世界初、魚類環境RNAが環境DNAよりも分解されやすいと実証
[22/07/19]
提供元:共同通信PRワイヤー
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環境RNA技術を用いた生理生態調査の実現性が高まる
魚類環境RNAが環境DNAよりも
分解されやすいことを世界で初めて実証
龍谷大学先端理工学部 山中裕樹准教授らが
異なる環境条件下での魚類環境RNAの残存性を評価
環境RNA技術を用いた生理生態調査の実現性が高まる
本件のポイント
魚類由来の環境RNAの分解速度を異なる環境条件下で推定し、環境DNAの分解速度と比較
環境RNAは環境DNAよりも早く分解される傾向にあった一方、環境条件によっては環境DNAと同程度に長期間水中に残存し続けることが分かった
野外環境においても、魚類環境RNAは従来想定されていたよりも水中に多く存在している可能性があり、環境RNA技術を用いた生理生態調査の実現性が高まった
本件の概要
龍谷大学の徐(相馬)寿明博士(龍谷大学生物多様性科学研究センター(1))客員研究員/日本学術振興会特別研究員)および山中裕樹先端理工学部准教授(龍谷大学生物多様性科学研究センター兼任研究員)らの研究グループは、環境水中に浮遊する魚類由来のRNA(環境RNA)の分解速度を異なる水温およびpH条件下で推定し、魚類環境RNAが環境DNAよりも分解されやすいことを世界で初めて実証しました。
環境DNA技術は、水中のDNAを分析することで「どこにどんな生き物がどれくらい生息しているのか」を調べることができる、環境に優しくコスト効率的な生物調査手法として広く用いられつつあります。一方、環境RNAを用いた生物モニタリングの可能性もまた近年注目されつつあり、そのDNAとの物理化学的な性質の違いから、環境RNAは環境DNAよりも最近の生物情報や、生きた個体に由来する生物情報をもたらす可能性がありました。ゼブラフィッシュ(Danio rerio)を用いた大規模な水槽実験により、環境RNAは環境DNAよりも分解されやすいことが明らかとなった一方、環境条件によっては72時間以上も安定的に検出され続けたことから、従来想定されていたほどすぐに環境RNAは水中から検出されなくなるわけではないことが示唆されました。裏を返せば本発見は、従来想定されていたよりも魚類環境RNAが大量に水中に存在していることを示しており、環境RNA技術を用いた生理生態調査(どこにどんな生理状態の生き物がどれくらい生息しているか)の可能性を将来的に拡充する重要な基盤情報といえます。
本研究の成果は、データ解析と論文執筆を主導した徐さんと水槽実験を主導した釣健司さん(2020 年度 龍谷大学理工学研究科修士課程 修了)を共同筆頭著者として、オンライン科学誌Environmental DNA(Wiley社)で7月16日に公開されました。
1. 発表論文
タイトル: Warm temperature and alkaline conditions accelerate environmental RNA degradation
和訳:環境RNAの分解は温暖な水温かつアルカリ性条件下で促進される
掲載先:Environmental DNA (Wiley社)
URL:https://doi.org/10.1002/edn3.334
著者:徐(相馬)寿明、釣健司、廣原嵩也、山中裕樹(龍谷大学)
2. 本研究内容に関する問い合わせ先
龍谷大学先端理工学部 准教授
山中裕樹(やまなかひろき)
〒520-2194 滋賀県大津市瀬田大江町横谷1−5
電話番号:077-544-7113
E-mail: yamanaka@rins.ryukoku.ac.jp
研究室webサイト: http://edna-lab.org/
3. 研究内容の詳細
環境水中に残存する生体外DNA(環境DNA)から「どこにどんな生き物がどれくらい生息しているか」を推測する環境DNA技術(2))は、魚類などの大型生物を対象にここ10年ほどで急激な技術的発展を遂げています。対象生物を見たり捕まえたりすることなく「水から」検出できる簡便さから、生物多様性の観測や水産資源の管理に革命をもたらす技術として期待されており、社会実装に向けた動きも国内外で進んでいます。但し、環境DNAの放出ソースは様々で、生きた個体に限らず死んだ個体からも放出されます。また、川や池の底に沈んだ昔の環境DNAが何らかの理由で水中に再び懸濁することもありえますし、調査に用いた船や器具に付着したDNAが誤って混入することもあるでしょう。こうした「生きた個体に由来しない」環境DNAの検出は、時として生物分布に関する誤った解釈や生物量の推定バイアスをもたらします。そのため、「水から」の生物調査結果の正確性を向上させるために、より残存性の短いマーカーの開発や、検出された環境DNAの放出後時間の推定が求められていました。
環境RNA(環境水中に残存する生体外RNA)は、この課題を解決するための重要な鍵として近年注目されています。DNAに対してRNAは物理化学的に不安定な性質で、かつ環境中に広く存在するRNA分解酵素(RNase)によって簡単に分解されます。このことから環境RNAは、環境DNAよりも分解されやすく、それゆえに環境DNAよりも最近の生物情報、ならびに生きた個体に由来した生物情報を反映しやすい可能性が、幾つかの先行研究で示唆されています。しかしながら、魚類など大型生物の環境RNAの残存状態や分解メカニズム、そしてそれらに対する環境要因の影響は、環境DNAよりもさらに不足しており、実際に環境RNAの残存性が環境DNAと比べてどのように異なるのかはよく分かっていませんでした。
そこで本研究は、脊椎動物のモデル生物であるコイ科魚類のゼブラフィッシュ(Danio rerio)を用いた水槽実験を実施し、異なる水温(10、20、30℃)ならびにpH条件(4、7、10)間で環境DNAと環境RNAの分解速度を比較しました。各環境条件におかれたゼブラフィッシュの飼育水を経時的に採水し、フィルターろ過によって飼育水中の環境DNAおよび環境RNAを回収しました。核酸抽出、逆転写(3))処理などの後、環境DNAおよび環境RNA濃度をリアルタイムPCRによって測定し、その経時的な減少分からそれぞれの分解速度を推定しました。統計解析の結果、環境RNAは環境DNAよりも分解速度が高い傾向が見られましたが、それらの信頼区間は重なっており、従来想定されていたほど環境RNAの分解は早くないことが示唆されました。また、環境RNAは環境DNAと同様に高水温下で分解されやすくなった一方、pHの影響は核酸タイプ間でやや異なっており、これは核酸間の物理化学的性質やそれらを取り囲む膜構造などによるものだと考えられます。さらに、環境DNAに対する環境RNAの相対濃度(環境核酸比)は、時間経過に伴い減少する傾向にありました。このことは、環境DNAならびにRNAの放出後時間や新鮮さを表す指標として、環境核酸比が有効である可能性を示唆しています。
本研究は、世界で初めて魚類環境RNAの分解速度を推定しただけでなく、異なる環境要因からの影響評価、そして環境DNAとの残存性の違いを明らかにしました。一方で、環境RNAは従来想定されていたほどすぐに水中から検出されなくなるわけではなく、魚類環境RNAの水サンプルからの利用可能性は私たちの想定以上に高いことが期待されます。共同筆頭著者の釣氏は過去にも、ゼブラフィッシュの組織特異的に発現するメッセンジャーRNA(4))(mRNA)を水中から検出することに成功しており、本研究結果はそうした魚類環境RNAの水中での残存性の高さを支持しているといえます。とはいえ、魚類など大型生物の環境RNAの性質や動態に関する基礎情報は依然として不明なことが多く、本研究を始めとした基礎情報の蓄積が求められます。こうした基礎研究の積み重ねが、環境RNA技術を用いた生理生態調査(どこにどんな生理状態の生き物がどれくらい生息しているか)の実現につながることを強く期待しています。
4. 用語解説
(1))龍谷大学 生物多様性科学研究センター
2017年度開設の生物多様性科学研究センターは、これまで、生物種の検出のみならず、種内の遺伝的多様性も「水から」の分析を可能にしてきました。近年では種の存在のみならず「生物の状態」まで知ることを狙い、環境RNA分析も開始したことで、総合的な「環境核酸分析」へ発展しつつあります。これによりDNAだけではわからない、繁殖活動や病原菌への感染といった情報まで得られるようになると期待されています。本学の研究グループは、国内では最も早くから研究を始めており、世界的にも最古参に近いグループで、現在も世界をリードする研究を推し進めています。
(2))環境DNA技術
水や土などの環境媒体に含まれているDNA(環境DNA)の情報を基に、そこに生息する種の分布や多様性、量を推定する分析手法のこと。元々はバクテリアや菌類などの微生物を対象としてきましたが、魚類などの大型生物を対象とした分析技術の開発が過去10年ほどの間に急速に発展し、生物多様性観測における一般的な調査手法の一つになりつつあります。
(3))逆転写
RNAをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法で増幅させる場合、まずRNAを相補DNA(cDNA)に変換する必要があります。このRNAをcDNAに変換するステップを逆転写と呼びます。なお、サンプル内に元々含まれているゲノムDNAを誤って検出しないように、逆転写の前にゲノムDNAは全て除去されることが多くあります。
(4))メッセンジャーRNA
細胞内で特定のタンパク質が合成される際に、DNA上の遺伝子情報を基に一時的に合成される核酸物質のこと。mRNAとも。
5. 関連情報(山中研究室における研究の紹介記事)
●NewsPicks Brand Design(2020.03.10更新記事)「環境DNA」が可視化する生態系のビッグデータとは?
https://newspicks.com/news/4683978/body/
●本学ニュースセンター(2021.05.31更新記事)「環境DNA分析」はコップ1杯の水から 市民と連携した愛知川の生物多様性調査でサスティナブル(持続可能)な環境保全や漁場管理を推進
https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-8506.html
●本学ニュースセンター(2020.12.03更新記事)龍谷大学理工学研究科大学院生 釣健司さんらが魚類に由来するメッセンジャーRNAを水から検出することに成功 脊椎動物由来の環境RNAを対象としてmRNAの検出が可能であることを実証した初の報告例
https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-6646.html
================
龍谷大学は、1639年に京都・西本願寺に設けられた「学寮」に始まる9学部、1短期大学部、10研究科を擁する総合大学です。私たちは、「自省利他」を行動哲学として、地球規模で広がる課題に立ち向かい、社会の新しい可能性の追求に力を尽くしていきます。
魚類環境RNAが環境DNAよりも
分解されやすいことを世界で初めて実証
龍谷大学先端理工学部 山中裕樹准教授らが
異なる環境条件下での魚類環境RNAの残存性を評価
環境RNA技術を用いた生理生態調査の実現性が高まる
本件のポイント
魚類由来の環境RNAの分解速度を異なる環境条件下で推定し、環境DNAの分解速度と比較
環境RNAは環境DNAよりも早く分解される傾向にあった一方、環境条件によっては環境DNAと同程度に長期間水中に残存し続けることが分かった
野外環境においても、魚類環境RNAは従来想定されていたよりも水中に多く存在している可能性があり、環境RNA技術を用いた生理生態調査の実現性が高まった
本件の概要
龍谷大学の徐(相馬)寿明博士(龍谷大学生物多様性科学研究センター(1))客員研究員/日本学術振興会特別研究員)および山中裕樹先端理工学部准教授(龍谷大学生物多様性科学研究センター兼任研究員)らの研究グループは、環境水中に浮遊する魚類由来のRNA(環境RNA)の分解速度を異なる水温およびpH条件下で推定し、魚類環境RNAが環境DNAよりも分解されやすいことを世界で初めて実証しました。
環境DNA技術は、水中のDNAを分析することで「どこにどんな生き物がどれくらい生息しているのか」を調べることができる、環境に優しくコスト効率的な生物調査手法として広く用いられつつあります。一方、環境RNAを用いた生物モニタリングの可能性もまた近年注目されつつあり、そのDNAとの物理化学的な性質の違いから、環境RNAは環境DNAよりも最近の生物情報や、生きた個体に由来する生物情報をもたらす可能性がありました。ゼブラフィッシュ(Danio rerio)を用いた大規模な水槽実験により、環境RNAは環境DNAよりも分解されやすいことが明らかとなった一方、環境条件によっては72時間以上も安定的に検出され続けたことから、従来想定されていたほどすぐに環境RNAは水中から検出されなくなるわけではないことが示唆されました。裏を返せば本発見は、従来想定されていたよりも魚類環境RNAが大量に水中に存在していることを示しており、環境RNA技術を用いた生理生態調査(どこにどんな生理状態の生き物がどれくらい生息しているか)の可能性を将来的に拡充する重要な基盤情報といえます。
本研究の成果は、データ解析と論文執筆を主導した徐さんと水槽実験を主導した釣健司さん(2020 年度 龍谷大学理工学研究科修士課程 修了)を共同筆頭著者として、オンライン科学誌Environmental DNA(Wiley社)で7月16日に公開されました。
1. 発表論文
タイトル: Warm temperature and alkaline conditions accelerate environmental RNA degradation
和訳:環境RNAの分解は温暖な水温かつアルカリ性条件下で促進される
掲載先:Environmental DNA (Wiley社)
URL:https://doi.org/10.1002/edn3.334
著者:徐(相馬)寿明、釣健司、廣原嵩也、山中裕樹(龍谷大学)
2. 本研究内容に関する問い合わせ先
龍谷大学先端理工学部 准教授
山中裕樹(やまなかひろき)
〒520-2194 滋賀県大津市瀬田大江町横谷1−5
電話番号:077-544-7113
E-mail: yamanaka@rins.ryukoku.ac.jp
研究室webサイト: http://edna-lab.org/
3. 研究内容の詳細
環境水中に残存する生体外DNA(環境DNA)から「どこにどんな生き物がどれくらい生息しているか」を推測する環境DNA技術(2))は、魚類などの大型生物を対象にここ10年ほどで急激な技術的発展を遂げています。対象生物を見たり捕まえたりすることなく「水から」検出できる簡便さから、生物多様性の観測や水産資源の管理に革命をもたらす技術として期待されており、社会実装に向けた動きも国内外で進んでいます。但し、環境DNAの放出ソースは様々で、生きた個体に限らず死んだ個体からも放出されます。また、川や池の底に沈んだ昔の環境DNAが何らかの理由で水中に再び懸濁することもありえますし、調査に用いた船や器具に付着したDNAが誤って混入することもあるでしょう。こうした「生きた個体に由来しない」環境DNAの検出は、時として生物分布に関する誤った解釈や生物量の推定バイアスをもたらします。そのため、「水から」の生物調査結果の正確性を向上させるために、より残存性の短いマーカーの開発や、検出された環境DNAの放出後時間の推定が求められていました。
環境RNA(環境水中に残存する生体外RNA)は、この課題を解決するための重要な鍵として近年注目されています。DNAに対してRNAは物理化学的に不安定な性質で、かつ環境中に広く存在するRNA分解酵素(RNase)によって簡単に分解されます。このことから環境RNAは、環境DNAよりも分解されやすく、それゆえに環境DNAよりも最近の生物情報、ならびに生きた個体に由来した生物情報を反映しやすい可能性が、幾つかの先行研究で示唆されています。しかしながら、魚類など大型生物の環境RNAの残存状態や分解メカニズム、そしてそれらに対する環境要因の影響は、環境DNAよりもさらに不足しており、実際に環境RNAの残存性が環境DNAと比べてどのように異なるのかはよく分かっていませんでした。
そこで本研究は、脊椎動物のモデル生物であるコイ科魚類のゼブラフィッシュ(Danio rerio)を用いた水槽実験を実施し、異なる水温(10、20、30℃)ならびにpH条件(4、7、10)間で環境DNAと環境RNAの分解速度を比較しました。各環境条件におかれたゼブラフィッシュの飼育水を経時的に採水し、フィルターろ過によって飼育水中の環境DNAおよび環境RNAを回収しました。核酸抽出、逆転写(3))処理などの後、環境DNAおよび環境RNA濃度をリアルタイムPCRによって測定し、その経時的な減少分からそれぞれの分解速度を推定しました。統計解析の結果、環境RNAは環境DNAよりも分解速度が高い傾向が見られましたが、それらの信頼区間は重なっており、従来想定されていたほど環境RNAの分解は早くないことが示唆されました。また、環境RNAは環境DNAと同様に高水温下で分解されやすくなった一方、pHの影響は核酸タイプ間でやや異なっており、これは核酸間の物理化学的性質やそれらを取り囲む膜構造などによるものだと考えられます。さらに、環境DNAに対する環境RNAの相対濃度(環境核酸比)は、時間経過に伴い減少する傾向にありました。このことは、環境DNAならびにRNAの放出後時間や新鮮さを表す指標として、環境核酸比が有効である可能性を示唆しています。
本研究は、世界で初めて魚類環境RNAの分解速度を推定しただけでなく、異なる環境要因からの影響評価、そして環境DNAとの残存性の違いを明らかにしました。一方で、環境RNAは従来想定されていたほどすぐに水中から検出されなくなるわけではなく、魚類環境RNAの水サンプルからの利用可能性は私たちの想定以上に高いことが期待されます。共同筆頭著者の釣氏は過去にも、ゼブラフィッシュの組織特異的に発現するメッセンジャーRNA(4))(mRNA)を水中から検出することに成功しており、本研究結果はそうした魚類環境RNAの水中での残存性の高さを支持しているといえます。とはいえ、魚類など大型生物の環境RNAの性質や動態に関する基礎情報は依然として不明なことが多く、本研究を始めとした基礎情報の蓄積が求められます。こうした基礎研究の積み重ねが、環境RNA技術を用いた生理生態調査(どこにどんな生理状態の生き物がどれくらい生息しているか)の実現につながることを強く期待しています。
4. 用語解説
(1))龍谷大学 生物多様性科学研究センター
2017年度開設の生物多様性科学研究センターは、これまで、生物種の検出のみならず、種内の遺伝的多様性も「水から」の分析を可能にしてきました。近年では種の存在のみならず「生物の状態」まで知ることを狙い、環境RNA分析も開始したことで、総合的な「環境核酸分析」へ発展しつつあります。これによりDNAだけではわからない、繁殖活動や病原菌への感染といった情報まで得られるようになると期待されています。本学の研究グループは、国内では最も早くから研究を始めており、世界的にも最古参に近いグループで、現在も世界をリードする研究を推し進めています。
(2))環境DNA技術
水や土などの環境媒体に含まれているDNA(環境DNA)の情報を基に、そこに生息する種の分布や多様性、量を推定する分析手法のこと。元々はバクテリアや菌類などの微生物を対象としてきましたが、魚類などの大型生物を対象とした分析技術の開発が過去10年ほどの間に急速に発展し、生物多様性観測における一般的な調査手法の一つになりつつあります。
(3))逆転写
RNAをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法で増幅させる場合、まずRNAを相補DNA(cDNA)に変換する必要があります。このRNAをcDNAに変換するステップを逆転写と呼びます。なお、サンプル内に元々含まれているゲノムDNAを誤って検出しないように、逆転写の前にゲノムDNAは全て除去されることが多くあります。
(4))メッセンジャーRNA
細胞内で特定のタンパク質が合成される際に、DNA上の遺伝子情報を基に一時的に合成される核酸物質のこと。mRNAとも。
5. 関連情報(山中研究室における研究の紹介記事)
●NewsPicks Brand Design(2020.03.10更新記事)「環境DNA」が可視化する生態系のビッグデータとは?
https://newspicks.com/news/4683978/body/
●本学ニュースセンター(2021.05.31更新記事)「環境DNA分析」はコップ1杯の水から 市民と連携した愛知川の生物多様性調査でサスティナブル(持続可能)な環境保全や漁場管理を推進
https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-8506.html
●本学ニュースセンター(2020.12.03更新記事)龍谷大学理工学研究科大学院生 釣健司さんらが魚類に由来するメッセンジャーRNAを水から検出することに成功 脊椎動物由来の環境RNAを対象としてmRNAの検出が可能であることを実証した初の報告例
https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-6646.html
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