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南スーダン:人口の3分の2が飢餓の恐れ

【2018年2月26日ジュバ発】

【2018年2月26日 ジュバ発】南スーダンの人口の約3分の2にのぼる700万人以上が、人道支援が持続的に届かなければ、今後数ヵ月で深刻な食料不足に陥る可能性があると国連の3機関(国連WFP、ユニセフ、FAO)は警鐘を鳴らしています。




[画像: https://prtimes.jp/i/9064/212/resize/d9064-212-520151-0.jpg ]

700万人以上の人々が飢餓状況に陥った場合、南スーダンでこれまでで最も多くの人々が食糧不足に苦しむこととなります。最もリスクが高くなる時期は、農作物の収穫が減る5月から7月にかけてです。特に、子ども2万9,000人を含む15万5,000人が、最も極限レベルの飢餓に苛まれる危険性が高まっています。

総合的食料安全保障レベル分類 (Integrated Food Security Phase Classification:IPC)が26日に発表した報告書によると、 1月時点ですでに、人口の約半数を占める530万人が日々の食糧を十分に確保することが困難な状況にあり、5段階のフェーズのうち「危機(フェーズ3)」あるいは「緊急事態(フェーズ4)」に達しています。
これは昨年の1月と比較して、深刻な食料不足に陥っている人々が40%増加したことを表しています。
今回の報告書は、昨年2月に南スーダンの一部で飢きんが宣言されてから1年がたつに伴い発表されました。大規模な人道支援やアクセスの改善により、昨年後半には飢きんを止め、飢きんの再発を回避することができています。

国連WFPとユニセフ(国連児童基金)、FAO(国連食糧農業機関)は、支援とアクセスが維持されなければ、飢餓による死者を出さないために続けてきた努力が無駄になり、5月から7月には、かつてないほど多くの人々が深刻な飢餓や飢きんに近い状態に追い込まれる可能性があると警鐘を鳴らします。
「とても脆い状況にあり、新たな飢きんが目前に迫っています。厳しい現実が予測されています。私たちがこの状況をなおざりにすれば、起こりつつある悲劇に直面することになるでしょう。もし農民たちが彼らの生計を立て直すための支援を受けることができれば、地域における生産量は増え、国の食糧不安の状況は迅速に改善するでしょう」とFAO南スーダン事務所のサージ・ティソ代表は述べました。

現実になりつつある悲劇 
長期にわたる紛争による食糧生産高の減少と生計を維持できない状態の継続が、全体的な飢餓のレベルを押し上げています。この状況は、経済崩壊の影響が市場や流通に及び、地域の食糧生産の減少を補完できなくなったことにより悪化しました。
さらに、長引く乾燥期、洪水や蛾の幼虫(ツマジロクサヨトウ)などの害虫被害も、地域の生産力に打撃を与えました。
武力衝突の発生と人々の避難が繰り返されている、ユニティ州、ジョングレイ州、上ナイル州、および中央エクアトリア州では、極端な食糧不足に苦しむ人々の割合が52%から62%にのぼり、これらの州の人口合計の半数以上を占めています。この数字は、人々が食糧を受けとるか、生産するか、あるいは自分で買えるようにならない限り、増加し続ける見込みです。

■2018年前半の飢餓の予測
2018年2月-4月:630万人がIPCのフェーズ3の「危機」、フェーズ4の「緊急事態」、およびフェーズ5の「大惨事」に分類される。そのうち5万人がIPCフェーズ5に含まれる。
2018年5月-7月:710万人がIPCフェーズ3、4、および5に分類される。そのうち15万5,000人がIPCフェーズ5に含まれる。

■5歳未満の子ども130万人が急性栄養不良のリスク
紛争と悪化する飢餓により、栄養不良率が急増しています。支援がなければ、5月には、130万人以上の5歳未満の子どもたちが急性栄養不良に陥る危険があります。
栄養不良率は、4月に雨季が開始すると増加する傾向にあります。雨季には多くのコミュニティが孤立し、医療サービスを受けることができなくなります。雨により、舗装されていない道は使えなくなり、医療施設に物資を運ぶことがますます困難になります。
「私たちは、重度の栄養不良に陥る子どもたちの割合が、この国における史上最悪の数字に達する事態に備えています」とユニセフ南スーダン事務所のジェレミー・ホプキンス代表は述べました。「最も必要としている人たちに緊急支援を届けなければ、多くの子どもたちが命を落とします。私たちはその事態を起こしてはなりません」
5歳未満の子どもたちが危機的な栄養不良の状態に陥っている地域であるLeer、Mayendit、 Longochuk および Renk周辺が特に危惧されます。

南スーダンに対する支援
昨年、国連WFP,ユニセフ、FAOおよびパートナー団体は、人々の命を守り飢きんを止めるため、過去最大規模の支援を実施しました。昨年、国連の3機関とパートナー団体は、最も支援の届きにくい地域に対して、緊急支援チームを135回以上派遣し、180万人以上にに命を守るための支援物資を届けました。

国連WFPは、今年の支援が一番必要となる時点で、440万人の人々に食糧支援と栄養支援を実施することを目指しています。人々が飢餓に苦しまないよう、雨季の間に食糧がなくなる可能性がある地域に事前に食糧を届けています。国連WFPでは、14万トンの食糧や栄養支援物資を50ヶ所以上に事前に配置する予定です。これは、昨年に比べて20%上回る量です。

FAOは昨年、支援の届きにくい地域や紛争の影響を受けている地域の500万人の人々に対して作物の種や農具、そして漁具を配給しました。また、健康維持のためのワクチンを家畜610万頭に対して支援しました。生活の糧を家畜に頼る人々にとって、これらの支援は必要不可欠のものとなっています。

ユニセフとパートナー団体は、2017年には重度の栄養不良に陥った子ども約20万8,000人に治療を提供しており、2018年は21万5,000人を対象とする予定です。2017年には国連WFPと協力し、通常の支援を受けられない地域に対して、即応メカニズム(Rapid Response Mechanism=RRM)と呼ばれる移動式の緊急支援チームを51回派遣しました。この即応メカニズムが、これから数カ月間において、紛争の影響を受ける地域に対する主要な支援方法となります。
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