ベーリンガーインゲルハイム、喘息患者を対象としたチオトロピウム1日1回投与の第2相臨床試験プログラム結果を発表
[12/05/31]
提供元:PRTIMES
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この資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が5月22日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳したものです。尚、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈についてはオリジナルが優先することをご了承ください。
-青少年期の喘息患者において、標準的治療に長時間作用性気管支拡張剤チオトロピウムを併用した場合の臨床的有用性が明らかに
-第3相臨床試験プログラムUniTinA-asthma(TM)が進行中
-5?g1日1回投与が、推奨用量となる可能性を示唆
2012年5月22日 ドイツ/インゲルハイム
ベーリンガーインゲルハイムは2012年、米国胸部疾患学会(ATS)の年次総会にて、症候性の中等症持続型喘息を有する青少年期の患者を対象に、レスピマット(R)ソフトミスト吸入器を使用したチオトロピウム1日1回投与の有用性を検討した第2相臨床試験結果を発表しました1。ベーリンガーインゲルハイムは、喘息治療におけるチオトロピウムの有用性を総合的に評価する第3相臨床試験プログラムUniTinA-asthmaTMが進行中であることもあわせて発表しました。
この第2相臨床試験は、4週間投与、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、不完備型クロスオーバー、用量探索試験であり、長時間作用性β刺激薬(LABA)またはロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)を併用下/非併用下で、中用量吸入ステロイド(ICS)を投与中の中等症持続型喘息を有する12〜17歳の患者105人を対象としています。プラセボ群と比べて、チオトロピウム1日1回投与群(1.25?g、2.5?g、5?g)は、いずれの用量でも、肺機能検査値(ピークFEV1(0-3h)、FEV1AUC(0-3h)、トラフFEV1)の上昇が認められました。チオトロピウム5?gの1日1回投与群に肺機能(ピークFEV1(0-3h)、FEV1AUC(0-3h)、トラフFEV1)の統計学的に有意な上昇が認められたため、5 ?gの1日1回投与が推奨用量となる可能性が示唆されました。これらの結果は、成人の喘息患者でチオトロピウムの臨床的有用性が認められた過去の第2相臨床試験(Phase 2 proof of concept studies)結果と一貫していました2,3。
今回の臨床試験結果に関する文献の筆者であるこども大学病院(University Children’s Hospital[ドイツ])のクリスチャン・フォゲルベルク先生(Dr. Christian Vogelberg)は次のように述べています。「喘息治療は大きく進歩し、治療選択肢も広がったものの、喘息症状を持つ患者さんは未だ多く見られます。今回の臨床試験に参加したすべての患者さんは国際喘息ガイドライン(GINA)推奨の標準治療をすでに受けていながらも、レスピマット(R)ソフトミスト吸入器を使ったチオトロピウムの併用投与により、肺機能の向上がみられた有望な結果が明らかになりました」。
レスピマット(R)ソフトミスト吸入器は、ベーリンガーインゲルハイムが独自開発した薬剤を含んだやわらかく細かい霧をゆっくり生成し噴霧させる新世代のソフトミスト吸入器で4,5、薬剤の吸入を容易にし6、肺への移行率を向上させます7,8。レスピマット(R)ソフトミスト吸入器は、現在市販されている他の吸入器に比べ、多くの患者さんに好まれています9,10,11。
ベーリンガーインゲルハイム医薬開発担当上級副社長Prof.クラウス・デュギは次のように述べています。「この度の中等症喘息患者を対象とした第2相臨床試験プログラムで有望な試験結果が示されたことから、第3相臨床試験プログラムへと進める自信を得ることができました。UniTinA-asthma(TM)臨床試験プログラムは、喘息患者を対象としたチオトロピウムの可能性を総合的に評価するものであり、今年後半には、最初の結果を発表する予定です。私たちの最終的な目標は、標準治療を受けながらも、喘息の症状が続く患者さんのために、新たな治療選択肢を提供することです」。
第3相臨床試験プログラムUniTinA-asthma(TM)は、世界150カ所以上の施設、合計4,000人以上の成人・青少年期・小児患者を対象とした複数の臨床試験から構成されています。
喘息について
喘息は、気道の炎症と気管支収縮を特徴とする慢性疾患です12,13。喘息患者が喘息の誘因(感染症、花粉、煙など)に接触すると、気道が炎症を起こし、腫れて収縮し、粘液が過剰に分泌されます。こうした反応によって気道が狭窄し刺激されると、呼吸が困難になります11。喘息患者は喘鳴、息切れ、胸部圧迫感、咳嗽を繰り返します11。
2009年時点で、世界の喘息患者数は3億人いると報告されており、年間約25万人が喘息で死亡しています11,14。2025年までには4億〜4億5,000万人に増加すると推定されています15。
喘息の誘因を避けることで喘息症状を軽減できる場合もあります。適切な治療により、喘息は治癒しませんが、症状を管理し、生活の質を落とすことなく、日々の生活を楽しむことができます14。しかしながら現状は、さまざまな治療選択肢があっても、喘息を管理できない悩みを抱える患者さんが大勢います15。そのような患者さんは症状が改善されず、生活にもさまざまな制限が生じ、時には救急治療を要することもあります。
チオトロピウム(製品名:スピリーバ(R))について
チオトロピウムはベーリンガーインゲルハイムが発見・開発した1日1回投与の長時間作用型抗コリン性気管支拡張剤で、COPD患者の肺機能を大幅かつ持続的に改善し、気管支拡張作用が24時間持続する革新的な吸入治療薬です。スピリーバ(R)は2002年6月に欧州でCOPD治療薬として新発売され、日本でも2004年12月に発売されました。10年を迎えた今日では米国を含む計80カ国以上で販売されています。
なお、スピリーバ(R)は日本で、喘息を適応に承認されていません。
ベーリンガーインゲルハイム:呼吸器疾患治療を前進させるために
呼吸器疾患はベーリンガーインゲルハイムが90年以上にわたり、創薬ターゲットにしている疾患領域であり、研究開発に多大な力を注いでいます。新たな喘息治療法開発のみにとどまらず、COPD、肺がん、特発性肺線維症などの呼吸器疾患を含む幅広い気道疾患についても、研究開発に注力しています。
ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムグループは、世界でトップ20の製薬企業のひとつです。ドイツのインゲルハイムを本拠とし、世界で145の関連会社と44,000人以上の社員が、事業を展開しています。1885年の設立以来、株式公開をしない企業形態の特色を生かしながら、臨床的価値の高いヒト用医薬品および動物薬の研究開発、製造、販売に注力してきました。
2011年度は132億ユーロ(約1兆4,624億円)の売上を示しました。革新的な医薬品を世に送り出すべく、医療用医薬品事業の売上の23.5%相当額を研究開発に投資しました。
日本ではベーリンガーインゲルハイム ジャパン株式会社が持ち株会社として、その傘下にある完全子会社の日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(医療用医薬品)、エスエス製薬株式会社(一般用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム ベトメディカ ジャパン株式会社(動物用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム製薬株式会社(医薬品製造)の4つの事業会社を統括しています。日本のグループ全体で約2,700人の社員が、革新的な医薬品の研究、開発、製造、販売に従事しています。
日本ベーリンガーインゲルハイムは、呼吸器、循環器、中枢神経などの疾患領域で革新的な医療用医薬品を提供しています。また、グローバルな研究・開発の一翼を担う医薬研究所を神戸に擁しています。
詳細は下記をご参照ください。
http://www.boehringer-ingelheim.co.jp
References:
1. Vogelberg C, Leonaviciute-Klimantaviciene M, Vevere V, Vandewalker M, et al. Dose-ranging study of tiotropium as treatment for moderate persistent asthma in adolescents. ATS 2012 Abstract
2. Kerstjens H, Disse B, Schroder-Babo W, et al. Tiotropium improves lunch function in patients with severe uncontrolled asthma: A randomized controlled trial. J Allergy Clin Immunol 2011; 128(2): 308-314.
3. Bateman
4. Dhand R. Aerosol Plumes: Slow and Steady Wins The Race. J Aerosol Med 2005; 18(3): 261-63
5. Hochrainer D, et al. Comparison of Aerosol Velocity and Spray Duration of Respimat(R) Soft Mist(TM) Inhaler and Pressurized Metered Dose Inhalers. J Aerosol Med 2005; 18(3): 273-282
6. Freytag F, Golisch W, Wolf K. New soft mist inhaler is effective and easy to use in patients with asthma and COPD. Eur Respir J 2005; 26(Suppl 49): 338s
7. Brand P et al. Higher Lung Deposition with Respimat(R) Soft Mist(TM) Inhaler than HFA-MDI in COPD Patients with Poor Technique. Int J Chronic Obstruct Pulm Dis 2008; 3(4): 763-770
8. Brand P et al. Respimat(R) Soft Mist(TM) inhaler preferred to Diskus(R) by Patients with COPD and /or Asthma. J Aerosol Med 2007; 20(2): 165
-青少年期の喘息患者において、標準的治療に長時間作用性気管支拡張剤チオトロピウムを併用した場合の臨床的有用性が明らかに
-第3相臨床試験プログラムUniTinA-asthma(TM)が進行中
-5?g1日1回投与が、推奨用量となる可能性を示唆
2012年5月22日 ドイツ/インゲルハイム
ベーリンガーインゲルハイムは2012年、米国胸部疾患学会(ATS)の年次総会にて、症候性の中等症持続型喘息を有する青少年期の患者を対象に、レスピマット(R)ソフトミスト吸入器を使用したチオトロピウム1日1回投与の有用性を検討した第2相臨床試験結果を発表しました1。ベーリンガーインゲルハイムは、喘息治療におけるチオトロピウムの有用性を総合的に評価する第3相臨床試験プログラムUniTinA-asthmaTMが進行中であることもあわせて発表しました。
この第2相臨床試験は、4週間投与、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、不完備型クロスオーバー、用量探索試験であり、長時間作用性β刺激薬(LABA)またはロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)を併用下/非併用下で、中用量吸入ステロイド(ICS)を投与中の中等症持続型喘息を有する12〜17歳の患者105人を対象としています。プラセボ群と比べて、チオトロピウム1日1回投与群(1.25?g、2.5?g、5?g)は、いずれの用量でも、肺機能検査値(ピークFEV1(0-3h)、FEV1AUC(0-3h)、トラフFEV1)の上昇が認められました。チオトロピウム5?gの1日1回投与群に肺機能(ピークFEV1(0-3h)、FEV1AUC(0-3h)、トラフFEV1)の統計学的に有意な上昇が認められたため、5 ?gの1日1回投与が推奨用量となる可能性が示唆されました。これらの結果は、成人の喘息患者でチオトロピウムの臨床的有用性が認められた過去の第2相臨床試験(Phase 2 proof of concept studies)結果と一貫していました2,3。
今回の臨床試験結果に関する文献の筆者であるこども大学病院(University Children’s Hospital[ドイツ])のクリスチャン・フォゲルベルク先生(Dr. Christian Vogelberg)は次のように述べています。「喘息治療は大きく進歩し、治療選択肢も広がったものの、喘息症状を持つ患者さんは未だ多く見られます。今回の臨床試験に参加したすべての患者さんは国際喘息ガイドライン(GINA)推奨の標準治療をすでに受けていながらも、レスピマット(R)ソフトミスト吸入器を使ったチオトロピウムの併用投与により、肺機能の向上がみられた有望な結果が明らかになりました」。
レスピマット(R)ソフトミスト吸入器は、ベーリンガーインゲルハイムが独自開発した薬剤を含んだやわらかく細かい霧をゆっくり生成し噴霧させる新世代のソフトミスト吸入器で4,5、薬剤の吸入を容易にし6、肺への移行率を向上させます7,8。レスピマット(R)ソフトミスト吸入器は、現在市販されている他の吸入器に比べ、多くの患者さんに好まれています9,10,11。
ベーリンガーインゲルハイム医薬開発担当上級副社長Prof.クラウス・デュギは次のように述べています。「この度の中等症喘息患者を対象とした第2相臨床試験プログラムで有望な試験結果が示されたことから、第3相臨床試験プログラムへと進める自信を得ることができました。UniTinA-asthma(TM)臨床試験プログラムは、喘息患者を対象としたチオトロピウムの可能性を総合的に評価するものであり、今年後半には、最初の結果を発表する予定です。私たちの最終的な目標は、標準治療を受けながらも、喘息の症状が続く患者さんのために、新たな治療選択肢を提供することです」。
第3相臨床試験プログラムUniTinA-asthma(TM)は、世界150カ所以上の施設、合計4,000人以上の成人・青少年期・小児患者を対象とした複数の臨床試験から構成されています。
喘息について
喘息は、気道の炎症と気管支収縮を特徴とする慢性疾患です12,13。喘息患者が喘息の誘因(感染症、花粉、煙など)に接触すると、気道が炎症を起こし、腫れて収縮し、粘液が過剰に分泌されます。こうした反応によって気道が狭窄し刺激されると、呼吸が困難になります11。喘息患者は喘鳴、息切れ、胸部圧迫感、咳嗽を繰り返します11。
2009年時点で、世界の喘息患者数は3億人いると報告されており、年間約25万人が喘息で死亡しています11,14。2025年までには4億〜4億5,000万人に増加すると推定されています15。
喘息の誘因を避けることで喘息症状を軽減できる場合もあります。適切な治療により、喘息は治癒しませんが、症状を管理し、生活の質を落とすことなく、日々の生活を楽しむことができます14。しかしながら現状は、さまざまな治療選択肢があっても、喘息を管理できない悩みを抱える患者さんが大勢います15。そのような患者さんは症状が改善されず、生活にもさまざまな制限が生じ、時には救急治療を要することもあります。
チオトロピウム(製品名:スピリーバ(R))について
チオトロピウムはベーリンガーインゲルハイムが発見・開発した1日1回投与の長時間作用型抗コリン性気管支拡張剤で、COPD患者の肺機能を大幅かつ持続的に改善し、気管支拡張作用が24時間持続する革新的な吸入治療薬です。スピリーバ(R)は2002年6月に欧州でCOPD治療薬として新発売され、日本でも2004年12月に発売されました。10年を迎えた今日では米国を含む計80カ国以上で販売されています。
なお、スピリーバ(R)は日本で、喘息を適応に承認されていません。
ベーリンガーインゲルハイム:呼吸器疾患治療を前進させるために
呼吸器疾患はベーリンガーインゲルハイムが90年以上にわたり、創薬ターゲットにしている疾患領域であり、研究開発に多大な力を注いでいます。新たな喘息治療法開発のみにとどまらず、COPD、肺がん、特発性肺線維症などの呼吸器疾患を含む幅広い気道疾患についても、研究開発に注力しています。
ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムグループは、世界でトップ20の製薬企業のひとつです。ドイツのインゲルハイムを本拠とし、世界で145の関連会社と44,000人以上の社員が、事業を展開しています。1885年の設立以来、株式公開をしない企業形態の特色を生かしながら、臨床的価値の高いヒト用医薬品および動物薬の研究開発、製造、販売に注力してきました。
2011年度は132億ユーロ(約1兆4,624億円)の売上を示しました。革新的な医薬品を世に送り出すべく、医療用医薬品事業の売上の23.5%相当額を研究開発に投資しました。
日本ではベーリンガーインゲルハイム ジャパン株式会社が持ち株会社として、その傘下にある完全子会社の日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(医療用医薬品)、エスエス製薬株式会社(一般用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム ベトメディカ ジャパン株式会社(動物用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム製薬株式会社(医薬品製造)の4つの事業会社を統括しています。日本のグループ全体で約2,700人の社員が、革新的な医薬品の研究、開発、製造、販売に従事しています。
日本ベーリンガーインゲルハイムは、呼吸器、循環器、中枢神経などの疾患領域で革新的な医療用医薬品を提供しています。また、グローバルな研究・開発の一翼を担う医薬研究所を神戸に擁しています。
詳細は下記をご参照ください。
http://www.boehringer-ingelheim.co.jp
References:
1. Vogelberg C, Leonaviciute-Klimantaviciene M, Vevere V, Vandewalker M, et al. Dose-ranging study of tiotropium as treatment for moderate persistent asthma in adolescents. ATS 2012 Abstract
2. Kerstjens H, Disse B, Schroder-Babo W, et al. Tiotropium improves lunch function in patients with severe uncontrolled asthma: A randomized controlled trial. J Allergy Clin Immunol 2011; 128(2): 308-314.
3. Bateman
4. Dhand R. Aerosol Plumes: Slow and Steady Wins The Race. J Aerosol Med 2005; 18(3): 261-63
5. Hochrainer D, et al. Comparison of Aerosol Velocity and Spray Duration of Respimat(R) Soft Mist(TM) Inhaler and Pressurized Metered Dose Inhalers. J Aerosol Med 2005; 18(3): 273-282
6. Freytag F, Golisch W, Wolf K. New soft mist inhaler is effective and easy to use in patients with asthma and COPD. Eur Respir J 2005; 26(Suppl 49): 338s
7. Brand P et al. Higher Lung Deposition with Respimat(R) Soft Mist(TM) Inhaler than HFA-MDI in COPD Patients with Poor Technique. Int J Chronic Obstruct Pulm Dis 2008; 3(4): 763-770
8. Brand P et al. Respimat(R) Soft Mist(TM) inhaler preferred to Diskus(R) by Patients with COPD and /or Asthma. J Aerosol Med 2007; 20(2): 165