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電通PRコンサルティングの企業広報戦略研究所が、生活者1万人対象『第9回魅力度ブランディング調査』を発表

2024年11月5日
企業広報戦略研究所(C.S.I.)
(株式会社電通PRコンサルティング内)

 
生活者1万人を対象とした「第9回 魅力度ブランディング調査」結果
企業に取り組んでほしい社会課題で“人的資本イシュー”が上位に
企業の魅力の情報源では、「リアル」が1位。「広告」が初めて2位に浮上

 企業広報戦略研究所(所長:阪井完二、所在地:東京都港区、株式会社電通PRコンサルティング内)は、生活者が企業のどのような活動や事実(ファクト)に魅力を感じ、その魅力がどのように伝わっているのかを解析することを目的に、本年7月、全国1万人を対象とした「第9回 魅力度ブランディング調査」を実施しました。

 「魅力度ブランディング調査」は、企業広報戦略研究所が2016年から毎年調査を行っています。本リリースでは、200社を対象とした生活者調査の結果から、魅力度ランキング、業界別ランキング、魅力を感じた情報源などについて分析しています。また、今年は社会課題(ソーシャルイシュー)対応などについても分析を行っています。 

調査結果のポイント
1. 企業に取り組んでほしい社会課題で“人的資本イシュー”が上位に。 生活者が早く解決してほしい社会課題は、「賃上げ」「値上げ対策」。

2. 若年層とシニア層では、社会課題意識は大きく異なる。 若年層は、身近な課題が上位にと、逼迫した状況がうかがえる。

3. 企業の魅力の情報源では、「リアル」が1位。 
「メディアの広告」が約5ポイント伸長し、初めて2位に浮上。

4. 魅力が下がる理由は、「誠実でない」が圧倒的1位。 
人的魅力の棄損が企業の魅力を低下させる。

5. 企業に魅力を感じたら、7割以上が行動を起こす。
その1/3以上が「商品やサービスを購入・利用」する。

魅力度ブランディングモデル
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411059354-O14-7dr6Gq9x
 生活者が、企業のどのような活動や事実(ファクト)に“魅力”を感じるのかを、「人的魅力」「財務的魅力」「商品的魅力」の3要素(各12項目、計36項目)で調査・検証したブランドモデルです。企業広報戦略研究所が2016年に開発したこのモデルにおける論文では、日本マーケティング学会2017ベストペーパー賞を受賞しています。

【3魅力の定義】
●「人的魅力」リーダーシップや職場風土、ソーシャルイシュー対応力など、企業を構成する「個人」や事業活動を通じて周囲に感じさせる「法人」としての魅力
●「財務的魅力」成長戦略、安定性・(中・長期的な)収益性、リスク&ガバナンス対応など、優れた財務パフォーマンスと、それらを支える仕組みや取り組みに関する魅力
●「商品的魅力」コストパフォーマンス、安全性・アフターサービス力・クレーム対応、独創性・革新性など、商品・サービスを通じて伝わる魅力

■過去の魅力度ブランディング調査については、以下よりご参照くださいhttps://www.dentsuprc.co.jp/csi/csi-outline/?category=attractiveness_branding

第9回 魅力度ブランディング調査結果〜社会課題ニーズについて〜
1. 企業に取り組んでほしい社会課題で“人的資本イシュー”が上位に。 
生活者が早く解決してほしい社会課題は、「賃上げ」「値上げ対策」。
 本調査ではまず、生活者がどのようなことを社会課題と感じているかを調べました。回答者に41項目の社会課題を示し、「できるだけ早く(優先して)解決してほしい社会課題」を選択してもらった結果、1位「賃上げ」(34.0%)、2位「物価高騰による食料品の値上げ対策」(32.5%)、3位「物価高騰による、食料品以外の値上げ対策」(31.7%)、4位「電力・ガスなどのエネルギー不足への対策」(29.4%)と、生活に負担を与える経済的な課題が上位を占める結果となりました。

 一方、「企業に積極的に取り組んでほしい(解決を求める)社会課題」についても選択してもらった結果、1位「賃上げ」(28.5%)、2位「長時間労働・過労死対策」(23.1%)、5位「ハラスメント(セクハラ・パワハラなど)防止」(21.8%)、6位「労働環境の改善」(21.5%)という結果となり、“人的資本イシュー”がより上位に来る傾向が見られました。【図表1】

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411059354-O13-D0RPN9f6
《研究所eyes》 
生活に直結する“物価高騰”への対応策としての“賃上げ”ですが、2024年の春闘では33年ぶりの高水準の賃上げ率となりました。しかし、物価と賃金の上げ幅のバランスはまだまだ悪く、生活者は大きな負担を感じていることが推察されます。物価高に見合った賃上げの実現や生活水準の向上が喫緊の課題であることがうかがえます。

 下記は、生活者が「できるだけ早く(優先して)解決してほしい社会課題」をY軸、「企業に積極的に取り組んでほしい社会課題」をX軸としたプロット図です。 【図表2】

 右上にプロットされる社会課題ほど、生活者の解決優先度も企業への期待も高くなります。“値上げイシュー”や、長時間労働や労働環境などの“人的資本イシュー”が、プロット図の右上方に多く位置していることが見てとれます。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411059354-O12-Mi5FXDL0
 生活者の「企業に積極的に取り組んでほしい社会課題」と、企業の魅力度(魅力総量※)の相関分析※※を行ったところ、正の相関性があることが明らかになりました。 
 魅力度と最も強い相関性が見られた社会課題は、「物価高騰による、食料品以外の値上げ対策」(相関係数:0.85)でした。次いで、「非正規雇用への対策」(同:0.74)、「廃プラスチック・海洋ごみ問題への対策」(同: 0.73)となっています。トップ1項目のみ相関係数が0.8を超えており、非常に強い相関があることがうかがえます※※※。 【図表3】

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411059354-O11-SIC7Dc6T
※魅力総量とは、調査内で提示した企業について、回答者が36の魅力項目の中から該当すると思うものを選択した、1万人の総反応個数です。それを業界ごとに集計して算出した数値を使用して分析しています。
※※相関分析とは、2つのデータの関係性の強さを表す指標(相関係数)を計算し、数値化する分析手法です。 相関係数は1に近づくほど正の相関(正比例)の関係が強くなり、-1に近づくと負の相関(反比例)の関係が強くなります。 また、0に近づくほど無関係になります。
※※※業界ごとに魅力総量が異なるため、魅力総量が高い業界の社会課題が上位にくる傾向が見られます。

第9回 魅力度ブランディング調査結果〜年代による社会課題意識の違い〜
2. 若年層とシニア層では、社会課題意識は大きく異なる。
若年層は、身近な課題が上位にと、逼迫した状況がうかがえる。
 【図表4】は、20代と60代の「できるだけ早く(優先して)解決してほしい社会課題」のランキング上位10位を比較したものです。20代は、「賃上げ」「長時間労働・過労死対策」「労働環境の改善」などの“人的資本イシュー”が上位に多く入っています。60代は、“人的資本イシュー”は一つも入らず、「電力・ガスなどのエネルギー不足への対策」「気候変動対策」などの“環境・エネルギーイシュー”が10位までの間に6項目ランクインしています。

 若年層はより身近な課題が上位となっており、シニア層は幅広い中長期的な課題を意識していることが分かります。早期解決を求める社会課題においては、世代間意識に大きな違いがあることが見て取れます。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411059354-O8-sh7Cun68
《研究所eyes》
 シニア層が人口の約1/3を占めている現在、若者世代の意見が、数的優位なシニアマジョリティの声に埋もれがちな状況となっています。若者世代の意識に身近な課題が多いのは、シニアに比べて広い視野で物事を見ることができていないからとも考えられますが、それだけではなく、身近な課題に翻弄され、逼迫(ひっぱく)した状況にあるとも考えられます。若者世代の声を積極的にくみ取る仕組み作りが肝要と言えます。 

第9回 魅力度ブランディング調査結果〜企業の魅力の情報源〜
3. 企業の魅力の情報源では、「リアル」が1位。 
「メディアの広告」が約5ポイント伸長し、初めて2位に浮上。
 「企業の魅力をどのようなところで見聞きしたか」について聞いたところ、カテゴリ別では、商品・サービスの購入や社員・店員などを情報源とした「リアル」が最も多く(46.5%)、次いで「メディアの広告」(28.0%)が昨年より4.9ポイント上昇して「メディアの番組・記事」を抜き、2位となりました。これは2018年の調査※以来初めてとなります。【図表5】

 また、「メディアの広告」の内訳を見ると、圧倒的に「テレビCM」が高いスコア(75.9%)となっています。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411059354-O5-hl9b9wu5
《研究所eyes》 
昨今のCMなどでは、企業のパーパスなどを訴求する“企業広告型”のものが見られるようになりました。企業が伝えたい魅力を、端的に映像を通して伝えられるテレビCMの活用が、上記の結果結果に結びついていると考えられます。 近年は、社会課題解決などで、どの企業も同じような意識・目的・解決方法を持っており、訴求内容に差がつきにくくなっています。今後は、一目で自社だと認識されるような、他社との差別化を図る広告戦略が求められると思われます。

※魅力度調査は2016年から行われていますが、2018年に調査項目を改訂しています。

第9回 魅力度ブランディング調査結果〜魅力が下がった理由〜
4. 魅力が下がる理由は、「誠実でない」が圧倒的1位。
人的魅力の棄損が企業の魅力を低下させる。
 ここ1年で魅力が特に下がった企業を想定し、その企業の「魅力が下がった理由」について聞いたところ、「誠実でない、信用が得られていない」(43.1%)が圧倒的に高く、次いで「職場風土(人事制度、社風、職場環境、待遇)が良くない」(22.6%)、「安全性が担保できない、問い合わせ対応に力を入れていない」(22.4%)の順となりました。【図表6】

 魅力が下がる理由の上位に“人的魅力”が多く存在しており、財務的、商品的魅力よりも人的魅力が企業の魅力低下に大きく影響していることがうかがえます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411059354-O7-2BYMmHKr

《研究所eyes》
 「社会共生」「環境問題などの社会課題対応」「投資・財務戦略」などが不十分であることに関しては、魅力が下がった理由としてのスコアは低い結果となっています。昨今注目されているビジネステーマではありますが、できていない、または対応していなくても魅力が下がる要因とはなりにくいことを示しています。これらの項目は“付加的に努力するべきもの”と考えられていることが推察されます。

第9回 魅力度ブランディング調査結果〜魅力を感じた後のアクション〜
5. 企業に魅力を感じたら、7割以上が行動を起こす。 その1/3以上が「商品やサービスを購入・利用」する。
 生活者が企業の魅力を感じた後、どのような行動を取ったかを聞いたところ、「特になし」と回答した27.0%以外の7割以上(73.0%)の人が、何かしらの行動を起こしていることが分かりました。【図表7】

 行動を起こした人の中で、最も高いものは、「魅力を感じた企業の商品やサービスを購入または利用した」(34.1%)で、次に高いのが、「魅力を感じた企業や、商品・サービスのウェブサイトを閲覧した」(30.9%)、次いで「家族や友人・知人とシェアした・話をした」 (20.0%)となりました。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411059354-O9-yz1aeh58
《研究所eyes》 
生活者は、企業に魅力を感じると、購買行動に最も影響することが見て取れます。 また、購買などの直接的な影響だけでなく、検索やシェアなどの情報拡散行動にも影響していることも分かりました。

第9回 魅力度ブランディング調査結果〜基本データ・全体結果〜
人的魅力が今年も1位。全魅力項目の中で、「ビジョンを掲げ、業界をけん引している」は、9年連続不動の1位に
 全国の生活者1万人が企業200社に対して感じた魅力の総量を集計したところ、最も多かった魅力が「人的魅力」で全体の 38.6%となりました。次いで、「商品的魅力」が33.5%、「財務的魅力」が27.9%でした。【図表8】

 この順位は、割合に微増・微減はあるものの、調査開始以来9年連続で変わりません。企業の3魅力を巡る考え方は、世の中の移り変わりにあまり左右されない不動のものであることがうかがえます。【図表9】

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411059354-O19-6CViQD3L
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411059354-O1-688YC82j

 3魅力の内訳の項目をランキングにしてみると、本調査開始以来9年連続で「ビジョンを掲げ、業界をけん引している」(47.2%)が第1位となりました。また、5位が「良い企業理念・ビジョンにもとづいた経営をしている」(35.3%)と、6年ぶりに商品的魅力から人的魅力に替わりました。【図表10】

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411059354-O4-Pth661mo

《研究所eyes》
 1位や5位に企業のビジョンが入っていることから、ますます企業のビジョンやパーパスが魅力に影響しそうだと考えられます。これは、社会環境・経済環境が大きく変化しつつある昨今、生活者に不安が生じていると考えられ、そのような生活者に、将来的な事業成長への道筋を示し安心を届けることが、企業ビジョンやリーダーシップとしての役割と考えられます。

第9回 魅力度ブランディング調査結果〜基本データ・業界結果〜
業界のランキング1位「輸入EV自動車・自動車関連部品」、2位「電気機器」、3位「流通・小売」 
 生活者が企業に対して感じた魅力項目の合計ポイント数を業界別で見ると、上位3位は、「輸入EV自動車・自動車関連部品」(17,103ポイント)、「電気機器」(15,846ポイント)、「流通・小売」 (15,418ポイント)となりました。 【図表11】

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411059354-O10-S60CrrW6

《研究所eyes》 
1位の「輸入EV自動車・自動車関連部品」は、2位の「電気機器」と比較して、「財務的魅力」の値が大きいことが分かります。この業界には、テスラをはじめメルセデス・ベンツやブリヂストンなどのグローバルで注目されている企業が含まれており、グローバル企業における安定したビジネスモデルやブランド構築への関心が高まっているのではないかと推察されます。

第9回 魅力度ブランディング調査 概要
■調査対象
全国の20〜69歳の男女 
計10,000人※20業界(200社)のいずれかに魅力を感じている人(各業界500人)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411059354-O17-U96tcWx9
■調査方法
インターネット調査
■期間
2024年7月19日〜7月31日
■設問内容
魅力を感じる業界、魅力を感じる企業、魅力を感じた要素、魅力を感じた情報源、企業イメージなど
■調査対象企業一覧
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411059354-O18-U8937dnX
<お願い>本調査内容を転載・引用する場合、転載者・引用者の責任で行うとともに、当研究所の調査結果である旨を明示してください。

企業広報戦略研究所とは
(Corporate communication Strategic studies Institute : 略称C.S.I.)
企業経営や広報の専門家(大学教授・研究者など)と連携して、企業の広報戦略・体制などについて調査・分析・研究を行う、2013年12月に設立された(株)電通PRコンサルティング内の研究組織です。企業広報戦略研究所サイト http://www.dentsuprc.co.jp/csi/
【魅力度ブランディング調査メンバー】
□末次 祥行 企業広報戦略研究所 副所長 □増田 勲 □戸上 摩貴子
□坂本 陽亮 □大澤 英介 □西山 友佳子

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