【東京医科大学公衆衛生学分野】新型コロナウイルス流行下での受療行動の変化について調査結果を公表
[21/03/18]
提供元:共同通信PRワイヤー
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2021年3月18日
東京医科大学
新型コロナウイルス感染症の流行下、「医療機関での感染恐怖」の払拭が
治療中断や病状悪化予防に重要な可能性
〜定期通院中の患者のうち38%で受診頻度が減少〜
【概要】
東京医科大学(学長:林由起子/東京都新宿区)公衆衛生学分野の小田切優子講師ら研究チームは2020年5月に日本人男女2,400人を対象にインターネット調査を実施し、新型コロナウイルス感染症の流行前に医療機関を定期受診していた659人の受療行動を分析しました。その研究成果が2021年3月16日にプライマリケア学会の英文雑誌であるJournal of General and Family Medicineで発表されました。
● 「受診頻度が減少した」と回答した人の割合は37.8%で、「医療機関で感染することが恐い」ことが受
診頻度の抑制と有意に関連していました。
● 一方、「定期内服ができなくなった」人、「持病が悪化した」人はそれぞれ6.8%、5.6%にとどまりまし
た。「持病が悪化した」人は「受診頻度が減少した」人に多く、受診抑制が病気の悪化につながってい
た可能性が示唆されました。
● 本研究は第一波流行中の受療行動を観察したものですが、その後、受療行動がどう変化しているのか注
視すると共に、必要以上の受療抑制が起こらないような対策が必要と考えられます。
【研究の背景】
新型コロナウイルス感染症の第一波流行中で、緊急事態宣言の解除が検討され始めた2020年5月、関東地方在住の20歳から79歳の男女2,400人を対象に、医療機関の受療状況に関するインターネット調査を行いました。対象者に「受診頻度の減少」、「定期内服切れ」、「持病の悪化」、「電話・オンライン診療の活用」、そのほか受診に関する要因について回答してもらいました。調査対象者のうち新型コロナウイルス感染症の流行前に外来を定期受診しており、内科慢性疾患で通院中の659人について解析を行いました。
【本研究で得られた結果・知見】
「受診頻度が減少した」人の割合は37.8%で、「医療機関で感染することが怖い」こと、「東京在住」、「女性」などが受診頻度の低下と有意に関連していました。一方で、「定期内服ができなくなった」人の割合は6.8%、「持病が悪化した」人の割合は5.6%でした。また電話・オンライン診療を活用した人の割合は9.1%でした。受診頻度が減少した人の割合に比べて、定期内服ができなくなった人の割合が少なかったことから、長期処方等で対応が行われていた可能性があります。
受診に関する要因のうち「医療機関での感染恐怖」は「受診頻度の減少」や「定期内服切れ」と有意な関連を認めていました。さらに要因間の分析を行ったところ、「受診頻度の減少」した人に、「定期内服切れ」や「持病の悪化」が多かったことが明らかとなりました。
【今後の研究展開および波及効果】
本研究により、新型コロナウイルス流行下での受療行動の変化が明らかとなりました。通院の中断や病状悪化を防ぐためには、受療行動が変化しやすい集団への配慮や、特に「医療機関での感染への恐怖」の払拭・低減に努め、新型コロナウイルス感染症の流行下でも受診を継続しやすい環境を整備することが重要です。
【掲載誌名】
Journal of General and Family Medicine
【論文タイトル】
Changes in the medical treatment status of Japanese outpatients during the coronavirus disease 2019 pandemic DOI:10.1002/jgf2.432 (査読済み)
【著者】
Takeshi Takakubo, Yuko Odagiri, Masaki Machida, Tomoko Takamiya, Noritoshi Fukushima, Hiroyuki Kikuchi, Shiho Amagasa, Itaru Nakamura, Hidehiro Watanabe, Shigeru Inoue
【主な競争的研究資金】
なし
【補足資料:図解・表等 添付】
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202103172392-O1-jJSBsJL9】
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202103172392-O2-zneu2m0y】
【本研究に関する問い合わせ先】
東京医科大学 公衆衛生学分野
小田切 優子、井上 茂
E-mail: TMUPHIC.2020@gmail.com
【プレスリリースに関するお問い合わせ】
東京医科大学 総務部 広報・社会連携推進課
TEL: 03-3351-6141(代表)
【その他の新型コロナウイルス感染症に関する東京医科大学公衆衛生学分野の研究結果】
https://www.tokyo-med.ac.jp/univ/covid-19/information.html#new2
研究結果(1):感染予防行動のうち「目鼻口に触らない」の実施率が最も低い
研究結果(2):予防行動に関する行動変容は男性と低所得者で少ない
研究結果(3):COVID-19 アウトブレイク下において風邪症状のある労働者の多くが十分に自主隔離できていない
研究結果(4):COVID-19 パンデミック下においても マスクを正しく使用している者は少ない 〜マスクマネジメントに関するさらなる啓発が求められている〜
研究結果(5):新型コロナウイルスの流行下で一般市民のメンタルヘルスは悪化した 〜悪化したのは特に低所得者、呼吸器疾患を抱える者だった〜
研究結果(6):日常生活での手洗い回数は1日10回では不十分
研究結果(7):低所得者のメンタルヘルスは感染者が減少してもすぐには改善しない
研究結果(8):新型コロナワクチン予防接種の普及にはワクチンは効果があるという認識や自分が予防接種を受けることで他者も守るという思いが重要
研究結果(9):COVID-19流行下の在宅勤務者で職場勤務者よりも仕事中の座位時間が1時間以上長い〜在宅勤務では、長時間の座りすぎへの対策が必要〜
東京医科大学
新型コロナウイルス感染症の流行下、「医療機関での感染恐怖」の払拭が
治療中断や病状悪化予防に重要な可能性
〜定期通院中の患者のうち38%で受診頻度が減少〜
【概要】
東京医科大学(学長:林由起子/東京都新宿区)公衆衛生学分野の小田切優子講師ら研究チームは2020年5月に日本人男女2,400人を対象にインターネット調査を実施し、新型コロナウイルス感染症の流行前に医療機関を定期受診していた659人の受療行動を分析しました。その研究成果が2021年3月16日にプライマリケア学会の英文雑誌であるJournal of General and Family Medicineで発表されました。
● 「受診頻度が減少した」と回答した人の割合は37.8%で、「医療機関で感染することが恐い」ことが受
診頻度の抑制と有意に関連していました。
● 一方、「定期内服ができなくなった」人、「持病が悪化した」人はそれぞれ6.8%、5.6%にとどまりまし
た。「持病が悪化した」人は「受診頻度が減少した」人に多く、受診抑制が病気の悪化につながってい
た可能性が示唆されました。
● 本研究は第一波流行中の受療行動を観察したものですが、その後、受療行動がどう変化しているのか注
視すると共に、必要以上の受療抑制が起こらないような対策が必要と考えられます。
【研究の背景】
新型コロナウイルス感染症の第一波流行中で、緊急事態宣言の解除が検討され始めた2020年5月、関東地方在住の20歳から79歳の男女2,400人を対象に、医療機関の受療状況に関するインターネット調査を行いました。対象者に「受診頻度の減少」、「定期内服切れ」、「持病の悪化」、「電話・オンライン診療の活用」、そのほか受診に関する要因について回答してもらいました。調査対象者のうち新型コロナウイルス感染症の流行前に外来を定期受診しており、内科慢性疾患で通院中の659人について解析を行いました。
【本研究で得られた結果・知見】
「受診頻度が減少した」人の割合は37.8%で、「医療機関で感染することが怖い」こと、「東京在住」、「女性」などが受診頻度の低下と有意に関連していました。一方で、「定期内服ができなくなった」人の割合は6.8%、「持病が悪化した」人の割合は5.6%でした。また電話・オンライン診療を活用した人の割合は9.1%でした。受診頻度が減少した人の割合に比べて、定期内服ができなくなった人の割合が少なかったことから、長期処方等で対応が行われていた可能性があります。
受診に関する要因のうち「医療機関での感染恐怖」は「受診頻度の減少」や「定期内服切れ」と有意な関連を認めていました。さらに要因間の分析を行ったところ、「受診頻度の減少」した人に、「定期内服切れ」や「持病の悪化」が多かったことが明らかとなりました。
【今後の研究展開および波及効果】
本研究により、新型コロナウイルス流行下での受療行動の変化が明らかとなりました。通院の中断や病状悪化を防ぐためには、受療行動が変化しやすい集団への配慮や、特に「医療機関での感染への恐怖」の払拭・低減に努め、新型コロナウイルス感染症の流行下でも受診を継続しやすい環境を整備することが重要です。
【掲載誌名】
Journal of General and Family Medicine
【論文タイトル】
Changes in the medical treatment status of Japanese outpatients during the coronavirus disease 2019 pandemic DOI:10.1002/jgf2.432 (査読済み)
【著者】
Takeshi Takakubo, Yuko Odagiri, Masaki Machida, Tomoko Takamiya, Noritoshi Fukushima, Hiroyuki Kikuchi, Shiho Amagasa, Itaru Nakamura, Hidehiro Watanabe, Shigeru Inoue
【主な競争的研究資金】
なし
【補足資料:図解・表等 添付】
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202103172392-O1-jJSBsJL9】
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202103172392-O2-zneu2m0y】
【本研究に関する問い合わせ先】
東京医科大学 公衆衛生学分野
小田切 優子、井上 茂
E-mail: TMUPHIC.2020@gmail.com
【プレスリリースに関するお問い合わせ】
東京医科大学 総務部 広報・社会連携推進課
TEL: 03-3351-6141(代表)
【その他の新型コロナウイルス感染症に関する東京医科大学公衆衛生学分野の研究結果】
https://www.tokyo-med.ac.jp/univ/covid-19/information.html#new2
研究結果(1):感染予防行動のうち「目鼻口に触らない」の実施率が最も低い
研究結果(2):予防行動に関する行動変容は男性と低所得者で少ない
研究結果(3):COVID-19 アウトブレイク下において風邪症状のある労働者の多くが十分に自主隔離できていない
研究結果(4):COVID-19 パンデミック下においても マスクを正しく使用している者は少ない 〜マスクマネジメントに関するさらなる啓発が求められている〜
研究結果(5):新型コロナウイルスの流行下で一般市民のメンタルヘルスは悪化した 〜悪化したのは特に低所得者、呼吸器疾患を抱える者だった〜
研究結果(6):日常生活での手洗い回数は1日10回では不十分
研究結果(7):低所得者のメンタルヘルスは感染者が減少してもすぐには改善しない
研究結果(8):新型コロナワクチン予防接種の普及にはワクチンは効果があるという認識や自分が予防接種を受けることで他者も守るという思いが重要
研究結果(9):COVID-19流行下の在宅勤務者で職場勤務者よりも仕事中の座位時間が1時間以上長い〜在宅勤務では、長時間の座りすぎへの対策が必要〜