛を得て実施しました。
【今後の展望】
今回の成果により、放送分野での局間や中継地点からの8Kの業務用大容量ライブ映像伝送の現場において、IPネットワークを用いた伝送が実用化できる可能性を示しました。また、医療用途などにおいても、リアルタイム性が高い超高精細映像の配信などの応用が期待できます。本実験の成功を足掛かりとし、国内での8K映像中継技術開発に向けて各組織が一丸となった技術開発を引き続き支援していきます。