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国語辞典『大辞泉』が選ぶ今年の新語大賞は【キーウ】に決定!次点は【国葬儀】と【メタバース】に。

一般の方々から寄せられた総数1,838本の投稿から選出いたしました。

2022年12月1日
株式会社小学館

一般の方々から寄せられた総数1,838本の投稿から選出!
国語辞典『大辞泉』が選んだ「新語大賞2022」を発表!
寄せられた新語のいくつかは『デジタル大辞泉』に採録します。
特別選考委員として明治大学の田中牧郎教授にご参加いただきました。

株式会社 小学館(本社:東京都千代田区)の国語辞典『大辞泉』編集部は、明治大学国際日本学部の田中牧郎教授(大辞泉編集協力者)をお招きし、一般の方々より寄せられた1,838本の投稿の中から「大辞泉が選ぶ新語大賞2022」を選定したことをお知らせいたします。

■ 「大辞泉が選ぶ新語大賞 2022」はこの言葉に決定いたしました!

 大賞 =【キーウ】

ウクライナの首都。同国中北部、ドニプロ川中流に沿う工業都市。精密機械工業が発達。
9〜13世紀にキーウ公国の首都として繁栄。ギリシャ正教教会などの名所・旧跡が多い。
キーフ。ロシア語名キエフ。 

次点=【国葬儀】

国葬のようで国葬でない葬儀。 ※まここしゃんさん投稿の語釈

次点=【メタバース】

《meta(超越した)とuniverse(世界)の合成語》 インターネット上に構築される仮想の三次元空間。
利用者はアバターとよばれる分身を操作して空間内を移動し、他の参加者と交流する。

※大賞【キーウ】と次点【メタバース】の語釈は今年既に『デジタル大辞泉』に立項済みです。
※次点【国葬儀】の語釈は一般から投稿されたものです。今後、編集部で立項の採否を検討し、立項する場合は、執筆陣による語釈が『デジタル大辞泉』に採録されます。

 
◆投稿数ベスト10は以下の通りです。
第1位 【2世信者/宗教2世】83本
第2位 【メタバース】         77本
第3位 【知らんけど】    62本
第4位 【顔パンツ】     51本
第5位 【ととのう】     37本
第6位 【ウクライナ侵攻】  24本
第7位 【大谷ルール】    16本
第8位 【国葬儀】      15本
第9位 【インボイス制度】  12本
同9位 【おじさん構文】   12本

※【マスク美人】【推し活】も上位でしたが、昨年も投稿数ベスト10入りしていたので除外しました。
【ととのう】は一般的な「整う」でなく、サウナで爽快になるという意味での投稿でした。

◆詳しくは新語大賞発表ページ http://www.daijisen.jp/shingo/ をご参照ください!

 
■ 特別選考委員・田中牧郎教授による選評

◆総論◆ コロナ新語は出尽くし? しかし代わって登場の新語も暗い世相を反映――

 1,838件いただいた投稿から、今年は34の言葉を月間賞としました(ページ下方参照)。振り返ると、コロナ関連は【匿顔】【顔パンツ】【黙撮】と軽めの3語のみ。新型コロナは今年も第6、7波を引き起こし、第8波が懸念される今も「収束した」と言える状況ではありません。しかし、一般で話題になる機会は減っているように感じます。ここ2年半で「コロナ語彙からの新語」は、ひとまず出尽くしたのではないでしょうか。
 代わって今年は、国内外で戦争と暗殺という大事件が発生しました。しかし、どちらも「21世紀の今なお、こんな惨事が!」と、私たちを過去に引き戻すかのような出来事であり、それゆえ、全く未知の新語が生まれる要素は少なかったようです。【宗教2世】【非ナチ化】などに月間賞を差し上げましたが、厳密には新語とは言い難いでしょう。暗い言葉を選ぶのは、これっきりにしたいと願わずにはいられません。

◆大賞◆ 【キエフ】から【キーウ】への変更がもたらした「新語」体験――

「地名が新語?」しかも「新しい街でなく、古くからの首都でしょ?」と、違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、編集部との協議の末、ウクライナ語の【キーウ】は日本では「新語」にあたるとして、今年の大辞泉新語大賞としました。日本の外務省は、ウクライナ侵攻の約1か月後、これまで使っていたロシア語の呼称【キエフ】からの変更を決め、マスコミ各社も追従しました。ウクライナ政府は以前から同国語で呼ぶよう求めていましたが、日本政府は対応していませんでした。今回の変更は、侵攻への非難を込めた異例の即決だったと言えます。ただ、ウクライナ語のドニプロ川(ロシア語ではドニエプル川)など、両国にまたがるものはどう呼ぶのかなど、日本全体のコンセンサスは未形成です。こういった課題を残しつつ、今年、「ことばが動く・変わる」ことを端的に示したトピックとして、大賞としました。

◆次点◆ 【国葬】と【国葬儀】の違い、辞書は今後、どう示せるか―

民ともに呼称が統一されているのに対し、マスコミの多くは【国葬】としており、食い違いが生じています。【国葬】はもちろん大辞泉に既存なので新語ではありません。一方、【国葬儀】は知りうる限り全ての国語辞典に載っていません。「国葬は弔意を国民に強いるもので、その意図は無いことを言い逃れるための造語だ」と、批判する声もありますが、1967年の吉田茂元総理の葬儀も【国葬儀】だったので、今年生まれた造語ではありません。辞書には載っていない極めて不思議な言葉で、岸田首相もその違いについて「一概にお答えすることは困難」と答えています。しかし、国によって2回も行われた行事を、辞書が立項しないわけにはいきません。現在、私たち大辞泉執筆陣・編集部が大いに頭を悩ませているところです。

◆次点◆ 新たな価値を生み出してほしい、【メタバース】に期待―
【メタバース】は、昨年ごろから目に付くようになり、今年、大いに語られた言葉です。約20年前の【セカンドライフ】との違いがよくわかりませんが、ネットの単なる「見せ方のひとつ」にとどまらず、「場」自体が売買され価値を生み出す仕組みがあるとのこと。今後どうなるかは未知数ですが、せめて1つは前向きな言葉を、ということで次点に選びました。

≪ 田中牧郎(たなか・まきろう/明治大学国際日本学部教授) ≫
1962年・島根県生まれ。東北大学文学部・卒業。東北大学大学院文学研究科・修士課程修了。東京工業大学大学院社会理工学研究科・博士課程修了。明治大学国際日本学部・教授。日本語学会・理事。文化審議会国語分科会・委員。主な著書に『図解 日本の語彙』(三省堂/共著)。『近代書き言葉はこうしてできた』(岩波書店)。『言語の標準化を考える』(大修館書店/共著)ほか

■「大辞泉が選ぶ新語大賞 2022」とは

7回目となる今年も、5月18日「ことばの日」から11月13日までの約半年間、一般の皆様からの投稿を大募集いたします。投稿いただいた中から、編集部が毎月「月間賞」となる新語を発表。さらに12月にはその中から「大辞泉が選ぶ新語大賞」を選定し発表いたします。
それらの新語は『大辞泉』デジタル版に採録し、アプリや電子辞書、「goo辞書」をはじめとする各種ポータルサイトの公式辞書に実際に掲載、実用化されるという画期的な企画です。
https://daijisen.jp/shingo/
※投稿された新語・新語義がそのまま採録されるのではなく、編集部が新たに執筆陣に依頼し『大辞泉』各種アプリなどに採録する予定です。

○名称:大辞泉が選ぶ新語大賞 2022
○副題:あなたの新語を辞書に載せよう。
○実施概要:キャンペーンサイトの投稿フォームおよびTwitterにて、『大辞泉』に未収録の新語と新語義を広く募集します。小学館『大辞泉』編集部が採録候補となる作品を期間中毎月発表し、更に2022年12月1日には「大辞泉が選ぶ新語大賞」を発表。それらの言葉の語釈を、編集部が執筆陣に依頼し、2023年の改訂時に『大辞泉』デジタル版に掲載します。
goo辞書、コトバンク、ジャパンナレッジでも順次掲載いたします。
○投稿募集期間:2022年5月18日(水)〜11月13日(日)
○応募方法:キャンペーンサイトの投稿フォーム、もしくはTwitterからの投稿
○応募先:(1)キャンペーンサイト https://daijisen.jp/shingo/ 
     (2)Twitterハッシュタグ #大辞泉新語 をつけて投稿
○賞品:全応募者から抽選で、6月から11月まで毎月30名様に「Amazonギフト券500円分」をプレゼント(当選者合計180名様)。またキャンペーン終了後には「大辞泉が選ぶ新語大賞」を選定し、その新語を投
稿された方の中から抽選で「Amazonギフト券1万円分」を1名様にプレゼントします。※当選者の発表はメールでの賞品発送をもってかえさせていただきます。

■ 過去に「大辞泉が選ぶ新語大賞」を受賞した言葉

2021年……大賞【親ガチャ】 次点【人流】
2020年……大賞【三密】 次点【コロナ禍】
2019年……大賞【イートイン脱税】 次点【闇営業】【にわかファン】
2018年……大賞【空白恐怖症】 次点【卒婚】【ご飯論法】
2017年……大賞【インスタ映え】
2016年……大賞【トランプショック】

■ キャンペーン期間中に毎月選出された「今月の新語」(月間賞)

◆5・6月◆
【組み戻し】誤送金したのち、送金先の承諾を得て送金分を戻す事務処理。
【チェアリング】持ち運びできる椅子を野外に設置して、読書、飲食など思い思いに過ごすこと。
【勝手橋】河川管理者の許可を得ずに、地域住民などが勝手に架けた橋。洪水に流されることもあるため「流れ橋」とも呼ばれる。
【これじゃない感】自分の思っていたもの、期待していたもの、知っているものと微妙に違うこと。おもに残念な意味で使われる。
【匿顔(とくがん)】マスクを着用することが一般的になった社会において、コミュニケーションをとる際に相手の顔を知らないままであること。
【トンデモ】「とんでもない」の略。もってのほかだ。「トンデモな発言」「トンデモ論」。

◆7月◆
【ローンウルフ】一匹狼的なテロ行為者。
【パワーカップル】高収入どうしの共働き世帯のこと。
【スクリューフレーション】生活必需品の物価上昇により中低所得層の生活が苦しくなる経済現象。
【全振り】ゲームで、特定のパラメーターにすべての数値を割り振ること。特定の分野にひたすら注力すること。また、ありったけに使うこと。「かわいさに全振りした服」
【学ちか】就職活動のエントリーシートや面接で、学生が力を入れて頑張ったり取り組んだりしたとアピールする内容。
【ととのう】サウナ、水風呂、休憩を繰り返す事で多幸感を得る。サウナ以外にも自分の趣味を通しサウナになぞらえて多幸感を得る。

◆8月◆
【モブ社員】会社で目立たない人、存在感のない社員。
【シャドウバン】不適切な投稿をツイッターでした際に、自身のツイートが他のユーザーから検索されなくなること。
【フラットアース】地球が球体ではなく平面であるという主張。またそのような地球。平面地球説。
【宗教2世】特定の宗教を信仰する家に育った子どもたち。 
【顔パンツ】マスクのこと。パンツを脱いだ姿を見られるのが恥ずかしいのと同様に、マスクを外した顔を見られるのが恥ずかしいことから。 
【芯を食う】野球やゴルフで、ボールの中心をうまくとらえて打つ。また、核心をつく。的を射る。

◆9月◆
【非ナチ化】ネオナチ、極右的な政府を倒すこと。また、これらの勢力に支配された地域を解放すること。
【よっ友】「よっ」と挨拶しあうだけの関係しかない友達。
【弔問外交】各国の王族・元首・首相などの死去に伴う葬儀において、諸外国から参列した要人が、その機会を利用して展開する外交。
【パパゲーノ】死にたい気持ちを抱えながら、その人なりの理由や考え方で、死ぬ以外の選択をしている人。
【量産型女子】ファッションやヘアスタイルの流行に忠実すぎて、他の女性と見分けが付かないほど没個性な女性たち。
【使い倒す】徹底的に使う。使い尽くす。

◆10月◆
【黙撮】複数人がマスクを外し、声を出さずに、集合写真を撮ること。
【メニュー貸し】飲食店が、他店にレシピを教えてもらった料理を提供すること。
【なつい】(主に若者言葉で) 懐かしい。
【デジタル給与】銀行口座ではなく、資金移動業者のアカウントに振り込まれる報酬。
【スペック】その人の外見・学歴・年収など。
【ずぶずぶ】悪いとされている人や団体と仲がよく、批判されても縁を切るのが難しい状況のこと。

◆11月◆
【ヌン活】リッチにホテルでアフタヌンティーを食べながらおしゃべりを楽しむこと。
【知らんけど】自身の発言内容に自信が持てない場合、語尾に付ける言葉。
【倍速視聴】テレビや映画、ネット配信など、元々の映像速度を変えて、再生・視聴すること。
【方向感】ものごとがある方向へむかうという感じ。

※これらは一般の方によって投稿された語釈ですので、そのまま採録されるのではなく、編集部が新たに執筆陣に依頼し、今後の改訂時に『デジタル大辞泉』のデータとして正式に採録される予定です。

■『大辞泉』はネット&デジタル時代にマッチした“生きている国語辞典”
その先進性が評価され、コトバンク、goo辞書など国内主要ポータルサイトの辞書データとして採用されているほか、主要な電子辞書にも搭載されています。デジタル時代にマッチした国語辞典として、今後も日々生まれゆく新しい言葉をキャッチし、立項・アップデートしていきます。

■『大辞泉』公式ウェブサイトでも情報発信しています
“生きている国語辞典”『大辞泉』の知られざる特長、幅広い展開事例、関連する著名人のメッセージ、関連最新ニュースなどをご覧いただけます。『舟を編む』の小説家・三浦しをんさんからの特別メッセージも読めます!
http://www.daijisen.jp

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