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スターガルト病治療薬候補「エミクススタト塩酸塩」の開発進捗状況に関するお知らせ

2018年6月11日

窪田製薬ホールディングス株式会社
(コード番号 4596 東証マザーズ)

スターガルト病治療薬候補「エミクススタト塩酸塩」の開発進捗状況に関するお知らせ

 窪田製薬ホールディングス株式会社(以下「当社」)は、2018年1月15日にスターガルト病を対象とするエミクススタト塩酸塩(以下「エミクススタト」)の第3相臨床試験の準備開始を公表しておりますが、この度、本臨床試験の治験デザインについてスターガルト病を専門に研究する医学専門家の知見を得るため、2018年6月10日(米国時間)に米国メリーランド州ボルチモア市においてアドバイザリーボードミーティングを開催いたしましたのでお知らせします。

 本会議ではこれまで実施した非臨床試験および臨床試験のデータを基に、エミクススタトの薬理作用、POCプロトコル、エンドポイント等について討議いたしました。

 当社からは代表執行役会長、社長兼最高経営責任者である窪田良博士、当社100%子会社アキュセラ・インク(米国)のチーフ・メディカル・ディレクターを務めるジェフ・グレゴリー博士らが出席し、本疾患におけるKOL(Key Opinion Leader)である藤波芳博士(東京医療センター・臨床研究センター視覚研究部・視覚生理学研究室室長)および当社のアドバイザリーボードを務める皆様にお集まりいただきました。

<アドバイザリーボードメンバー>

ポール・バーンスタイン教授(ユタ大学、眼科・視覚科学教授)
Paul Bernstein, MD, PhD, Professor of Ophthalmology and Visual Science, University of Utah

ディビッド・バーチ博士(サウスウェスト・レチナ財団、最高科学兼執行責任者)
David Birch, PhD, Chief Scientific and Operating Officer, Retina Foundation of the Southwest

フランク・ホルツ教授(ボン大学、眼科学教室、学科長・教授)
Frank Holz, MD, Chairman and Professor, Department of Ophthalmology, University of Bonn

ジョセ-アライン・サヘル博士(ピッツバーグ大学、眼科学教室、学科長・教授、ビジョン・インスティチュート・パリ ディレクター)
José-Alain Sahel, MD, PhD, Chairman and Professor, Department of Ophthalmology, University of Pittsburgh and Director, Vision Institute, Paris

エバーハルト・ズレナー教授(テュービンゲン大学、眼科学センター、センター長・教授)
Eberhart Zrenner, MD, PhD, Chairman and Professor, Center for Ophthalmology, University of Tübingen


 本会議の開催に関し、窪田良博士は次のように述べています。
「スターガルト病を対象とする臨床第3相試験の開始予定が近づいてまいりました。臨床試験の実施は、日欧米で検討を進めており、それぞれの地域でスターガルト病を研究する眼科専門のアドバイザリーボードメンバーと今後の臨床試験についての話し合いの場が持てたことは非常に有意義であると考えています。」

 当社は、今後も、最先端の動向を把握する医療現場で活躍されている有識者の知見を得ながら研究開発を進め、本年度第4四半期に開始を予定している臨床第3相試験の準備に活かしてまいります。また、1日も早く患者やその家族の皆様のお役に立てるよう努めてまいります。


◆スターガルト病について
 スターガルト病は、徐々に光受容体が損傷し、視野の欠損、色覚異常、歪み、ぼやけ、中心部が見えにくいなど様々な視力低下の症状が生じる遺伝性疾患です。典型的なスターガルト病は小児期から青年期にかけて発症しますが、中には成人期まで視力低下を自覚しない患者もいます。スターガルト病の約95%の症例は、網膜に局在するABCA4遺伝子の異常に起因していると考えられています(*1)。

 スターガルト病は、8千〜1万人に1人が罹患すると言われており(*2)、米国における推定患者数は4万人以下と推定されます(*3)。現在、スターガルト病に対し症状の進行を抑制する治療法は存在しておらず、アンメット・メディカル・ニーズ(*4)として対応が急がれています。


◆エミクススタトについて
 眼球の奥にある網膜には、脳に映像を認識させるために光を電気信号に変える働きをする「視覚サイクル」と呼ばれる仕組みがあります。この視覚サイクルは、明るい光や強い光にさらされると有害代謝産物を生成します。これが長期にわたり消化されないまま蓄積されると、視覚サイクルの働きに支障をきたすだけではなく、網膜自体が損傷され、視力低下あるいは失明にいたると考えられています。

 網膜には、こうした有害代謝産物の前駆物質を分解する細胞に輸送する働きをするABCA4という遺伝子があります。スターガルト病はこのABCA4遺伝子の異常により、網膜にビタミンA由来の有害代謝産物が過剰に蓄積され、網膜内の細胞が損傷し最終的には視機能障害をきたすと考えられています。

 エミクススタトは、視覚サイクルに不可欠な酵素であるRPE65を抑制することで、視覚サイクルを調節し、ビタミンAの代謝率を低下させます。これにより、スターガルト病の発症に関与すると考えられているビタミンA由来の有害代謝産物の産生が低下するため、網膜の機能維持に有用であると理論づけられています。

 エミクススタトは、スターガルト病の新規治療薬候補としてFDA(米国食品医薬品局)からオーファンドラッグ認定を受けています。(2017年1月6日付当社プレスリリース『「エミクススタト塩酸塩」のスターガルト病治療に対するFDAオーファンドラッグ指定のお知らせ』をご参照ください。)

*1:National Eye Institute. https://nei.nih.gov/health/stargardt/star_facts. 2018年6月7日のデータ
*2:Retinal Pharma & Biologics Market, Market Scope 2015
*3:Market Scope社が 2015年に発行した「Retinal Pharma & Biologics Market」と「UN World Population Prospects 2015」をもとに、米国のスターガルト病患者数を自社で算出
*4:アンメット・メディカル・ニーズとは、いまだ治療法が確立していない疾患への医療ニーズ
                            
                                                                                                   以上


◆窪田製薬ホールディングス株式会社について
 当社は、世界中で眼疾患に悩む皆さまの視力維持と回復に貢献することを目的に、イノベーションをさまざまな医薬品・医療機器の開発および実用化に繋げる眼科医療ソリューション・カンパニーです。当社100%子会社のアキュセラ・インク(米国)が研究開発の拠点となり、革新的な治療薬・医療技術の探索および開発に取り組んでいます。当社独自の視覚サイクルモジュレーション技術に基づく「エミクススタト塩酸塩」において糖尿病網膜症、スターガルト病、加齢黄斑変性への適応を目指し研究を進めております。また、白内障や老視(老眼)の薬物治療を目的とした「ラノステロール」の研究開発および網膜色素変性における視機能再生を目指す「オプトジェネティクス」に基づく遺伝子療法の開発を実施しております。同時に、加齢黄斑変性、増殖糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫の治療を目指し、「バイオミメティックス(生物模倣技術)」の研究開発も進めております。また、PBOSなどのモバイルヘルスを含む医療デバイスの研究開発も手掛けております。
(ホームページアドレス:http://www.kubotaholdings.co.jp


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