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88年・07年調査から、東京23区における中学受験・選択の現状と変化をとらえる 「中学校・大選択時代」の到来 〜「中学校選択に関する調査」(東京調査)報告〜

株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山市)の社内シンクタンク「Benesse教育研究開発センター」では、多様化する中学校選択の実態を明らかにするため、昨年12月に、「中学校選択に関する調査」(全国調査/東京調査)を実施しました。 今回発表する【東京調査】は、東京23区内の公立小学校に通う小学6年生とその保護者約850組を対象にしています。結果からは、中学校受験や学校選択制による中学校選択の現状、19年前に行った同調査との比較による変化を捉えることができます。
主な結果は、以下の通りです。1. 東京では「中学校受験をさせる予定」の保護者が全国平均の約3倍。
1. 中学受験をさせる予定の保護者は全国平均で13.2%。これに対し、東京23区では36.9%と約3倍である(07年調査)。
2. 東京23区の受験予定者は、60.5%が私立中学校を、4.8%が国立大学の附属中学校を、33.4%が公立中高一貫校を第一志望にしている。
3. 居住する自治体に学校選択制が「導入されている」と認識している保護者は全体の80.6%(全国では24.4%)であり、そのうち約7割がどの学校に進学させるかを「考えた」と回答している。

東京23区では、受験・学校選択制により「中学校を選択する」という行為が広がっている。中学受験せず、学校選択制による進学先の検討もしない家庭は、2割に満たない。


2.受験を予定している子ども・家庭の中での二極化が進行。
1. 「私立・国立中学校志望者」の中で1日(平日)に「4時間以上」勉強している割合は、45.8%(88年調査)から55.1%(07年調査)に増加した。その一方で、「公立中高一貫校志望者」で「4時間以上」勉強している子は、10.5%(07年調査)である。
※88年調査では第一志望をたずねていないが、全員が「私立・国立中学校志望者」であると仮定した。以下同様。
2. 学習塾に週「5日」以上通っている割合は、「私立・国立中学校志望者」では18.8%(88年調査)から43.1%(07年調査)と大幅に増加した。これに対して、「公立中高一貫校志望者」は、7.9%(07年調査)である。また、教育費を月に「5万円」以上支出している割合は、「私立・国立中学校志望者」では51.3%(88年調査)から76.9%(07年調査)に増加する一方で、「公立中高一貫校志望者」は31.8%(07年調査)であった。
※通塾日数は、通塾者のみを対象とした数値。


3. 学校を選択するときの保護者の目が、より厳しくなっている。
1. 受験をさせる予定の保護者に受験校選択で重視することをたずねたところ、「世間での評価が高い」 (62.0→79.3%)、「有名大学に合格する可能性が高い」(59.6→73.8%)、「スポーツや芸術などで有名である」(17.2→38.5%)など、多くの項目を「重視する」割合が高まった。
※数値は88年調査→07年調査の変化(以下同様)、「とても重視する」「まあ重視する」の合計。
2. 受験をさせない予定(公立中学校に進学させる予定)の保護者にその理由をたずねたところ、「公立中学校の教育方針や校風が気に入っているから」(18.7→45.2%)、「通学に便利だから」(71.8→86.3%)、「私立中学校は授業料が高いから」(68.8→80.8%)、など、多くの項目で「そう思う」割合が高まった。
※数値は「とてもそう思う」「まあそう思う」の合計。

子どもに受験をさせる場合もさせない場合も、中学校を選択する際に、より多くのことを基準にするようになっていることが分かる。


4. 小学校に対する満足度は不変。しかし、学校への要望と教育に対する不安が、ともに増加。
1. 小学校に対する意識を保護者にたずねた質問では、88年調査も07年調査も7割以上が「担任の先 生の教え方に満足している」と回答しており、満足度は変化していない。しかし、「もっと補習授業をすべ き」(44.1→61.7%)、「しつけやマナーをもっと教えるべき」(38.8→58.1%)など、学校への要望が高まっている。
※数値は「とてもそう思う」「まあそう思う」の合計。
2. 教育全般の意識を保護者にたずねた質問では、「公立中学校は不安なことが多い」(49.2→59.0%)、「多?無理をしても子どもの教育にはお金をかけたい」(58.2→70.3%)と考える割合が増加した。教 育に対する不安感も高まったことがわかる。
※数値は「とてもそう思う」「まあそう思う」の合計。

東京では、19年前に比べ、より多くの家庭で中学受験や公立中学校の選択をする時代になりました。それによって、保護者も子どもも以前より進学先についてよく考えるようになっています。中学校進学の段階で、将来を考え、進路を主体的に選択することには大きな意義があることだと考えます。
しかし、選択した進路によって学校外教育の利用のしかたや教育費、子どもの学習時間などが、大きく分化する状況が生まれています。保護者は、こうした「中学校・大選択時代」の状況を踏まえて、教育に関する情報を適切に収集・分析し、メリット・デメリットを理解したうえで「賢い選択」をすることが求められるようになっています。

また、中学校選択が積極的に行われ、保護者が学校に対する要望を強めるようになった背景の一つには、学校教育に対する不安の高まりがあると考えられます。全国的に見ると、選択機会が地域によって偏っていることや、学校間格差を生じる可能性があること、選択によって特定の子どもが有利になる可能性があることなどについて対策を検討する必要があるといえそうです。


『中学校選択に関する調査』 概要
調査テーマ: 小学6年生とその保護者の中学校選択に関する意識と行動
・ 全国調査(2008年6月に速報)
調査対象:全国の公立小学校に通う小学6年生とその保護者約1,500組
調査時期:2007年12月
※ 当調査結果については、以下に掲載中http://benesse.jp/berd/center/open/report/chugaku_sentaku/2008_soku/index.html

・ 東京調査(今回発表)
調査対象:東京23区内の公立小学校に通う小学6年生とその保護者約850組
調査時期:1988年10月〜11月 / 2007年12月



【本件に関するお問い合わせ】
株式会社ベネッセコーポレーション 広報・IR部 (坂本、濱野、西沢、中島)
TEL: 042-356-0657 FAX: 042-356-7301


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