初期宇宙に存在した赤い渦巻銀河を発見
[22/12/07]
提供元:共同通信PRワイヤー
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初期宇宙に存在した赤い渦巻銀河を発見
詳細は 早稲田大学Webサイト をご覧ください。
【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M102172/202212070907/_prw_OT1fl_k7N6yqI3.png】
早稲田大学理工学術院総合研究所 次席研究員・国立天文台アルマプロジェクト特任研究員の札本 佳伸(ふだもと よしのぶ)と同大理工学術院 教授の井上 昭雄(いのうえ あきお)および同大理工学術院総合研究所 次席研究員・国立天文台アルマプロジェクト 特任研究員の菅原 悠馬(すがはら ゆうま)の研究グループは、これまで確認されていなかった特異な「赤い渦巻銀河」を発見し、さらにそれが80億年から100億年前という初期の宇宙に存在することを明らかにしました。本成果は、2022年から米国NASAで運用が開始されたジェームズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)のデータを元にした成果としては、国内の研究機関から初めて出版された論文となります。
本研究成果は、『The Astrophysical Journal Letters』(論文名:Red Spiral Galaxies at Cosmic Noon Unveiled in the First JWST Image)にて、2022年10月21日(金)に掲載されました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202212070907-O2-I85J0jOF】
図1:渦巻銀河の例M74(出典 NASA)。渦巻構造中に見える赤い領域は活発な星形成活動を行っている領域。我々の住む地球が属する天の川銀河も、このような構造を持っていると考えられており、近傍の宇宙には比較的数多く存在する銀河である。
■今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと
本研究チームは、2022年から運用を開始した米国NASAの宇宙望遠鏡ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が世界に向けて初公開したデータ、特に、これまでの観測では捉えられていなかった特異な銀河「赤い渦巻銀河」に注目しました。これらの「赤い渦巻銀河」はハッブル宇宙望遠鏡やスピッツァー宇宙望遠鏡による観測でも検出はされていたものの、空間分解能や感度の制限からその詳細な形態や性質については知られていませんでした。今回、スピッツァー宇宙望遠鏡より10倍の空間分解能、50倍の高感度をもつJWSTの革命的な性能によってその詳細な形態が初めて明らかになりました。
我々は、この赤い渦巻銀河がどのような性質を持つのかを調べるパイロット調査として、最も赤い色を持つ2つの銀河(RS13、RS14:図2)について、JWSTから得られた測光データや分光データを元に分析を行いました。その結果、これらの赤い渦巻銀河が、80億年から100億年程度過去の、初期宇宙に存在する銀河であることが分かりました。さらに、RS14は星形成を行っていない、年老いた銀河であることも明らかになりました。年老いた渦巻銀河は現在の宇宙では極めて珍しいものの、今回のJWSTの初期観測データというほんの小さな領域の観測から発見されました。このことから、年老いた銀河は遠方宇宙ではこれまで考えられてきたよりも多く存在する可能性が示唆されます。一方で、初期宇宙に存在する赤い渦巻銀河や年老いた渦巻銀河はどのようにして形成されてきたのか、といった疑問が新たに生じる結果となりました。
■研究者のコメント
今回、従来の宇宙望遠鏡よりも10倍の空間分解能、50倍の感度を持つJWSTの驚異的な性能によって初めて得られた画像を目の当たりにして、これまでの我々が触れることができなかった宇宙の姿が明らかになってきました。本研究テーマである赤い渦巻銀河もその一つであり、今後も多様な発見が行われるものと考えています。JWSTによる新たな観測データは、我々の宇宙に対するこれまでの知識を大きく変えるものとして、これからも注目していく必要があると考えています。
(7)論文情報
雑誌名:The Astrophysical Journal Letters
論文名:Red Spiral Galaxies at Cosmic Noon Unveiled in the First JWST Image
執筆者名(所属機関名):札本 佳伸(早稲田大学理工学術院総合研究所 次席研究員・国立天文台アルマプロジェクト 特任研究員)、
井上 昭雄(早稲田大学理工学術院 教授)、
菅原 悠馬(早稲田大学理工学術院総合研究所 次席研究員・国立天文台アルマプロジェクト 特任研究員)
掲載日時:2022年10月21日(金)
掲載URL:https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/ac982b
DOI:10.3847/2041-8213/ac982b
詳細は 早稲田大学Webサイト をご覧ください。
【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M102172/202212070907/_prw_OT1fl_k7N6yqI3.png】
早稲田大学理工学術院総合研究所 次席研究員・国立天文台アルマプロジェクト特任研究員の札本 佳伸(ふだもと よしのぶ)と同大理工学術院 教授の井上 昭雄(いのうえ あきお)および同大理工学術院総合研究所 次席研究員・国立天文台アルマプロジェクト 特任研究員の菅原 悠馬(すがはら ゆうま)の研究グループは、これまで確認されていなかった特異な「赤い渦巻銀河」を発見し、さらにそれが80億年から100億年前という初期の宇宙に存在することを明らかにしました。本成果は、2022年から米国NASAで運用が開始されたジェームズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)のデータを元にした成果としては、国内の研究機関から初めて出版された論文となります。
本研究成果は、『The Astrophysical Journal Letters』(論文名:Red Spiral Galaxies at Cosmic Noon Unveiled in the First JWST Image)にて、2022年10月21日(金)に掲載されました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202212070907-O2-I85J0jOF】
図1:渦巻銀河の例M74(出典 NASA)。渦巻構造中に見える赤い領域は活発な星形成活動を行っている領域。我々の住む地球が属する天の川銀河も、このような構造を持っていると考えられており、近傍の宇宙には比較的数多く存在する銀河である。
■今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと
本研究チームは、2022年から運用を開始した米国NASAの宇宙望遠鏡ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が世界に向けて初公開したデータ、特に、これまでの観測では捉えられていなかった特異な銀河「赤い渦巻銀河」に注目しました。これらの「赤い渦巻銀河」はハッブル宇宙望遠鏡やスピッツァー宇宙望遠鏡による観測でも検出はされていたものの、空間分解能や感度の制限からその詳細な形態や性質については知られていませんでした。今回、スピッツァー宇宙望遠鏡より10倍の空間分解能、50倍の高感度をもつJWSTの革命的な性能によってその詳細な形態が初めて明らかになりました。
我々は、この赤い渦巻銀河がどのような性質を持つのかを調べるパイロット調査として、最も赤い色を持つ2つの銀河(RS13、RS14:図2)について、JWSTから得られた測光データや分光データを元に分析を行いました。その結果、これらの赤い渦巻銀河が、80億年から100億年程度過去の、初期宇宙に存在する銀河であることが分かりました。さらに、RS14は星形成を行っていない、年老いた銀河であることも明らかになりました。年老いた渦巻銀河は現在の宇宙では極めて珍しいものの、今回のJWSTの初期観測データというほんの小さな領域の観測から発見されました。このことから、年老いた銀河は遠方宇宙ではこれまで考えられてきたよりも多く存在する可能性が示唆されます。一方で、初期宇宙に存在する赤い渦巻銀河や年老いた渦巻銀河はどのようにして形成されてきたのか、といった疑問が新たに生じる結果となりました。
■研究者のコメント
今回、従来の宇宙望遠鏡よりも10倍の空間分解能、50倍の感度を持つJWSTの驚異的な性能によって初めて得られた画像を目の当たりにして、これまでの我々が触れることができなかった宇宙の姿が明らかになってきました。本研究テーマである赤い渦巻銀河もその一つであり、今後も多様な発見が行われるものと考えています。JWSTによる新たな観測データは、我々の宇宙に対するこれまでの知識を大きく変えるものとして、これからも注目していく必要があると考えています。
(7)論文情報
雑誌名:The Astrophysical Journal Letters
論文名:Red Spiral Galaxies at Cosmic Noon Unveiled in the First JWST Image
執筆者名(所属機関名):札本 佳伸(早稲田大学理工学術院総合研究所 次席研究員・国立天文台アルマプロジェクト 特任研究員)、
井上 昭雄(早稲田大学理工学術院 教授)、
菅原 悠馬(早稲田大学理工学術院総合研究所 次席研究員・国立天文台アルマプロジェクト 特任研究員)
掲載日時:2022年10月21日(金)
掲載URL:https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/ac982b
DOI:10.3847/2041-8213/ac982b