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アストラゼネカのフォシーガ、米国で慢性腎臓病治療薬として優先審査に指定

2型糖尿病合併の有無に関わらず慢性腎臓病に適応を持つ、初めてのSGLT2阻害剤となる可能性がある

本資料はアストラゼネカ英国本社が2021年1月6日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

フォシーガ(ダパグリフロジン)は、米国において、2型糖尿病合併の有無に関わらず、新規に発症した、または悪化した成人の慢性腎臓病(CKD)の治療薬として、優先審査に指定されました。

FDA(米国食品医薬品局)による優先審査は、安全性または有効性の改善、重篤な症状の予防、患者コンプライアンスの向上によって、現在使用が可能な治療選択肢よりも著しい進捗をもたらす医薬品に付与されます。処方箋医薬品ユーザーフィー法(PDUFA)に基づくFDAが目標とする審査の判断期日は、2021年第2四半期中です。

CKDは、腎機能の低下によって定義される病態で、しばしば心疾患や脳卒中の発症リスクの増加と関連しており、また、血液透析や腎移植が必要となることもあります(1-3)。 CKDは2040年までに世界第5位の死因になると予想されています(4)。現在、米国では3,700万人がCKDに罹患していると推定されています(1)。

バイオ医薬品研究開発部門担当エグゼクティブバイスプレジデントであるMene Pangalosは、次のように述べています。「本指定により、我々は、米国にいる何百万人もの慢性腎臓病患者さんへの新たな治療選択肢の提供に一歩近づきました。フォシーガは、2型糖尿病、駆出率低下を伴う心不全、そして承認されれば、慢性腎臓病を含む幅広い疾患を対象とする、真に大きな変化をもたらす可能性を持つ薬です」。

FDAによる承認審査申請の受理および優先審査の指定は、第III相DAPA-CKD試験の結果に基づいています。DAPA-CKD試験において、フォシーガをCKDの標準治療(アンジオテンシン変換酵素[ACE]阻害薬またはアンジオテンシン受容体拮抗薬[ARB])に追加投与したところ、CKDステージ2から4かつアルブミン尿の増加が確認された患者さんに対して、腎機能の悪化、心血管死または腎不全による死亡のいずれかの発生による複合評価項目がプラセボと比較して39%低下したことを示しました(絶対リスク低下[ARR] =5.3%、p<0.0001)。また、プラセボと比較して全死亡のリスクを有意に31%低下したことを示しました(ARR = 2.1%、p=0.0035)(5)。フォシーガの安全性と忍容性はこれまでの試験で確認された安全性プロファイルと一致していました。

同試験は、2020年3月、独立データモニタリング委員会より、当初の想定を上回る結果が出たことにより、試験の早期終了が勧告されました。試験の結果は2020年8月に発表され、The New England Journal of Medicineに掲載されました(6)。

2020年10月、フォシーガは、2型糖尿病合併の有無に関わらず、CKDの治療薬として、米国でブレークスルーセラピーの指定を受けました。米国においてフォシーガは、成人2型糖尿病患者さんの食事および運動療法の補助療法としての血糖コントロールの改善を適応としています。また、2020年5月、米国で、2型糖尿病合併の有無に関わらず左室駆出率が低下した成人心不全(NYHA心機能分類:II〜IV)の心血管死および心不全による入院のリスク低下に対する承認を取得しました。

なお、現時点で、フォシーガの慢性腎臓病としての効能・効果が承認された国および地域はありません。現在日本で承認されているフォシーガの効能・効果は次の通りです。
• 2型糖尿病
• 1型糖尿病
• 慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者さんに限る。

以上

*****
慢性腎臓病について
慢性腎臓病(CKD)は、腎機能の低下を伴う、重篤な進行性の疾患で、世界で約8.5憶人の患者さんがいると言われていますが、その多くはまだ診断されていない状態にあります(8)。腎機能の低下は、eGFRの低下、あるいは腎臓の障害を示唆する指標の変化、もしくはその両方が、最低3カ月間認められた場合と定義されます(7)。CKDを発症する最も一般的な原因疾患は、糖尿病、高血圧、糸球体腎炎です9。CKDは高い有病率や、心不全や若年死をもたらす心血管イベントリスクの増加に関与しています。CKDの最も重篤な状態は末期腎不全(ESKD)と呼ばれ、腎障害および腎機能低下が進行し、血液透析や腎移植を必要とする状態となります(1)。CKD患者さんの多くはESKDになる前に心血管系の原因によって死亡しています(10)。

DAPA-CKD試験について
DAPA-CKD試験は、2型糖尿病合併の有無に関わらず、慢性腎臓病ステージの2〜4、かつ、アルブミン尿の増加が確認された4,304例の慢性腎臓病患者さんを対象に、ダパグリフロジン10mg投与による有効性と安全性をプラセボと比較検討した、国際多施設共同無作為化二重盲検比較試験です。フォシーガ は1日1回、慢性腎臓病の標準治療(ACE阻害剤またはARB)に追加投与されました。主要評価項目は、腎機能の悪化もしくは死亡(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、心血管または腎不全による死亡)でした。副次評価項目は、腎機能の複合評価項目(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、腎不全による死亡)、心血管死もしくは心不全による入院、および全死因死亡のいずれかの初発までの期間でした。試験は日本を含む21カ国で実施されました(6)。

フォシーガについて
フォシーガ(ダパグリフロジン)は、経口で1日1回投与の、ファーストインクラスの選択的SGLT2阻害剤です。フォシーガの研究は、心臓、腎臓、膵臓における基本的な関連性の解明に伴い、心臓・腎臓に及ぼす影響から、予防、そして臓器保護へと進化しています。これらの臓器の一つでも損傷を受けると、他の臓器が機能しなくなり、2型糖尿病、心不全、慢性腎臓病といった、全世界の主要な死因となる病気を引き起こします。

約10年にわたりフォシーガは、成人2型糖尿病における食事および運動療法の補助療法としての血糖コントロールの改善を適応に持ち、単剤療法および併用療法の一環として使用されてきました。第III相DECLARE-TIMI CVアウトカム試験の結果に基づき、標準治療への追加療法で、成人2型糖尿病における心不全入院および心血管死のリスク低下の適応を取得しています*。フォシーガはまた、2型糖尿病合併の有無に関わらず、成人の左室駆出率が低下した心不全の治療薬として承認された最初のSGLT2阻害剤です。

*本邦におけるフォシーガの承認された効能効果は、「2型糖尿病」「1型糖尿病」「慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者さんに限る。」で、「成人2型糖尿病における心不全入院および心血管死のリスク低下」の適応は取得していません。

2020年8月には、第III相DAPA-CKD試験において、フォシーガは、慢性腎臓病患者さんに対して、プラセボと比較して、腎不全および心血管または腎不全による死亡からなる複合リスクを低下させたことを示しました。これにより、フォシーガは、慢性腎臓病患者さんを対象とする腎アウトカム試験で生存期間を有意に延長し、臓器保護作用をもたらすことを示した最初のSGLT2阻害剤となりました。なお、フォシーガは、現時点で全ての国および地域において、CKDに対する適応を取得しておりません。

“DAPA Care”は、フォシーガの心血管、腎、臓器保護作用を評価する一連の臨床プログラムです。終了済みの試験を含め35,000例以上の患者さんを対象とする35件以上の第IIb/III相試験から構成されており、フォシーガはこれまでに250万患者年以上に処方されています。現在、左室駆出率が保持された心不全患者さんを対象とした第III相DELIVER試験が進行中です。またフォシーガは、急性心筋梗塞(MI)または心臓発作発症後の非2型糖尿病患者さんを対象としたDAPA-MI試験が進行中です。DAPA-MI試験は、この種の試験では初めてとなる適応症追加を目的としたレジストリに基づく無作為化比較対照試験です。

アストラゼネカの循環器・腎・代謝 (CVRM) 領域について
循環器・腎・代謝 (CVRM) はアストラゼネカの主要治療領域のひとつであり、当社にとって重要な成長ドライバーです。心臓、腎臓、膵臓などの臓器の基本的な関連性をより明確に解明するサイエンスを追求し、疾患進行の抑制やリスク減少、合併症の抑制による臓器保護と予後の改善をもたらす医薬品のポートフォリオに投資をしています。当社は、循環器・腎・代謝 疾患をもつ世界中の何百万人もの患者さんの健康と、治療法の進歩に貢献する革新的なサイエンスを継続的に提供し、疾患の治療・進展抑制、さらには臓器およびその機能の再生の実現を目指しています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器・免疫疾患の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1.Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Chronic Kidney Disease in the United States, 2019; 11 March 2019 [cited 22 October 2020]. Available from: URL: https://www.cdc.gov/kidneydisease/publications-resources/2019-national-facts.html.
2.Segall L et al. Heart Failure in Patients with Chronic Kidney Disease: A Systematic Integrative Review. Biomed Res Int 2014; 2014:937398.
3.Bikbov B et al. Global, Regional, and National Burden of Chronic Kidney Disease, 1990–2017: A Systematic Analysis for the Global Burden of Disease Study 2017. Lancet 2020; 395(10225):709–33.
4.Foreman KJ et al. Forecasting Life Expectancy, Years of Life Lost, and All-Cause and Cause-Specific Mortality for 250 Causes of Death: Reference and Alternative Scenarios for 2016-40 for 195 Countries and Territories. Lancet 2018; 392:2052–90.
5.Heerspink H. DAPA-CKD - Dapagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease. presented at: ESC Congress 2020 - The Digital Experience, 2020 August 29 - September 01.
6.Heerspink HJL et al. Dapagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease. N Engl J Med 2020; 383(15):1436–46.
7.Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) Anemia Work Group. KDIGO Clinical Practice Guideline for Anemia in Chronic Kidney Disease. Kidney International Supplement 2012; 2:279–335.
8.Jager KJ et al. A Single Number for Advocacy and Communication—Worldwide More than 850 Million Individuals Have Kidney Diseases. Nephrol Dial Transplant 2019; 34(11):1803-5.
9.National Kidney Foundation. Kidney Disease: Causes; 2015 [cited 2020 Sep 23]. Available from: URL: https://www.kidney.org/atoz/content/kidneydiscauses
10.Briasoulis A, Bakris GL. Chronic Kidney Disease as a Coronary Artery Disease Risk Equivalent. Current Cardiology Reports 2013; 15(3):340.
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