世界初の双方向300GHzテラヘルツ伝送に成功
[22/06/29]
提供元:共同通信PRワイヤー
提供元:共同通信PRワイヤー
Beyond5G/6Gネットワークの構築に向けて
2022年6月29日
早稲田大学
千葉工業大学
岐阜大学
日本電気株式会社
高速近接無線技術研究組合
世界初の双方向300GHzテラヘルツ伝送に成功 Beyond5G/6Gネットワークの構築に向けて
【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M106389/202206283132/_prw_PT1fl_4IY6k3Du.png】
【概要】
早稲田大学理工学術院の川西哲也(かわにしてつや)教授の研究グループは、千葉工業大学、岐阜大学、日本電気株式会社、高速近接無線技術研究組合と欧州の7研究機関:ブラウンシュヴァイク工科大学、フラウンホーファー応用固体物理研究所、シュツットガルト大学(いずれもドイツ)、ドイツテレコム(ドイツ・チェコ)、リール大学(フランス)、Siklu Communications(イスラエル)、VIVID Components(イギリス)と共同で、世界初の300GHz帯双方向リアルタイム伝送実験に成功しました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202206283132-O2-Hd7N0Tj6】 図1:ブラウンシュヴァイク工科大学構内のOker TowerとITセンター(距離160m)を結ぶ無線装置 ブラウンシュヴァイク工科大学Thomas Kürner教授提供
【研究の背景】
移動通信システムの基地局を接続するためのネットワーク(バックホール・フロントホール(※1))において、従来システムでは光ファイバが用いられることが一般的ですが、将来の移動通信ネットワークであるBeyond5G /6Gシステム(※2)では莫大な数の基地局が必要となるため、その一部を高速テラヘルツ無線が担うことが期待されています。本研究成果はBeyond5G/6Gネットワークへのテラヘルツ通信の適用可能性を示します。
【研究成果】
ドイツ・ブラウンシュヴァイク工科大学構内にて300GHz帯双方向リアルタイム伝送実験(伝送距離160m)を実施しました(図1、2参照)。双方向通信で実際のネットワークに接続可能な無線伝送装置の動作実証はこの帯域では世界初です。今回開発した無線伝送装置は8.64GHzx2の帯域幅を用いて、伝送速度20Gb/sx2(双方向)に対応しています。帯域幅の拡張により、さらなる高速化も可能です。また、通信規格IEEE802.15.3(※3)に準拠した信号形式での伝送実験にも成功しており、世界初の実証例となります。本規格は日欧連携で策定を主導したもので、バックホール・フロントホールへの適用可能性を示唆しています。
【研究プロジェクトについて】
本研究成果は欧州委員会のHorizon2020、および国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー))の委託研究「大容量アプリケーション向けテラヘルツエンドトゥーエンド無線システムの開発(ThoR: TeraHertz end-to-end wireless systems supporting ultra high data Rate applications)」(研究期間:2018年7月1日から2022年6月30日まで)の一環として実施したものです。6月29・30日開催のThoRプロジェクトの最終ワークショップ*にて、上記実験のデモンストレーションおよび研究成果の紹介をいたします。
*ThoRプロジェクトに関するワークショップを2022年6月29・30日にブラウンシュヴァイク工科大学(ハイブリッド形式)にて開催。詳細は以下のURLを参照下さい。
https://www.tu-braunschweig.de/ifn/institut/thor-and-meteracom-workshops#c792700
https://www.tu-braunschweig.de/fileadmin/Redaktionsgruppen/Institute_Fakultaet_5/IFN/bilderifn/Startseite/Agenda_ThoR.pdf
Agenda_ThoR.pdf
ThoR and Meteracom Workshops
【今後の展開】
早稲田大学、千葉工業大学、岐阜大学は ThoRプロジェクトの成果をベースとして日欧連携をさらに発展させ、テラヘルツ通信を用いたネットワーク実現を目指したNICTの委託研究「欧州との連携による300GHzテラヘルツネットワークの研究開発」を昨年度から実施しております。長期にわたり屋外で動作させることが可能な小型のテラヘルツ無線伝送装置を開発します。さらに、複数のテラヘルツ無線伝送装置を連携させ、悪天候時にもおいても安定的な高速データ伝送を可能とする技術を開発します。
【各機関の主な役割】
早稲田大学:研究の統括、ミリ波・テラヘルツ変換部の開発、悪天候時の性能解析
千葉工業大学:テラヘルツアンテナ・伝搬の評価
岐阜大学:伝送実験の統括、アンテナ評価
日本電気株式会社:ユースケース検討、テラヘルツ増幅器開発、悪天候時の性能解析
高速近接無線技術研究組合:ミリ波帯(60GHz帯IEEE802規格準拠)モジュール開発
ブラウンシュヴァイク工科大学:研究の統括、伝送シミュレーション、伝送実験
フラウンホーファー応用固体物理研究所:300GHz帯半導体デバイス製作
シュツットガルト大学:300GHz帯半導体デバイス設計、伝送実験
ドイツテレコム:システム構成検討、伝送実験
リール大学:光による基準信号発生、伝送システム構築
Siklu Communications:ミリ波帯(70/80GHz帯)モジュール開発
VIVID Components:研究管理、広報
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202206283132-O7-949uAX8g】 図2:ブラウンシュヴァイク工科大学構内建物屋上に設置された世界初の実データ伝送可能な双方向テラヘルツ無線装置 ブラウンシュヴァイク工科大学Thomas Kürner教授提供
【用語解説】
※1 バックホール・フロントホール
携帯電話の基地局間を結ぶネットワーク。バックホールは無線通信で伝送するデジタルデータをやりとりするネットワークを指す。フロントホールは無線機本体とアンテナを分離して狭いビルの屋上など様々なところにアンテナを置くことを可能とするために期待されている技術で、無線機本体で作られた電波の波形をアンテナまで伝える役割を担う。役割としてテレビ本体とアンテナをつなぐケーブルと同じであるが、要求される性能が高いため現在では光ファイバが用いられることが多い。
※2 Beyond5G/6G
最近サービスがはじまった移動通信システムは第5世代(5G)とよばれている。これに対して、次世代システムとしてBeyond5Gさらには 第6世代(6G)移動通信システムの開発が進められている。
※3 IEEE802.15.3規格
ブルートゥースや無線 LAN で有名な IEEE802 規格の 1 つ。
2022年6月29日
早稲田大学
千葉工業大学
岐阜大学
日本電気株式会社
高速近接無線技術研究組合
世界初の双方向300GHzテラヘルツ伝送に成功 Beyond5G/6Gネットワークの構築に向けて
【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M106389/202206283132/_prw_PT1fl_4IY6k3Du.png】
【概要】
早稲田大学理工学術院の川西哲也(かわにしてつや)教授の研究グループは、千葉工業大学、岐阜大学、日本電気株式会社、高速近接無線技術研究組合と欧州の7研究機関:ブラウンシュヴァイク工科大学、フラウンホーファー応用固体物理研究所、シュツットガルト大学(いずれもドイツ)、ドイツテレコム(ドイツ・チェコ)、リール大学(フランス)、Siklu Communications(イスラエル)、VIVID Components(イギリス)と共同で、世界初の300GHz帯双方向リアルタイム伝送実験に成功しました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202206283132-O2-Hd7N0Tj6】 図1:ブラウンシュヴァイク工科大学構内のOker TowerとITセンター(距離160m)を結ぶ無線装置 ブラウンシュヴァイク工科大学Thomas Kürner教授提供
【研究の背景】
移動通信システムの基地局を接続するためのネットワーク(バックホール・フロントホール(※1))において、従来システムでは光ファイバが用いられることが一般的ですが、将来の移動通信ネットワークであるBeyond5G /6Gシステム(※2)では莫大な数の基地局が必要となるため、その一部を高速テラヘルツ無線が担うことが期待されています。本研究成果はBeyond5G/6Gネットワークへのテラヘルツ通信の適用可能性を示します。
【研究成果】
ドイツ・ブラウンシュヴァイク工科大学構内にて300GHz帯双方向リアルタイム伝送実験(伝送距離160m)を実施しました(図1、2参照)。双方向通信で実際のネットワークに接続可能な無線伝送装置の動作実証はこの帯域では世界初です。今回開発した無線伝送装置は8.64GHzx2の帯域幅を用いて、伝送速度20Gb/sx2(双方向)に対応しています。帯域幅の拡張により、さらなる高速化も可能です。また、通信規格IEEE802.15.3(※3)に準拠した信号形式での伝送実験にも成功しており、世界初の実証例となります。本規格は日欧連携で策定を主導したもので、バックホール・フロントホールへの適用可能性を示唆しています。
【研究プロジェクトについて】
本研究成果は欧州委員会のHorizon2020、および国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー))の委託研究「大容量アプリケーション向けテラヘルツエンドトゥーエンド無線システムの開発(ThoR: TeraHertz end-to-end wireless systems supporting ultra high data Rate applications)」(研究期間:2018年7月1日から2022年6月30日まで)の一環として実施したものです。6月29・30日開催のThoRプロジェクトの最終ワークショップ*にて、上記実験のデモンストレーションおよび研究成果の紹介をいたします。
*ThoRプロジェクトに関するワークショップを2022年6月29・30日にブラウンシュヴァイク工科大学(ハイブリッド形式)にて開催。詳細は以下のURLを参照下さい。
https://www.tu-braunschweig.de/ifn/institut/thor-and-meteracom-workshops#c792700
https://www.tu-braunschweig.de/fileadmin/Redaktionsgruppen/Institute_Fakultaet_5/IFN/bilderifn/Startseite/Agenda_ThoR.pdf
Agenda_ThoR.pdf
ThoR and Meteracom Workshops
【今後の展開】
早稲田大学、千葉工業大学、岐阜大学は ThoRプロジェクトの成果をベースとして日欧連携をさらに発展させ、テラヘルツ通信を用いたネットワーク実現を目指したNICTの委託研究「欧州との連携による300GHzテラヘルツネットワークの研究開発」を昨年度から実施しております。長期にわたり屋外で動作させることが可能な小型のテラヘルツ無線伝送装置を開発します。さらに、複数のテラヘルツ無線伝送装置を連携させ、悪天候時にもおいても安定的な高速データ伝送を可能とする技術を開発します。
【各機関の主な役割】
早稲田大学:研究の統括、ミリ波・テラヘルツ変換部の開発、悪天候時の性能解析
千葉工業大学:テラヘルツアンテナ・伝搬の評価
岐阜大学:伝送実験の統括、アンテナ評価
日本電気株式会社:ユースケース検討、テラヘルツ増幅器開発、悪天候時の性能解析
高速近接無線技術研究組合:ミリ波帯(60GHz帯IEEE802規格準拠)モジュール開発
ブラウンシュヴァイク工科大学:研究の統括、伝送シミュレーション、伝送実験
フラウンホーファー応用固体物理研究所:300GHz帯半導体デバイス製作
シュツットガルト大学:300GHz帯半導体デバイス設計、伝送実験
ドイツテレコム:システム構成検討、伝送実験
リール大学:光による基準信号発生、伝送システム構築
Siklu Communications:ミリ波帯(70/80GHz帯)モジュール開発
VIVID Components:研究管理、広報
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202206283132-O7-949uAX8g】 図2:ブラウンシュヴァイク工科大学構内建物屋上に設置された世界初の実データ伝送可能な双方向テラヘルツ無線装置 ブラウンシュヴァイク工科大学Thomas Kürner教授提供
【用語解説】
※1 バックホール・フロントホール
携帯電話の基地局間を結ぶネットワーク。バックホールは無線通信で伝送するデジタルデータをやりとりするネットワークを指す。フロントホールは無線機本体とアンテナを分離して狭いビルの屋上など様々なところにアンテナを置くことを可能とするために期待されている技術で、無線機本体で作られた電波の波形をアンテナまで伝える役割を担う。役割としてテレビ本体とアンテナをつなぐケーブルと同じであるが、要求される性能が高いため現在では光ファイバが用いられることが多い。
※2 Beyond5G/6G
最近サービスがはじまった移動通信システムは第5世代(5G)とよばれている。これに対して、次世代システムとしてBeyond5Gさらには 第6世代(6G)移動通信システムの開発が進められている。
※3 IEEE802.15.3規格
ブルートゥースや無線 LAN で有名な IEEE802 規格の 1 つ。