<日本歯内療法学会 ニュースレターvol.8>歯がしみた時どうしている?「患者さんの歯がしみる痛み」調査
[22/09/28]
提供元:共同通信PRワイヤー
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最近1カ月歯がしみた人の43.4%は知覚過敏と判断、歯がしみた人の32%は「知覚過敏と思ったら虫歯」の経験有
2022年9月28日
一般社団法人日本歯内療法学会
一般社団法人 日本歯内療法学会(所在地:東京都豊島区、理事長:佐久間克哉)は、気温が下がるにつれて感じることが増える「歯がしみる痛み」に関するアンケート調査を20〜50代の560名を対象に実施いたしました。
今回の調査を通じて、歯がしみる経験を持つ方は65.4%、そのうち1ヶ月以内に歯がしみた方は41.5%でした。日常的に歯がしみている方が多いことがわかりました。そのうち43.4%がその原因を「知覚過敏」と思っており、50.0%が何も対処していませんでした。また、過去に歯がしみる経験を持つ方のうち32.0%が知覚過敏と思っていたら歯科医に虫歯と診断された経験をお持ちです。
「歯がしみる痛み」は歯の神経(歯髄)が何かの原因で刺激を感知していることです。原因は、加齢で歯肉が下がること、歯のすり減り、治療済の箇所が敏感になっていること等の原因が考えられ、「知覚過敏」としても知られています。一方で、虫歯が原因となっていることもあり、虫歯を「知覚過敏」として思い込んだ結果、齲蝕が悪化し、最悪の場合は歯の神経(歯髄)にまで達してしまうケースもあります。歯の神経を取る処置(抜髄)をしてしまうと、痛みを感じる機能の喪失にも繋がります。「歯がしみた」と感じたら、ご自身での判断に頼らず歯科医に見ていただくことをお薦めします。
(1) 1ヶ月以内に歯がしみた人の43.4%は原因を知覚過敏と予想、また、何も対処しない人は50.0%
・過去に歯がしみる体験をした人は全体で 65.4%と多数
・そのうち1ヶ月以内で経験をした人は41.5%、頻度は「毎日しみる」は18.4%、「1週間に4〜6回程度」は19.7%
・ 歯がしみるシーンは「冷たい食べものを食べた時」67.1%、「冷たい飲みものを飲んだ時」63.8%が上位
・ 歯がしみた際の対処は「何もしなかった」50.0%、「知覚過敏用などの歯磨き粉を変えた」が23.7%
・ 歯がしみた原因の予想は「知覚過敏」43.4%、「歯周病・歯槽膿漏」13.2%、「虫歯」12.5%と知覚過敏が多い
(2) 知覚過敏と思ったら虫歯と診断された体験を持つ人32.0%
・ 過去に歯がしみる体験をした人のうち知覚過敏と思っていたら、歯科医に虫歯と診断された経験を持つ人は32.0%
(3) 虫歯か知覚過敏か、原因を歯科医師によって特定し適切な処置が必要
・ 何かの原因で象牙質が露出すると歯髄が刺激を感知しやすくなる
・ 歯がしみる痛みの原因は知覚過敏だけでなく、虫歯や歯の神経の炎症(歯髄炎)によるものもある
・ 虫歯が進み歯の神経(歯髄)を抜く(抜髄)に至る場合もある
・ 自身で原因を特定せずに歯科医の診断で適切な処置を施すことが重要
「患者さんの歯がしみる痛み」意識調査
■歯がしみる経験を持つ方のうち、41.5%が1カ月以内に歯がしみており、日常的な体験となっている
Q1. 今までに歯がしみる痛みを体験したことがありますか?
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202209277271-O1-6SbZwLj3】
Q2. この1ヶ月以内に歯がしみる体験をしましたか?※対象Q1「はい」
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202209277271-O2-gD9BY78o】
Q3. どのくらいの頻度で歯がしみますか? ※対象Q2「はい」
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202209277271-O3-jnM8UL2u】
Q4. どういった時に歯がしみますか?(複数回答) ※対象Q2「はい」
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202209277271-O4-L01F4Jq2】
■過去1カ月で歯がしみて、何も対処しなかった人は50%と半数にのぼった
Q5. 歯がしみた際にどういった対処を行いましたか?(単一回答) ※対象Q2「はい」
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202209277271-O5-VD13Q242】
■更に歯がしみた原因の予想は「知覚過敏」が43.4%だった
Q6. 歯がしみた際に原因は何と思いましたか?(単一回答) ※対象Q2「はい」
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202209277271-O11-5s3DGf9C】
■また、過去に歯がしみた経験を持つ方のうち32%が、「知覚過敏」と思ったが歯科医に虫歯と診断された経験を持つ
Q7. 歯がしみる痛みを知覚過敏と思っていたら、歯科医に虫歯と診断された体験はありますか?
※対象Q1「はい」
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202209277271-O7-9N8DhOyK】
【調査概要】
調査主体:一般社団法人 日本歯内療法学会
調査対象:20〜50代以上の計560人
(20代、30代、40代、50代を男女に分け、それぞれ70名を調査、「医療、福祉」、「メディア・マスコミ・広告業」の方は除く)
調査方法:WEBアンケート
調査時期:2022年09月09日(金) 〜 2022年09月12日(月)
歯がしみる痛みが伝わる仕組み
私たちの歯は表面のエナメル質、象牙質、歯の神経である歯髄の層で成り立っています。エナメル質を通じて痛みを感じることはほとんどありません。しかし、何かの原因で象牙質が露出すると歯髄が刺激を感知しやすくなります。冷たい飲み物、食べ物を口にしたとき、しみるような歯の痛みを感じるのは、こうしたことが主な原因です。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202209277271-O8-41U2r5H5】
象牙質が露出してしまう要因がありますので、以下でご紹介いたします。
■象牙質が露出する主な要因
<知覚過敏>
以上は「知覚過敏」は虫歯や歯の神経(歯髄)の炎症等の症状がない場合に感じる一過性の痛みを指します。その原因は主に以下に示すような事象が考えられます。
(1) 加齢で歯肉が下がる
歯の歯肉の覆われている部分はエナメル質がありません。また歯肉は加齢で徐々に下がっていくといった特徴があります。その結果、エナメル質が覆われてないところまで下がると痛みを感じるようになります。
(2) 歯の破折
歯が強い衝撃を受け、折れたり欠けたりすることで象牙質が露出することもあります。また、歯に亀裂が入り細菌が歯髄まで到達し、歯髄が炎症することもあります。
(3) 象牙質の摩耗、酸性飲料や食品による溶解
個人差がありますが長年歯を使っていれば、少しずつエナメル質が擦り減っていきます。また、pH5.5程度より低い酸度を持つ食べ物を長時間口にしたり、高い頻度で口にするとエナメル質を溶かす可能性もあります。
(4) 治療済の歯が痛む
歯を削る治療を施した後、痛む場合もあります。治療直後は歯の神経が敏感になっているため、数日痛みを感じる場合があり、長期間にわたる場合は歯科医の診断をお薦めします。また、銀歯は材料が金属のため、プラスチックやセラミックの素材よりも熱の伝わりが良く、しみる人もいます。
象牙質には最表層部から歯髄まで繋がる、象牙細管という無数の管状構造物が存在します。加齢とともに象牙細管は塞がる傾向があり、そうした場合は痛みが感じにくくなります。また、(3)の場合は症状が軽微であれば歯の再石灰化で解消される場合もありますが、必ずしもセルフケアだけで改善できる訳ではないので、歯科医の診断を受けて適切な処置を施すことが重要と言えます。
<虫歯・歯髄炎>
歯が菌によってエナメル質が齲蝕され象牙質が露出すると痛みを感じます。また最悪の場合、歯髄までに齲蝕が進み炎症を起こす歯髄炎に至る場合もあります。歯髄炎は歯の神経(歯髄)を抜く処置が必要になることもあります。虫歯の初期は痛みが感じにくく、「知覚過敏」と認識してしまい処置が遅れる場合もあります。また、大人になると歯肉のエナメル質がない箇所や歯の詰め物の間から齲蝕が始まるなど、見た目には気づきにくい虫歯も多くあります。さらに、痛みを放置し齲蝕が歯の内部まで進むと「歯内療法」の処置が必要となります。現在では歯を丈夫にしたり、痛みを知らせる役割を持つ歯の神経(歯髄)を保存することが重要視されています。しみる痛みをご自身だけで原因を特定せず歯科医の診断で適切な処置を施すことが重要と言えます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202209277271-O9-QH27OSOB】
歯内療法とは
■多くの人が治療を受けたことがある「歯内療法」
「歯内療法」とは、自分の歯をできるだけ抜かずに治療することを目的とした治療の総称で、「歯の根の治療」「神経を抜く」と言われる治療も歯内療法の範囲です。特に歯の根の深くにアプローチする治療を「根管治療」と言います。
「歯内療法」は多くの方が受けたことのある基本的かつ身近な治療法ですが、根管の径は1ミリメートル以下の細い管で、形態は様々で非常に複雑なため、歯内療法には高度な技術が要求されます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202209277271-O10-hCo9x81L】
日本歯内療法学会からのメッセージ
今回のアンケートでは、歯がしみる経験を持つ方の32%が、知覚過敏と思っていたら歯科医に虫歯と診断された経験を持つという興味深い結果となりました。「歯がしみた」と感じたら、ご自身の判断に頼らず歯科医の受診をお薦めします。
虫歯が進行して歯髄(歯の神経)まで達してしまうと歯髄を取る治療を行います。歯髄には神経の他に血管やリンパ管などが通っていて歯に栄養を与えています。歯髄を取ってしまうと歯が栄養を得られなくなり歯が弱く、欠けたり、変色しやすくなります。歯髄(歯の神経)を守る対策は日々歯のケアを怠らないこと、定期的な歯科健診で歯の状態をチェックすること、また普段の生活で歯に痛みを感じたら、放置せず早期に歯科医師へ相談し、必要に応じて治療を行うことです。
日本歯内療法学会会員の歯科医師たちは、歯髄を守ることを第一に考え、虫歯を早期に発見し成功率の高い高度な治療をご提供いたします。また当学会はさらなる研鑽を積み、症例審査、筆記試験、並びに口頭試問を通過した会員に「専門医」の資格を与え、国民が「専門医」を受診し易いように学会のホームページにその名簿を公開しております。
日本歯内療法学会HP(http://www.jea.gr.jp/ippan/index-6.shtml)
日本歯内療法学会 概要
■名 称 : 一般社団法人日本歯内療法学会(Japan Endodontic Association)
■理事長 : 佐久間克哉
■所在地 : 〒170-0003 東京都豊島区駒込1-43-9 駒込TSビル
【設立経緯】
1960〜70年代は世界的に歯科医学の研究教育ともに画期的に飛躍をとげた時代と思われる。日本の歯科大学においても教育内容の充実に目覚ましいものがあった。しかしながら、開業医の臨床の実態はかなりかけ離れているのが実情であった。
当時日系二世の歯科医W.T.Wakaiが歯内療法専門医としてハワイにおいて開業していた。彼はのちにアメリカ歯科医師会の副会長にノミネートされた指導的人物であった。彼は母国日本の実態を理解していたので、日本も世界の水準に遅れないように歯内療法学会を設立しなければならないと、識者に呼び掛けていた。この時期に大谷歯内療法研究会の存在が彼の目にとまった。この研究会が学会設立の中枢になりうるものと考え強くこれを要請した。かくして日本国内外にも学会設立の気運が高まり、学会設立の呼び掛けに応じた臨床医グループがこれに加わり、多数の大学の歯科保存学の関係者の賛同を得て1980年(昭和55年)1月に日本歯内療法協会が設立され発足した。(学会名称は昭和55年1月26日より平成5年6月12日までは日本歯内療法協会、平成 5年6月12日より平成14年7月20日までは日本臨床歯内療法学会、以後日本歯内療法学会と改称した)
現在では、大学の先生方の参加が増え開業医主体であった会も研究者の発言、指導が取り入れられ、臨学一体となった当初の理念に近づいている。特に学術大会、セミナー、学会誌等は大学の教室単位の協力を得て充実して行われている。
【学会設立の趣旨】
歯内療法の基礎と臨床を研究し、正しい歯内療法を実践することにより国民の福祉と健康に貢献する。
【学会設立以降の主な活動】
1.会員制度の確立(一般会員、準会員)
2.年一回の総会ならびに学術大会開催
3.平成6年以降、専門医セミナー秋期1回開催
4.学会認定専門医、指導医制度の制定
5.協力団体設立支援
2022年9月28日
一般社団法人日本歯内療法学会
一般社団法人 日本歯内療法学会(所在地:東京都豊島区、理事長:佐久間克哉)は、気温が下がるにつれて感じることが増える「歯がしみる痛み」に関するアンケート調査を20〜50代の560名を対象に実施いたしました。
今回の調査を通じて、歯がしみる経験を持つ方は65.4%、そのうち1ヶ月以内に歯がしみた方は41.5%でした。日常的に歯がしみている方が多いことがわかりました。そのうち43.4%がその原因を「知覚過敏」と思っており、50.0%が何も対処していませんでした。また、過去に歯がしみる経験を持つ方のうち32.0%が知覚過敏と思っていたら歯科医に虫歯と診断された経験をお持ちです。
「歯がしみる痛み」は歯の神経(歯髄)が何かの原因で刺激を感知していることです。原因は、加齢で歯肉が下がること、歯のすり減り、治療済の箇所が敏感になっていること等の原因が考えられ、「知覚過敏」としても知られています。一方で、虫歯が原因となっていることもあり、虫歯を「知覚過敏」として思い込んだ結果、齲蝕が悪化し、最悪の場合は歯の神経(歯髄)にまで達してしまうケースもあります。歯の神経を取る処置(抜髄)をしてしまうと、痛みを感じる機能の喪失にも繋がります。「歯がしみた」と感じたら、ご自身での判断に頼らず歯科医に見ていただくことをお薦めします。
(1) 1ヶ月以内に歯がしみた人の43.4%は原因を知覚過敏と予想、また、何も対処しない人は50.0%
・過去に歯がしみる体験をした人は全体で 65.4%と多数
・そのうち1ヶ月以内で経験をした人は41.5%、頻度は「毎日しみる」は18.4%、「1週間に4〜6回程度」は19.7%
・ 歯がしみるシーンは「冷たい食べものを食べた時」67.1%、「冷たい飲みものを飲んだ時」63.8%が上位
・ 歯がしみた際の対処は「何もしなかった」50.0%、「知覚過敏用などの歯磨き粉を変えた」が23.7%
・ 歯がしみた原因の予想は「知覚過敏」43.4%、「歯周病・歯槽膿漏」13.2%、「虫歯」12.5%と知覚過敏が多い
(2) 知覚過敏と思ったら虫歯と診断された体験を持つ人32.0%
・ 過去に歯がしみる体験をした人のうち知覚過敏と思っていたら、歯科医に虫歯と診断された経験を持つ人は32.0%
(3) 虫歯か知覚過敏か、原因を歯科医師によって特定し適切な処置が必要
・ 何かの原因で象牙質が露出すると歯髄が刺激を感知しやすくなる
・ 歯がしみる痛みの原因は知覚過敏だけでなく、虫歯や歯の神経の炎症(歯髄炎)によるものもある
・ 虫歯が進み歯の神経(歯髄)を抜く(抜髄)に至る場合もある
・ 自身で原因を特定せずに歯科医の診断で適切な処置を施すことが重要
「患者さんの歯がしみる痛み」意識調査
■歯がしみる経験を持つ方のうち、41.5%が1カ月以内に歯がしみており、日常的な体験となっている
Q1. 今までに歯がしみる痛みを体験したことがありますか?
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202209277271-O1-6SbZwLj3】
Q2. この1ヶ月以内に歯がしみる体験をしましたか?※対象Q1「はい」
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202209277271-O2-gD9BY78o】
Q3. どのくらいの頻度で歯がしみますか? ※対象Q2「はい」
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202209277271-O3-jnM8UL2u】
Q4. どういった時に歯がしみますか?(複数回答) ※対象Q2「はい」
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202209277271-O4-L01F4Jq2】
■過去1カ月で歯がしみて、何も対処しなかった人は50%と半数にのぼった
Q5. 歯がしみた際にどういった対処を行いましたか?(単一回答) ※対象Q2「はい」
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202209277271-O5-VD13Q242】
■更に歯がしみた原因の予想は「知覚過敏」が43.4%だった
Q6. 歯がしみた際に原因は何と思いましたか?(単一回答) ※対象Q2「はい」
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202209277271-O11-5s3DGf9C】
■また、過去に歯がしみた経験を持つ方のうち32%が、「知覚過敏」と思ったが歯科医に虫歯と診断された経験を持つ
Q7. 歯がしみる痛みを知覚過敏と思っていたら、歯科医に虫歯と診断された体験はありますか?
※対象Q1「はい」
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202209277271-O7-9N8DhOyK】
【調査概要】
調査主体:一般社団法人 日本歯内療法学会
調査対象:20〜50代以上の計560人
(20代、30代、40代、50代を男女に分け、それぞれ70名を調査、「医療、福祉」、「メディア・マスコミ・広告業」の方は除く)
調査方法:WEBアンケート
調査時期:2022年09月09日(金) 〜 2022年09月12日(月)
歯がしみる痛みが伝わる仕組み
私たちの歯は表面のエナメル質、象牙質、歯の神経である歯髄の層で成り立っています。エナメル質を通じて痛みを感じることはほとんどありません。しかし、何かの原因で象牙質が露出すると歯髄が刺激を感知しやすくなります。冷たい飲み物、食べ物を口にしたとき、しみるような歯の痛みを感じるのは、こうしたことが主な原因です。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202209277271-O8-41U2r5H5】
象牙質が露出してしまう要因がありますので、以下でご紹介いたします。
■象牙質が露出する主な要因
<知覚過敏>
以上は「知覚過敏」は虫歯や歯の神経(歯髄)の炎症等の症状がない場合に感じる一過性の痛みを指します。その原因は主に以下に示すような事象が考えられます。
(1) 加齢で歯肉が下がる
歯の歯肉の覆われている部分はエナメル質がありません。また歯肉は加齢で徐々に下がっていくといった特徴があります。その結果、エナメル質が覆われてないところまで下がると痛みを感じるようになります。
(2) 歯の破折
歯が強い衝撃を受け、折れたり欠けたりすることで象牙質が露出することもあります。また、歯に亀裂が入り細菌が歯髄まで到達し、歯髄が炎症することもあります。
(3) 象牙質の摩耗、酸性飲料や食品による溶解
個人差がありますが長年歯を使っていれば、少しずつエナメル質が擦り減っていきます。また、pH5.5程度より低い酸度を持つ食べ物を長時間口にしたり、高い頻度で口にするとエナメル質を溶かす可能性もあります。
(4) 治療済の歯が痛む
歯を削る治療を施した後、痛む場合もあります。治療直後は歯の神経が敏感になっているため、数日痛みを感じる場合があり、長期間にわたる場合は歯科医の診断をお薦めします。また、銀歯は材料が金属のため、プラスチックやセラミックの素材よりも熱の伝わりが良く、しみる人もいます。
象牙質には最表層部から歯髄まで繋がる、象牙細管という無数の管状構造物が存在します。加齢とともに象牙細管は塞がる傾向があり、そうした場合は痛みが感じにくくなります。また、(3)の場合は症状が軽微であれば歯の再石灰化で解消される場合もありますが、必ずしもセルフケアだけで改善できる訳ではないので、歯科医の診断を受けて適切な処置を施すことが重要と言えます。
<虫歯・歯髄炎>
歯が菌によってエナメル質が齲蝕され象牙質が露出すると痛みを感じます。また最悪の場合、歯髄までに齲蝕が進み炎症を起こす歯髄炎に至る場合もあります。歯髄炎は歯の神経(歯髄)を抜く処置が必要になることもあります。虫歯の初期は痛みが感じにくく、「知覚過敏」と認識してしまい処置が遅れる場合もあります。また、大人になると歯肉のエナメル質がない箇所や歯の詰め物の間から齲蝕が始まるなど、見た目には気づきにくい虫歯も多くあります。さらに、痛みを放置し齲蝕が歯の内部まで進むと「歯内療法」の処置が必要となります。現在では歯を丈夫にしたり、痛みを知らせる役割を持つ歯の神経(歯髄)を保存することが重要視されています。しみる痛みをご自身だけで原因を特定せず歯科医の診断で適切な処置を施すことが重要と言えます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202209277271-O9-QH27OSOB】
歯内療法とは
■多くの人が治療を受けたことがある「歯内療法」
「歯内療法」とは、自分の歯をできるだけ抜かずに治療することを目的とした治療の総称で、「歯の根の治療」「神経を抜く」と言われる治療も歯内療法の範囲です。特に歯の根の深くにアプローチする治療を「根管治療」と言います。
「歯内療法」は多くの方が受けたことのある基本的かつ身近な治療法ですが、根管の径は1ミリメートル以下の細い管で、形態は様々で非常に複雑なため、歯内療法には高度な技術が要求されます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202209277271-O10-hCo9x81L】
日本歯内療法学会からのメッセージ
今回のアンケートでは、歯がしみる経験を持つ方の32%が、知覚過敏と思っていたら歯科医に虫歯と診断された経験を持つという興味深い結果となりました。「歯がしみた」と感じたら、ご自身の判断に頼らず歯科医の受診をお薦めします。
虫歯が進行して歯髄(歯の神経)まで達してしまうと歯髄を取る治療を行います。歯髄には神経の他に血管やリンパ管などが通っていて歯に栄養を与えています。歯髄を取ってしまうと歯が栄養を得られなくなり歯が弱く、欠けたり、変色しやすくなります。歯髄(歯の神経)を守る対策は日々歯のケアを怠らないこと、定期的な歯科健診で歯の状態をチェックすること、また普段の生活で歯に痛みを感じたら、放置せず早期に歯科医師へ相談し、必要に応じて治療を行うことです。
日本歯内療法学会会員の歯科医師たちは、歯髄を守ることを第一に考え、虫歯を早期に発見し成功率の高い高度な治療をご提供いたします。また当学会はさらなる研鑽を積み、症例審査、筆記試験、並びに口頭試問を通過した会員に「専門医」の資格を与え、国民が「専門医」を受診し易いように学会のホームページにその名簿を公開しております。
日本歯内療法学会HP(http://www.jea.gr.jp/ippan/index-6.shtml)
日本歯内療法学会 概要
■名 称 : 一般社団法人日本歯内療法学会(Japan Endodontic Association)
■理事長 : 佐久間克哉
■所在地 : 〒170-0003 東京都豊島区駒込1-43-9 駒込TSビル
【設立経緯】
1960〜70年代は世界的に歯科医学の研究教育ともに画期的に飛躍をとげた時代と思われる。日本の歯科大学においても教育内容の充実に目覚ましいものがあった。しかしながら、開業医の臨床の実態はかなりかけ離れているのが実情であった。
当時日系二世の歯科医W.T.Wakaiが歯内療法専門医としてハワイにおいて開業していた。彼はのちにアメリカ歯科医師会の副会長にノミネートされた指導的人物であった。彼は母国日本の実態を理解していたので、日本も世界の水準に遅れないように歯内療法学会を設立しなければならないと、識者に呼び掛けていた。この時期に大谷歯内療法研究会の存在が彼の目にとまった。この研究会が学会設立の中枢になりうるものと考え強くこれを要請した。かくして日本国内外にも学会設立の気運が高まり、学会設立の呼び掛けに応じた臨床医グループがこれに加わり、多数の大学の歯科保存学の関係者の賛同を得て1980年(昭和55年)1月に日本歯内療法協会が設立され発足した。(学会名称は昭和55年1月26日より平成5年6月12日までは日本歯内療法協会、平成 5年6月12日より平成14年7月20日までは日本臨床歯内療法学会、以後日本歯内療法学会と改称した)
現在では、大学の先生方の参加が増え開業医主体であった会も研究者の発言、指導が取り入れられ、臨学一体となった当初の理念に近づいている。特に学術大会、セミナー、学会誌等は大学の教室単位の協力を得て充実して行われている。
【学会設立の趣旨】
歯内療法の基礎と臨床を研究し、正しい歯内療法を実践することにより国民の福祉と健康に貢献する。
【学会設立以降の主な活動】
1.会員制度の確立(一般会員、準会員)
2.年一回の総会ならびに学術大会開催
3.平成6年以降、専門医セミナー秋期1回開催
4.学会認定専門医、指導医制度の制定
5.協力団体設立支援