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訪日観光は日本経済の成長エンジン

免税制度廃止の影響などを分析したレポートを共有 〜140名超の業界・政府関係者が参加し、観光立国に必要な視点と政策課題を議論〜




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- 訪日観光は「成長産業」であることを客観的データに基づいて確認し、地域経済や多様な産業への波及効果、そして持続的な成長力の高さを再認識。
- 免税制度の議論やオーバーツーリズム対策などの課題、さらに国の政策・税制の方向性について、最新の調査結果(免税制度廃止によってGDPは5,518億円減少、税収は270億円減少する)等をもとに議論。
- 「観光立国は、今後も地域や事業者の成長エンジンであり、官民連携で取り組むべきである」という強いメッセージを、政府やさまざまなステークホルダーに伝えていくべきとの姿勢を、参加者全体で共有。

レポート

一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会(JSTO)は、2025年12月1日(月)、「成長産業としての訪日観光に必要な視点と課題」をテーマとしたカンファレンスを都内で開催しました。当日は、140名を超える業界関係者、政府関係者、メディア等が参加し、活発な議論が繰り広げられました。
カンファレンスでは、早稲田大学大学院 経営管理研究科 研究科長・教授の池上重輔氏による基調講演に続き、EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 データサイエンティストの藤井洋樹氏から、免税制度廃止による財政への影響を分析したレポート発表が行われました。さらに、観光や小売、地方創生の多様な領域の専門家によるパネルディスカッションを通じ、訪日観光が日本経済や地域社会にもたらす圧倒的な成長力と波及効果について、多角的な議論が展開されました。特に、訪日観光が単なる一過性の消費活動にとどまらず、地域資源の磨き上げや人材育成、新たな産業の創出、移住創業の促進、さらにリピーターの増加や地方への誘客拡大など、全国各地に持続的な活力をもたらす「成長エンジン」としての価値が改めて明確になりました。
基調講演において池上教授は、国際観光は巨大な市場規模を有し、その中において日本は世界的にも高い評価を受けている(2024年のWEFトラベル&ツーリズムディベロップメントインデックスで日本は世界3位)ことを強調し、観光の潜在力を最大限に活かす必要性を指摘しました。また、価格競争力だけでなく、文化資産など日本独自の価値を高め、価値に見合った価格設定が重要であると述べました。さらに、観光地域経営では、地域の特性を踏まえた全体最適や未来志向の戦略、オーバーツーリズム対策、デジタル産業やマーケティングの活用が不可欠であり、日本には依然として大きな成長ポテンシャルがあるとまとめました。
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早稲田大学大学院 経営管理研究科 研究科長・教授の池上重輔氏

続いて、インバウンド観光に関連する財政的影響についての発表が行われ、ステークホルダー間の議論のためにデータ駆動型の視点が提供されました。免税ショッピングを廃止した場合、2023年において日本のGDPが約5,500億円減少し、経済活動の縮小を通じて税収全体も約240億円減少するという試算が示されました。(2024年は参考計数ながら、GDPが約8,500億円減少、税収が約500億円減少との試算)

パネルディスカッションでは、池上教授、日本観光振興協会理事長の最明仁氏、日本百貨店協会会長の好本達也氏がパネリストとして登壇し、当協会代表理事 新津研一のファシリテートのもと「成長産業としての訪日観光の価値」「訪日観光の課題」「観光立国戦略への期待」の3つのテーマについて、それぞれの立場から活発な意見交換が行われました。好本氏からは、受け入れ環境整備やサービス充実の成果、地方百貨店と地域の連携による新たな価値創出の事例が紹介され、最明氏からは、観光が地域活性化の起爆剤となり、交流人口の増加や高付加価値化、地方ならではの魅力発信が重要であるとの意見が述べられました。また、池上教授からは、観光産業がすそ野の広い産業であり、幅広い分野に波及効果をもたらすこと、そして課題解決に向けてデータに基づく地域経営や人材の確保・育成が不可欠であることが指摘されました。

最明氏は、「訪日観光客数が1,000万人を超えたことを境に、食品や農産物の輸出が大きく伸びている。緑茶が7倍、味噌が2倍、日本酒が4倍、お米が10倍に増加した」と、観光に留まらない効果を紹介しました。好本氏は、「外国人旅行者のショッピングは訪日観光の目的第2位である。外国人旅行者は価格に敏感であり、免税制度は必要だと考える。訪日ショッピングのマーケットは大きく今後も伸びる分野であるため、一層の市場拡大に力を入れていくことが重要」と、免税制度の維持と今後の市場成長を強調しました。
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パネルディスカッションの様子

また、オーバーツーリズムや顧客ニーズの変化、地域経営(DMO)のあり方などの課題に対しても、各登壇者から具体的な対応事例が提示され、課題を解決しながら、より高度な観光産業を育てる意欲が共有されました。特筆すべきデータとして、観光産業がもたらす効果は、直近において大都市圏よりも地方において高い成長率を示しており、地方における地域活性化・持続的成長の起爆剤となることが披露されました。さらに、来年11月に予定されている免税制度のリファンド型への着実な移行や官民・異業種連携によるショッピングツーリズムの推進が、グローバル競争の中で付加価値やストーリーとともに価格優位性を発揮するために重要であると共通認識されました。
今回の議論を通じて、参加者一人ひとりが、訪日観光を「成長産業」として捉え直し、課題を前向きに乗り越えながら次なる飛躍を目指すべきと改めて認識する機会となりました。

ジャパンショッピングツーリズム協会は、今後も多様なステークホルダーと連携し、ショッピングを中心とした新しい観光価値の創造を通じて、日本の成長および地域活性化に一層貢献していきます。


カンファレンス概要

タイトル:成長産業としての訪日観光カンファレンス
日時:2025年12月1日(月)15:00〜16:30
対象:報道関係者、小売業・観光・旅行・宿泊・飲食業などの業界関係者、政府関係者
参加者数:140名超
主催:ジャパンショッピングツーリズム協会
後援:経済産業省、観光庁、日本観光振興協会
協力:日本小売業協会、日本百貨店協会、全国免税店協会
プログラム:
基調講演
 池上 重輔 氏(早稲田大学大学院 経営管理研究科 研究科長・教授)
 テーマ:「インバウンド・ビジネス戦略 〜成長産業・高収益ビジネスとしての訪日観光〜」
分析レポート
 藤井 洋樹 氏(EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 データサイエンティスト)
 テーマ:「免税制度廃止による財政への影響」
パネルディスカッション
 テーマ:「成長産業としての訪日観光に必要な視点と課題」
 パネリスト:
  ・池上 重輔 氏(早稲田大学大学院 経営管理研究科 研究科長・教授)
  ・最明 仁 氏(日本観光振興協会 理事長)
  ・好本 達也 氏(日本百貨店協会 会長)
 ファシリテーター:
   新津 研一(ジャパンショッピングツーリズム協会 代表理事)

【本件に関する問い合わせ】
一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会 訪日観光カンファレンス事務局
東京都千代田区平河町1-4-3 平河町伏見ビル9F
Tel:03-6435-9116 
担当 Mail:conference@jsto.or.jp
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