C&W、2023年上期の日本物流施設のレポートを発行
[23/08/25]
提供元:共同通信PRワイヤー
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東京圏において、供給過多な圏央道茨城や東北道で局所的に空室率の上昇見込み
グローバル不動産総合サービス会社のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(グローバル本社:米国イリノイ州シカゴ、日本本社:千代田区永田町、C&W)は、日本の物流市況について最新のレポートを発表致しました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202308248431-O10-l1H22rxV】
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アウトルック
空室率は低位安定:東京圏においては、供給過多な圏央道茨城や東北道において、局所的に空室率の上昇を見込む。地方都市においては、先進的物流施設ストックは未だ不十分であり、新規供給に合わせて潜在需要が喚起されていく状況が継続する見通し。
賃料はほぼ横ばい:都心部における都市型物流施設の価格支配力は高止まりしているものの、その他エリアの既存物件については物流コスト増で苦戦するテナントに対して、不動産賃料を含めた価格転嫁が難しい状況を見込む。
需要:貨物輸送量は横ばいで推移、東京圏では優れた立地条件を通じた物流コストの削減が焦点に
輸送量の動きをみると、純輸出はわずかなプラスに転じたものの、物価高に伴う国内消費の下振れが懸念される。EC拡大などに牽引された消費財の輸送量は前年比1.8%程度1の上昇を実現したものの、製造業の需要減少により相殺されてしまった結果、国内総輸送量は横ばい。品目別にみると、価格が高騰する木材、化学、鉄鋼などの製造業関連の荷動き指数が、2022年来ネガティブ圏で推移している。荷動きは想定以上に伸び悩んでいるものの、約10%の値上げを発表した宅配便の件数は引き続き前年比1%程度2の増加ペースを維持しており、少量多頻度の都市型物流への構造変化は着実に進展しているといえるだろう。
円安などの価格要因を背景に、通期の上場企業業績は若干の経常増益見通しが報道されているものの、零細業者の多い物流業者の景況感は厳しいままである。過去20年間の売上に対する物流コスト比率は2015年の4.63%をボトムに右肩上がりに上昇してきた。日本ロジスティックスシステム協会が発表した2022年の同比率は5.3%と前年比0.4p.pの減少にようやく転じたものの、今後は物流コストの6割近くを占める輸送費の削減を実現させる都市型物流向けの立地条件がより厳しく問われてくることを見込んでいる。
供給:東京圏で供給過多となる外環道の外側において、賃料の下振れと空室率の上昇を見込む
2023年上期は大規模施設を中心に数多くの竣工が相次いだ結果、東京圏では上半期だけで二百万平米を超える過去最大の新規供給となった。用地の供給が限定的な都市型物流施設では、高層化による土地の有効活用が進む。3月にESRが日本最高層の9階建てとなるマルチテナント施設ESR東扇島ディストリビューションセンターを竣工。ほか、都内最大の延床面積25万平米超のまちづくり型物流施設となるMFLP・LOGIFRONT 東京板橋が着工した。しかし、都心部配送ニーズに適応できる用地の供給は限定的であり、引き続き参入障壁は高い。
郊外においては、流山市主導による物流施設の集積が目立ってきた。7月初めには、GLPが2016年から開発していた「ALFALINK流山」がほぼ満床で竣工。同施設の北側では、大和ハウス工業が4月に「DPL流山プロジェクト」を竣工。同エリア西側では、流山開発による総延床422,727平米の開発が計画されている。
東京圏の開発動向(巻末地図参照)を概観すると、用地獲得が比較的に容易な圏央道や外環道の外側に集中していることがわかる。国道16号沿線の外側では更なる物流施設の集積が予定されており、沿線ストック量は4百万平米を超えた。今後も、圏央道沿線では2百万平米を超える新規供給が予定されている。しかし、外環道の外側においては、そもそも賃料負担能力の低い法人向け取扱品比率(次ページ右上図参照)が半数近くを占めており、自動化によるFC拠点集約も見込まれているため、賃料の更なる下振れと15%を超える空室質の上昇を見込んでおくべきであろう。
主な移転取引の動向
2023年上期の賃料動向を総括すると、東京圏、大阪圏の物流施設の賃料成長率はインフレ率を下回る2%未満で推移。外環道外側での大量供給を受けて、サブマーケット別募集賃料価格帯の格差(下部参照)も広がりつつある。
2023年上期の移転動向を総括すると、拠点集約や物流システム投資などサプライチェーン強化を目的とする取引が目立った。三井食品は運送を委託する成田運輸とともに、常温・冷蔵・冷凍の3温度帯を有するGLP ALFALINK流山5に入居、最新設備を導入した大型物流センターを活用した効率化を推進している。三菱ふそうトラック・バスは、国内外のアフターセールス向け部品倉庫をESR幸浦ディストリビューションセンター1に開設し、納期短縮などの業務効率化を目指す。運用機能の集約・再編を進める西濃運輸は、年初にDPL新横浜IIに既存2拠点を統合移転、6月にGLP ALFALINK流山4にターミナルと保管庫を開設した。
主な投資取引の動向
2023年上期の投資動向を総括すると、外資系バリュー・アッドファンドによる大型ポートフォリオの売却が重なり、6月末までの年間売買総額が大きく押し上げられた。属性別には、運用産高の伸びが続くREITの買い需要が目立つ。2020年に創設されたばかりのGLPのオープンエンド型私募ファンド(Japan Income Fund)運用資産残高は既に7千億円を超えた。また、6月にはプロロジスは第一生命等とJV型私募ファンドを組成、投資期間中に約2,400億円の国内物流資産の所得が可能となるなど、物流施設の運用資産残高は順調に拡大しており、コアファンドの新規参入も目立ってきた。4月、ブラックストーンは、全て大和ハウス工業が開発したDPLシリーズから構成される物流ポートフォリオ6棟を800百万米ドル(約1,062億円相当)でGICに売却。また、3月にはCBREインベストメントマネジメントが主に自社で開発したCBRE GIシリーズからなる計6棟の物流ポートフォリオを660億円でメープルツリー・ロジスティクス・トラストに売却した。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202308248431-O4-yg5Mw9bw】 【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202308248431-O5-Ijnt8V5O】 【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202308248431-O6-rS2UpB1N】 【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202308248431-O7-KLPLl641】
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202308248431-O8-9gI7Q0hM】
1 国土交通省「自動車輸送統計月報」「内航船舶輸送統計月報」
2 ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の直近公表資料に基づく合算値
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‐以上‐
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドについて
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)はニューヨーク取引証券所に上場している世界有数の事業用不動産サービス会社です。世界約60カ国、400拠点に約52,000人の従業員を擁しています。施設管理、売買仲介、鑑定評価、テナントレップ、リーシング、プロジェクト・マネジメントなどのコア・サービス全体で、2022年の売上高は101億ドルを記録しました。受賞歴のある企業文化や、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)、環境、社会、ガバナンス(ESG)へのコミットメントにより、業界内外から高い評価を頂いております。詳しくは、公式ホームページhttps://www.cushmanwakefield.com/ja-jp/japan にアクセスするか公式ツイッター @CushWake をフォロー下さい。
グローバル不動産総合サービス会社のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(グローバル本社:米国イリノイ州シカゴ、日本本社:千代田区永田町、C&W)は、日本の物流市況について最新のレポートを発表致しました。
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空室率は低位安定:東京圏においては、供給過多な圏央道茨城や東北道において、局所的に空室率の上昇を見込む。地方都市においては、先進的物流施設ストックは未だ不十分であり、新規供給に合わせて潜在需要が喚起されていく状況が継続する見通し。
賃料はほぼ横ばい:都心部における都市型物流施設の価格支配力は高止まりしているものの、その他エリアの既存物件については物流コスト増で苦戦するテナントに対して、不動産賃料を含めた価格転嫁が難しい状況を見込む。
需要:貨物輸送量は横ばいで推移、東京圏では優れた立地条件を通じた物流コストの削減が焦点に
輸送量の動きをみると、純輸出はわずかなプラスに転じたものの、物価高に伴う国内消費の下振れが懸念される。EC拡大などに牽引された消費財の輸送量は前年比1.8%程度1の上昇を実現したものの、製造業の需要減少により相殺されてしまった結果、国内総輸送量は横ばい。品目別にみると、価格が高騰する木材、化学、鉄鋼などの製造業関連の荷動き指数が、2022年来ネガティブ圏で推移している。荷動きは想定以上に伸び悩んでいるものの、約10%の値上げを発表した宅配便の件数は引き続き前年比1%程度2の増加ペースを維持しており、少量多頻度の都市型物流への構造変化は着実に進展しているといえるだろう。
円安などの価格要因を背景に、通期の上場企業業績は若干の経常増益見通しが報道されているものの、零細業者の多い物流業者の景況感は厳しいままである。過去20年間の売上に対する物流コスト比率は2015年の4.63%をボトムに右肩上がりに上昇してきた。日本ロジスティックスシステム協会が発表した2022年の同比率は5.3%と前年比0.4p.pの減少にようやく転じたものの、今後は物流コストの6割近くを占める輸送費の削減を実現させる都市型物流向けの立地条件がより厳しく問われてくることを見込んでいる。
供給:東京圏で供給過多となる外環道の外側において、賃料の下振れと空室率の上昇を見込む
2023年上期は大規模施設を中心に数多くの竣工が相次いだ結果、東京圏では上半期だけで二百万平米を超える過去最大の新規供給となった。用地の供給が限定的な都市型物流施設では、高層化による土地の有効活用が進む。3月にESRが日本最高層の9階建てとなるマルチテナント施設ESR東扇島ディストリビューションセンターを竣工。ほか、都内最大の延床面積25万平米超のまちづくり型物流施設となるMFLP・LOGIFRONT 東京板橋が着工した。しかし、都心部配送ニーズに適応できる用地の供給は限定的であり、引き続き参入障壁は高い。
郊外においては、流山市主導による物流施設の集積が目立ってきた。7月初めには、GLPが2016年から開発していた「ALFALINK流山」がほぼ満床で竣工。同施設の北側では、大和ハウス工業が4月に「DPL流山プロジェクト」を竣工。同エリア西側では、流山開発による総延床422,727平米の開発が計画されている。
東京圏の開発動向(巻末地図参照)を概観すると、用地獲得が比較的に容易な圏央道や外環道の外側に集中していることがわかる。国道16号沿線の外側では更なる物流施設の集積が予定されており、沿線ストック量は4百万平米を超えた。今後も、圏央道沿線では2百万平米を超える新規供給が予定されている。しかし、外環道の外側においては、そもそも賃料負担能力の低い法人向け取扱品比率(次ページ右上図参照)が半数近くを占めており、自動化によるFC拠点集約も見込まれているため、賃料の更なる下振れと15%を超える空室質の上昇を見込んでおくべきであろう。
主な移転取引の動向
2023年上期の賃料動向を総括すると、東京圏、大阪圏の物流施設の賃料成長率はインフレ率を下回る2%未満で推移。外環道外側での大量供給を受けて、サブマーケット別募集賃料価格帯の格差(下部参照)も広がりつつある。
2023年上期の移転動向を総括すると、拠点集約や物流システム投資などサプライチェーン強化を目的とする取引が目立った。三井食品は運送を委託する成田運輸とともに、常温・冷蔵・冷凍の3温度帯を有するGLP ALFALINK流山5に入居、最新設備を導入した大型物流センターを活用した効率化を推進している。三菱ふそうトラック・バスは、国内外のアフターセールス向け部品倉庫をESR幸浦ディストリビューションセンター1に開設し、納期短縮などの業務効率化を目指す。運用機能の集約・再編を進める西濃運輸は、年初にDPL新横浜IIに既存2拠点を統合移転、6月にGLP ALFALINK流山4にターミナルと保管庫を開設した。
主な投資取引の動向
2023年上期の投資動向を総括すると、外資系バリュー・アッドファンドによる大型ポートフォリオの売却が重なり、6月末までの年間売買総額が大きく押し上げられた。属性別には、運用産高の伸びが続くREITの買い需要が目立つ。2020年に創設されたばかりのGLPのオープンエンド型私募ファンド(Japan Income Fund)運用資産残高は既に7千億円を超えた。また、6月にはプロロジスは第一生命等とJV型私募ファンドを組成、投資期間中に約2,400億円の国内物流資産の所得が可能となるなど、物流施設の運用資産残高は順調に拡大しており、コアファンドの新規参入も目立ってきた。4月、ブラックストーンは、全て大和ハウス工業が開発したDPLシリーズから構成される物流ポートフォリオ6棟を800百万米ドル(約1,062億円相当)でGICに売却。また、3月にはCBREインベストメントマネジメントが主に自社で開発したCBRE GIシリーズからなる計6棟の物流ポートフォリオを660億円でメープルツリー・ロジスティクス・トラストに売却した。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202308248431-O4-yg5Mw9bw】 【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202308248431-O5-Ijnt8V5O】 【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202308248431-O6-rS2UpB1N】 【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202308248431-O7-KLPLl641】
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1 国土交通省「自動車輸送統計月報」「内航船舶輸送統計月報」
2 ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の直近公表資料に基づく合算値
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‐以上‐
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドについて
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)はニューヨーク取引証券所に上場している世界有数の事業用不動産サービス会社です。世界約60カ国、400拠点に約52,000人の従業員を擁しています。施設管理、売買仲介、鑑定評価、テナントレップ、リーシング、プロジェクト・マネジメントなどのコア・サービス全体で、2022年の売上高は101億ドルを記録しました。受賞歴のある企業文化や、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)、環境、社会、ガバナンス(ESG)へのコミットメントにより、業界内外から高い評価を頂いております。詳しくは、公式ホームページhttps://www.cushmanwakefield.com/ja-jp/japan にアクセスするか公式ツイッター @CushWake をフォロー下さい。