がん細胞の増殖・転移を促進する新たながん遺伝子を発見
[20/03/03]
提供元:共同通信PRワイヤー
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2020年3月3日
学校法人同志社 同志社大学
がん細胞の増殖・転移を促進する新たながん遺伝子を発見
?転写因子NRF3によるタンパク質分解の異常制御を介したがん増悪メカニズム?
【研究のポイント】 ※詳細は別紙の研究概要を参照願います。
・大腸がんをはじめとする様々な腫瘍組織で、転写因子NRF3の量が増加していることを発見した。
・NRF3量の増加によって、がん細胞が増殖・転移しやすくなることを明らかにした。
・NRF3は、タンパク質分解酵素プロテアソームの活性を高めることでがん抑制因子の働きを阻害していることを見出した。
【研究概要】
正常な細胞では、無秩序な細胞増殖による腫瘍形成や他臓器への転移が生じないように「がん抑制因子」が常に監視しています。これまでの研究では、がん抑制因子の働きが失われる場合の多くは、DNAに傷が入る遺伝子変異によるものだと考えられてきました。しかし近年では、がん抑制因子が遺伝子変異していないがん細胞も数多く存在することが報告されつつある一方で、そのようながん増悪メカニズムには不明な点が多く残されていました。
同志社大学生命医科部の和久剛(わく つよし)助教と小林聡(こばやし あきら)教授らの研究グループは、がん抑制因子の働きを阻害する新たながん遺伝子として転写因子NRF3を発見しました。NRF3の量は、大腸がんをはじめとする様々な腫瘍組織で増加していました。また腫瘍形成やがん転移を模した実験条件化では、NRF3の量が増えると腫瘍が大きくなり転移しやすくなることがわかりました。興味深いことに、NRF3量を増やすとタンパク質分解酵素であるプロテアソームの活性が高くなる一方で、NRF3量を減らすとがん抑制因子のタンパク質が増えてがん細胞が死滅することを明らかにしました。さらに公共のヒトがんデータベース解析から、NRF3はプロテアソーム活性を上昇させることで大腸がん患者の予後不良の原因になる可能性を見出しました。このように本研究では、NRF3が遺伝子変異ではなく、タンパク質分解活性を異常に高めることでがん抑制因子の機能を阻害するがん増悪メカニズムを発見し、新たな抗がん剤の創薬につながることが期待されます。
本研究成果は、2020年3月2日(米国東部時間、日本時間3日)に米国科学雑誌Molecular and Cellular Biologyオンライン版にて発表されました。
学校法人同志社 同志社大学
がん細胞の増殖・転移を促進する新たながん遺伝子を発見
?転写因子NRF3によるタンパク質分解の異常制御を介したがん増悪メカニズム?
【研究のポイント】 ※詳細は別紙の研究概要を参照願います。
・大腸がんをはじめとする様々な腫瘍組織で、転写因子NRF3の量が増加していることを発見した。
・NRF3量の増加によって、がん細胞が増殖・転移しやすくなることを明らかにした。
・NRF3は、タンパク質分解酵素プロテアソームの活性を高めることでがん抑制因子の働きを阻害していることを見出した。
【研究概要】
正常な細胞では、無秩序な細胞増殖による腫瘍形成や他臓器への転移が生じないように「がん抑制因子」が常に監視しています。これまでの研究では、がん抑制因子の働きが失われる場合の多くは、DNAに傷が入る遺伝子変異によるものだと考えられてきました。しかし近年では、がん抑制因子が遺伝子変異していないがん細胞も数多く存在することが報告されつつある一方で、そのようながん増悪メカニズムには不明な点が多く残されていました。
同志社大学生命医科部の和久剛(わく つよし)助教と小林聡(こばやし あきら)教授らの研究グループは、がん抑制因子の働きを阻害する新たながん遺伝子として転写因子NRF3を発見しました。NRF3の量は、大腸がんをはじめとする様々な腫瘍組織で増加していました。また腫瘍形成やがん転移を模した実験条件化では、NRF3の量が増えると腫瘍が大きくなり転移しやすくなることがわかりました。興味深いことに、NRF3量を増やすとタンパク質分解酵素であるプロテアソームの活性が高くなる一方で、NRF3量を減らすとがん抑制因子のタンパク質が増えてがん細胞が死滅することを明らかにしました。さらに公共のヒトがんデータベース解析から、NRF3はプロテアソーム活性を上昇させることで大腸がん患者の予後不良の原因になる可能性を見出しました。このように本研究では、NRF3が遺伝子変異ではなく、タンパク質分解活性を異常に高めることでがん抑制因子の機能を阻害するがん増悪メカニズムを発見し、新たな抗がん剤の創薬につながることが期待されます。
本研究成果は、2020年3月2日(米国東部時間、日本時間3日)に米国科学雑誌Molecular and Cellular Biologyオンライン版にて発表されました。