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「十勝産乳酸菌を使用したヨーグルト」が 「令和6年度北海道地方発明表彰」で発明協会会長賞を受賞

十勝産生乳由来の乳酸菌を活用し、日本の風土に根差した特長的なヨーグルトの製造を可能に!

十勝産生乳由来の乳酸菌を活用し、日本の風土に根差した特長的なヨーグルトの製造を可能に! 「十勝産乳酸菌を使用したヨーグルト」が 「令和6年度北海道地方発明表彰」で発明協会会長賞を受賞
〜十勝産生乳の持つ豊かな風味を生かした、マイルドで濃厚なヨーグルトで地域振興に貢献〜

 株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)は、十勝産生乳の持つ豊かな風味を生かすことのできる、十勝産生乳から採取した乳酸菌を使った「十勝産乳酸菌を使用したヨーグルト」を発明し、公益社団法人 発明協会(会長:内山田 竹志)が実施する「令和6年度北海道地方発明表彰」において、「発明協会会長賞」を受賞しました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410258776-O9-n4i4njwT
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410258776-O2-8cDhM4a2
         十勝産乳酸菌を使用したヨーグルト
       「明治北海道十勝ミルクきわだつヨーグルト」(75g×4)

■発明の概要
 本発明は、十勝産生乳から分離された乳酸菌Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis OLL204989株および、Streptococcus thermophilus OLS4496株(合わせて十勝ミルク乳酸菌TM96という)により発酵することで、酸味が少なく、乳本来のミルク感を生かしたヨーグルトの製造に関するものです。本発明により、十勝産生乳の持つ豊かな風味を生かしたマイルドで濃厚な十勝オリジナルのヨーグルトの開発に成功しました。また、本発明で製造したヨーグルトは、保存中に生じる発酵による酸味上昇もおだやかであるため、従来品では15〜20日程度の賞味期限を30日以上に延長することが可能となり、食品ロスの削減にも寄与しています。
 本発明は、北海道十勝ブランドのヨーグルトの製造・販売に用いられるだけでなく、フードバレーとかち推進協議会を通じて十勝地域の事業者にも無償提供され、独自のヨーグルトの製造・販売にもつながっています。地域振興および十勝産品の価値向上に貢献していることも併せて評価され、今回の受賞にいたりました。
 
■受賞発明
発明名称:十勝産乳酸菌を使用したヨーグルト
対象特許:特許第7260493号
■受賞者
【発明協会会長賞】
 株式会社 明治 研究本部
  乳酸菌・発酵技術研究ユニット 微生物バイオリソースG G長 土橋 英恵
  乳酸菌・発酵技術研究ユニット 微生物バイオリソースG 主任研究員 山本 恵理
  ニュートリション開発研究ユニット ニュートリション開発1G G長 河合 良尚
  分析化学研究ユニット 理化学分析G 専任課長 斎藤 瑞恵
 明治ホールディングス株式会社 ウェルネスサイエンスラボ1G 竹田 麻理子
 元 明治ホールディングス株式会社 ウェルネスサイエンスラボ1G 市川 愛弓
 元 株式会社 明治 研究本部 技術研究所 物性・感性研究部 植野 敦子
【実施功績賞】
 株式会社 明治 代表取締役社長 松田 克也

■ブルガリア菌以外のデルブルッキ菌を用いた安定的なヨーグルトの製造
 ヨーグルトは一般的にLactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus(ブルガリア菌)と、Streptococcus thermophilus(サーモフィルス菌)が共生発酵して製造されることが知られています。ヨーグルトの製造においてブルガリア菌以外のLactobacillus属を用いた場合、2菌種間の共生関係が不十分なため発酵ができない、発酵できるが時間がかかりすぎる、風味・物性が良くないといった問題が生じることがあり、ヨーグルトを安定的に製造することが困難であることが知られています。また、ブルガリア菌は日本国内から分離されていないことが、国産オリジナルヨーグルトに挑戦する上での課題でした。そこで、当社では、北海道産生乳から採取された1,475株もの乳酸菌を評価し、ブルガリア菌以外のLactobacillus delbrueckii(デルブルッキ菌)を用いても安定してヨーグルトを製造する技術の開発に取り組みました。
 本発明により、これまでと異なる風味を持つヨーグルトの効率的な製造に加え、今までヨーグルト製造に適さないと考えられてきたブルガリア菌以外のデルブルッキ菌の、ヨーグルト製造への利用拡大が期待されます。

■十勝産乳酸菌を使用したヨーグルト
 ・十勝の風土によって育まれたと考えられる遺伝的にユニークなグループ(I-B菌群)の発見 
 北海道の生乳から収集したデルブルッキ菌の亜種を調べたところ、生乳由来のデルブルッキ菌の 9 割を占める Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis (ラクティス菌)の中に、十勝の風土によって育まれたと考えられる遺伝的にユニークなグループ( I-B 菌群)が大多数を占めることを見出しました。その I-B 菌群を用いて発酵されたヨーグルトは、ブルガリア菌を用いた場合と比較して、一般的なヨーグルトの香気であるアセトアルデヒドの産生量が少ないことが明らかとなりました(図1)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410258776-O7-SpQgbbT1

・素材そのものが持つミルク感や濃厚感がより際立つヨーグルトをつくるための組み合わせ
  十勝の風土に根差したオリジナルのヨーグルトを開発することを目的として、十勝産生乳由来の乳酸菌での発酵を数多く検討した結果、ラクティス菌(I-B菌群)とタンパク質分解酵素の一種であるprtS※保有サーモフィルス菌を組み合わせることで発酵性が良好で特長的な風味のヨーグルトができることを発見しました。さらに菌株レベルでさまざまな組み合わせにより発酵したところ、ラクティス菌OLL204989株とprtS保有サーモフィルス菌OLS4496株を組み合わせた十勝ミルク乳酸菌TM96(以下「TM96」)が特に優れていることがわかりました。TM96により発酵したヨーグルトは、酸味が弱く、アセトアルデヒドに代表される発酵香が少ない一方で、ミルク本来のあじわいを感じる特長的な風味を有しています。この特長により、良質な十勝産生乳を使用した場合、素材そのものが持つミルク感や濃厚感などの風味がより際立つヨーグルトとなりました(図2)。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410258776-O8-6v0E1nOP

※乳タンパク質のカゼインを分解する酵素の一種である細胞壁結合型プロテアーゼの遺伝子。prtSを保有しているサーモフィルス菌はタンパク質を分解できるため、ブルガリア菌が存在しなくても発酵性が高い。

・穏やかな酸味の上昇により賞味期限延長が可能に
 本技術で製造したヨーグルトは、保存中の発酵による酸味の上昇がおだやかであることが確認されています。酸味の上昇はpHの低下で評価することができます。TM96を使用したヨーグルトにおいては、45日前後の保存でもpHは4.2程度にとどまり風味変化も小さいことがわかりました。保存時のpH低下が小さいことで、保存中の乳酸菌の生残率も高く維持されます。これらの特長により、一般的なヨーグルトの賞味期限は通常15〜20日程度ですが、TM96を用いた場合30日程度へ延長が可能であり、食品ロスの削減にも寄与することができます。

 
【地方発明表彰とは】
大正10年に開始された地方発明表彰は、実施されている優れた発明、考案または意匠を生み出した技術者・研究開発者を顕彰するものです。全国を8地方(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州)に分けて、公益社団法人 発明協会が「特別賞」「発明奨励賞」などを表彰しています。

 

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