インターフェロンを併用せずに、最大でC型慢性肝炎患者の82%がウイルス学的著効を達成
[12/04/25]
提供元:PRTIMES
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この資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が4月19日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳したものです。尚、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈についてはオリジナルが優先することをご了承ください。
2012年4月19日 スペイン/バルセロナ、ドイツ/インゲルハイム
インターフェロンを併用しないC型慢性肝炎治療を検討したフェーズ2試験の新たなデータから、28週間の治療後に、最大でC型慢性肝炎患者の82%がウイルス学的著効(SVR12)を達成したことが明らかになりました。この結果は、ベーリンガーインゲルハイムが開発中の直接作用型抗ウイルス剤の併用療法を受けたC型肝炎ウイルス(ジェノタイプ1a型および1b型)に感染している患者(1a感染患者ではIL-28B [rs12979860] がCC)おいて示されたものです1。
この結果は、進行した肝疾患患者を含む362人を対象に、インターフェロンを併用しない治療を検討したフェーズ2試験において示されたものです。すべての患者は、インターフェロンを併用せず、当社が開発中のプロテアーゼ阻害剤BI 201335 NA 1日1回投与とポリメラーゼ阻害剤BI 207127 NAの併用療法を受けました。リバビリン併用の有無および、治療期間は各投与群で異なります1。
28週間の治療後、最も治療困難とされるC型慢性肝炎患者(ジェノタイプ1a ,IL-28B: non-CC型)を含む試験対象となった全患者の68%がウイルス学的著効(SVR12)を達成しました。欧州およびアジア太平洋地域において大多数を占めるC型慢性肝炎患者(ジェノタイプ1a, IL-28B: CC型および、1b型)の82%が、同期間の治療後、ウイルス学的著効(SVR12)を達成しました。このような結果が、この患者集団で示されることは前例のないことです。このため現行のすべての治療選択肢で併用されているインターフェロンを、C型慢性肝炎治療に併用しないで済む可能性が示唆されたと言えます。
ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ大学病院(ドイツ/フランクフルト)内科学教授兼医学部部長でこの試験の治験責任医師の1人であるシュテファン・ツォイツェム(Stefan Zeuzem) M.D.は次のように述べています。「インターフェロンを併用しない治療は、C型慢性肝炎治療で緊急を要する医療ニーズとなっています。インターフェロン治療による副作用や長期にわたる治療といった患者負担を軽減することができれば、C型慢性肝炎治療は、大きく進歩することになります。今回のような治療であれば、患者さんの生活への影響を最小限に抑えることができます。そのため、患者さんも最終的な治療目標であるウイルス学的著効を達成するために、治療を開始し継続していこうという前向きな気持ちになれるのです」。
インターフェロンによる副作用は重度になることもあります。副作用には、心不全、白血球減少症、敗血症、失明などがあります2,3。
ベーリンガーインゲルハイムのインターフェロンを併用しない、2つの直接作用型抗ウイルス剤の併用療法は、SOUND-C2試験の5つの投与群すべてにおいて良好な忍容性を示しました。現在、フェーズ3臨床試験プログラムの開始を検討中です。この試験では、ジェノタイプ1型患者を対象に、インターフェロンを併用しないBI 201335 NAおよびBI 207127 NAの併用療法の有効性および安全性がさらに検討される予定です。
C型肝炎ウイルスには、少なくとも6種類の異なるジェノタイプがあり、それぞれ番号で区別されます。ジェノタイプ1型は現在、最も治療困難とされています4。更に、そのジェノタイプの中に50種類以上のサブタイプがあり、それぞれ小文字で区別されます。また患者個々がそれぞれに持つIL-28Bと呼ばれる領域の遺伝子構造も治療の成功を左右するもう1つの要因であり、これは大文字で(CC、non-CCまたはCTなど)示されます。
C型肝炎ウイルスによる長期にわたる肝臓障害を最小限に抑えるには、早期のウイルス学的著効が不可欠です3,5。C型肝炎ウイルスによって生じる肝臓障害は、慢性肝疾患、慢性肝不全、ひいては肝移植の主因となっています5。
ベーリンガーインゲルハイム 医薬開発担当上級副社長のProf.クラウス・デュギは次のように述べています。「私たちはこの試験の最終結果を大変楽しみにしており、その結果が未来のインターフェロンを併用しないで済む治療に向けての大きな一歩になればと願っています。治療困難とされているウイルス型の患者さんを含め、世界中のC型慢性肝炎患者さんに、よりシンプルな治療を提供しようと、私たちは日々取り組んでいます」。
参考情報:
この非盲検ランダム化フェーズ2b試験の結果は、「未治療のC型慢性肝炎患者(ジェノタイプ1型)における、インターフェロン非併用、BI 201335 NA およびBI 207127 NA併用療法(リバビリン併用/非併用下)によるSVR4およびSVR12:SOUND-C2の中間解析結果」と題したアブストラクトとして、Prof. シュテファン・ツォイツェム(Stefan Zeuzem)によりオーラルプレゼンテーションが行われました。
このフェーズ2b試験では、未治療のC型慢性肝炎患者(ジェノタイプ1型)362人が、インターフェロンを併用しない5つの投与群に割り付けられました。各投与群は以下に示すように、BI 201335 NA 120 mg 1 日1回投与については共通とし、BI 207127 NAについては異なる用量が投与され、異なる投与期間が設定されました。
・ BI 201335 NA 120 mg 1 日1回+BI 207127 NA 600 mg 1日3回+リバビリン、16週
・ BI 201335 NA 120 mg 1 日1回+BI 207127 NA 600 mg 1日3回+リバビリン、28週
・ BI 201335 NA 120 mg 1 日1回+BI 207127 NA 600 mg 1日3回+リバビリン、40週
・ BI 201335 NA 120 mg 1 日1回+BI 207127 NA 600 mg 1日2回+リバビリン、28週
・ BI 201335 NA 120 mg 1 日1回+BI 207127 NA 600 mg 1日3回(リバビリン非併用)、28週
C型肝炎ウイルス(Hepatitis C Virus: HCV)について
C型肝炎ウイルスは肝臓の感染性疾患であり、慢性肝疾患および肝移植の主因となっています。C型肝炎ウイルスによる持続感染患者は世界全体で1億7,000万人と推定されており、年間300〜400万人が新たに感染しています。急性期でウイルス除去できる患者はわずか20〜45%ほどです。その他の持続感染患者のうち、20%が平均20年以内に肝硬変を発症します。肝硬変発症後の死亡率は年間2〜5%です。C型肝炎ウイルス感染による末期の肝疾患は現在、欧米諸国における肝移植の主因となっています。日本では、C型肝炎ウイルス持続感染者は約150万人と推定されています。
ベーリンガーインゲルハイムとウイルス性疾患領域について
ベーリンガーインゲルハイムは、ウイルス性疾患をはじめとする6つの疾患領域を対象に、7,500人以上の研究者がグローバルR&Dネットワークで学術研究に取り組んでいます。C型肝炎ウイルスに関する現在進行中の研究プログラム以外にも、ベーリンガーインゲルハイムは抗ウイルス薬の研究開発に長年携わってきており、HIV治療用の化合物(非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤として世界で初めて承認されたビラミューン(R))などが開発されました。カナダのラヴァル研究所では1990年代初頭からウイルス性疾患の研究を行っており、アンメットニーズの高い新しい治療薬の開発に力を注ぎ、成果を上げています。
ベーリンガーインゲルハイムとC型肝炎について
ベーリンガーインゲルハイムは、HIV/AIDSおよびC型慢性肝炎の革新的治療薬の開発など、ウイルス学に長年にわたり取り組んでいます。先駆的サイエンスを通じ、ベーリンガーインゲルハイムは、C型肝炎ウイルス領域で治療薬を普及させ、C型慢性肝炎患者の負担を軽減しようと努めています。ベーリンガーインゲルハイムの臨床研究チームは、最も治療困難とされる患者を含め、より多くのC型慢性肝炎患者に治療薬を提供するために世界中のC型肝炎ウイルス専門家と協力しています。
ベーリンガーインゲルハイムは現在、C型慢性肝炎患者に対する臨床試験プログラムHCVersoTMを通じてBI 201335 NAおよびBI 207127 NAを開発しています。
現在開発中の次世代経口HCV NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤BI 201335 NAは、ペグインターフェロン/リバビリンと併用することで、ペグインターフェロン/リバビリンのみの併用療法よりも著効率を高める可能性を持っており、フェーズ2b(SILEN-C試験)まで臨床試験を終了しています。現在、未治療/前治療で十分な効果が得られなかった患者および、HIVに同時感染したC型慢性肝炎患者(ジェノタイプ1型)を対象にBI 201335 NAとペグインターフェロン/リバビリン併用療法を評価する多施設共同のフェーズ3臨床試験プログラムが進行中です。日本も見治療患者、前治療で十分な効果が得られなかった患者に対するフェーズ3に参加しています。
現在開発中のNS5B RNA依存ポリメラーゼ阻害剤BI 207127 NAは、BI 201335 NAおよびリバビリンと併用した場合にC型慢性肝炎治療からインターフェロンを除外できる可能性を持っており、現在、フェーズ2試験にてインターフェロンを使用しない治療レジメンにおいて検討中です。日本の開発段階はフェーズ2です。
* BI 2013351とBI207127は開発中の新規化合物です。これらの安全性と有効性はまだ実証されておりません。
* 持続的ウイルス学的著効(SVR: sustained viral response)はウイルス学的治癒と考えられています。FDAは、治療終了後12週目にC型肝炎ウイルスが未検出であることと定義しています(SVR12)。
ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムグループは、世界でトップ20の製薬企業のひとつです。ドイツのインゲルハイムを本拠とし、世界で145の関連会社と44,000人以上の社員が、事業を展開しています。1885年の設立以来、株式公開をしない企業形態の特色を生かしながら、臨床的価値の高いヒト用医薬品および動物薬の研究開発、製造、販売に注力してきました。
ベーリンガーインゲルハイムにとって、社会的責任を果たすことは、企業文化の最も重要な柱の一つです。事業を展開する世界の国々において、社会問題に取り組み、社員とその家族を思いやり、全社員に平等な機会を提供することが、 ベーリンガーインゲルハイムの基盤です。そして、尊重と誠実を重んじ、環境保護と持続可能な社会の実現に向けて貢献することが、ベーリンガーインゲルハイムの本質であり使命です。
2011年度は132億ユーロ(約1兆4,624億円)の売上を示しました。革新的な医薬品を世に送り出すべく、医療用医薬品事業の売上の23.5%相当額を研究開発に投資しました。
日本ではベーリンガーインゲルハイム ジャパン株式会社が持ち株会社として、その傘下にある完全子会社の日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(医療用医薬品)、エスエス製薬株式会社(一般用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム ベトメディカ ジャパン株式会社(動物用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム製薬株式会社(医薬品製造)の4つの事業会社を統括しています。日本のグループ全体で約2,700人の社員が、革新的な医薬品の研究、開発、製造、販売に従事しています。
日本ベーリンガーインゲルハイムは、呼吸器、循環器、中枢神経などの疾患領域で革新的な医療用医薬品を提供しています。また、グローバルな研究・開発の一翼を担う医薬研究所を神戸に擁しています。
詳細は下記をご参照ください。
http://www.boehringer-ingelheim.co.jp
Refereces:
1. Zeuzem S et al. SVR4 and SVR12 with an interferon-free regimen of BI 201335 and BI 207127 +/- ribavirin, in treatment-naive patients with chronic genotype-1 HCV infection. Abstract#101 presented at the International Liver CongressTM (ILC), 18 -22 April 2012
2. National Institutes of Health; US Department of Health and Human Services. Chronic Hepatitis C: Current Disease Management. Bethesda, MD: National Institutes of Health; 2010. NIH Publication 10-4230 4.
3. World Health Organisation. Hepatitis C. 2002 http://www.who.int/csr/disease/hepatitis/Hepc.pdf [Last accessed on 16/04/12]
4. Ghany, M. et al. An Update on Treatment of Genotype 1 Chronic Hepatitis C Virus Infection: 2011 Practice Guidelines by the American Association for the Study of Liver Diseases. Hepatology, August 2011.
5. About.com. 2009. What Is a Sustained Virologic Response or "SVR"? http://hepatitis.about.com/od/treatment/f/SVR.htm [Last accessed on 16/04/12]
2012年4月19日 スペイン/バルセロナ、ドイツ/インゲルハイム
インターフェロンを併用しないC型慢性肝炎治療を検討したフェーズ2試験の新たなデータから、28週間の治療後に、最大でC型慢性肝炎患者の82%がウイルス学的著効(SVR12)を達成したことが明らかになりました。この結果は、ベーリンガーインゲルハイムが開発中の直接作用型抗ウイルス剤の併用療法を受けたC型肝炎ウイルス(ジェノタイプ1a型および1b型)に感染している患者(1a感染患者ではIL-28B [rs12979860] がCC)おいて示されたものです1。
この結果は、進行した肝疾患患者を含む362人を対象に、インターフェロンを併用しない治療を検討したフェーズ2試験において示されたものです。すべての患者は、インターフェロンを併用せず、当社が開発中のプロテアーゼ阻害剤BI 201335 NA 1日1回投与とポリメラーゼ阻害剤BI 207127 NAの併用療法を受けました。リバビリン併用の有無および、治療期間は各投与群で異なります1。
28週間の治療後、最も治療困難とされるC型慢性肝炎患者(ジェノタイプ1a ,IL-28B: non-CC型)を含む試験対象となった全患者の68%がウイルス学的著効(SVR12)を達成しました。欧州およびアジア太平洋地域において大多数を占めるC型慢性肝炎患者(ジェノタイプ1a, IL-28B: CC型および、1b型)の82%が、同期間の治療後、ウイルス学的著効(SVR12)を達成しました。このような結果が、この患者集団で示されることは前例のないことです。このため現行のすべての治療選択肢で併用されているインターフェロンを、C型慢性肝炎治療に併用しないで済む可能性が示唆されたと言えます。
ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ大学病院(ドイツ/フランクフルト)内科学教授兼医学部部長でこの試験の治験責任医師の1人であるシュテファン・ツォイツェム(Stefan Zeuzem) M.D.は次のように述べています。「インターフェロンを併用しない治療は、C型慢性肝炎治療で緊急を要する医療ニーズとなっています。インターフェロン治療による副作用や長期にわたる治療といった患者負担を軽減することができれば、C型慢性肝炎治療は、大きく進歩することになります。今回のような治療であれば、患者さんの生活への影響を最小限に抑えることができます。そのため、患者さんも最終的な治療目標であるウイルス学的著効を達成するために、治療を開始し継続していこうという前向きな気持ちになれるのです」。
インターフェロンによる副作用は重度になることもあります。副作用には、心不全、白血球減少症、敗血症、失明などがあります2,3。
ベーリンガーインゲルハイムのインターフェロンを併用しない、2つの直接作用型抗ウイルス剤の併用療法は、SOUND-C2試験の5つの投与群すべてにおいて良好な忍容性を示しました。現在、フェーズ3臨床試験プログラムの開始を検討中です。この試験では、ジェノタイプ1型患者を対象に、インターフェロンを併用しないBI 201335 NAおよびBI 207127 NAの併用療法の有効性および安全性がさらに検討される予定です。
C型肝炎ウイルスには、少なくとも6種類の異なるジェノタイプがあり、それぞれ番号で区別されます。ジェノタイプ1型は現在、最も治療困難とされています4。更に、そのジェノタイプの中に50種類以上のサブタイプがあり、それぞれ小文字で区別されます。また患者個々がそれぞれに持つIL-28Bと呼ばれる領域の遺伝子構造も治療の成功を左右するもう1つの要因であり、これは大文字で(CC、non-CCまたはCTなど)示されます。
C型肝炎ウイルスによる長期にわたる肝臓障害を最小限に抑えるには、早期のウイルス学的著効が不可欠です3,5。C型肝炎ウイルスによって生じる肝臓障害は、慢性肝疾患、慢性肝不全、ひいては肝移植の主因となっています5。
ベーリンガーインゲルハイム 医薬開発担当上級副社長のProf.クラウス・デュギは次のように述べています。「私たちはこの試験の最終結果を大変楽しみにしており、その結果が未来のインターフェロンを併用しないで済む治療に向けての大きな一歩になればと願っています。治療困難とされているウイルス型の患者さんを含め、世界中のC型慢性肝炎患者さんに、よりシンプルな治療を提供しようと、私たちは日々取り組んでいます」。
参考情報:
この非盲検ランダム化フェーズ2b試験の結果は、「未治療のC型慢性肝炎患者(ジェノタイプ1型)における、インターフェロン非併用、BI 201335 NA およびBI 207127 NA併用療法(リバビリン併用/非併用下)によるSVR4およびSVR12:SOUND-C2の中間解析結果」と題したアブストラクトとして、Prof. シュテファン・ツォイツェム(Stefan Zeuzem)によりオーラルプレゼンテーションが行われました。
このフェーズ2b試験では、未治療のC型慢性肝炎患者(ジェノタイプ1型)362人が、インターフェロンを併用しない5つの投与群に割り付けられました。各投与群は以下に示すように、BI 201335 NA 120 mg 1 日1回投与については共通とし、BI 207127 NAについては異なる用量が投与され、異なる投与期間が設定されました。
・ BI 201335 NA 120 mg 1 日1回+BI 207127 NA 600 mg 1日3回+リバビリン、16週
・ BI 201335 NA 120 mg 1 日1回+BI 207127 NA 600 mg 1日3回+リバビリン、28週
・ BI 201335 NA 120 mg 1 日1回+BI 207127 NA 600 mg 1日3回+リバビリン、40週
・ BI 201335 NA 120 mg 1 日1回+BI 207127 NA 600 mg 1日2回+リバビリン、28週
・ BI 201335 NA 120 mg 1 日1回+BI 207127 NA 600 mg 1日3回(リバビリン非併用)、28週
C型肝炎ウイルス(Hepatitis C Virus: HCV)について
C型肝炎ウイルスは肝臓の感染性疾患であり、慢性肝疾患および肝移植の主因となっています。C型肝炎ウイルスによる持続感染患者は世界全体で1億7,000万人と推定されており、年間300〜400万人が新たに感染しています。急性期でウイルス除去できる患者はわずか20〜45%ほどです。その他の持続感染患者のうち、20%が平均20年以内に肝硬変を発症します。肝硬変発症後の死亡率は年間2〜5%です。C型肝炎ウイルス感染による末期の肝疾患は現在、欧米諸国における肝移植の主因となっています。日本では、C型肝炎ウイルス持続感染者は約150万人と推定されています。
ベーリンガーインゲルハイムとウイルス性疾患領域について
ベーリンガーインゲルハイムは、ウイルス性疾患をはじめとする6つの疾患領域を対象に、7,500人以上の研究者がグローバルR&Dネットワークで学術研究に取り組んでいます。C型肝炎ウイルスに関する現在進行中の研究プログラム以外にも、ベーリンガーインゲルハイムは抗ウイルス薬の研究開発に長年携わってきており、HIV治療用の化合物(非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤として世界で初めて承認されたビラミューン(R))などが開発されました。カナダのラヴァル研究所では1990年代初頭からウイルス性疾患の研究を行っており、アンメットニーズの高い新しい治療薬の開発に力を注ぎ、成果を上げています。
ベーリンガーインゲルハイムとC型肝炎について
ベーリンガーインゲルハイムは、HIV/AIDSおよびC型慢性肝炎の革新的治療薬の開発など、ウイルス学に長年にわたり取り組んでいます。先駆的サイエンスを通じ、ベーリンガーインゲルハイムは、C型肝炎ウイルス領域で治療薬を普及させ、C型慢性肝炎患者の負担を軽減しようと努めています。ベーリンガーインゲルハイムの臨床研究チームは、最も治療困難とされる患者を含め、より多くのC型慢性肝炎患者に治療薬を提供するために世界中のC型肝炎ウイルス専門家と協力しています。
ベーリンガーインゲルハイムは現在、C型慢性肝炎患者に対する臨床試験プログラムHCVersoTMを通じてBI 201335 NAおよびBI 207127 NAを開発しています。
現在開発中の次世代経口HCV NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤BI 201335 NAは、ペグインターフェロン/リバビリンと併用することで、ペグインターフェロン/リバビリンのみの併用療法よりも著効率を高める可能性を持っており、フェーズ2b(SILEN-C試験)まで臨床試験を終了しています。現在、未治療/前治療で十分な効果が得られなかった患者および、HIVに同時感染したC型慢性肝炎患者(ジェノタイプ1型)を対象にBI 201335 NAとペグインターフェロン/リバビリン併用療法を評価する多施設共同のフェーズ3臨床試験プログラムが進行中です。日本も見治療患者、前治療で十分な効果が得られなかった患者に対するフェーズ3に参加しています。
現在開発中のNS5B RNA依存ポリメラーゼ阻害剤BI 207127 NAは、BI 201335 NAおよびリバビリンと併用した場合にC型慢性肝炎治療からインターフェロンを除外できる可能性を持っており、現在、フェーズ2試験にてインターフェロンを使用しない治療レジメンにおいて検討中です。日本の開発段階はフェーズ2です。
* BI 2013351とBI207127は開発中の新規化合物です。これらの安全性と有効性はまだ実証されておりません。
* 持続的ウイルス学的著効(SVR: sustained viral response)はウイルス学的治癒と考えられています。FDAは、治療終了後12週目にC型肝炎ウイルスが未検出であることと定義しています(SVR12)。
ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムグループは、世界でトップ20の製薬企業のひとつです。ドイツのインゲルハイムを本拠とし、世界で145の関連会社と44,000人以上の社員が、事業を展開しています。1885年の設立以来、株式公開をしない企業形態の特色を生かしながら、臨床的価値の高いヒト用医薬品および動物薬の研究開発、製造、販売に注力してきました。
ベーリンガーインゲルハイムにとって、社会的責任を果たすことは、企業文化の最も重要な柱の一つです。事業を展開する世界の国々において、社会問題に取り組み、社員とその家族を思いやり、全社員に平等な機会を提供することが、 ベーリンガーインゲルハイムの基盤です。そして、尊重と誠実を重んじ、環境保護と持続可能な社会の実現に向けて貢献することが、ベーリンガーインゲルハイムの本質であり使命です。
2011年度は132億ユーロ(約1兆4,624億円)の売上を示しました。革新的な医薬品を世に送り出すべく、医療用医薬品事業の売上の23.5%相当額を研究開発に投資しました。
日本ではベーリンガーインゲルハイム ジャパン株式会社が持ち株会社として、その傘下にある完全子会社の日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(医療用医薬品)、エスエス製薬株式会社(一般用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム ベトメディカ ジャパン株式会社(動物用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム製薬株式会社(医薬品製造)の4つの事業会社を統括しています。日本のグループ全体で約2,700人の社員が、革新的な医薬品の研究、開発、製造、販売に従事しています。
日本ベーリンガーインゲルハイムは、呼吸器、循環器、中枢神経などの疾患領域で革新的な医療用医薬品を提供しています。また、グローバルな研究・開発の一翼を担う医薬研究所を神戸に擁しています。
詳細は下記をご参照ください。
http://www.boehringer-ingelheim.co.jp
Refereces:
1. Zeuzem S et al. SVR4 and SVR12 with an interferon-free regimen of BI 201335 and BI 207127 +/- ribavirin, in treatment-naive patients with chronic genotype-1 HCV infection. Abstract#101 presented at the International Liver CongressTM (ILC), 18 -22 April 2012
2. National Institutes of Health; US Department of Health and Human Services. Chronic Hepatitis C: Current Disease Management. Bethesda, MD: National Institutes of Health; 2010. NIH Publication 10-4230 4.
3. World Health Organisation. Hepatitis C. 2002 http://www.who.int/csr/disease/hepatitis/Hepc.pdf [Last accessed on 16/04/12]
4. Ghany, M. et al. An Update on Treatment of Genotype 1 Chronic Hepatitis C Virus Infection: 2011 Practice Guidelines by the American Association for the Study of Liver Diseases. Hepatology, August 2011.
5. About.com. 2009. What Is a Sustained Virologic Response or "SVR"? http://hepatitis.about.com/od/treatment/f/SVR.htm [Last accessed on 16/04/12]