紙おむつの未来に向けて−脱水性に優れる高吸水性樹脂を開発
[20/09/17]
提供元:共同通信PRワイヤー
提供元:共同通信PRワイヤー
使用済み紙おむつの新しい回収・リサイクルシステムに貢献
No.2025
2020年9月17日
紙おむつの未来に向けて−脱水性に優れる高吸水性樹脂を開発 使用済み紙おむつの新しい回収・リサイクルシステムに貢献
三洋化成工業株式会社
(証券コード 4471)
三洋化成工業株式会社(本社:京都市東山区、代表取締役社長:安藤孝夫、以下、三洋化成)の100%連結子会社であるSDPグローバル株式会社(本社:東京都中央区、社長:下南裕之)は、使用済み紙おむつなどの衛生用品の新しい回収・リサイクルシステムの構築に向けて、脱水性に優れる高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer; SAP)を開発しましたので報告申し上げます。
SAPは高い吸水性や保水性を活かして紙おむつなどの衛生用品の吸水材として使用されています。近年、一般ごみとして増加しつつある使用済み紙おむつの処理をめぐって、国や民間企業で下水道への紙おむつ受入やリサイクルの検討が進められていますが、吸水し膨潤したSAPの脱水処理・減容および回収が課題の一つとなっています。当社の新技術を適用したSAPは、膨潤後塩化カルシウムなどで処理すると速やかに脱水し、優れた脱水性を発揮することから、この課題解決の一助になるものと考えています。当社はSAPを通して、これらの新しい回収・リサイクルシステムの構築を後押しすることで、快適な暮らしおよび環境負荷の少ない社会の実現に貢献していきます。
【開発の背景】
紙おむつは子育て世帯だけでなく、高齢者が同居する世帯および介護施設などで使用されています。高齢化が進む中、紙おむつの生産量・使用量は増加傾向にあり、それに伴って使用済み紙おむつの処理が問題となっています。使用済み紙おむつは、保管場所の確保や臭気対策、収集場所への運搬作業が使用者や介護者の大きな負担となっています。また、使用済み紙おむつは、一般ごみとしてほとんどが焼却処理されており、全体のごみ排出量が減少傾向にある中、焼却ごみ中に占める使用済み紙おむつの割合は増え続けています。使用済み紙おむつは水分を多量に含むため燃えづらく、多くのエネルギーを必要とし、焼却炉にも負荷がかかっています。
近年、使用者や介護者の負担を軽減し、ゴミ処理能力の向上や環境負荷を低減する観点から、使用済み紙おむつの処理方法として、下水道への紙おむつ受入検討*1やリサイクルの取り組み*2などが進められています。
下水道への受入では、トイレに流す前の専用処理装置で、SAPを含む固形物を減容化して回収する方法などが検討されています。また、リサイクルでは使用済み紙おむつの洗浄、殺菌処理を行い、パルプやSAPなどを有効利用する方法が検討されています。いずれの場合も膨潤したSAPは回収され、脱水・乾燥後に廃棄または再利用となりますが、従来のSAPは脱水に時間がかかり、その処理に多量の時間とエネルギーを要することが課題の一つでした。
SAPは1978年に世界で初めて三洋化成が商業生産を開始して以来、紙おむつなどの衛生用品や、農業・園芸、ペット関連、土木・建築などの幅広い分野でご使用いただいています。現在、衛生用品向けにはSDPグローバルが『サンウェット』のブランドで製造・販売しています。SDPグローバルはSAPの世界有数のサプライヤーとしてこの課題を解決すべく、脱水性に優れるSAPを開発しました。
【技術の概要】
SAPは架橋構造をもつ親水性のポリマーで、自重の数百倍から千倍の水を吸収・保持する機能を持っています。そのほとんどはポリアクリル酸系のSAPです。乾燥状態では粉末状で、水に触れると自重の約1000倍もの水を吸水して速やかに膨潤し、ゲル状になります。
SDPグローバルは、これまで蓄積してきた知見と独自の重合技術、粒子形状制御技術、表面処理技術を組み合わせることで、吸水材として必要な吸水・保水機能を維持しながら、脱水性を向上させる技術を見出しました。
本技術を適用したSAPは、生理食塩水に対して、従来品と遜色ない吸水・保水機能を維持しながら、わずか5分で約75%以上脱水することができます。これは従来品と比べて脱水性が約3割向上し、使用済み紙おむつに対して同程度の減容化も期待できることを示します。脱水速度が速いので処理時間を短縮でき、処理能力の向上にもつながります。脱水性に優れるSAPは効率よく処理・減容でき、またリサイクル時に他部材とも分離しやすくなります。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202009154383-O1-Vi6G1W41】
塩化カルシウム(水溶液)処理前後のSAPのイメージ図
【今後の予定】
生産、流通、消費、回収・リサイクルに至る紙おむつのライフサイクルが大きく変わろうとしています。SDPグローバルは本技術を適用した脱水性に優れるSAPを早期に上市し、新しい回収・リサイクルシステムの社会実装を後押することで、使用者や介護者への負担の軽減、環境負荷の少ない持続可能な社会の実現といったSDGsの達成に貢献していきます。
<参考>
SDPグローバル株式会社について
三洋化成工業株式会社の100%連結子会社。2001年に設立し、紙おむつなどヘルスケア、ライフケア向けの衛生用品用SAPを取り扱っています。
*1 下水道における紙オムツの受入実現に向けて(国交省ホームページより)
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/mizukokudo_sewerage_tk_000572.html
*2 使用済紙おむつの再生利用等に関するガイドラインについて(環境省ホームページより)
https://www.env.go.jp/press/107897.html
<本件に関するお問い合わせ先> 三洋化成工業株式会社 メディア・IR部 電話/075−541−4312
SDPグローバル株式会社 電話 03−5200−3939
No.2025
2020年9月17日
紙おむつの未来に向けて−脱水性に優れる高吸水性樹脂を開発 使用済み紙おむつの新しい回収・リサイクルシステムに貢献
三洋化成工業株式会社
(証券コード 4471)
三洋化成工業株式会社(本社:京都市東山区、代表取締役社長:安藤孝夫、以下、三洋化成)の100%連結子会社であるSDPグローバル株式会社(本社:東京都中央区、社長:下南裕之)は、使用済み紙おむつなどの衛生用品の新しい回収・リサイクルシステムの構築に向けて、脱水性に優れる高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer; SAP)を開発しましたので報告申し上げます。
SAPは高い吸水性や保水性を活かして紙おむつなどの衛生用品の吸水材として使用されています。近年、一般ごみとして増加しつつある使用済み紙おむつの処理をめぐって、国や民間企業で下水道への紙おむつ受入やリサイクルの検討が進められていますが、吸水し膨潤したSAPの脱水処理・減容および回収が課題の一つとなっています。当社の新技術を適用したSAPは、膨潤後塩化カルシウムなどで処理すると速やかに脱水し、優れた脱水性を発揮することから、この課題解決の一助になるものと考えています。当社はSAPを通して、これらの新しい回収・リサイクルシステムの構築を後押しすることで、快適な暮らしおよび環境負荷の少ない社会の実現に貢献していきます。
【開発の背景】
紙おむつは子育て世帯だけでなく、高齢者が同居する世帯および介護施設などで使用されています。高齢化が進む中、紙おむつの生産量・使用量は増加傾向にあり、それに伴って使用済み紙おむつの処理が問題となっています。使用済み紙おむつは、保管場所の確保や臭気対策、収集場所への運搬作業が使用者や介護者の大きな負担となっています。また、使用済み紙おむつは、一般ごみとしてほとんどが焼却処理されており、全体のごみ排出量が減少傾向にある中、焼却ごみ中に占める使用済み紙おむつの割合は増え続けています。使用済み紙おむつは水分を多量に含むため燃えづらく、多くのエネルギーを必要とし、焼却炉にも負荷がかかっています。
近年、使用者や介護者の負担を軽減し、ゴミ処理能力の向上や環境負荷を低減する観点から、使用済み紙おむつの処理方法として、下水道への紙おむつ受入検討*1やリサイクルの取り組み*2などが進められています。
下水道への受入では、トイレに流す前の専用処理装置で、SAPを含む固形物を減容化して回収する方法などが検討されています。また、リサイクルでは使用済み紙おむつの洗浄、殺菌処理を行い、パルプやSAPなどを有効利用する方法が検討されています。いずれの場合も膨潤したSAPは回収され、脱水・乾燥後に廃棄または再利用となりますが、従来のSAPは脱水に時間がかかり、その処理に多量の時間とエネルギーを要することが課題の一つでした。
SAPは1978年に世界で初めて三洋化成が商業生産を開始して以来、紙おむつなどの衛生用品や、農業・園芸、ペット関連、土木・建築などの幅広い分野でご使用いただいています。現在、衛生用品向けにはSDPグローバルが『サンウェット』のブランドで製造・販売しています。SDPグローバルはSAPの世界有数のサプライヤーとしてこの課題を解決すべく、脱水性に優れるSAPを開発しました。
【技術の概要】
SAPは架橋構造をもつ親水性のポリマーで、自重の数百倍から千倍の水を吸収・保持する機能を持っています。そのほとんどはポリアクリル酸系のSAPです。乾燥状態では粉末状で、水に触れると自重の約1000倍もの水を吸水して速やかに膨潤し、ゲル状になります。
SDPグローバルは、これまで蓄積してきた知見と独自の重合技術、粒子形状制御技術、表面処理技術を組み合わせることで、吸水材として必要な吸水・保水機能を維持しながら、脱水性を向上させる技術を見出しました。
本技術を適用したSAPは、生理食塩水に対して、従来品と遜色ない吸水・保水機能を維持しながら、わずか5分で約75%以上脱水することができます。これは従来品と比べて脱水性が約3割向上し、使用済み紙おむつに対して同程度の減容化も期待できることを示します。脱水速度が速いので処理時間を短縮でき、処理能力の向上にもつながります。脱水性に優れるSAPは効率よく処理・減容でき、またリサイクル時に他部材とも分離しやすくなります。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202009154383-O1-Vi6G1W41】
塩化カルシウム(水溶液)処理前後のSAPのイメージ図
【今後の予定】
生産、流通、消費、回収・リサイクルに至る紙おむつのライフサイクルが大きく変わろうとしています。SDPグローバルは本技術を適用した脱水性に優れるSAPを早期に上市し、新しい回収・リサイクルシステムの社会実装を後押することで、使用者や介護者への負担の軽減、環境負荷の少ない持続可能な社会の実現といったSDGsの達成に貢献していきます。
<参考>
SDPグローバル株式会社について
三洋化成工業株式会社の100%連結子会社。2001年に設立し、紙おむつなどヘルスケア、ライフケア向けの衛生用品用SAPを取り扱っています。
*1 下水道における紙オムツの受入実現に向けて(国交省ホームページより)
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/mizukokudo_sewerage_tk_000572.html
*2 使用済紙おむつの再生利用等に関するガイドラインについて(環境省ホームページより)
https://www.env.go.jp/press/107897.html
<本件に関するお問い合わせ先> 三洋化成工業株式会社 メディア・IR部 電話/075−541−4312
SDPグローバル株式会社 電話 03−5200−3939