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摘果作業アシストシステムの製品化に向け産学連携による研究開発を開始

2019年12月13日

金沢工業大学

熟練者は自宅に居ながらどの実を摘むか指示。
圃場作業者はMRめがねの提示情報に従い、的確な摘果・摘花を実施。
摘果作業アシストシステムの製品化に向け産学連携による研究開発を開始

金沢工業大学と北菱電興株式会社(石川県金沢市)、農事組合法人んなーがら上野営農組合(石川県白山市)の3者は、このたび、ICT(情報通信技術)を活用した農業支援の一環として、「カメラ撮影の画質を向上させる画像処理技術の開発による、農作業の遠隔指導の実現」に向けた共同研究を開始しました。いしかわ農業総合支援機構(INATO)の農林水産業基幹技術開発トライアル事業の採択を受けて実施されるもので、システムの開発、市場テスト等を経て令和6年度の製品化を目指しています。
(事業採択は令和元年12月12日。実施期間3年間)

4G等の通信インフラを活用することで、郊外や山間部など5Gの基地局が整備されていないエリアでも導入可能にします。カメラも高精細なカメラを使用せず、画像処理技術により画質を向上させることで、通常のビデオカメラでも対応できるようにし、導入費用を抑えます。まずはいちごの摘果作業向けに開発を行ない、将来的にはリンゴなどの果樹への事業展開も構想しています。


【当研究の背景にある社会的課題】
超高齢化社会に入り、様々な産業において人手不足が深刻な課題となっています。第一次産業である農業においても、農業従事者の高齢化と農業就業人口の減少が進み、労働負荷軽減と新規就農者の確保は喫緊の課題となっています。いちご栽培の場合、作業負荷が大きくかつ非常に重要な作業となるのは摘果・摘花作業とされ、理想的な作業を行えるレベルまで習熟するには多くの時間が必要となります。高齢化した熟練者が非熟練者への指示のために圃場に行くこと自体、負担になりますが、摘果・摘花はその判定の難しさや作業負担の大きさから、非熟練者が熟練者の指導・監督のもとで作業を行った場合でも、摘果・摘花が間に合わず、収量や品質の低下につながることが問題として指摘されています。

【当研究が目指すもの】
当研究では、石川県白山市にある「いちごファームHakusan」を研究フィールドにして、農業従事者の作業負荷軽減と作業品質向上を目的とした摘果作業アシストシステムの構築を目指しています。
通常のハイビジョン程度のカメラで撮影したデータからメリハリのある画像にするソフトウェアを開発します。これにより直射日光等の影響があっても、茎や葉の位置、実の輪郭が十分に見え、摘果するかどうかの判断ができます。熟練者は圃場に設置された360度カメラから送られてきた画像を自宅に居ながら確認し、茎ごとの適正個数の実や奇形の実の間引き等を指示。圃場にいる非熟練作業者が装着したゴーグル型MR(Mixed Reality)提示装置にはどの実を取るかといった指示が、実映像に重ねて表示されます。熟練者、非熟練作業者は各自のペースで作業ができ、働き方改革にもつながります。
熟練者の知識(指示)はデータとして蓄積することで、将来的にはAIの一手法であるDeep Learning(深層学習)を用いた果実選別技術を確立し、着果管理や収穫などに応用可能な農業支援ロボットの開発も目指しています。
国連SDGsにおいては「2 飢餓をゼロに」「9 産業と技術革新の基盤を作ろう」「12 つくる責任つかう責任」の達成に貢献するものとして期待されています。

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