わずか40秒の運動で身体に起こる劇的変化
[24/04/12]
提供元:共同通信PRワイヤー
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強度の工夫で短時間でも大きな運動効果
わずか40秒の運動で身体に起こる劇的変化 ― 強度の工夫で短時間でも大きな運動効果 ―
詳細は 早稲田大学Webサイト をご覧ください。
【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M102172/202404129358/_prw_PT1fl_99lfcvcO.png】
早稲田大学スポーツ科学学術院の川上 泰雄(かわかみ やすお)教授、国立スポーツ科学センターの山岸 卓樹(やまぎし たかき)研究員らの研究グループは、トレーニング効果を生み出す『最少量』のメカニズムについて、強度の工夫によって、短時間であっても大きな運動効果をもたらし得ることを発見しました。健康増進や疾病予防のための運動の重要性は、これまでもメディアなどでたびたび取り上げられていますが、一般的に推奨されている「週150分以上の有酸素運動」や、「週2回以上の筋力トレーニング」の実施は、日常生活においてたやすく実施できる運動とは言えません。このような背景をもとに、近年、トレーニング効果を生み出す『最少量』の研究が盛んになりつつあります。最新の知見では、「60秒以内の高強度間欠的運動」が最大酸素摂取量を向上させることが分かっています。しかし、そのメカニズムは十分に解明されていませんでした。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202404129358-O3-Q8Q2hFi1】
図:高強度間欠的運動実施前後の大腿部のMRIの横断画像例。各筋の色の変化が筋活動の度合いを反映している(青-緑-黄-赤の順で筋活動が高くなる)。
本研究成果は、『Medicine & Science in Sports & Exercise』(論文名:Physiological and Metabolic Responses to Low-Volume Sprint Interval Exercises: Influence of Sprint Duration and Repetitions)にて、2024年3月7日に早期公開されました。
■ 研究の波及効果や社会的影響
本研究で得られた知見は、日本をはじめ世界各国の運動実施率の改善に資するものだと言えます。WHOの身体活動に関する最新ガイドラインでは、1週間あたり150分以上の有酸素運動や週2回以上の筋力トレーニングが推奨されています。確かにWHOの推奨は理想的なものかもしれませんが、多忙な現代社会においてその推奨事項を満たすことは決して容易ではありません。
本研究では、20秒の全力スプリント2本の実施で有酸素性エネルギー代謝、そして大腿部の筋活動を十分に高められることを明らかにしました。したがって、週に1〜2回程度、定期的に本運動を実施することで全身持久力の指標である最大酸素摂取量や大腿部の筋肉量・筋力の改善が期待できます。最大酸素摂取量の改善はアスリートの競技力のみならず、一般成人においても疾病予防に繋がることがこれまでの研究で明らかにされています。さらに、大腿部の筋肉量は加齢の影響を最も受けやすいと言えますが、本研究で用いた運動様式は、加齢に伴う大腿部の筋肉量の減少を食い止める一助となることが期待されます。
■ 課題・今後の展望
本研究では、高強度間欠的運動に対する一過性の生理学的な応答を検証しましたが、実際にトレーニングの効果を確かめるためには本研究で用いた運動を少なくとも数週間〜数か月間実施し、その前後で効果検証をする必要がります。また、20秒の全力スプリントを2本と運動時間は極めて短いのですが、特に高強度の運動に慣れていない人にとっては、本研究で用いた運動様式の実施はハードルが高い可能性があります。本研究では、全力スプリント中の全身、筋肉の酸素消費量の増大は概ね15秒で頭打ちになることも確認されたので、運動時間を30秒(15秒×2本)とさらに短くすることも可能だと言えます。さらに、短時間であっても全力を出すとそれ相応の身体的負担が伴います。そこで、今後は少し発揮パワーを抑えた(強度を落とした)運動でも、適切な効果が得られるかを検証する必要があります。
■ 研究者のコメント
川上:「高強度間欠的運動」は世界的な注目が高まっている運動の種類です。集中して高めの強度で、短い時間だけ繰り返し行う、という方法ですが、その具体的な強度や時間、回数についての「最適解」は明らかではありませんでした。本研究の結果は、アスリートの効率的なトレーニングにつながり、一般人が日常生活に運動を取り入れるための参考になるものと考えられます。
山岸:トレーニング効果を生み出す『最少量』の探求は私の主要な研究テーマです。本研究を皮切りに今後さらに実現可能性や時間効率性に優れた運動様式を開発していきたいと思っています。本研究の内容に興味を持っていただき、これから高強度間欠的運動をトレーニングの一環として取り入れる場合は、運動時間を少し短縮したり(10〜15秒)、(全力ではなく)力を少しセーブした状態でスプリントしたりと、まずは出来る範囲から取り組んでいただければ幸いです。
■ 論文情報
雑誌名:Medicine & Science in Sports & Exercise
論文名:Physiological and Metabolic Responses to Low-Volume Sprint Interval Exercises: Influence of Sprint Duration and Repetitions
執筆者名(所属機関名):山岸 卓樹*(国立スポーツ科学センター)、岩田 宗也(マツダ株式会社)、大塚 俊(愛知医科大学)、一瀬 星空(早稲田大学;論文採択時)、川上 泰雄(早稲田大学)*責任著者
掲載日時:2024年3月7日(木)
掲載URL:https://journals.lww.com/acsm-msse/abstract/9900/physiological_and_metabolic_responses_to.483.aspx
DOI:10.1249/MSS.0000000000003420
わずか40秒の運動で身体に起こる劇的変化 ― 強度の工夫で短時間でも大きな運動効果 ―
詳細は 早稲田大学Webサイト をご覧ください。
【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M102172/202404129358/_prw_PT1fl_99lfcvcO.png】
早稲田大学スポーツ科学学術院の川上 泰雄(かわかみ やすお)教授、国立スポーツ科学センターの山岸 卓樹(やまぎし たかき)研究員らの研究グループは、トレーニング効果を生み出す『最少量』のメカニズムについて、強度の工夫によって、短時間であっても大きな運動効果をもたらし得ることを発見しました。健康増進や疾病予防のための運動の重要性は、これまでもメディアなどでたびたび取り上げられていますが、一般的に推奨されている「週150分以上の有酸素運動」や、「週2回以上の筋力トレーニング」の実施は、日常生活においてたやすく実施できる運動とは言えません。このような背景をもとに、近年、トレーニング効果を生み出す『最少量』の研究が盛んになりつつあります。最新の知見では、「60秒以内の高強度間欠的運動」が最大酸素摂取量を向上させることが分かっています。しかし、そのメカニズムは十分に解明されていませんでした。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202404129358-O3-Q8Q2hFi1】
図:高強度間欠的運動実施前後の大腿部のMRIの横断画像例。各筋の色の変化が筋活動の度合いを反映している(青-緑-黄-赤の順で筋活動が高くなる)。
本研究成果は、『Medicine & Science in Sports & Exercise』(論文名:Physiological and Metabolic Responses to Low-Volume Sprint Interval Exercises: Influence of Sprint Duration and Repetitions)にて、2024年3月7日に早期公開されました。
■ 研究の波及効果や社会的影響
本研究で得られた知見は、日本をはじめ世界各国の運動実施率の改善に資するものだと言えます。WHOの身体活動に関する最新ガイドラインでは、1週間あたり150分以上の有酸素運動や週2回以上の筋力トレーニングが推奨されています。確かにWHOの推奨は理想的なものかもしれませんが、多忙な現代社会においてその推奨事項を満たすことは決して容易ではありません。
本研究では、20秒の全力スプリント2本の実施で有酸素性エネルギー代謝、そして大腿部の筋活動を十分に高められることを明らかにしました。したがって、週に1〜2回程度、定期的に本運動を実施することで全身持久力の指標である最大酸素摂取量や大腿部の筋肉量・筋力の改善が期待できます。最大酸素摂取量の改善はアスリートの競技力のみならず、一般成人においても疾病予防に繋がることがこれまでの研究で明らかにされています。さらに、大腿部の筋肉量は加齢の影響を最も受けやすいと言えますが、本研究で用いた運動様式は、加齢に伴う大腿部の筋肉量の減少を食い止める一助となることが期待されます。
■ 課題・今後の展望
本研究では、高強度間欠的運動に対する一過性の生理学的な応答を検証しましたが、実際にトレーニングの効果を確かめるためには本研究で用いた運動を少なくとも数週間〜数か月間実施し、その前後で効果検証をする必要がります。また、20秒の全力スプリントを2本と運動時間は極めて短いのですが、特に高強度の運動に慣れていない人にとっては、本研究で用いた運動様式の実施はハードルが高い可能性があります。本研究では、全力スプリント中の全身、筋肉の酸素消費量の増大は概ね15秒で頭打ちになることも確認されたので、運動時間を30秒(15秒×2本)とさらに短くすることも可能だと言えます。さらに、短時間であっても全力を出すとそれ相応の身体的負担が伴います。そこで、今後は少し発揮パワーを抑えた(強度を落とした)運動でも、適切な効果が得られるかを検証する必要があります。
■ 研究者のコメント
川上:「高強度間欠的運動」は世界的な注目が高まっている運動の種類です。集中して高めの強度で、短い時間だけ繰り返し行う、という方法ですが、その具体的な強度や時間、回数についての「最適解」は明らかではありませんでした。本研究の結果は、アスリートの効率的なトレーニングにつながり、一般人が日常生活に運動を取り入れるための参考になるものと考えられます。
山岸:トレーニング効果を生み出す『最少量』の探求は私の主要な研究テーマです。本研究を皮切りに今後さらに実現可能性や時間効率性に優れた運動様式を開発していきたいと思っています。本研究の内容に興味を持っていただき、これから高強度間欠的運動をトレーニングの一環として取り入れる場合は、運動時間を少し短縮したり(10〜15秒)、(全力ではなく)力を少しセーブした状態でスプリントしたりと、まずは出来る範囲から取り組んでいただければ幸いです。
■ 論文情報
雑誌名:Medicine & Science in Sports & Exercise
論文名:Physiological and Metabolic Responses to Low-Volume Sprint Interval Exercises: Influence of Sprint Duration and Repetitions
執筆者名(所属機関名):山岸 卓樹*(国立スポーツ科学センター)、岩田 宗也(マツダ株式会社)、大塚 俊(愛知医科大学)、一瀬 星空(早稲田大学;論文採択時)、川上 泰雄(早稲田大学)*責任著者
掲載日時:2024年3月7日(木)
掲載URL:https://journals.lww.com/acsm-msse/abstract/9900/physiological_and_metabolic_responses_to.483.aspx
DOI:10.1249/MSS.0000000000003420