小型衛星を用いた光衛星通信の日独国際共同実験に成功
[21/03/25]
提供元:共同通信PRワイヤー
提供元:共同通信PRワイヤー
DLR小型衛星搭載光通信機器からのレーザ光をNICT光地上局で受信
2021年3月25日
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)
ポイント
■ DLRの小型衛星搭載光通信機器からのダウンリンク光をNICTの光地上局の精追尾光学系で受信
■ 将来の光地上局技術のために新規開発した大気ゆらぎ測定器と簡易型光地上局の初期実験に成功
■ 光通信のための貴重なデータを取得、将来の光衛星通信技術の研究開発への貢献が期待
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長: 徳田 英幸)は、国際共同実験としてシュトゥットガルト大学が開発したFlying Laptop衛星に搭載されたドイツ航空宇宙センター(DLR)の小型衛星搭載光通信機器(OSIRISv1)と、NICTの光地上局に設置した新規開発の精追尾付き光学系との間で光衛星通信実験を実施し、2021年2月にOSIRISv1からのダウンリンク光をNICT光地上局で受信することに成功しました。
また同時に、新規開発した大気ゆらぎ測定装置をNICT光地上局に設置し、初期試験に成功しました。さらに、低コストな商用部品で構成した簡易型光地上局も設定し、実際に衛星からのレーザ光を受信することに成功しました。
シュトゥットガルト大学開発のFlying Laptop衛星に搭載されたOSIRISv1はボディポインティングで指向追尾する構成になっており、この構成での光通信実験が成功したのは日本では初めてです。今回の貴重な実験データの取得により、将来の光衛星通信技術の研究開発に貢献することが期待されます。
背景
NICTでは、将来の衛星通信の高度化のため、宇宙における光通信の研究開発を実施しています。2014年から2016年に軌道上実証実験を実施した小型光通信トランスポンダ(SOTA)では、日本国内の光地上局のみならず、欧州(ドイツ航空宇宙センター (DLR)、フランス国立宇宙研究センター(CNES)、 欧州宇宙機関(ESA))やカナダ(カナダ宇宙庁 (CSA))の光地上局と光通信実験を実施し、貴重な実験データを取得しています。これまでNICTは、研究協力協定を締結したDLRと共に、小型衛星搭載用の光赤外高速通信回線システム(OSIRIS)計画で開発したOSIRISv1を用いた国際共同実験を進めてきました。
今回の成果
今回、NICTとDLRは、DLRのOSIRISv1からのダウンリンク光を、1m望遠鏡を備えたNICTの光地上局(図1)で受信する実験を2021年1月末から実施し、2021年2月にダウンリンク光の受信に成功しました。本実証実験では、超高速先進光通信機器HICALIを用いた実験に使用するために新規に開発した精追尾光学系(図2)をNICT光地上局に設置しており、先行的に精追尾制御の機能を確認しました。OSIRISv1はボディポインティング方式で指向追尾する構成になっており、この構成での光通信実験が成功したのは日本では初めてです
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202103232685-O1-F9LV7cte】
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202103232685-O2-MR2LHX5K】
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202103232685-O3-oX7JFda3】
シングルモードファイバの送信光学系と受信光学系、ファストステアリングミラーと四分割センサーの精追尾制御が含まれている。
また今回の実験では、大気ゆらぎ等が光衛星通信の通信品質に与える影響をモデル化して、軽減するためにNICTが新規開発した、大気ゆらぎ測定装置の初期試験にも成功しました(図3)。さらに、将来の光衛星通信技術の普及に向けて小型で低コストな光地上局の開発が必要であることから、市販の開口径20cm望遠鏡で構成した簡易型光地上局を開発し(図4)、この簡易型地上局でOSIRISv1からのレーザ光の受信(ファーストライト)にも成功しました。
これらの実験により貴重な実験データを取得することができ、大気ゆらぎや追尾誤差のモデル化といった、将来の光衛星通信技術の研究開発に貢献できると考えられます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202103232685-O4-f88WweWO】
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202103232685-O5-oguRDsG1】
今後の展望
今回の実験データの解析を進め、受信側での光ファイバへのカップリング技術、波面補償システム、低雑音光増幅技術、高感度受信技術等の受信系の研究開発を行い、使いやすいシステムの研究開発を進展させていく計画です。これらにより、将来の光衛星通信システムの開発・普及に貢献することが期待されます。また、今回のFlying Laptop衛星に搭載されたOSIRISv1(図5)による国際共同実験の成功で、光衛星通信の国際的な相互運用を実証したことで、現在、光衛星通信の標準化が活発に行われている宇宙データシステム諮問委員会(CCSDS)へも貢献できると考えています。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202103232685-O6-SWXwG6sl】
各機関の役割分担
・情報通信研究機構: 光地上局と光受信実験用の測定器開発と準備
・ドイツ航空宇宙センター(DLR): OSIRISv1の開発
・シュトゥットガルト大学: Flying Laptop小型衛星の開発、統合、運用
2021年3月25日
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)
ポイント
■ DLRの小型衛星搭載光通信機器からのダウンリンク光をNICTの光地上局の精追尾光学系で受信
■ 将来の光地上局技術のために新規開発した大気ゆらぎ測定器と簡易型光地上局の初期実験に成功
■ 光通信のための貴重なデータを取得、将来の光衛星通信技術の研究開発への貢献が期待
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長: 徳田 英幸)は、国際共同実験としてシュトゥットガルト大学が開発したFlying Laptop衛星に搭載されたドイツ航空宇宙センター(DLR)の小型衛星搭載光通信機器(OSIRISv1)と、NICTの光地上局に設置した新規開発の精追尾付き光学系との間で光衛星通信実験を実施し、2021年2月にOSIRISv1からのダウンリンク光をNICT光地上局で受信することに成功しました。
また同時に、新規開発した大気ゆらぎ測定装置をNICT光地上局に設置し、初期試験に成功しました。さらに、低コストな商用部品で構成した簡易型光地上局も設定し、実際に衛星からのレーザ光を受信することに成功しました。
シュトゥットガルト大学開発のFlying Laptop衛星に搭載されたOSIRISv1はボディポインティングで指向追尾する構成になっており、この構成での光通信実験が成功したのは日本では初めてです。今回の貴重な実験データの取得により、将来の光衛星通信技術の研究開発に貢献することが期待されます。
背景
NICTでは、将来の衛星通信の高度化のため、宇宙における光通信の研究開発を実施しています。2014年から2016年に軌道上実証実験を実施した小型光通信トランスポンダ(SOTA)では、日本国内の光地上局のみならず、欧州(ドイツ航空宇宙センター (DLR)、フランス国立宇宙研究センター(CNES)、 欧州宇宙機関(ESA))やカナダ(カナダ宇宙庁 (CSA))の光地上局と光通信実験を実施し、貴重な実験データを取得しています。これまでNICTは、研究協力協定を締結したDLRと共に、小型衛星搭載用の光赤外高速通信回線システム(OSIRIS)計画で開発したOSIRISv1を用いた国際共同実験を進めてきました。
今回の成果
今回、NICTとDLRは、DLRのOSIRISv1からのダウンリンク光を、1m望遠鏡を備えたNICTの光地上局(図1)で受信する実験を2021年1月末から実施し、2021年2月にダウンリンク光の受信に成功しました。本実証実験では、超高速先進光通信機器HICALIを用いた実験に使用するために新規に開発した精追尾光学系(図2)をNICT光地上局に設置しており、先行的に精追尾制御の機能を確認しました。OSIRISv1はボディポインティング方式で指向追尾する構成になっており、この構成での光通信実験が成功したのは日本では初めてです
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202103232685-O1-F9LV7cte】
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202103232685-O2-MR2LHX5K】
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202103232685-O3-oX7JFda3】
シングルモードファイバの送信光学系と受信光学系、ファストステアリングミラーと四分割センサーの精追尾制御が含まれている。
また今回の実験では、大気ゆらぎ等が光衛星通信の通信品質に与える影響をモデル化して、軽減するためにNICTが新規開発した、大気ゆらぎ測定装置の初期試験にも成功しました(図3)。さらに、将来の光衛星通信技術の普及に向けて小型で低コストな光地上局の開発が必要であることから、市販の開口径20cm望遠鏡で構成した簡易型光地上局を開発し(図4)、この簡易型地上局でOSIRISv1からのレーザ光の受信(ファーストライト)にも成功しました。
これらの実験により貴重な実験データを取得することができ、大気ゆらぎや追尾誤差のモデル化といった、将来の光衛星通信技術の研究開発に貢献できると考えられます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202103232685-O4-f88WweWO】
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202103232685-O5-oguRDsG1】
今後の展望
今回の実験データの解析を進め、受信側での光ファイバへのカップリング技術、波面補償システム、低雑音光増幅技術、高感度受信技術等の受信系の研究開発を行い、使いやすいシステムの研究開発を進展させていく計画です。これらにより、将来の光衛星通信システムの開発・普及に貢献することが期待されます。また、今回のFlying Laptop衛星に搭載されたOSIRISv1(図5)による国際共同実験の成功で、光衛星通信の国際的な相互運用を実証したことで、現在、光衛星通信の標準化が活発に行われている宇宙データシステム諮問委員会(CCSDS)へも貢献できると考えています。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202103232685-O6-SWXwG6sl】
各機関の役割分担
・情報通信研究機構: 光地上局と光受信実験用の測定器開発と準備
・ドイツ航空宇宙センター(DLR): OSIRISv1の開発
・シュトゥットガルト大学: Flying Laptop小型衛星の開発、統合、運用