頭皮環境悪化による発毛への影響とその改善の可能性について
[20/03/24]
提供元:共同通信PRワイヤー
提供元:共同通信PRワイヤー
2020年3月24日
大正製薬株式会社
大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区 社長:上原 茂](以下、当社)は、頭皮環境悪化による発毛への影響とその改善の可能性に関する新たな知見を見出しました。なお、本知見の一部を日本薬学会第140年会(2020年3月)にて2演題発表いたしました。
近年、毛髪の健康における頭皮環境の重要性が着目されていることから、以下の研究を実施しました。
1演題目では、マウスを用いた発毛実験により、外的要因(紫外線)による頭皮環境の変化が発毛に与える影響と、ミノキシジルの発毛作用に及ぼす影響を検討しました。
2演題目では、細胞培養系を用いた実験により、発育毛剤等に頭皮環境の改善を目的として配合されるグリチルレチン酸、ジフェンヒドラミン塩酸塩及びヒノキチオールについて、毛包細胞への作用を評価しました。
検討の結果、頭皮環境の悪化が、毛髪の成長や発毛剤の効果に影響を及ぼす可能性と、グリチルレチン酸、ジフェンヒドラミン塩酸塩及びヒノキチオールがそれらを改善する可能性が示唆されました。
発表の概要は以下の通りです。
【1演題目】
■外的要因(紫外線)による頭皮環境の悪化とミノキシジルの発毛作用に及ぼす影響
1.紫外線照射により、炎症性細胞の浸潤及びDNA酸化損傷マーカーの上昇が認められ、発毛が抑制されました。また、紫外線照射により炎症関連遺伝子(IL-1α)の発現が増加する一方で、発毛や育毛に重要な遺伝子(Wnt10bなど)の発現は抑制されることを明らかにしました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202003248345-O1-YM6BDwSX】
2.同モデルを用いて、頭皮環境の悪化がミノキシジルの発毛作用に及ぼす影響を検討したところ、炎症や酸化ストレスが生じている頭皮環境では、ミノキシジルの発毛作用が減弱することが示唆されました。
【2演題目】
■グリチルレチン酸、ジフェンヒドラミン塩酸塩及びヒノキチオールが毛包細胞に及ぼす影響
1.毛を作り出す組織である毛包を構成するヒト毛包角化細胞の増殖が、グリチルレチン酸、ジフェンヒドラミン塩酸塩又はヒノキチオールの添加により、促進されることを明らかにしました。
2.ヒト毛包角化細胞に紫外線を照射すると、増殖が抑制されることを明らかにしました。また、紫外線を照射した同細胞では、炎症に関連する遺伝子の発現の上昇が認められました。
3.スルホトランスフェラーゼ1A1は、毛包の角化細胞に存在し、ミノキシジルを活性体といわれるミノキシジルサルフェートに変換する酵素であることが知られています。ヒト毛包角化細胞におけるスルホトランスフェラーゼ1A1遺伝子の発現が、紫外線照射により低下すること、さらに、グリチルレチン酸の添加により、同遺伝子の発現が上昇することを明らかにしました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202003248345-O2-N9dIGZh7】
4.毛包組織の司令塔といわれるヒト毛乳頭細胞に紫外線を照射すると、脱毛因子とされるBMP2の発現上昇などの遺伝子発現変動がみられ、脱毛シグナルであるBMPシグナルが活性化することが示唆されました。一方で、グリチルレチン酸又はヒノキチオールの添加により、上記遺伝子発現の変動は抑制されました。
以上のように、炎症や酸化ストレスによる頭皮環境の悪化が、毛髪の成長や発毛剤の効果に影響を及ぼす可能性が示唆されました。また、グリチルレチン酸、ジフェンヒドラミン塩酸塩及びヒノキチオールがそれらを改善する可能性も示唆されました。なお、本作用を認めた成分をスカルプバランス成分と名付けました。当社は今回の研究成果を活用し、発育毛剤及びヘアケア製品の開発を進めてまいります。
注釈
IL-1α : Interleukin-1α
Wnt10b:Wnt family member 10b
BMP2 :Bone morphogenetic protein 2
大正製薬株式会社
大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区 社長:上原 茂](以下、当社)は、頭皮環境悪化による発毛への影響とその改善の可能性に関する新たな知見を見出しました。なお、本知見の一部を日本薬学会第140年会(2020年3月)にて2演題発表いたしました。
近年、毛髪の健康における頭皮環境の重要性が着目されていることから、以下の研究を実施しました。
1演題目では、マウスを用いた発毛実験により、外的要因(紫外線)による頭皮環境の変化が発毛に与える影響と、ミノキシジルの発毛作用に及ぼす影響を検討しました。
2演題目では、細胞培養系を用いた実験により、発育毛剤等に頭皮環境の改善を目的として配合されるグリチルレチン酸、ジフェンヒドラミン塩酸塩及びヒノキチオールについて、毛包細胞への作用を評価しました。
検討の結果、頭皮環境の悪化が、毛髪の成長や発毛剤の効果に影響を及ぼす可能性と、グリチルレチン酸、ジフェンヒドラミン塩酸塩及びヒノキチオールがそれらを改善する可能性が示唆されました。
発表の概要は以下の通りです。
【1演題目】
■外的要因(紫外線)による頭皮環境の悪化とミノキシジルの発毛作用に及ぼす影響
1.紫外線照射により、炎症性細胞の浸潤及びDNA酸化損傷マーカーの上昇が認められ、発毛が抑制されました。また、紫外線照射により炎症関連遺伝子(IL-1α)の発現が増加する一方で、発毛や育毛に重要な遺伝子(Wnt10bなど)の発現は抑制されることを明らかにしました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202003248345-O1-YM6BDwSX】
2.同モデルを用いて、頭皮環境の悪化がミノキシジルの発毛作用に及ぼす影響を検討したところ、炎症や酸化ストレスが生じている頭皮環境では、ミノキシジルの発毛作用が減弱することが示唆されました。
【2演題目】
■グリチルレチン酸、ジフェンヒドラミン塩酸塩及びヒノキチオールが毛包細胞に及ぼす影響
1.毛を作り出す組織である毛包を構成するヒト毛包角化細胞の増殖が、グリチルレチン酸、ジフェンヒドラミン塩酸塩又はヒノキチオールの添加により、促進されることを明らかにしました。
2.ヒト毛包角化細胞に紫外線を照射すると、増殖が抑制されることを明らかにしました。また、紫外線を照射した同細胞では、炎症に関連する遺伝子の発現の上昇が認められました。
3.スルホトランスフェラーゼ1A1は、毛包の角化細胞に存在し、ミノキシジルを活性体といわれるミノキシジルサルフェートに変換する酵素であることが知られています。ヒト毛包角化細胞におけるスルホトランスフェラーゼ1A1遺伝子の発現が、紫外線照射により低下すること、さらに、グリチルレチン酸の添加により、同遺伝子の発現が上昇することを明らかにしました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202003248345-O2-N9dIGZh7】
4.毛包組織の司令塔といわれるヒト毛乳頭細胞に紫外線を照射すると、脱毛因子とされるBMP2の発現上昇などの遺伝子発現変動がみられ、脱毛シグナルであるBMPシグナルが活性化することが示唆されました。一方で、グリチルレチン酸又はヒノキチオールの添加により、上記遺伝子発現の変動は抑制されました。
以上のように、炎症や酸化ストレスによる頭皮環境の悪化が、毛髪の成長や発毛剤の効果に影響を及ぼす可能性が示唆されました。また、グリチルレチン酸、ジフェンヒドラミン塩酸塩及びヒノキチオールがそれらを改善する可能性も示唆されました。なお、本作用を認めた成分をスカルプバランス成分と名付けました。当社は今回の研究成果を活用し、発育毛剤及びヘアケア製品の開発を進めてまいります。
注釈
IL-1α : Interleukin-1α
Wnt10b:Wnt family member 10b
BMP2 :Bone morphogenetic protein 2