最先端材料科学研究:ソフトウェアロボットと最適化技術により結晶構造解析に必要な試行錯誤の自動化を実現
[22/12/02]
提供元:共同通信PRワイヤー
提供元:共同通信PRワイヤー
Robotic Process Automationを活用して高コストなルーチン作業を自動化
2022/12/02
国立研究開発法人 物質・材料研究機構 (NIMS)
Science and Technology of Advanced Materials: Methods誌 プレスリリース
配信元:国立研究開発法人 物質・材料研究機構 (NIMS) 〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1
Date: 2 December 2022
最先端材料科学研究:ソフトウェアロボットと最適化技術により結晶構造解析に必要な試行錯誤の自動化を実現
(Tsukuba 2 December ) Robotic Process Automationを活用して高コストなルーチン作業を自動化
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202212020742-O1-6j59Nw18】
図の説明:機械学習とRPA (Robotic Process Automation)を組み合わせることで、結晶構造のRietveld解析を自動化することに成功。©ktsdesign/123rf
物質・材料研究機構の田村 亮 主幹研究員, 泉 富士夫 客員研究員, 松下 能孝 副ステーション長, 理化学研究所の隅田 真人 研究員, 横浜市立大学の寺山 慧 准教授, 東京大学の津田 宏治 教授の研究グループは、独自に開発したソフトウェアロボットと機械学習を用いた最適化ソフトウェアを組み合わせることで、研究者が直接ソフトウェアを操作して試行錯誤しなければならなかった結晶構造解析の自動化を実現しました。本技術を用いることで、専門家が割かなければならなかったリソースを少ない工数で大幅に削減することができ、情報技術が材料研究・開発の効率化に大きく貢献できることを示しました。本成果はScience and Technology of Advanced Materials: Methods, Vol. 2 (2022) p. 435に掲載されました。
材料研究・開発において、合成された試料の詳細を調べることは日常的に行われる作業です。特に固体試料の結晶構造を決定することは試料の物性・機能を理解する上で極めて重要です。結晶構造を同定するための代表的な手法がRietveld解析ですが、その解析を行うには多くのパラメータを決めるための試行錯誤が必要です。この作業はルーチン作業ではありますが、高い専門性を要する作業であるために専門家のリソースの多くを割く必要がありました。
田村 主幹研究員らは、Robotic Process Automaton (RPA)と呼ばれる近年注目を集めている情報技術を活用することで作業を代替するソフトウェアロボットを作成し、広く利用されているRietveld解析ソフトウェアRIETAN-FPのルーチン操作の自動化に成功しました。また専門家の経験・知見が必要だったパラメータ探索も独自の機械学習を用いた最適化ソフトウェアであるCOMmon Bayesian Optimization (COMBO)を組み合わせることで自動化し、専門家の直接操作を必要としないシステムを実現しました。
RPAを用いることで既存のソフトウェアに大幅な改良を加えることなく、作業を自動化するソフトウェアロボットを作成することが可能です。本研究成果はそれを実証した点が重要であり、今後、幅広い物質・材料研究のルーチン作業に対して、ソフトウェア操作の工数を最小限に抑えた研究・開発の自動・効率化につながると期待されます。
用語
・Robotic Process Automation: RPA
人間がコンピュータのGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)上で実際に行う作業を模倣するようなソフトウェアロボットを作成し、作業プロセスを自動化する技術のこと。本研究ではRPAの開発ライブラリとしてSikuliX (https://raiman.github.io/SikuliX1/downloads.html)を活用した。
・RIETAN-FP
泉 富士夫 客員研究員により開発されたRietveld解析ソフトウェアのこと。利用希望の方は著者に連絡ください。
論文情報
タイトル:Automatic Rietveld refinement by robotic process automation with RIETAN-FP
著者:Ryo Tamura*, Masato Sumita, Kei Terayama, Koji Tsuda, Fujio Izumi &
Yoshitaka Matsushita
*International Center for Materials Nanoarchitectonics (WPI-MANA), National Institute for
Materials Science, 1-1 Namiki, Tsukuba, Ibaraki 305-0044, Japan (E-mail: TAMURA.Ryo@nims.go.jp)
引用:Science and Technology of Advanced Materials: Methods Vol. 2 (2022) p. 435
最終版公開日:2022年11月25日
本誌リンク https://doi.org/10.1080/27660400.2022.2146470(オープンアクセス)
Science and Technology of Advanced Materials: Methods誌は、国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS)とEmpaが支援するオープンアクセスジャーナルです。
企画に関する問い合わせ: stam_info@nims.go.jp
2022/12/02
国立研究開発法人 物質・材料研究機構 (NIMS)
Science and Technology of Advanced Materials: Methods誌 プレスリリース
配信元:国立研究開発法人 物質・材料研究機構 (NIMS) 〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1
Date: 2 December 2022
最先端材料科学研究:ソフトウェアロボットと最適化技術により結晶構造解析に必要な試行錯誤の自動化を実現
(Tsukuba 2 December ) Robotic Process Automationを活用して高コストなルーチン作業を自動化
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202212020742-O1-6j59Nw18】
図の説明:機械学習とRPA (Robotic Process Automation)を組み合わせることで、結晶構造のRietveld解析を自動化することに成功。©ktsdesign/123rf
物質・材料研究機構の田村 亮 主幹研究員, 泉 富士夫 客員研究員, 松下 能孝 副ステーション長, 理化学研究所の隅田 真人 研究員, 横浜市立大学の寺山 慧 准教授, 東京大学の津田 宏治 教授の研究グループは、独自に開発したソフトウェアロボットと機械学習を用いた最適化ソフトウェアを組み合わせることで、研究者が直接ソフトウェアを操作して試行錯誤しなければならなかった結晶構造解析の自動化を実現しました。本技術を用いることで、専門家が割かなければならなかったリソースを少ない工数で大幅に削減することができ、情報技術が材料研究・開発の効率化に大きく貢献できることを示しました。本成果はScience and Technology of Advanced Materials: Methods, Vol. 2 (2022) p. 435に掲載されました。
材料研究・開発において、合成された試料の詳細を調べることは日常的に行われる作業です。特に固体試料の結晶構造を決定することは試料の物性・機能を理解する上で極めて重要です。結晶構造を同定するための代表的な手法がRietveld解析ですが、その解析を行うには多くのパラメータを決めるための試行錯誤が必要です。この作業はルーチン作業ではありますが、高い専門性を要する作業であるために専門家のリソースの多くを割く必要がありました。
田村 主幹研究員らは、Robotic Process Automaton (RPA)と呼ばれる近年注目を集めている情報技術を活用することで作業を代替するソフトウェアロボットを作成し、広く利用されているRietveld解析ソフトウェアRIETAN-FPのルーチン操作の自動化に成功しました。また専門家の経験・知見が必要だったパラメータ探索も独自の機械学習を用いた最適化ソフトウェアであるCOMmon Bayesian Optimization (COMBO)を組み合わせることで自動化し、専門家の直接操作を必要としないシステムを実現しました。
RPAを用いることで既存のソフトウェアに大幅な改良を加えることなく、作業を自動化するソフトウェアロボットを作成することが可能です。本研究成果はそれを実証した点が重要であり、今後、幅広い物質・材料研究のルーチン作業に対して、ソフトウェア操作の工数を最小限に抑えた研究・開発の自動・効率化につながると期待されます。
用語
・Robotic Process Automation: RPA
人間がコンピュータのGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)上で実際に行う作業を模倣するようなソフトウェアロボットを作成し、作業プロセスを自動化する技術のこと。本研究ではRPAの開発ライブラリとしてSikuliX (https://raiman.github.io/SikuliX1/downloads.html)を活用した。
・RIETAN-FP
泉 富士夫 客員研究員により開発されたRietveld解析ソフトウェアのこと。利用希望の方は著者に連絡ください。
論文情報
タイトル:Automatic Rietveld refinement by robotic process automation with RIETAN-FP
著者:Ryo Tamura*, Masato Sumita, Kei Terayama, Koji Tsuda, Fujio Izumi &
Yoshitaka Matsushita
*International Center for Materials Nanoarchitectonics (WPI-MANA), National Institute for
Materials Science, 1-1 Namiki, Tsukuba, Ibaraki 305-0044, Japan (E-mail: TAMURA.Ryo@nims.go.jp)
引用:Science and Technology of Advanced Materials: Methods Vol. 2 (2022) p. 435
最終版公開日:2022年11月25日
本誌リンク https://doi.org/10.1080/27660400.2022.2146470(オープンアクセス)
Science and Technology of Advanced Materials: Methods誌は、国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS)とEmpaが支援するオープンアクセスジャーナルです。
企画に関する問い合わせ: stam_info@nims.go.jp