「うつ病と食生活」の密接な関係について「知らなかった」人が7割以上
[23/08/01]
提供元:共同通信PRワイヤー
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専門医が解説する「うつ病と食生活」のメカニズムと改善のヒントとは?
「うつ病と食生活」の密接な関係について「知らなかった」人が7割以上 専門医が解説する「うつ病と食生活」のメカニズムと改善のヒントとは? 〜Meiji Seika ファルマがうつ病患者・うつ病経験者にアンケートを実施〜
Meiji Seika ファルマ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小林大吉郎)はこの度、過去にうつ病と診断されて治療を行った、あるいは現在治療を行っている男女500名を対象にした「うつ病治療と食生活」に関するアンケート調査及び精神科・心療内科のクリニックを運営する医師(開業医)110名を対象にしたアンケート調査を実施しました。
「うつ病は普段の食生活による栄養状態と深い関係があるといわれている」ことについて「知らなかった」と答えた回答者は72.8%にのぼりました。そして、「うつ病は普段の食生活による栄養状態と深い関係がある」という理解を前提にして「食生活の改善に取り組みたいと思うか」という問いには、回答者の70%が「取り組みたいと思う」と回答。うつ病を治療する目的で食生活や栄養摂取状況を改善することに対する意欲は非常に高いことが明らかになりました。今回のアンケート結果は、「うつ病と食生活」について適切な情報提供が必要であることを示唆しています。
うつ病と食生活・栄養の関連について研究している帝京大学医学部 精神神経科学講座主任教授の功刀浩先生は、生活リズムや食生活の乱れなどがメンタルヘルスに大きく影響していると指摘。さらに、精神科・心療内科のクリニックを運営する医師(開業医)を対象にしたアンケート調査においては、約60%の医師が「うつ病の改善には、従来の治療に加えて食生活の見直し・改善が大切だ」という認識を示しています。
うつ病の症状改善には、「うつ病と食生活」についての適切な情報提供や医師による食生活指導が重要な役割を果たします。Meiji Seika ファルマはこれからも、客観性と科学性、エビデンスに基づいた情報をお届けし、患者さんやそのご家族の安心と医師の日常の診療をサポートしてまいります。
■調査概要
調査内容:うつ病と食生活に関するアンケート調査
実施期間:2022年12月22日〜2022年12月23日
実施対象:現在うつ病治療中の男女377名、過去にうつ病治療の経験がある男女123名(計500名)
実施方法:インターネット調査
問1:うつ病と診断された頃の食生活について、当てはまるものを全て選んでください。(複数回答)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202307317658-O1-wFi2X0G5】
うつ病と診断された当時の食生活について尋ねた問いでは、「食欲がわかず、食事量が減っていた」(39.6%)に次いで「栄養が偏りがちな食生活だった」(36.8%)、「朝食や昼食を抜くなど不規則な食生活になりがちだった」(35.0%)、「暴飲・暴食することが多かった」(26.0%)と食生活の乱れに関する回答が続く結果に。また、「野菜を食べることが少なかった」(25.2%)、「魚を食べることが少なかった」(24.8%)「外食やテイクアウトが中心」(24.0%)などにも回答が集まっており、「いずれも当てはまらない」は約2割にとどまる結果に。食生活や栄養摂取のバランスが乱れている人も多いことが明らかになりました。
問2:下記の中で、うつ病の通院治療で行っている(行った)ものを全て選んでください。(複数回答)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202307317658-O2-t6qZkkWX】
うつ病の通院治療において、具体的にどのような治療を行っているかを尋ねた質問では、「薬による治療」が96.2%と最も多く、次いで「カウンセリング」が54.4%と続きました。
一方で、睡眠や休息といった生活習慣の改善指導は27.4%、食事内容や栄養改善といった食生活の指導は10.6%と少数であるという結果に。うつ病の治療を行っている(いた)多くの回答者が、主に「薬による治療」に留まっている実態が明らかになりました。
問3:うつ病の治療をする(していた)中で、食生活の改善に取り組んだことはありますか。(択一回答)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202307317658-O3-asupQp3r】
うつ病を治療する中で食生活の改善に取り組んだことのある人は、「とても積極的に取り組んでいる(取り組んでいた)」「やや積極的に取り組んでいる(取り組んでいた)」を合計して34.8%という結果になりました。
一方で、「全く取り組んでいない(取り組んでいなかった)」という人も34.6%という結果になり、問1の回答から食生活の乱れ、栄養摂取バランスの乱れがある人が多い一方で、その改善に取り組む人は多いとはいえないという実態が明らかになりました。
問4:うつ病は食生活による栄養状態と深い関係があるといわれています。ご存じでしたか。(択一回答)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202307317658-O4-Sf4xJA9B】
「うつ病と食生活」の関係性について、その認知度を尋ねた質問では、「知っていた」と回答した人は27.2%にとどまり、72.8%が「知らなかった」と回答しました。うつ病は普段の食生活の栄養バランスと密接に関係しているといわれていますが、その認知度は低いことがわかりました。
問5:うつ病は普段の食生活による栄養状態と深い関係があるときいて、これからご自身の食生活の改善に取り組みたいと思いますか。(択一回答)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202307317658-O5-gV2hGxZ1】
「うつ病は普段の食生活による栄養状態と深い関係がある」という前提で食生活の改善に取り組みたいかを尋ねた質問では、「積極的に取り組みたい(23.2%)」「やや積極的に取り組みたい(46.8%)」を合わせて70%の人が「積極的に取り組みたい」と回答しており、食生活改善の意欲が高い人に対して「具体的にどのように改善すべきか」という正しい知識を提供し、サポートすることが重要であることが示されています。
■多くの医師が「うつ病治療における食生活改善」に意欲
「飽食の時代」といわれる現代社会において、私たちの食生活は「エネルギーの過剰摂取」「偏った食生活による栄養不足」といった課題を抱えています。なかでも、私たちの食生活に欠かせなくなった加工食品は、ビタミンやミネラル、食物繊維といった食材が本来持つ栄養素が精製・加工の段階で失われているといわれており、エネルギーの摂取が過剰になっている一方で、必要な栄養素は欠如するという矛盾が生まれているのです。
加えて、肉が中心の欧米型に食生活が変化し、健康に良いとされている魚由来の油(DHAやEPA)の摂取量が減少傾向にあることで、身体的な健康への影響やメンタルヘルスへの影響を生み出しているといわれています。偏った食生活から生まれる肥満、メタボリック症候群、糖尿病といった様々な身体的な問題は、うつ病の発症リスクを1.5倍に高めるといわれています。また、葉酸をはじめとするビタミンや亜鉛などのミネラルの不足もうつ病の発症リスクに影響を与えるともいわれています。栄養バランスの乱れが、うつ病をはじめとしたメンタルヘルスの問題を引き起こすトリガーになるのです。
うつ病と食生活の関係について、Meiji Seikaファルマが精神科、心療内科のクリニックを運営する医師(開業医)110名を対象にしたアンケート調査(下記)では、医師の60%が「食生活、生活習慣の改善はうつ病治療にとって重要だ」と回答しており、うつ病の治療において、患者の食生活や生活習慣を見直し、積極的に改善していくことが症状緩和・改善にとって重要な役割を果たしていくことが示唆しています。
うつ病患者の治療にあたり、食生活をはじめ生活習慣の把握・指導を行なっていますか?(択一回答)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202307317658-O6-d4VB33jn】
うつ病治療のうち食生活をはじめとした生活習慣の把握・指導を行なっているかを尋ねた質問(左グラフ)では、「すべての患者に対して行なっている(6%)」「患者の症状に応じて行なっている(42%)」を合わせて約半数の48%が「食生活をはじめとした生活習慣の把握・指導を行なっている」と回答しました。
うつ病患者の治療にあたり、食生活の見直し、生活習慣の改善は重要でしょうか?(択一回答)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202307317658-O7-i7ayQ705】
食生活の見直しや生活習慣改善の重要性を尋ねた質問に対しては、60%もの医師が「食生活、生活習慣の改善は重要」と回答。投薬やカウンセリングだけでなく、患者自身の食生活や生活習慣を見直し、改善していくことの重要性がわかる結果となりました。
■うつ病治療の専門家が語る「うつ病と食生活」
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202307317658-O8-Q81AQk4d】
功刀 浩 先生
帝京大学 医学部 精神神経科学講座 主任教授
帝京大学医学部附属病院メンタルヘルス科 診療科長
エネルギーの過剰摂取による生活習慣病とうつ病は相互に悪影響
加工食品の拡大や欧米化した食生活による栄養バランスの乱れとエネルギーの過剰摂取、移動手段の利便性が高まったことによる運動不足、昼夜を問わず明るい場所で活動することによって生じる生活リズムの乱れ、インターネットの普及によるスマホ依存やゲーム依存の拡大といった現代のライフスタイルの変化は、メンタルの不調に大きく影響しています。加えて、コロナ禍による対人関係の変化、ストレスの蓄積、アルコール摂取量の増加、生活リズムや食生活の乱れなどもメンタルに大きく影響していると考えられます。
なかでも、エネルギーの過剰摂取は肥満、メタボリック症候群、糖尿病といった生活習慣病の罹患リスクを高めることになり、こうした疾患はうつ病の発症リスクを約1.5倍高めるといわれています。一方で、うつ病自体も、これらの生活習慣病の発症リスクを高めるといわれており、うつ病と生活習慣病は相互に悪影響を与え合う関係にあるといえます。
魚に含まれる栄養素がメンタルの健康にも良い影響
加工食品の拡大や欧米化による栄養バランスの乱れによるビタミン(ビタミンDや葉酸など)やミネラル(亜鉛など)の不足が生じるとうつ病の発症リスクが高まるといわれています。北米イヌイットの魚を中心とした食生活が身体的な健康に良いことは古くから指摘されていましたが、近年の研究により、メンタルの健康にも良い影響を与えていることが明らかになってきました。日本人の食生活はかつての魚中心のものから肉中心のものへと変化しており、魚の脂に含まれるEPAやDHAといった成分の摂取が減少してきています。このような栄養素の摂取量の減少はうつ病の発症リスクを高めると考えられます。
バランスの良い食生活を
メンタルを健康に保つためには、エネルギーの過剰摂取に注意しながらビタミンとミネラルのバランスが取れた食生活を送ることが重要です。うつ病の治療においても、薬物治療やカウンセリングと並んで食生活をはじめとしたライフスタイルの見直しが重要になってきています。メンタルの健康は身体が作っており、身体の健康はメンタルヘルスと密接に関わっているのです。
功刀 浩(くぬぎ ひろし):1986年、東京大学医学部を卒業。帝京大学精神科学教室を経て、1994年ロンドン大学精神医学研究所にてRobin Murray教授の指導下に疫学・分子遺伝学的研究に従事。以後、精神疾患の生物学的研究を継続的に行っている。1998年帝京大学医学部精神神経科学講座講師を経て、2002年国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター神経研究所 疾病研究第三部部長、2017年より同センターにて気分障害センター長を兼務。2020年より帝京大学医学部精神神経科学講座教授。2021年より同主任教授。専門は統合失調症やうつ病の脳科学、新たな診断・治療法の開発。最近は、脳脊髄液を用いたバイオマーカーや創薬標的分子に関する研究に精力的に取り組む。また、食生活・栄養に着目した研究も積極的に行っている。「薬だけに頼らずうつがみるみる遠ざかる食べ方大全」(文響社)、「心の病を治す 食事・運動・睡眠の整え方 ココロの健康シリーズ」(翔泳社)、「こころに効く精神栄養学」(女子栄養大学出版)など多くの著書がある。
以上
「うつ病と食生活」の密接な関係について「知らなかった」人が7割以上 専門医が解説する「うつ病と食生活」のメカニズムと改善のヒントとは? 〜Meiji Seika ファルマがうつ病患者・うつ病経験者にアンケートを実施〜
Meiji Seika ファルマ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小林大吉郎)はこの度、過去にうつ病と診断されて治療を行った、あるいは現在治療を行っている男女500名を対象にした「うつ病治療と食生活」に関するアンケート調査及び精神科・心療内科のクリニックを運営する医師(開業医)110名を対象にしたアンケート調査を実施しました。
「うつ病は普段の食生活による栄養状態と深い関係があるといわれている」ことについて「知らなかった」と答えた回答者は72.8%にのぼりました。そして、「うつ病は普段の食生活による栄養状態と深い関係がある」という理解を前提にして「食生活の改善に取り組みたいと思うか」という問いには、回答者の70%が「取り組みたいと思う」と回答。うつ病を治療する目的で食生活や栄養摂取状況を改善することに対する意欲は非常に高いことが明らかになりました。今回のアンケート結果は、「うつ病と食生活」について適切な情報提供が必要であることを示唆しています。
うつ病と食生活・栄養の関連について研究している帝京大学医学部 精神神経科学講座主任教授の功刀浩先生は、生活リズムや食生活の乱れなどがメンタルヘルスに大きく影響していると指摘。さらに、精神科・心療内科のクリニックを運営する医師(開業医)を対象にしたアンケート調査においては、約60%の医師が「うつ病の改善には、従来の治療に加えて食生活の見直し・改善が大切だ」という認識を示しています。
うつ病の症状改善には、「うつ病と食生活」についての適切な情報提供や医師による食生活指導が重要な役割を果たします。Meiji Seika ファルマはこれからも、客観性と科学性、エビデンスに基づいた情報をお届けし、患者さんやそのご家族の安心と医師の日常の診療をサポートしてまいります。
■調査概要
調査内容:うつ病と食生活に関するアンケート調査
実施期間:2022年12月22日〜2022年12月23日
実施対象:現在うつ病治療中の男女377名、過去にうつ病治療の経験がある男女123名(計500名)
実施方法:インターネット調査
問1:うつ病と診断された頃の食生活について、当てはまるものを全て選んでください。(複数回答)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202307317658-O1-wFi2X0G5】
うつ病と診断された当時の食生活について尋ねた問いでは、「食欲がわかず、食事量が減っていた」(39.6%)に次いで「栄養が偏りがちな食生活だった」(36.8%)、「朝食や昼食を抜くなど不規則な食生活になりがちだった」(35.0%)、「暴飲・暴食することが多かった」(26.0%)と食生活の乱れに関する回答が続く結果に。また、「野菜を食べることが少なかった」(25.2%)、「魚を食べることが少なかった」(24.8%)「外食やテイクアウトが中心」(24.0%)などにも回答が集まっており、「いずれも当てはまらない」は約2割にとどまる結果に。食生活や栄養摂取のバランスが乱れている人も多いことが明らかになりました。
問2:下記の中で、うつ病の通院治療で行っている(行った)ものを全て選んでください。(複数回答)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202307317658-O2-t6qZkkWX】
うつ病の通院治療において、具体的にどのような治療を行っているかを尋ねた質問では、「薬による治療」が96.2%と最も多く、次いで「カウンセリング」が54.4%と続きました。
一方で、睡眠や休息といった生活習慣の改善指導は27.4%、食事内容や栄養改善といった食生活の指導は10.6%と少数であるという結果に。うつ病の治療を行っている(いた)多くの回答者が、主に「薬による治療」に留まっている実態が明らかになりました。
問3:うつ病の治療をする(していた)中で、食生活の改善に取り組んだことはありますか。(択一回答)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202307317658-O3-asupQp3r】
うつ病を治療する中で食生活の改善に取り組んだことのある人は、「とても積極的に取り組んでいる(取り組んでいた)」「やや積極的に取り組んでいる(取り組んでいた)」を合計して34.8%という結果になりました。
一方で、「全く取り組んでいない(取り組んでいなかった)」という人も34.6%という結果になり、問1の回答から食生活の乱れ、栄養摂取バランスの乱れがある人が多い一方で、その改善に取り組む人は多いとはいえないという実態が明らかになりました。
問4:うつ病は食生活による栄養状態と深い関係があるといわれています。ご存じでしたか。(択一回答)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202307317658-O4-Sf4xJA9B】
「うつ病と食生活」の関係性について、その認知度を尋ねた質問では、「知っていた」と回答した人は27.2%にとどまり、72.8%が「知らなかった」と回答しました。うつ病は普段の食生活の栄養バランスと密接に関係しているといわれていますが、その認知度は低いことがわかりました。
問5:うつ病は普段の食生活による栄養状態と深い関係があるときいて、これからご自身の食生活の改善に取り組みたいと思いますか。(択一回答)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202307317658-O5-gV2hGxZ1】
「うつ病は普段の食生活による栄養状態と深い関係がある」という前提で食生活の改善に取り組みたいかを尋ねた質問では、「積極的に取り組みたい(23.2%)」「やや積極的に取り組みたい(46.8%)」を合わせて70%の人が「積極的に取り組みたい」と回答しており、食生活改善の意欲が高い人に対して「具体的にどのように改善すべきか」という正しい知識を提供し、サポートすることが重要であることが示されています。
■多くの医師が「うつ病治療における食生活改善」に意欲
「飽食の時代」といわれる現代社会において、私たちの食生活は「エネルギーの過剰摂取」「偏った食生活による栄養不足」といった課題を抱えています。なかでも、私たちの食生活に欠かせなくなった加工食品は、ビタミンやミネラル、食物繊維といった食材が本来持つ栄養素が精製・加工の段階で失われているといわれており、エネルギーの摂取が過剰になっている一方で、必要な栄養素は欠如するという矛盾が生まれているのです。
加えて、肉が中心の欧米型に食生活が変化し、健康に良いとされている魚由来の油(DHAやEPA)の摂取量が減少傾向にあることで、身体的な健康への影響やメンタルヘルスへの影響を生み出しているといわれています。偏った食生活から生まれる肥満、メタボリック症候群、糖尿病といった様々な身体的な問題は、うつ病の発症リスクを1.5倍に高めるといわれています。また、葉酸をはじめとするビタミンや亜鉛などのミネラルの不足もうつ病の発症リスクに影響を与えるともいわれています。栄養バランスの乱れが、うつ病をはじめとしたメンタルヘルスの問題を引き起こすトリガーになるのです。
うつ病と食生活の関係について、Meiji Seikaファルマが精神科、心療内科のクリニックを運営する医師(開業医)110名を対象にしたアンケート調査(下記)では、医師の60%が「食生活、生活習慣の改善はうつ病治療にとって重要だ」と回答しており、うつ病の治療において、患者の食生活や生活習慣を見直し、積極的に改善していくことが症状緩和・改善にとって重要な役割を果たしていくことが示唆しています。
うつ病患者の治療にあたり、食生活をはじめ生活習慣の把握・指導を行なっていますか?(択一回答)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202307317658-O6-d4VB33jn】
うつ病治療のうち食生活をはじめとした生活習慣の把握・指導を行なっているかを尋ねた質問(左グラフ)では、「すべての患者に対して行なっている(6%)」「患者の症状に応じて行なっている(42%)」を合わせて約半数の48%が「食生活をはじめとした生活習慣の把握・指導を行なっている」と回答しました。
うつ病患者の治療にあたり、食生活の見直し、生活習慣の改善は重要でしょうか?(択一回答)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202307317658-O7-i7ayQ705】
食生活の見直しや生活習慣改善の重要性を尋ねた質問に対しては、60%もの医師が「食生活、生活習慣の改善は重要」と回答。投薬やカウンセリングだけでなく、患者自身の食生活や生活習慣を見直し、改善していくことの重要性がわかる結果となりました。
■うつ病治療の専門家が語る「うつ病と食生活」
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202307317658-O8-Q81AQk4d】
功刀 浩 先生
帝京大学 医学部 精神神経科学講座 主任教授
帝京大学医学部附属病院メンタルヘルス科 診療科長
エネルギーの過剰摂取による生活習慣病とうつ病は相互に悪影響
加工食品の拡大や欧米化した食生活による栄養バランスの乱れとエネルギーの過剰摂取、移動手段の利便性が高まったことによる運動不足、昼夜を問わず明るい場所で活動することによって生じる生活リズムの乱れ、インターネットの普及によるスマホ依存やゲーム依存の拡大といった現代のライフスタイルの変化は、メンタルの不調に大きく影響しています。加えて、コロナ禍による対人関係の変化、ストレスの蓄積、アルコール摂取量の増加、生活リズムや食生活の乱れなどもメンタルに大きく影響していると考えられます。
なかでも、エネルギーの過剰摂取は肥満、メタボリック症候群、糖尿病といった生活習慣病の罹患リスクを高めることになり、こうした疾患はうつ病の発症リスクを約1.5倍高めるといわれています。一方で、うつ病自体も、これらの生活習慣病の発症リスクを高めるといわれており、うつ病と生活習慣病は相互に悪影響を与え合う関係にあるといえます。
魚に含まれる栄養素がメンタルの健康にも良い影響
加工食品の拡大や欧米化による栄養バランスの乱れによるビタミン(ビタミンDや葉酸など)やミネラル(亜鉛など)の不足が生じるとうつ病の発症リスクが高まるといわれています。北米イヌイットの魚を中心とした食生活が身体的な健康に良いことは古くから指摘されていましたが、近年の研究により、メンタルの健康にも良い影響を与えていることが明らかになってきました。日本人の食生活はかつての魚中心のものから肉中心のものへと変化しており、魚の脂に含まれるEPAやDHAといった成分の摂取が減少してきています。このような栄養素の摂取量の減少はうつ病の発症リスクを高めると考えられます。
バランスの良い食生活を
メンタルを健康に保つためには、エネルギーの過剰摂取に注意しながらビタミンとミネラルのバランスが取れた食生活を送ることが重要です。うつ病の治療においても、薬物治療やカウンセリングと並んで食生活をはじめとしたライフスタイルの見直しが重要になってきています。メンタルの健康は身体が作っており、身体の健康はメンタルヘルスと密接に関わっているのです。
功刀 浩(くぬぎ ひろし):1986年、東京大学医学部を卒業。帝京大学精神科学教室を経て、1994年ロンドン大学精神医学研究所にてRobin Murray教授の指導下に疫学・分子遺伝学的研究に従事。以後、精神疾患の生物学的研究を継続的に行っている。1998年帝京大学医学部精神神経科学講座講師を経て、2002年国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター神経研究所 疾病研究第三部部長、2017年より同センターにて気分障害センター長を兼務。2020年より帝京大学医学部精神神経科学講座教授。2021年より同主任教授。専門は統合失調症やうつ病の脳科学、新たな診断・治療法の開発。最近は、脳脊髄液を用いたバイオマーカーや創薬標的分子に関する研究に精力的に取り組む。また、食生活・栄養に着目した研究も積極的に行っている。「薬だけに頼らずうつがみるみる遠ざかる食べ方大全」(文響社)、「心の病を治す 食事・運動・睡眠の整え方 ココロの健康シリーズ」(翔泳社)、「こころに効く精神栄養学」(女子栄養大学出版)など多くの著書がある。
以上