水を使用しない超臨界流体脱色技術において、100%に迫る脱色率を達成
[24/10/25]
提供元:共同通信PRワイヤー
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繊維産業の構造変革の一手へ
現在の繊維産業を大きく変える一手になるかもしれない。福井大学の廣垣和正教授(繊維先端工学講座)、堀照夫客員教授(産学官連携本部)が超臨界流体染色機を使用した繊維の脱色技術の効率化に成功し、ほぼ100%の脱色を実現した。この脱色に使用されたのは、水系染色のように大量の水を使わない染色技術として注目される「超臨界流体染色」である。染色処理後の超臨界流体(CO2)を回収して再利用でき、余剰の染料についても分離回収できる。環境負荷を抑え、省エネといった利点を備えていることから、環境に優しい製品としてスポーツブランドなどはウェアの染色技術として採用している。
繊維製品を脱色してリサイクルする場合、有機溶媒を用いて脱色処理する溶剤系処理、界面活性剤や還元剤を水に添加した溶液を用いて脱色処理する水系処理が提案されている。
しかし、溶剤系処理や水系処理の場合には、処理に用いる有機溶媒や、薬品を含んだ水は廃液として廃棄されるため環境負荷が大きく、大量のエネルギーを使用する点でも課題がある。
福井大学による超臨界流体脱色は、脱色容器内で二酸化炭素を加熱加圧して臨界点を超えた状態に設定することで、超臨界状態とし、この中に入れた染色布に脱色剤を添加して、脱色処理を行うというものである。今回、同大は染料に対し、親和性が高い脱色剤(共溶媒もしくは、吸着材)を二酸化炭素に添加することで、布の染料を釜内の二酸化炭素や吸着材に移行させて100%に迫る脱色率を達成した。圧力容器中の「染料の化学的性質」を計算し、同じような化学的性質を持ち、染料と親和性が高い脱色剤を適切に添加すると、効率的な脱色を実現できることがわかった。脱色剤の選定方法は、化学的性質が似たもの同士は仲が良いという化学の法則から着想を得ている。 (2024年9月30日特許出願【特願2024-171507(日本)】)
繊維・アパレル業界は大量生産・廃棄の課題を抱え、依然として厳しい目が向けられており、持続可能な産業へと変革することは急務であるが、繊維を脱色して再利用する技術はその産業構造の変革に貢献できる。
本研究は、NEDO先導研究プログラムで得られた成果をJSTの共創の場形成支援プログラムで発展させたものです。
現在の繊維産業を大きく変える一手になるかもしれない。福井大学の廣垣和正教授(繊維先端工学講座)、堀照夫客員教授(産学官連携本部)が超臨界流体染色機を使用した繊維の脱色技術の効率化に成功し、ほぼ100%の脱色を実現した。この脱色に使用されたのは、水系染色のように大量の水を使わない染色技術として注目される「超臨界流体染色」である。染色処理後の超臨界流体(CO2)を回収して再利用でき、余剰の染料についても分離回収できる。環境負荷を抑え、省エネといった利点を備えていることから、環境に優しい製品としてスポーツブランドなどはウェアの染色技術として採用している。
繊維製品を脱色してリサイクルする場合、有機溶媒を用いて脱色処理する溶剤系処理、界面活性剤や還元剤を水に添加した溶液を用いて脱色処理する水系処理が提案されている。
しかし、溶剤系処理や水系処理の場合には、処理に用いる有機溶媒や、薬品を含んだ水は廃液として廃棄されるため環境負荷が大きく、大量のエネルギーを使用する点でも課題がある。
福井大学による超臨界流体脱色は、脱色容器内で二酸化炭素を加熱加圧して臨界点を超えた状態に設定することで、超臨界状態とし、この中に入れた染色布に脱色剤を添加して、脱色処理を行うというものである。今回、同大は染料に対し、親和性が高い脱色剤(共溶媒もしくは、吸着材)を二酸化炭素に添加することで、布の染料を釜内の二酸化炭素や吸着材に移行させて100%に迫る脱色率を達成した。圧力容器中の「染料の化学的性質」を計算し、同じような化学的性質を持ち、染料と親和性が高い脱色剤を適切に添加すると、効率的な脱色を実現できることがわかった。脱色剤の選定方法は、化学的性質が似たもの同士は仲が良いという化学の法則から着想を得ている。 (2024年9月30日特許出願【特願2024-171507(日本)】)
繊維・アパレル業界は大量生産・廃棄の課題を抱え、依然として厳しい目が向けられており、持続可能な産業へと変革することは急務であるが、繊維を脱色して再利用する技術はその産業構造の変革に貢献できる。
本研究は、NEDO先導研究プログラムで得られた成果をJSTの共創の場形成支援プログラムで発展させたものです。