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身体障害者補助犬法成立から20年 盲導犬ユーザー受け入れ拒否の実態報告

〜医療機関における拒否が増加 コロナ禍の影響も

2022年3月24日
公益財団法人 日本盲導犬協会

 
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202203238961-O15-Av2JUMYQ

身体障害者補助犬法成立(2002年)から20年がたった今、補助犬に対する社会の理解は進んだのか?その実態を把握するために、公益財団法人日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、盲導犬ユーザーから相談が寄せられた盲導犬同伴による受け入れ拒否への対応事例を毎年集計、公開しています。2021年度の集計では、昨年に続きコロナ禍で外出機会が減る中、解決が難しく協会が対応した事例が37件ありました。その中で最多となったのは医療機関での受け入れ拒否で、コロナ禍での衛生意識の高まりが、盲導犬同伴での施設利用を妨げる要因の一つになっていることがわかってきました。
拒否の原因では、「法律を知らない」とする事業者が多数いて、成立から20年を経ても未だ補助犬法が周知されていない現状が明らかになりました。
また昨年に続きコロナ禍の盲導犬ユーザーに対し実施した、外出時や社会参加での「困りごと」聞き取り調査についても同時に公開いたします。

こうした実態を多くの方へ伝えることにより、誰もが暮らしやすい社会へ向け、盲導犬や視覚障害に対するより一層の理解と法の周知を訴えたいと考えます。

以上、ぜひ報道いただけますようよろしくお願いいたします。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202203238961-O13-l8jbpft9
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202203238961-O14-T8iIy354
(医療機関のルールづくりをサポートする様子)

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身体障害者補助犬法成立から20年
盲導犬ユーザー受け入れ拒否の実態報告
〜医療機関における拒否が増加 コロナ禍の影響も

盲導犬同伴での受け入れ拒否が無くならない実態について、当協会が盲導犬ユーザーから相談を受けて問題解決へむけ対応した【1.盲導犬ユーザーの受け入れ拒否対応事例】と、盲導犬ユーザーを対象に行った【2.コロナ禍の盲導犬ユーザー外出時や社会参加での「困りごと」聞き取り調査結果】を以下のとおりまとめました。

1.盲導犬ユーザーの受け入れ拒否対応事例
盲導犬同伴で受け入れ拒否に遭い、ユーザー自身の説明では理解が得られなかった場合、ユーザーの要請に応じて協会が問題解決へむけ対応する「アドボカシー活動」を2005年2月から展開しています。2021年度はコロナ禍で外出を控える人もいた中、37件の対応依頼が協会に寄せられました。その集計結果と特徴的だった事例を抜粋し、現状と傾向を報告します。

【受け入れ拒否対応事例データ】
・集計対象:受け入れ拒否に遭ったユーザーから要請され、問題解決にむけ協会が対応した事例37件
・集計期間:2021年4月1日〜2022年3月20日

<拒否対応概要と拒否理由から見える課題>
◆2021年度に対応した37件のうち、受け入れ拒否が起きた場所としては、医療機関が13件(35%)で最多、次に飲食店の9件(24%)、宿泊施設の6件(16%)が続きました。(グラフ1参照)
医療機関が最多となるのは2005年以降初めてのことです。コロナ禍、医療現場での拒否が増えた理由としては、犬がウイルスを運ぶなど、誤った理解があったこと、敏感になっている他患者への影響を懸念しているなどが推測されます。命と直結する医療現場での拒否は、ユーザーに大きな不安とストレスをもたらしています。
中にはコロナウイルスワクチンの接種会場に犬と同伴できない、などの事例もありました。(<受け入れ拒否対応・事例>事例1参照)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202203238961-O3-nylmPZW1

◆一方、受け入れる医療機関側からは「診察室には衛生的に犬を入れられない」「コロナへの不安感がある中、犬の存在は苦情に繋がるかもしれない」などの犬の衛生面での懸念の声がありました。(グラフ2参照)
こうした不安を解消するために協会は、身体障害者補助犬法に基づく盲導犬の衛生管理を説明する他、どこまで犬と同伴できるか、犬の待機場所の検討など、病院内のルールづくりのサポートも実施しました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202203238961-O4-5b2j7300

◆受け入れ拒否の原因を聞き取ると、大きく3つありました。
受け入れ側の事業者が「法律を知らなかった」が15件(41%)、 事業者が法律をよく理解しておらず「受け入れ方を誤解していた」も合わせると24件(65%)に及びます。(グラフ3参照)
他には「従業員への教育不足」が7件(19%)と、いずれも、身体障害者補助犬法の周知が進んでいないことが明らかです。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202203238961-O5-84a4y52l

2019年日本補助犬情報センター (※)によれば、市民の補助犬法の認知度について「法律の名称も内容も知らない」と回答した人が68.6%と報告されています。障害のあるなしにかかわらず、誰もが自由に社会参加できる共生社会実現へ向け、事業者への身体障害者補助犬法および障害者差別解消法の周知が急務であると考えます。
※日本補助犬情報センター「就労している成人への身体障害者補助犬法周知と身体障害者補助犬の受け入れに関する調査」(2019年掲載)

 
<受け入れ拒否対応・事例>
新型コロナウイルスワクチンの集団接種会場の例と、医療機関での2例、法律を知らないことによって起きた飲食店の事例を挙げます。

■事例1:新型コロナウイルスワクチンの集団接種会場にて(青森県内)
ユーザーがワクチン接種の予約時に「犬は入口か通路で待たせて」と言われた。初めて行く場所で犬を待機させることに不安を感じ、ワクチン接種対策室を事前に訪問し、盲導犬の受け入れに関する資料を持参し説明した。接種室の担当者からは「当日の担当医にも説明しておきます」と返事があり安心していたが、当日会場へ行ってみると、事前に説明していた内容は周知されておらず、犬を入口で待たせるよう言われた。ユーザーは「犬を離れた場所で待機をさせるのは心配だ」と伝えるも、担当医より「衛生上、診察室に盲導犬が入るのは好ましくない」との指示があり、診察室前で盲導犬を待機させることになった。
協会が対応することで2度目の接種では正しく周知がされ盲導犬を待機させることなく同伴することができた。

■事例2:「受け入れ経験のある病院へ行ってほしい」と言われた
ユーザーが受診の問合せをしたところ、「ルールや設備が整っていない。すでに受け入れている病院で受診してほしい」と断られた。受け入れ方の説明もしたが、聞き入れられなかったため予約を諦めた。後日、協会から法律や具体的な受け入れ方を助言しルールを作成。結果的にユーザーは予約することができ、当日も問題なく受診ができた。

■事例3:「土足の盲導犬はコロナを持ち込む」と言われた
ユーザーが予約の上で歯科を訪れたところ「犬は玄関に置いておくように」と言われ、やむを得ず同伴していたヘルパーに盲導犬を預けて受診した。「犬は土足だからコロナを持ち込むリスクが高い」という理由で、他にも「診察室は手術室と同等の清潔区域のため犬は入れられない」「他の方の迷惑になるから午前最後の時間でなければ予約は受けられない」など多くの制限を課せられた。後日、他の歯科の受け入れ事例を交えて説明することで法律への理解が得られ、不安なことはユーザーと話し合い決めていくことになった。

■事例4:「盲導犬が入ったら他のお客さんの迷惑になる」と言われた
ユーザーが飲食店を訪問したところ、「犬アレルギーの人がいるかもしれない。責任者不在のため判断できない」と店員に断られ、食事を諦めた。改めて店舗責任者に問い合わせると「盲導犬が入ったら他のお客さんの迷惑になる。飲食店は今とても厳しい。他のお客さんから苦情が入ったら責任をとれるのか」と強い口調で拒まれた。後日、行政窓口から店舗へ法律について説明いただき、理解を得た。

 
2.コロナ禍の盲導犬ユーザー外出時や社会参加での「困りごと」聞き取り調査結果

・調査対象:日本盲導犬協会所属のユーザー(盲導犬使用者)225人
      回答数215人(男性96人 女性119人)
・調査対象期間:2021年1月1日〜12月31日
・調査方法:職員による電話とメールを使っての聞き取り

<聞き取り調査の概要>
(1)受け入れ拒否は暫定的に減少
盲導犬同伴を理由にした「受け入れ拒否」については、75人(35%)が「ある」と回答。これまでは60%前後で推移してきましたが、コロナ禍になって前回41%→今回35%と大きく減少しています。(グラフ4参照)
「ある」と答えた人の多くが複数回の受け入れ拒否を経験している一方で、「ない」という人からは「コロナ禍なのであまり外出しない」「利用経験のある店にしかいかない」とする声が多くありました。これらのデータから受け入れ拒否の減少は、コロナ禍でユーザーの外出頻度が減ったこと、行動範囲が狭まったことが要因と推察されます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202203238961-O6-37By991g

(2)外出時の不安・困りごとで最も多かったのは「ソーシャルディスタンスが分かりづらい」
設問は選択肢7つの複数回答でしたが、抜きんでて多かったのが「ソーシャルディスタンスが分かりづらい」で42%。次いで「商品などを触るため周囲の目が気になる」(21%)、「周囲に手引きなどのサポートを頼みづらい」(19%)など、周りに気兼ねしながら外出するユーザーの姿が浮かんできます。(グラフ5参照) 
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202203238961-O7-CNTG0DD2

自由回答では「消毒液の置き場所が分からない」「レジ前などの床にあるソーシャルディスタンスの印が分からず並ぶのに困った」といった意見がありました。その他にも、「スーパーで買い物のサポートを得るためには前日予約が必要になった」「ヘルパーに同行援護をお願いしたら電車や人混みは嫌だからと断られた」という声もありました。盲導犬と単身で自由に外出できるはずが、感染対策がバリアになり外出できない。コロナ禍3年目にして、視覚障害者の困りごとは解消されていない現状が浮かび上がってきました。


(3)障害に対する人々の理解は「変化したと思わない」
ここ1年間の「障害に対する人々の理解や考え方の変化」を尋ねたところ、84人(39%)が「良い変化があったと感じる」と回答しました。この回答を年別に振り返ると、49%(18年)→44%(19年)→39%(今回)と減少傾向にあります。その理由として「出かけていないのでわからない」「人との関わりがなく分からない」という内容が多く、外出の機会が少なく変化を実感しづらかったことが考えられます。
一方で、「変化した」と答えた人からは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会や、視覚障害を題材にしたテレビドラマの影響で「声を掛けられる機会が増えた」という意見が多数あり、メディア報道が人々へ与えた影響がうかがえます。

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社会理解へ向けた活動
日本盲導犬協会では、誰もが自由に社会参加できる共生社会の実現には、事業者への法律の周知が急務であると考え、各種セミナーを実施する他、盲導犬ユーザーの施設利用や接客ポイントを紹介する動画をYouTube上で公開しています。この調査結果を受けて、情報発信をさらに強化していきます。

<日本盲導犬協会公式YouTubeチャンネル>
https://www.youtube.com/channel/UCgMFOlFDeKasiqlEttT4f9g
再生リスト「かいけつ!盲導犬の○○がキニナル?」
https://www.youtube.com/playlist?list=PLiZEhdSGwiHccGoz_uqrw5auAqn04rOH0
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202203238961-O8-1SN2MdW6

<盲導犬ユーザー受け入れ・接客セミナー>
https://www.moudouken.net/news/article/page_352.php
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202203238961-O16-d8yMB1Wm

■「盲導犬受け入れ拒否対応事例集」をホームページでも公開しています。https://www.moudouken.net/special/case-study/

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202203238961-O12-f2HPJoj8

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