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これまでの10倍の効率で花粉を地層から分取し高精度年代測定を可能に

――大型花粉によって今まで諦めていた地層からの年代測定が実用化――

発表のポイント
◆ これまで困難であった100μm以上の大型花粉を、堆積物から高純度に抽出する新たな手法を開発したことで、従来の10分の1程度の花粉量で年代測定を可能とする、新たな分析法を実用化しました。
◆ 本手法により、従来は測定対象試料を抽出することができなかった本栖湖の地層に対しても詳細な年代測定が可能となり、富士山の噴火活動に伴う湖沼の環境変動を明らかにすることができました。
◆ 本研究の成果は、放射性炭素年代測定の高精度化に寄与し、古環境研究や断層活動・火山の噴火の履歴解明など、過去の自然災害の発生時期や気候変動の詳細な解明を可能にします。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202407163668-O1-WC02Sy65

概要
東京大学大学院理学系研究科博士課程の太田耕輔(研究当時、現 産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門 産総研特別研究員)、同大学大気海洋研究所の横山祐典教授、宮入陽介特任助教らは、セルソーターを用いることで、地層から効率的に花粉を抽出する技術を開発しました。これにより、従来よりも詳細な放射性炭素(14C)年代測定を実現しました。

14C年代測定は、過去の出来事を記録した地層がいつの時代のものかを明らかにする技術ですが、目的の地層から年代測定に適した大型の試料が見つかる場合はまれです。一方、花粉はほとんどの地層に含有されているため、地層の年代を決定する上で有効な試料となる事が期待されていました。しかしながら、従来の手法では、抽出できる花粉の粒径が極微細なものに限定されており、地層(すなわち砂泥堆積物)から年代測定に十分な量の花粉を分離・抽出するには、大量の地層試料を長時間かけて処理する必要があるなど、研究を進める上で大きな障害となっていました。

本研究では、従来の手法では技術的な制約から抽出が困難であった花粉に比べて、直径が倍以上の大きな花粉に対しても適用できる技術を開発しました。これにより、試料処理の効率化を達成するとともに、ボーリング試料の様に限られた量しか利用できない試料からも、年代測定に十分な量の花粉抽出を可能としました(図1)。この技術を富士五湖の一つである本栖湖で掘削された堆積物で検証を行い、高精度な測定が可能なことを明らかにしました。今回の研究結果は14C年代測定の高精度化によって、古気候・古環境研究だけでなく断層活動履歴や火山の噴火年代など、過去の自然災害の研究にも寄与することが期待されます。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202407163668-O2-6sThGgMF

※本プレスリリースでは、化学式や単位記号の上付き・下付き文字を、通常の文字と同じ大きさで表記しております。
正式な表記でご覧になりたい方は、産総研WEBページ(https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2024/pr20240719_2/pr20240719_2.html )をご覧ください。

 
プレスリリースの詳細はこちら
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2024/pr20240719_2/pr20240719_2.html

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