考え方のクセをほぐして症状軽減 統合失調症に対するメタ認知トレーニングの効果を検証
[19/12/25]
提供元:共同通信PRワイヤー
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2019年12月25日
学校法人 大正大学
考え方のクセをほぐして症状軽減
統合失調症に対するメタ認知トレーニングの効果を検証
大正大学(学長:?橋秀裕、所在地:東京都豊島区) の石川亮太郎専任講師(元・東京大学大学院総合文化研究科特任助教)と、東京大学大学院総合文化研究科の石垣琢磨教授らの研究グループは、メタ認知トレーニング(MCT)という集団精神療法を用いた統合失調症の妄想や幻覚への効果を、ランダム化比較試験によって検証しました。MCTは、妄想や幻覚症状と関連の強い「考え方のクセ」をクイズやグループディスカッションを通じてほぐし、症状を軽減させる集団療法です。主に欧米諸国にてその有効性が検証されてきました。日本でも石垣教授が会長を務めるMCT-Jネットワークによる普及が進められていますが、ランダム化比較試験のような科学的妥当性の高い臨床試験は日本初の事例になります。
【試験概要】
試験では多施設の統合失調症当事者50名を、通常治療群(26名)と通常治療+MCT群(24名)にランダムに割り付け、治療開始前、最中、直後、1か月後で症状の変化を観察した結果、通常治療+MCT群の方は、治療終了の1か月後でも妄想や幻覚などの症状が明らかに改善していることが認められました。
本研究は、世界で注目されているMCTが、日本でも統合失調症の症状の改善に有効だとするエビデンスを示しました。MCTには丁寧なマニュアルがあり、治療者が長期間研修を受ける必要がないうえ、どのような職種の医療者でも実施可能である(本研究でも、各グループのトレーナーは精神科医、精神科看護師、作業療法士でした)だけでなく、参加者の満足度も高いことから、統合失調症に対する心理社会的治療法の一つとして日本でさらに普及することが期待されています。また、今後はうつ病や不安症においての有効性も含めて研究を行い、就労移行や復興支援での応用も検討したいと考えています。
【石川講師のコメント】
「多くの方々からのご支援とご助言により、本研究を完了することができ大変光栄に思います。メタ認知トレーニングはさらなる発展可能性を秘めたアプローチです。心理の専門家に限らず、様々な職種の方々に関心を持ってもらえたらうれしいです」
【論文情報】https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31471248
Ryotaro Ishikawa, Takuma Ishigaki, Takeshi Shimada, Hiroki Tanoue, Naoki Yoshinaga, Naoya Oribe, Takafumi Morimoto, Takeshi Matsumoto, Masahito Hosono, "The efficacy of extended metacognitive training for psychosis: A randomized controlled trial," Schizophrenia Research: 2019年8月27日, doi:10.1016/j.schres.2019.08.006.
【メタ認知トレーニング(MCT)とは】
対人関係を円滑にするためには相手の気持ちや意図などを読み取る力が必要です。相手が間違っていると思っていても、それは自分の読み取り間違いや勘違いの場合もあります。そのような間違いからトラブルに巻き込まれていると思い込んでしまうことがないようにゲームや話し合いなどの親しみやすい手法を用いて訓練する方法がメタ認知トレーニングです。
病院や施設では「やわらか頭教室」「広げて発見教室」など親しみやすいネーミングで提供されています。
【ランダム化比較試験とは】
研究の対象となる人を、複数のグループにランダムに振り分ける研究手法の一つで、各群の性質が均等になることで結果に及ぶ影響が少なくなると考えられています。
ランダム化比較試験では、「介入群(治療群)」と「対照群」などに分けて、比較研究を行います。治療群には、その研究を通して効果や有用性を確かめたい予防法や治療法を用いて実験を行います。このグループ分けを研究者が恣意的な操作ができないようランダムに振り分けて、バイアスが生じないよう選択することができることから、ランダム化比較試験はエビデンスレベルが高い研究手法であり、この試験結果を用いた論文は、よりエビデンスレベルの高い論文と判断されます。
【石川亮太郎プロフィール】
2006年3月 東邦音楽大学 音楽学部 音楽学科 音楽療法専攻 卒業
2009年3月 駒澤大学大学院 人文学研究科 心理学専攻 修士課程 修士課程修了 修士(心理学)
2014年3月 千葉大学大学院 医学研究院 博士修了(医学)
所属:心理社会学部 臨床心理学科
職位:専任講師
専門:不安と強迫に対する認知行動療法
学校法人 大正大学
考え方のクセをほぐして症状軽減
統合失調症に対するメタ認知トレーニングの効果を検証
大正大学(学長:?橋秀裕、所在地:東京都豊島区) の石川亮太郎専任講師(元・東京大学大学院総合文化研究科特任助教)と、東京大学大学院総合文化研究科の石垣琢磨教授らの研究グループは、メタ認知トレーニング(MCT)という集団精神療法を用いた統合失調症の妄想や幻覚への効果を、ランダム化比較試験によって検証しました。MCTは、妄想や幻覚症状と関連の強い「考え方のクセ」をクイズやグループディスカッションを通じてほぐし、症状を軽減させる集団療法です。主に欧米諸国にてその有効性が検証されてきました。日本でも石垣教授が会長を務めるMCT-Jネットワークによる普及が進められていますが、ランダム化比較試験のような科学的妥当性の高い臨床試験は日本初の事例になります。
【試験概要】
試験では多施設の統合失調症当事者50名を、通常治療群(26名)と通常治療+MCT群(24名)にランダムに割り付け、治療開始前、最中、直後、1か月後で症状の変化を観察した結果、通常治療+MCT群の方は、治療終了の1か月後でも妄想や幻覚などの症状が明らかに改善していることが認められました。
本研究は、世界で注目されているMCTが、日本でも統合失調症の症状の改善に有効だとするエビデンスを示しました。MCTには丁寧なマニュアルがあり、治療者が長期間研修を受ける必要がないうえ、どのような職種の医療者でも実施可能である(本研究でも、各グループのトレーナーは精神科医、精神科看護師、作業療法士でした)だけでなく、参加者の満足度も高いことから、統合失調症に対する心理社会的治療法の一つとして日本でさらに普及することが期待されています。また、今後はうつ病や不安症においての有効性も含めて研究を行い、就労移行や復興支援での応用も検討したいと考えています。
【石川講師のコメント】
「多くの方々からのご支援とご助言により、本研究を完了することができ大変光栄に思います。メタ認知トレーニングはさらなる発展可能性を秘めたアプローチです。心理の専門家に限らず、様々な職種の方々に関心を持ってもらえたらうれしいです」
【論文情報】https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31471248
Ryotaro Ishikawa, Takuma Ishigaki, Takeshi Shimada, Hiroki Tanoue, Naoki Yoshinaga, Naoya Oribe, Takafumi Morimoto, Takeshi Matsumoto, Masahito Hosono, "The efficacy of extended metacognitive training for psychosis: A randomized controlled trial," Schizophrenia Research: 2019年8月27日, doi:10.1016/j.schres.2019.08.006.
【メタ認知トレーニング(MCT)とは】
対人関係を円滑にするためには相手の気持ちや意図などを読み取る力が必要です。相手が間違っていると思っていても、それは自分の読み取り間違いや勘違いの場合もあります。そのような間違いからトラブルに巻き込まれていると思い込んでしまうことがないようにゲームや話し合いなどの親しみやすい手法を用いて訓練する方法がメタ認知トレーニングです。
病院や施設では「やわらか頭教室」「広げて発見教室」など親しみやすいネーミングで提供されています。
【ランダム化比較試験とは】
研究の対象となる人を、複数のグループにランダムに振り分ける研究手法の一つで、各群の性質が均等になることで結果に及ぶ影響が少なくなると考えられています。
ランダム化比較試験では、「介入群(治療群)」と「対照群」などに分けて、比較研究を行います。治療群には、その研究を通して効果や有用性を確かめたい予防法や治療法を用いて実験を行います。このグループ分けを研究者が恣意的な操作ができないようランダムに振り分けて、バイアスが生じないよう選択することができることから、ランダム化比較試験はエビデンスレベルが高い研究手法であり、この試験結果を用いた論文は、よりエビデンスレベルの高い論文と判断されます。
【石川亮太郎プロフィール】
2006年3月 東邦音楽大学 音楽学部 音楽学科 音楽療法専攻 卒業
2009年3月 駒澤大学大学院 人文学研究科 心理学専攻 修士課程 修士課程修了 修士(心理学)
2014年3月 千葉大学大学院 医学研究院 博士修了(医学)
所属:心理社会学部 臨床心理学科
職位:専任講師
専門:不安と強迫に対する認知行動療法