MSCI:アジア太平洋地域の商業用不動産投資 モメンタムに回復の兆し、第3四半期の取引活動は6%増
[24/11/20]
提供元:共同通信PRワイヤー
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MSCIが作成した「Asia Pacific Capital Trends」レポート最新版によると、アジア太平洋地域(APAC)における商業用不動産投資は2024年第3四半期にやや拡大し、取引額は4四半期連続でほぼ安定した状態を維持しました。一見横ばいに思われますが、7月に米連邦準備制度理事会(FRB)が政策緩和の可能性を示唆したことでモメンタムが高まっています。発表の2カ月後に50ベーシスポイントの利下げが実施されたにもかかわらず取引は既に動き始めており、第3四半期の取引活動が6%増加していることから、市況が徐々に回復しつつあることが伺えます。
第3四半期には、地場およびグローバルの投資家はいずれも前年から買収額を引き上げました。2023年に停滞していたグローバル投資家の動きが今年は特に活発になり、年初からの累計投資額は前年同期比12%増の122億ドルに上ります。地場の投資家も同様に、2024年上半期は低調なスタートだったものの、第3四半期はプラスで終える結果となりました。
MSCIの不動産調査担当アジア責任者Benjamin Chow(ベンジャミン・チョウ)は、「FRBが第3四半期に利下げを開始する決定を下したことが、商業用不動産投資家にとって重要な転換点となりました。これをきっかけに、より金利が高い市場に対する機関投資家の投資意欲が高まるとともに、再評価されたコアセクターに再び資金が流れ込むようになりました」とコメントしました。また、日本市場について「日本の商業用不動産市場の取引活動は、年初に記録的な水準で推移したものの、年半ばにはモメンタムが低下し始めました。唯一の例外であるホテルセクターが他を上回る急成長を遂げている点を除いては、ほとんどの物件タイプで取引額がようやく落ち着き始めています。今後数四半期は、金利上昇が商業用不動産の価格水準に与える潜在的な影響に注目が集まるでしょう」と述べました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411190227-O4-61UVi3bc】
取引パイプラインは、全主要セクターでの増加に支えられ、10月時点で2021年のピークに近いレベルまで積み上がっています。中国と香港における取引額の拡大も寄与していますが、これが持続的な回復か一時的な変動かはまだ判断できない状況です。一方で、日本は独自の転換点を迎えており、7月に日銀が予想外の利上げを行ったことで長期債利回りが上昇し、市場活動の正常化と過熱感の少ない水準への移行の可能性が示されました。
取引額の対前年比推移
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411190227-O1-vz28hjG5】
取引額上位市場
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411190227-O2-l5kznZ9c】
第3四半期はオフィス、工業、リテールセクターが回復
主要セクターは全体的に、年累計の取引活動がほぼ昨年の水準に達したか、それを上回っています。しかし唯一の例外は共同住宅(アパートメント)セクターです。このセクターの最大市場である日本では周知の通り案件発掘が遅れているため、この数字は今後数カ月で改善する可能性があります。オフィス、工業、リテールの伝統的な3セクターはいずれも第3四半期に回復を見せました。特に、過去2年間のうち大半の期間で取引額が減少し続けたオフィスセクターについては、今回待望の復調となりました。第3四半期の取引活動は前年同期比で19%増加しました。これは特に低調だった昨年との比較ではあるものの、少なくとも今年の需要が上向いていることを示しています。さらに重要なことに、第3四半期にはオフィス取引のパイプラインが大幅に増加しました。
物件タイプ別買収額
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411190227-O3-l639ajL5】
2024年第3四半期「Asia Pacific Capital Trends」レポート 中国ハイライト:
? 9四半期連続の減少から反転して第3四半期の取引額が前年を上回り、首位を維持しました
? オフィスおよび工業用セクターの活動は低調で、今年の取引額の約4分の1をディストレス資産の買収が占めました
? 好材料のリテールセクターでは価格の下落が回復を後押しし、第3四半期の総取引量の約3分の1を占めました
? 賃貸共同住宅の年累計取引額が10億ドルを超えた中国がマルチファミリー市場でオーストラリアをわずかに上回り、APACで日本に次いで2位となりました
2024年第3四半期「Asia Pacific Capital Trends」レポート 日本ハイライト:
? 日本市場は過去3年間にわたって取引が活発な状態が続き、2024年第1四半期に過去最高を記録しました。続く第2四半期の取引活動は、同四半期としては過去最高の水準に達しました
? インバウンド需要の増加に牽引されてホテルセクターが拡大しましたが、日銀による7月の利上げを受けて第3四半期の取引活動はやや鈍化しました
? 東京は、国内資本が販売額の大半を占める中、7四半期連続で都市圏のトップを維持しました
2024年第3四半期「Asia Pacific Capital Trends」レポート シンガポールハイライト:
? 機関投資家と上場投資家が活動全体の約75%を占めたシンガポールは、2024年に機関投資家の動きが最も活発だった市場となりました
? 第3四半期の越境投資が22億ドルを記録し、越境資本が国内資本を上回った唯一の主要市場となりました
? 活況を呈したライフサイエンス・R&Dセクターは、販売額が中国を上回り、第3四半期だけで約10億ドルに達しました
2024年第3四半期「Asia Pacific Capital Trends」レポート 香港ハイライト:
? リテールセクターでは、価格の下落が店舗の利回りを押し上げ、第3四半期の成長を促進したことで取引活動が好転しました
? 工業用セクターでは、価格の下落によって機関投資家向けの資産が大幅な割引価格で市場に出回ったことが香港を拠点とする投資家を引き付け、年累計の越境投資先上位10件のうち5件を工業用不動産市場が占めました
? 香港への越境投資の大半はAPAC域内からのもので、第3四半期の取引額は19億ドルに達し、年累計は2023年の水準と同等の50億ドルとなりました
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Asia Pacific Capital Trendsのデータは、1,000万ドル以上のオフィス、工業、リテール、共同住宅(アパートメント)、ホテル、高齢者向け住宅の物件およびポートフォリオに基づきます。特に記載のない限り、開発中のサイトは除外します。正確と考えられるデータを使用していますが、その正確性を保証するものではありません。
本レポートおよびデータの出所は必ずMSCIと明記してください。
第3四半期には、地場およびグローバルの投資家はいずれも前年から買収額を引き上げました。2023年に停滞していたグローバル投資家の動きが今年は特に活発になり、年初からの累計投資額は前年同期比12%増の122億ドルに上ります。地場の投資家も同様に、2024年上半期は低調なスタートだったものの、第3四半期はプラスで終える結果となりました。
MSCIの不動産調査担当アジア責任者Benjamin Chow(ベンジャミン・チョウ)は、「FRBが第3四半期に利下げを開始する決定を下したことが、商業用不動産投資家にとって重要な転換点となりました。これをきっかけに、より金利が高い市場に対する機関投資家の投資意欲が高まるとともに、再評価されたコアセクターに再び資金が流れ込むようになりました」とコメントしました。また、日本市場について「日本の商業用不動産市場の取引活動は、年初に記録的な水準で推移したものの、年半ばにはモメンタムが低下し始めました。唯一の例外であるホテルセクターが他を上回る急成長を遂げている点を除いては、ほとんどの物件タイプで取引額がようやく落ち着き始めています。今後数四半期は、金利上昇が商業用不動産の価格水準に与える潜在的な影響に注目が集まるでしょう」と述べました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411190227-O4-61UVi3bc】
取引パイプラインは、全主要セクターでの増加に支えられ、10月時点で2021年のピークに近いレベルまで積み上がっています。中国と香港における取引額の拡大も寄与していますが、これが持続的な回復か一時的な変動かはまだ判断できない状況です。一方で、日本は独自の転換点を迎えており、7月に日銀が予想外の利上げを行ったことで長期債利回りが上昇し、市場活動の正常化と過熱感の少ない水準への移行の可能性が示されました。
取引額の対前年比推移
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411190227-O1-vz28hjG5】
取引額上位市場
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411190227-O2-l5kznZ9c】
第3四半期はオフィス、工業、リテールセクターが回復
主要セクターは全体的に、年累計の取引活動がほぼ昨年の水準に達したか、それを上回っています。しかし唯一の例外は共同住宅(アパートメント)セクターです。このセクターの最大市場である日本では周知の通り案件発掘が遅れているため、この数字は今後数カ月で改善する可能性があります。オフィス、工業、リテールの伝統的な3セクターはいずれも第3四半期に回復を見せました。特に、過去2年間のうち大半の期間で取引額が減少し続けたオフィスセクターについては、今回待望の復調となりました。第3四半期の取引活動は前年同期比で19%増加しました。これは特に低調だった昨年との比較ではあるものの、少なくとも今年の需要が上向いていることを示しています。さらに重要なことに、第3四半期にはオフィス取引のパイプラインが大幅に増加しました。
物件タイプ別買収額
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411190227-O3-l639ajL5】
2024年第3四半期「Asia Pacific Capital Trends」レポート 中国ハイライト:
? 9四半期連続の減少から反転して第3四半期の取引額が前年を上回り、首位を維持しました
? オフィスおよび工業用セクターの活動は低調で、今年の取引額の約4分の1をディストレス資産の買収が占めました
? 好材料のリテールセクターでは価格の下落が回復を後押しし、第3四半期の総取引量の約3分の1を占めました
? 賃貸共同住宅の年累計取引額が10億ドルを超えた中国がマルチファミリー市場でオーストラリアをわずかに上回り、APACで日本に次いで2位となりました
2024年第3四半期「Asia Pacific Capital Trends」レポート 日本ハイライト:
? 日本市場は過去3年間にわたって取引が活発な状態が続き、2024年第1四半期に過去最高を記録しました。続く第2四半期の取引活動は、同四半期としては過去最高の水準に達しました
? インバウンド需要の増加に牽引されてホテルセクターが拡大しましたが、日銀による7月の利上げを受けて第3四半期の取引活動はやや鈍化しました
? 東京は、国内資本が販売額の大半を占める中、7四半期連続で都市圏のトップを維持しました
2024年第3四半期「Asia Pacific Capital Trends」レポート シンガポールハイライト:
? 機関投資家と上場投資家が活動全体の約75%を占めたシンガポールは、2024年に機関投資家の動きが最も活発だった市場となりました
? 第3四半期の越境投資が22億ドルを記録し、越境資本が国内資本を上回った唯一の主要市場となりました
? 活況を呈したライフサイエンス・R&Dセクターは、販売額が中国を上回り、第3四半期だけで約10億ドルに達しました
2024年第3四半期「Asia Pacific Capital Trends」レポート 香港ハイライト:
? リテールセクターでは、価格の下落が店舗の利回りを押し上げ、第3四半期の成長を促進したことで取引活動が好転しました
? 工業用セクターでは、価格の下落によって機関投資家向けの資産が大幅な割引価格で市場に出回ったことが香港を拠点とする投資家を引き付け、年累計の越境投資先上位10件のうち5件を工業用不動産市場が占めました
? 香港への越境投資の大半はAPAC域内からのもので、第3四半期の取引額は19億ドルに達し、年累計は2023年の水準と同等の50億ドルとなりました
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Asia Pacific Capital Trendsのデータは、1,000万ドル以上のオフィス、工業、リテール、共同住宅(アパートメント)、ホテル、高齢者向け住宅の物件およびポートフォリオに基づきます。特に記載のない限り、開発中のサイトは除外します。正確と考えられるデータを使用していますが、その正確性を保証するものではありません。
本レポートおよびデータの出所は必ずMSCIと明記してください。