ベクルリー(R)、感染リスクの高い患者集団における 有効性および安全性プロファイルをさらに示す
[23/04/28]
提供元:共同通信PRワイヤー
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2023年4月28日
ギリアド・サイエンシズ株式会社
ベクルリー(R)(レムデシビル)、感染リスクの高い患者集団における 有効性および安全性プロファイルをさらに示す
−第III相臨床試験で、重度の腎機能障害を有する患者さんにおける
ベクルリーの安全性プロファイルが示される− −リアルワールドエビデンス(RWE)において、 ベクルリーはオミクロン株を含む全ての懸念される変異株に対して、 免疫不全患者さんにおけるCOVID-19関連の死亡率および再入院率を低減− −ギリアドは、開発中の経口COVID-19抗ウイルス薬obeldesivir(GS-5245)の 第I相試験の肯定的データを発表−
ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ、ナスダック:GILD、以下「ギリアド」)は4月16日、第33回欧州臨床微生物感染症学会議(ECCMID)にて、複数のCOVID-19関連の臨床試験およびRWE試験において、肯定的結果が得られたことを発表しました。第III相臨床試験では、中等度から重度の腎機能障害を有する患者さんに対して、ベクルリー(R)(レムデシビル)の忍容性がおおむね良好であったことが認められました。追加データでは、レトロスペクティブ・リアルワールド試験において、ベクルリー投与とがん患者さんのCOVID-19による死亡リスク低下との関連が示されました。別のリアルワールド解析では、ベクルリー投与とCOVID-19により入院した免疫不全患者さんにおける再入院リスクの低下との関連も認められました。SARS-CoV-2感染治療薬としてギリアドが開発中の経口薬obeldesivir(旧称GS-5245)の安全性、忍容性および薬物動態(PK)を評価する第I相試験では、obeldesivirがCOVID-19治療に求められる治療血漿中濃度に達することが示されました。
ギリアドのウイルス学治療領域責任者で、上級副社長のフランク・ダフ(Frank Duff, MD)は次のように述べています。「ECCMIDで発表された幅広い臨床試験データおよびRWEデータにより、ベクルリーの確かな有効性および安全性プロファイルがさらに裏付けられました。パンデミック以来、ベクルリーはCOVID-19入院患者さんの治療において、重要な役割を果たしてきました。リアルワールドデータは、がんやその他の免疫不全とともに生きる人々を含む、感染リスクの高い患者集団の死亡率や再入院率を低下させるというベクルリーの役割をさらに示しています」
無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較、多施設共同、第III相試験(REDPINE)の結果から、COVID-19関連死亡率が高い集団である、中等度および重度の腎機能低下を有するCOVID-19入院患者さんにおけるベクルリーの安全性が評価されました。本試験には、COVID-19と確認され、腎機能障害を有する243人の成人入院患者さんが含まれました。その内訳は、急性腎障害(AKI)患者さん90人(37%)、慢性腎臓病(CKD)患者さん64人(26%)、血液透析を必要とする末期腎不全(ESKD)患者さん89人(37%)でした。患者さんは、標準治療に加えて、ベクルリー投与群(n=163)とプラセボ群(n=80)に2:1の割合で無作為に割り付けられました。本試験において、新たな安全性シグナルは認められず、ベクルリーを最長5日間投与したAKI(n=60)、CKD(n=44)、あるいは血液透析中のESKD(n=59)患者さん計163人において、ベクルリーの新たな副作用は確認されませんでした。
ECCMIDで発表された2つのリアルワールド試験では、がん患者さんのCOVID-19関連死亡率低下におけるベクルリーの有効性および主な懸念される変異株(VOC)(プレデルタ株、デルタ株、およびオミクロン株)に感染した免疫不全患者さんの再入院率低下におけるベクルリーの役割について検証しました。最初の解析では、COVID-19により入院し、入院2日目までにベクルリーを投与された7,482人のがん患者さんを評価しました。28日目の結果から、ベクルリー非投与群と比べて、ベクルリーを投与されたがん患者さんの死亡リスクが有意に低いことが認められました(ハザード比:0.67、95%信頼区間:0.59-0.75;p<0.0001)。この結果は28日目に全てのVOCにおいて認められました(プレデルタ株:25%(ハザード比:0.75、95%信頼区間:0.61-0.92;p=0.006)、デルタ株:32%(ハザード比:0.68、95%信頼区間:0.55-0.85;p=0.0005)、オミクロン株:40%(ハザード比:0.60、95%信頼区間:0.72;p<0.0001))。
もう1つの解析では、免疫不全患者さん4,664人を評価し、ベクルリー投与患者さんでは、30日目および60日目のいずれにおいても、再入院リスクが低減しました。対照群と比較して、ベクルリー投与患者さんの60日目の再入院率は、デルタ株期では16%低く、(ハザード比:0.84、95%信頼区間:0.71-0.96;p<0.01)、オミクロン株期では13%低い(ハザード比:0.87、95%信頼区間:0.81-0.93;p<0.01)結果でした。これらのデータは、今年初めのレトロウイルス・日和見感染症会議(CROI)で発表されたベクルリー投与と30日目の全ての原因による再入院リスク低下との関連を示したRWEをさらに裏付けるものです。
イタリア・ミラノのHumanitas Research Hospital感染症ユニット長で、Humanitas University准教授のミケーレ・バルトレッティ医師(Michele Bartoletti, MD, PhD)は次のように述べています。「抗ウイルス薬は、SARS-CoV-2ウイルスの複製を抑制する上で重要な役割を果たします。また、レムデシビルは、安全性や忍容性プロファイルが十分に確立されており、懸念される変異株に対する活性が維持されるため、免疫不全患者さんを含む感染リスクの高い患者集団に対する重要な治療選択肢です」
ギリアドはECCMIDで、健康な成人被験者を対象としたobeldesivirの無作為化、二重盲検、プラセボ対照、用量漸増、第I相試験から得られた肯定的データも発表しました。その結果から、obeldesivirはCOVID-19治療に求められる治療血漿中濃度に達することが示されました。obeldesivirは、COVID-19治療を目的として開発中の新しい経口抗ウイルス薬で、ウイルスRNAポリメラーゼを阻害し、SARS-CoV-2ウイルス複製を標的とすることにより、代謝されるとベクルリーと同じように作用します。ギリアドは、さまざまな集団や地域を対象にCOVID-19非入院患者さんの治療薬として、obeldesivirの有効性および安全性を評価する2つの第III相試験(BIRCH試験およびOAKTREE試験)を行っています。
ギリアドのCOVID-19開発プログラムについて
ベクルリー(レムデシビル)は、ギリアドの10年以上にわたる抗ウイルス研究の成果を基に創薬されたヌクレオチド誘導体です。本剤は、COVID-19による入院患者さんの標準治療として使われる抗ウイルス薬で、進行リスクが高い非入院患者さんの疾患進行を抑制する治療として推奨されています。ベクルリーの安全性プロファイルは確立されており、幅広い集団において最小限の薬物相互作用を有しています。ベクルリーは、さまざまな重症度の患者さんの疾患進行抑制および死亡率低下、および患者さんの早期回復を可能にすることにおいて、重要な役割を果たしています。
無作為化臨床試験(RCT)を補完するCOVID-19入院患者さんに関する新たなリアルワールド観察試験は、臨床医および免疫不全患者さんやその他の感染リスクの高い集団を含む患者さんに対するベクルリーが有益であることをさらに示すものです。RCTは依然として薬の有効性や安全性を評価する最良のツールではありますが、RWEは日常の臨床現場における治療薬の使用に関する重要な補完データを提供します。ベクルリーに関するRWE解析は他にも現在進行中で、結果や結論はそれぞれ異なる可能性があります。
入院患者さんにおけるベクルリーの臨床的ベネフィットは、ACTT-1試験を含む、複数の無作為化、対照、第III相臨床試験で確立されています。2020年に行われたACTT-1試験では、試験対象のCOVID-19入院患者集団全体において、ベクルリー投与患者さんが、プラセボ群と比較して、死亡率低下の傾向を示しました(11%対15%、HR:0.73、95%CI:0.52- 1.03)。しかしながら、この結果は統計学的に有意ではありませんでした。
ベクルリーは、世界約50カ国で承認されています。現在までにベクルリーおよびジェネリック薬のレムデシビルは、ボランタリー・ライセンスを通じて提供された低中所得国における800万人を含め、世界で約1,300万人の患者さんに提供されています。これらのボランタリー・ライセンスは、レムデシビルへの幅広い患者アクセスを可能にするというギリアドのコミットメントを反映し、ロイヤリティ・フリーで提供されています。
COVID-19患者さんに向けた新しい効果的な経口治療薬選択肢開発に対する大きなニーズが依然として存在します。ギリアドは、代謝されると、レムデシビルと同じ活性代謝物を生成する経口ヌクレオシドプロドラッグobeldesivirの開発も進めています。
BIRCH試験(NCT05603143)について
BIRCH試験は、COVID-19重症化リスクの高い非入院患者さんを対象に、obeldesivirの有効性および安全性をプラセボ群と比較する国際共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、第III相試験です。詳細については、https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05603143をご参照ください。
OAKTREE試験(NCT05715528)について
OAKTREE試験は、COVID-19重症化リスク因子を持たない患者さんを対象に、ワクチン接種状況に関わらず、COVID-19非入院患者さんにおけるobeldesivirの有効性および安全性をプラセボ群と比較する国際共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、第III相試験です。詳細については、https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05715528をご参照ください。
obeldesivirは開発中の製品で、いかなる使用についても世界では承認されていません。obeldesivirの安全性および有効性はまだ確立されていません。
米国でのベクルリーの適応症
米国におけるベクルリーの適応症は、次の成人および小児患者さん(生後28日以上、体重3kg以上)に対するCOVID-19治療となります。
・入院している
・あるいは、入院しておらず、軽症から中等症のCOVID-19であり、入院や死亡を含むCOVID-19重症化リスクが高い
詳細については、www.gilead.comに掲載されている米国の添付文書(完全版)をご覧ください。
米国におけるベクルリーに関する重要な安全性情報
禁忌
ベクルリー製剤またはそのいずれかの成分に対して臨床上問題となる過敏症の既往歴のある患者には投与しないでください。
警告および使用上の注意
・過敏症(注入に伴う反応とアナフィラキシー反応を含む):ベクルリーの投与中および投与後に、注入に伴う反応やアナフィラキシー反応などの過敏症の発生が報告されています。また、そのほとんどが1時間以内に発現しています。投与中は患者をモニタリングし、臨床的に適切となるよう投与完了から少なくとも1時間は過敏症の徴候や症状がないか観察してください。低血圧、高血圧、頻脈、徐脈、低酸素症、発熱、呼吸困難、喘鳴、血管浮腫、発疹、吐き気、発汗や振戦などの症状が現れることがあります。点滴速度を下げると(点滴時間は最長で120分)、これらの反応を予防できる可能性があります。投与に伴う重度の過敏症が発現した場合、直ちにベクルリーの投与を中止し、適切な治療を開始して下さい(「禁忌」を参照)。
・トランスアミナーゼ上昇リスク:ベクルリーを投与された健常被験者やCOVID-19患者に、トランスアミナーゼの上昇が認められています。COVID-19の臨床所見としてもトランスアミナーゼ上昇が報告されています。全ての患者について、肝機能検査を行ってください(「用法および用量」を参照)。ALTが施設基準値上限(ULN)の10倍を超える場合、ベクルリーの投与中止を検討してください。ALT上昇に伴い肝臓の炎症を示す症状・徴候が認められた場合はベクルリーの投与を中止してください。
・クロロキン・ヒドロキシクロロキンとの併用時の抗ウイルス活性低下リスク:ベクルリーとリン酸クロロキンまたはヒドロキシクロロキン硫酸塩との併用については、細胞培養で拮抗作用が認められ、ベクルリーの抗ウイルス活性が低下する可能性があることから、併用は推奨しません。
副作用
・発現率が高かった副作用(全グレードにおいて発現率5%以上)は吐き気でした。
・発現率が高かった検査値異常(全グレードにおいて発現率5%以上)は、ALT上昇とAST上昇でした。
薬物相互作用
・ベクルリーと併用薬の薬物相互作用を検討するヒトを対象とした試験は行われていません。
用法および用量
・アナフィラキシーなど、重度の過敏症反応の管理が可能な条件下で投与されます。
・投与期間:
O 入院患者の場合、COVID-19の徴候があると診断された場合、早急にベクルリーを投与する必要があります。
O 侵襲的機械換気および/またはECMOを必要としない入院患者の場合、推奨投与期間は5日間です。臨床的改善が認められない場合、投与期間をさらに5日間まで延長でき、投与日数の合計は最高で10日間です。
O 侵襲的機械換気および/または ECMO を必要とする入院患者の場合、推奨投与期
間は合計 10 日間です。
O 軽症から中等症のCOVID-19と診断され、入院または死亡を含むCOVID-19重症化リスクの高い非入院患者の場合、推奨投与期間は合計で3日間です。COVID-19の徴候があると診断された場合、できるだけ早急に、症状発現から7日以内に外来での使用を開始することを推奨します。
・投与前および投与中の検査:ベクルリーの投与開始前はeGFR、肝機能検査、プロトロビン時間の検査を行い、投与期間中も、臨床上必要に応じて行ってください。
・腎機能障害:eGFRが30 mL/分未満の患者には、ベクルリーの投与は推奨しません。
妊婦および授乳婦への投与
・妊婦:妊婦レジストリは確立されています。妊娠中のベクルリーの使用に関するヒトのデータは十分に得られていません。COVID-19は、子癇前症、子癇、早産、前期破水、静脈血栓塞栓性疾患、胎児死亡などの母体や胎児の有害転帰と関連しています。
・授乳婦:ベクルリーが乳汁中へ移行するかは不明です。COVID-19患者の授乳については、乳児へのウイルス曝露を避けるための臨床ガイドラインに従ってください。
ギリアド・サイエンシズについて
ギリアド・サイエンシズは、すべての人々にとって、より健康な世界の実現を目指し、30年以上にわたり医療の革新を追求し、飛躍的な進歩を遂げてきたバイオ医薬品企業です。当社はHIV、ウイルス性肝炎、がんなどの生命を脅かす疾患の予防と治療のため、革新的な医薬品の開発に取り組んでいます。カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35カ国以上で事業を行っています。
将来予測に関する記述
本プレスリリースは、1995年「米国証券訴訟改革法」(Private Securities Litigation Reform Act of 1995)で定義される「将来予測に関する記述」に該当し、いくつかのリスクや不確定要素などの要因を含む場合があります。これらのリスク等には、現在見込まれるタイムライン内に臨床試験を開始、進行、完了するギリアドの能力、またはそれらが全く完了できない可能性、ベクルリーとobeldesivirに関するものを含む進行中または追加の臨床試験から得られた結果が好ましくない可能性、ギリアドがobeldesivirを含む製品候補について開発中止の戦略的決定を行う可能性、規制当局への申請および関連する申請に対する承認が適時に行われない不確実性、規制当局から承認された場合でも、その承認に著しい制限が課される可能性および上記のいずれかの根拠となる仮定も含まれます。これらのリスクやその他の不確定要素等については、米国証券取引委員会に提出している、2022年12月31日を期末とするギリアド年次報告書(フォーム10-K)で詳細に説明しています。これらのリスク、不確定要素およびその他の要因により、実際の結果が「将来予測に関する記述」で言及されたものと大きく異なる可能性があります。歴史的事実以外の全ての記述は、「将来予測に関する記述」とみなされます。このような「将来予測に関する記述」は将来の業績を保証するものではありませんので、この記述に過度に依拠しないようご注意下さい。「将来予測に関する記述」は全て、ギリアドが現在入手できる情報に基づいており、ギリアドは「将来予測に関する記述」を更新する義務を負うことはなく、更新する意向もありません。
ギリアド・サイエンシズ株式会社
ベクルリー(R)(レムデシビル)、感染リスクの高い患者集団における 有効性および安全性プロファイルをさらに示す
−第III相臨床試験で、重度の腎機能障害を有する患者さんにおける
ベクルリーの安全性プロファイルが示される− −リアルワールドエビデンス(RWE)において、 ベクルリーはオミクロン株を含む全ての懸念される変異株に対して、 免疫不全患者さんにおけるCOVID-19関連の死亡率および再入院率を低減− −ギリアドは、開発中の経口COVID-19抗ウイルス薬obeldesivir(GS-5245)の 第I相試験の肯定的データを発表−
ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ、ナスダック:GILD、以下「ギリアド」)は4月16日、第33回欧州臨床微生物感染症学会議(ECCMID)にて、複数のCOVID-19関連の臨床試験およびRWE試験において、肯定的結果が得られたことを発表しました。第III相臨床試験では、中等度から重度の腎機能障害を有する患者さんに対して、ベクルリー(R)(レムデシビル)の忍容性がおおむね良好であったことが認められました。追加データでは、レトロスペクティブ・リアルワールド試験において、ベクルリー投与とがん患者さんのCOVID-19による死亡リスク低下との関連が示されました。別のリアルワールド解析では、ベクルリー投与とCOVID-19により入院した免疫不全患者さんにおける再入院リスクの低下との関連も認められました。SARS-CoV-2感染治療薬としてギリアドが開発中の経口薬obeldesivir(旧称GS-5245)の安全性、忍容性および薬物動態(PK)を評価する第I相試験では、obeldesivirがCOVID-19治療に求められる治療血漿中濃度に達することが示されました。
ギリアドのウイルス学治療領域責任者で、上級副社長のフランク・ダフ(Frank Duff, MD)は次のように述べています。「ECCMIDで発表された幅広い臨床試験データおよびRWEデータにより、ベクルリーの確かな有効性および安全性プロファイルがさらに裏付けられました。パンデミック以来、ベクルリーはCOVID-19入院患者さんの治療において、重要な役割を果たしてきました。リアルワールドデータは、がんやその他の免疫不全とともに生きる人々を含む、感染リスクの高い患者集団の死亡率や再入院率を低下させるというベクルリーの役割をさらに示しています」
無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較、多施設共同、第III相試験(REDPINE)の結果から、COVID-19関連死亡率が高い集団である、中等度および重度の腎機能低下を有するCOVID-19入院患者さんにおけるベクルリーの安全性が評価されました。本試験には、COVID-19と確認され、腎機能障害を有する243人の成人入院患者さんが含まれました。その内訳は、急性腎障害(AKI)患者さん90人(37%)、慢性腎臓病(CKD)患者さん64人(26%)、血液透析を必要とする末期腎不全(ESKD)患者さん89人(37%)でした。患者さんは、標準治療に加えて、ベクルリー投与群(n=163)とプラセボ群(n=80)に2:1の割合で無作為に割り付けられました。本試験において、新たな安全性シグナルは認められず、ベクルリーを最長5日間投与したAKI(n=60)、CKD(n=44)、あるいは血液透析中のESKD(n=59)患者さん計163人において、ベクルリーの新たな副作用は確認されませんでした。
ECCMIDで発表された2つのリアルワールド試験では、がん患者さんのCOVID-19関連死亡率低下におけるベクルリーの有効性および主な懸念される変異株(VOC)(プレデルタ株、デルタ株、およびオミクロン株)に感染した免疫不全患者さんの再入院率低下におけるベクルリーの役割について検証しました。最初の解析では、COVID-19により入院し、入院2日目までにベクルリーを投与された7,482人のがん患者さんを評価しました。28日目の結果から、ベクルリー非投与群と比べて、ベクルリーを投与されたがん患者さんの死亡リスクが有意に低いことが認められました(ハザード比:0.67、95%信頼区間:0.59-0.75;p<0.0001)。この結果は28日目に全てのVOCにおいて認められました(プレデルタ株:25%(ハザード比:0.75、95%信頼区間:0.61-0.92;p=0.006)、デルタ株:32%(ハザード比:0.68、95%信頼区間:0.55-0.85;p=0.0005)、オミクロン株:40%(ハザード比:0.60、95%信頼区間:0.72;p<0.0001))。
もう1つの解析では、免疫不全患者さん4,664人を評価し、ベクルリー投与患者さんでは、30日目および60日目のいずれにおいても、再入院リスクが低減しました。対照群と比較して、ベクルリー投与患者さんの60日目の再入院率は、デルタ株期では16%低く、(ハザード比:0.84、95%信頼区間:0.71-0.96;p<0.01)、オミクロン株期では13%低い(ハザード比:0.87、95%信頼区間:0.81-0.93;p<0.01)結果でした。これらのデータは、今年初めのレトロウイルス・日和見感染症会議(CROI)で発表されたベクルリー投与と30日目の全ての原因による再入院リスク低下との関連を示したRWEをさらに裏付けるものです。
イタリア・ミラノのHumanitas Research Hospital感染症ユニット長で、Humanitas University准教授のミケーレ・バルトレッティ医師(Michele Bartoletti, MD, PhD)は次のように述べています。「抗ウイルス薬は、SARS-CoV-2ウイルスの複製を抑制する上で重要な役割を果たします。また、レムデシビルは、安全性や忍容性プロファイルが十分に確立されており、懸念される変異株に対する活性が維持されるため、免疫不全患者さんを含む感染リスクの高い患者集団に対する重要な治療選択肢です」
ギリアドはECCMIDで、健康な成人被験者を対象としたobeldesivirの無作為化、二重盲検、プラセボ対照、用量漸増、第I相試験から得られた肯定的データも発表しました。その結果から、obeldesivirはCOVID-19治療に求められる治療血漿中濃度に達することが示されました。obeldesivirは、COVID-19治療を目的として開発中の新しい経口抗ウイルス薬で、ウイルスRNAポリメラーゼを阻害し、SARS-CoV-2ウイルス複製を標的とすることにより、代謝されるとベクルリーと同じように作用します。ギリアドは、さまざまな集団や地域を対象にCOVID-19非入院患者さんの治療薬として、obeldesivirの有効性および安全性を評価する2つの第III相試験(BIRCH試験およびOAKTREE試験)を行っています。
ギリアドのCOVID-19開発プログラムについて
ベクルリー(レムデシビル)は、ギリアドの10年以上にわたる抗ウイルス研究の成果を基に創薬されたヌクレオチド誘導体です。本剤は、COVID-19による入院患者さんの標準治療として使われる抗ウイルス薬で、進行リスクが高い非入院患者さんの疾患進行を抑制する治療として推奨されています。ベクルリーの安全性プロファイルは確立されており、幅広い集団において最小限の薬物相互作用を有しています。ベクルリーは、さまざまな重症度の患者さんの疾患進行抑制および死亡率低下、および患者さんの早期回復を可能にすることにおいて、重要な役割を果たしています。
無作為化臨床試験(RCT)を補完するCOVID-19入院患者さんに関する新たなリアルワールド観察試験は、臨床医および免疫不全患者さんやその他の感染リスクの高い集団を含む患者さんに対するベクルリーが有益であることをさらに示すものです。RCTは依然として薬の有効性や安全性を評価する最良のツールではありますが、RWEは日常の臨床現場における治療薬の使用に関する重要な補完データを提供します。ベクルリーに関するRWE解析は他にも現在進行中で、結果や結論はそれぞれ異なる可能性があります。
入院患者さんにおけるベクルリーの臨床的ベネフィットは、ACTT-1試験を含む、複数の無作為化、対照、第III相臨床試験で確立されています。2020年に行われたACTT-1試験では、試験対象のCOVID-19入院患者集団全体において、ベクルリー投与患者さんが、プラセボ群と比較して、死亡率低下の傾向を示しました(11%対15%、HR:0.73、95%CI:0.52- 1.03)。しかしながら、この結果は統計学的に有意ではありませんでした。
ベクルリーは、世界約50カ国で承認されています。現在までにベクルリーおよびジェネリック薬のレムデシビルは、ボランタリー・ライセンスを通じて提供された低中所得国における800万人を含め、世界で約1,300万人の患者さんに提供されています。これらのボランタリー・ライセンスは、レムデシビルへの幅広い患者アクセスを可能にするというギリアドのコミットメントを反映し、ロイヤリティ・フリーで提供されています。
COVID-19患者さんに向けた新しい効果的な経口治療薬選択肢開発に対する大きなニーズが依然として存在します。ギリアドは、代謝されると、レムデシビルと同じ活性代謝物を生成する経口ヌクレオシドプロドラッグobeldesivirの開発も進めています。
BIRCH試験(NCT05603143)について
BIRCH試験は、COVID-19重症化リスクの高い非入院患者さんを対象に、obeldesivirの有効性および安全性をプラセボ群と比較する国際共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、第III相試験です。詳細については、https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05603143をご参照ください。
OAKTREE試験(NCT05715528)について
OAKTREE試験は、COVID-19重症化リスク因子を持たない患者さんを対象に、ワクチン接種状況に関わらず、COVID-19非入院患者さんにおけるobeldesivirの有効性および安全性をプラセボ群と比較する国際共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、第III相試験です。詳細については、https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05715528をご参照ください。
obeldesivirは開発中の製品で、いかなる使用についても世界では承認されていません。obeldesivirの安全性および有効性はまだ確立されていません。
米国でのベクルリーの適応症
米国におけるベクルリーの適応症は、次の成人および小児患者さん(生後28日以上、体重3kg以上)に対するCOVID-19治療となります。
・入院している
・あるいは、入院しておらず、軽症から中等症のCOVID-19であり、入院や死亡を含むCOVID-19重症化リスクが高い
詳細については、www.gilead.comに掲載されている米国の添付文書(完全版)をご覧ください。
米国におけるベクルリーに関する重要な安全性情報
禁忌
ベクルリー製剤またはそのいずれかの成分に対して臨床上問題となる過敏症の既往歴のある患者には投与しないでください。
警告および使用上の注意
・過敏症(注入に伴う反応とアナフィラキシー反応を含む):ベクルリーの投与中および投与後に、注入に伴う反応やアナフィラキシー反応などの過敏症の発生が報告されています。また、そのほとんどが1時間以内に発現しています。投与中は患者をモニタリングし、臨床的に適切となるよう投与完了から少なくとも1時間は過敏症の徴候や症状がないか観察してください。低血圧、高血圧、頻脈、徐脈、低酸素症、発熱、呼吸困難、喘鳴、血管浮腫、発疹、吐き気、発汗や振戦などの症状が現れることがあります。点滴速度を下げると(点滴時間は最長で120分)、これらの反応を予防できる可能性があります。投与に伴う重度の過敏症が発現した場合、直ちにベクルリーの投与を中止し、適切な治療を開始して下さい(「禁忌」を参照)。
・トランスアミナーゼ上昇リスク:ベクルリーを投与された健常被験者やCOVID-19患者に、トランスアミナーゼの上昇が認められています。COVID-19の臨床所見としてもトランスアミナーゼ上昇が報告されています。全ての患者について、肝機能検査を行ってください(「用法および用量」を参照)。ALTが施設基準値上限(ULN)の10倍を超える場合、ベクルリーの投与中止を検討してください。ALT上昇に伴い肝臓の炎症を示す症状・徴候が認められた場合はベクルリーの投与を中止してください。
・クロロキン・ヒドロキシクロロキンとの併用時の抗ウイルス活性低下リスク:ベクルリーとリン酸クロロキンまたはヒドロキシクロロキン硫酸塩との併用については、細胞培養で拮抗作用が認められ、ベクルリーの抗ウイルス活性が低下する可能性があることから、併用は推奨しません。
副作用
・発現率が高かった副作用(全グレードにおいて発現率5%以上)は吐き気でした。
・発現率が高かった検査値異常(全グレードにおいて発現率5%以上)は、ALT上昇とAST上昇でした。
薬物相互作用
・ベクルリーと併用薬の薬物相互作用を検討するヒトを対象とした試験は行われていません。
用法および用量
・アナフィラキシーなど、重度の過敏症反応の管理が可能な条件下で投与されます。
・投与期間:
O 入院患者の場合、COVID-19の徴候があると診断された場合、早急にベクルリーを投与する必要があります。
O 侵襲的機械換気および/またはECMOを必要としない入院患者の場合、推奨投与期間は5日間です。臨床的改善が認められない場合、投与期間をさらに5日間まで延長でき、投与日数の合計は最高で10日間です。
O 侵襲的機械換気および/または ECMO を必要とする入院患者の場合、推奨投与期
間は合計 10 日間です。
O 軽症から中等症のCOVID-19と診断され、入院または死亡を含むCOVID-19重症化リスクの高い非入院患者の場合、推奨投与期間は合計で3日間です。COVID-19の徴候があると診断された場合、できるだけ早急に、症状発現から7日以内に外来での使用を開始することを推奨します。
・投与前および投与中の検査:ベクルリーの投与開始前はeGFR、肝機能検査、プロトロビン時間の検査を行い、投与期間中も、臨床上必要に応じて行ってください。
・腎機能障害:eGFRが30 mL/分未満の患者には、ベクルリーの投与は推奨しません。
妊婦および授乳婦への投与
・妊婦:妊婦レジストリは確立されています。妊娠中のベクルリーの使用に関するヒトのデータは十分に得られていません。COVID-19は、子癇前症、子癇、早産、前期破水、静脈血栓塞栓性疾患、胎児死亡などの母体や胎児の有害転帰と関連しています。
・授乳婦:ベクルリーが乳汁中へ移行するかは不明です。COVID-19患者の授乳については、乳児へのウイルス曝露を避けるための臨床ガイドラインに従ってください。
ギリアド・サイエンシズについて
ギリアド・サイエンシズは、すべての人々にとって、より健康な世界の実現を目指し、30年以上にわたり医療の革新を追求し、飛躍的な進歩を遂げてきたバイオ医薬品企業です。当社はHIV、ウイルス性肝炎、がんなどの生命を脅かす疾患の予防と治療のため、革新的な医薬品の開発に取り組んでいます。カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35カ国以上で事業を行っています。
将来予測に関する記述
本プレスリリースは、1995年「米国証券訴訟改革法」(Private Securities Litigation Reform Act of 1995)で定義される「将来予測に関する記述」に該当し、いくつかのリスクや不確定要素などの要因を含む場合があります。これらのリスク等には、現在見込まれるタイムライン内に臨床試験を開始、進行、完了するギリアドの能力、またはそれらが全く完了できない可能性、ベクルリーとobeldesivirに関するものを含む進行中または追加の臨床試験から得られた結果が好ましくない可能性、ギリアドがobeldesivirを含む製品候補について開発中止の戦略的決定を行う可能性、規制当局への申請および関連する申請に対する承認が適時に行われない不確実性、規制当局から承認された場合でも、その承認に著しい制限が課される可能性および上記のいずれかの根拠となる仮定も含まれます。これらのリスクやその他の不確定要素等については、米国証券取引委員会に提出している、2022年12月31日を期末とするギリアド年次報告書(フォーム10-K)で詳細に説明しています。これらのリスク、不確定要素およびその他の要因により、実際の結果が「将来予測に関する記述」で言及されたものと大きく異なる可能性があります。歴史的事実以外の全ての記述は、「将来予測に関する記述」とみなされます。このような「将来予測に関する記述」は将来の業績を保証するものではありませんので、この記述に過度に依拠しないようご注意下さい。「将来予測に関する記述」は全て、ギリアドが現在入手できる情報に基づいており、ギリアドは「将来予測に関する記述」を更新する義務を負うことはなく、更新する意向もありません。