2022年度、「増収増益」を見込む企業は24.1%に減少 下振れ材料で「原油・素材価格」「カントリーリスク」が急増
[22/04/30]
提供元:PRTIMES
提供元:PRTIMES
2022年度の業績見通しに関する企業の意識調査
国内景気は、2年にわたり新型コロナウイルスの影響により経済活動が左右される状況が続いている。加えて、ロシア・ウクライナ情勢の影響から原油価格が急騰するなど、企業を取り巻く環境に厳しさが増している。
そこで、帝国データバンクは、2022年度の業績見通しに関する企業の意識について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2022年3月調査とともに行った。
<調査結果(要旨)>
2022年度の業績見通しを「増収増益」とする企業は、前回調査(2021年3月)の2021年度見通しから3.3ポイント減少し24.1%となった。一方、「減収減益」を見込む企業は同2.1ポイント減少の23.9%。2022年度の業績見通しは増収傾向が見られるが、利益面で厳しさも。業種別にみると、「増収増益」はネット通信環境の整備などを含む「電気通信」が45.5%でトップ。「減収減益」は、薬価改定などの影響を見込む「医薬品・日用雑貨品小売」が最も高かった
2022年度業績見通しの上振れ材料は、新型コロナウイルスなどの「感染症の収束」が40.2%で2年連続トップ。次いで、「個人消費の回復」が前回調査より5.2ポイント減少の37.7%となった。以下、「原油・素材価格の動向」「公共事業の増加」「所得の増加」が続いた。一方で、米国や中国など海外経済の成長に対する期待は大きく後退した
下振れ材料は、「原油・素材価格の動向」が52.0%となり、前年より31.2ポイント増加した。次いで、「感染症の拡大」(43.6%)、「個人消費の一段の低迷」(30.5%)が続いている。また、ロシア・ウクライナ情勢などの政治リスクを含む「カントリーリスク」をあげた企業は25.1%となり、前年(6.3%)の約4倍へと急増した
■調査期間は2022年3月17日〜3月31日、調査対象は全国2万4,561社で、有効回答企業数は1万1,765社(回答率47.9%)。なお、業績見通しに関する調査は2009年3月以降、毎年実施し、今回で14回目
■本調査における詳細データは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している
2022年度の業績見通し、増収傾向の一方、コスト増加などで利益面の厳しさ見込む
[画像1: https://prtimes.jp/i/43465/469/resize/d43465-469-ce201e6c81f09fed6192-0.png ]
2022年度(2022年4月決算〜2023年3月決算)の業績見通し(売上高および経常利益)について尋ねたところ、「増収増益」と回答した企業は24.1%となり、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)による緊急事態宣言が発出されていた前回調査(2021年3月)の2021年度見通しから3.3ポイント減少した。一方、「減収減益」は同2.1ポイント減の23.9%と2年連続で減少となった。増収を見込む企業は増加する一方、コスト負担の上昇もあり利益面での厳しさが見込まれる。
[画像2: https://prtimes.jp/i/43465/469/resize/d43465-469-082391e1ec19513c68c7-2.png ]
業績見通しを業種別でみると、「増収増益」ではネット通信環境の整備などを含む「電気通信」が45.5%でトップとなった。次いで、新型コロナの感染対策の拡充やGoToトラベル再開への期待が高まる「旅館・ホテル」が38.3%で続いた。さらに、DXなど情報化投資が拡大する「情報サービス」など、サービス業がトップ3を占めた。一方、「減収減益」では薬価の引き下げや受診抑制傾向の継続、自宅内消費の一巡などで「医薬品・日用雑貨品小売」が39.3%と最も高い。また、木材や飼料、燃料などの価格高騰が下押し要因となる「農・林・水産」などが上位となった。
上振れ材料は「感染症の収束」、下振れ材料は「原油・素材価格の動向」がトップ
[画像3: https://prtimes.jp/i/43465/469/resize/d43465-469-dafe967e60bddf8f6c47-3.png ]
2022年度の業績見通しを上振れさせる材料を尋ねたところ、新型コロナなどの「感染症の収束」が40.2%で最も高かった。昨年より割合は低下したものの、2年連続でトップとなった。また「個人消費の回復」(37.7%)は、前回調査(2021年3月)より5.2ポイント減少した。次いで、「原油・素材価格の動向」(26.9%)、「公共事業の増加」(19.7%)、「所得の増加」(15.5%)が続いている。現在、価格の高騰が続いている原油や素材の価格動向をあげる企業が大幅に増加している一方、米国や中国など海外経済の成長に対する期待は大きく後退した。
2022年度の業績見通しを下振れさせる材料では「原油・素材価格の動向」(52.0%)が前回調査より31.2ポイント増加して半数を超えた。次いで、新型コロナなど「感染症の拡大」(43.6%)が4割台、「個人消費の一段の低迷」(30.5%)が3割台で続いた。また、ロシア・ウクライナや東アジア情勢などの政治リスクを含む「カントリーリスク」(25.1%)は前年の約4倍に増加したほか、「物価上昇(インフレ)の進行」(23.8%)もおよそ4社に1社が下振れ材料にあげた。
ロシア・ウクライナ情勢による影響を懸念する企業が多い一方、新型コロナ下におけるテレワークの広がりやDXの推進などデジタル化の需要拡大を上振れ材料とする意見もみられた。
[画像4: https://prtimes.jp/i/43465/469/resize/d43465-469-1761ca85485068991124-1.png ]
2022年3月の国内景気は、まん延防止等重点措置が解除された一方、ロシア・ウクライナ情勢や地震もあり景気は小幅改善にとどまった。とりわけ仕入価格の上昇が過去20年で最高を記録し、価格転嫁が追い付かない状況で推移していた。こうしたなかで2022年度の景気は、下振れリスクを抱えながらも、人出の増加などで緩やかに上向くと見込まれている。
このような状況のなかで、2022年度の業績見通しは増収を見込む企業が増加する一方、コスト負担の上昇もあり利益面での厳しさも見込まれる結果となった。上振れ材料では「感染症の収束」をあげる企業が2年連続で最も多かった。
一方で、下振れ材料では「原油・素材価格の動向」を懸念する企業が1年前より30ポイント以上増加するなど、原材料価格の動向は今後の業績を左右する最大のカギとなろう。さらに、ロシア・ウクライナ情勢の長期化などを受け、カントリーリスクを意識する企業も急増した。
企業活動における先行き不透明感が高まるなかでも、DXの推進を通じたビジネスや働き方などのシステム改革やIT化への取り組みは急速に進んでいる。このような新たな動きにいかに対応するか、企業の生き残りをかけた変革が重要性を増していると言えよう。
国内景気は、2年にわたり新型コロナウイルスの影響により経済活動が左右される状況が続いている。加えて、ロシア・ウクライナ情勢の影響から原油価格が急騰するなど、企業を取り巻く環境に厳しさが増している。
そこで、帝国データバンクは、2022年度の業績見通しに関する企業の意識について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2022年3月調査とともに行った。
<調査結果(要旨)>
2022年度の業績見通しを「増収増益」とする企業は、前回調査(2021年3月)の2021年度見通しから3.3ポイント減少し24.1%となった。一方、「減収減益」を見込む企業は同2.1ポイント減少の23.9%。2022年度の業績見通しは増収傾向が見られるが、利益面で厳しさも。業種別にみると、「増収増益」はネット通信環境の整備などを含む「電気通信」が45.5%でトップ。「減収減益」は、薬価改定などの影響を見込む「医薬品・日用雑貨品小売」が最も高かった
2022年度業績見通しの上振れ材料は、新型コロナウイルスなどの「感染症の収束」が40.2%で2年連続トップ。次いで、「個人消費の回復」が前回調査より5.2ポイント減少の37.7%となった。以下、「原油・素材価格の動向」「公共事業の増加」「所得の増加」が続いた。一方で、米国や中国など海外経済の成長に対する期待は大きく後退した
下振れ材料は、「原油・素材価格の動向」が52.0%となり、前年より31.2ポイント増加した。次いで、「感染症の拡大」(43.6%)、「個人消費の一段の低迷」(30.5%)が続いている。また、ロシア・ウクライナ情勢などの政治リスクを含む「カントリーリスク」をあげた企業は25.1%となり、前年(6.3%)の約4倍へと急増した
■調査期間は2022年3月17日〜3月31日、調査対象は全国2万4,561社で、有効回答企業数は1万1,765社(回答率47.9%)。なお、業績見通しに関する調査は2009年3月以降、毎年実施し、今回で14回目
■本調査における詳細データは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している
2022年度の業績見通し、増収傾向の一方、コスト増加などで利益面の厳しさ見込む
[画像1: https://prtimes.jp/i/43465/469/resize/d43465-469-ce201e6c81f09fed6192-0.png ]
2022年度(2022年4月決算〜2023年3月決算)の業績見通し(売上高および経常利益)について尋ねたところ、「増収増益」と回答した企業は24.1%となり、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)による緊急事態宣言が発出されていた前回調査(2021年3月)の2021年度見通しから3.3ポイント減少した。一方、「減収減益」は同2.1ポイント減の23.9%と2年連続で減少となった。増収を見込む企業は増加する一方、コスト負担の上昇もあり利益面での厳しさが見込まれる。
[画像2: https://prtimes.jp/i/43465/469/resize/d43465-469-082391e1ec19513c68c7-2.png ]
業績見通しを業種別でみると、「増収増益」ではネット通信環境の整備などを含む「電気通信」が45.5%でトップとなった。次いで、新型コロナの感染対策の拡充やGoToトラベル再開への期待が高まる「旅館・ホテル」が38.3%で続いた。さらに、DXなど情報化投資が拡大する「情報サービス」など、サービス業がトップ3を占めた。一方、「減収減益」では薬価の引き下げや受診抑制傾向の継続、自宅内消費の一巡などで「医薬品・日用雑貨品小売」が39.3%と最も高い。また、木材や飼料、燃料などの価格高騰が下押し要因となる「農・林・水産」などが上位となった。
上振れ材料は「感染症の収束」、下振れ材料は「原油・素材価格の動向」がトップ
[画像3: https://prtimes.jp/i/43465/469/resize/d43465-469-dafe967e60bddf8f6c47-3.png ]
2022年度の業績見通しを上振れさせる材料を尋ねたところ、新型コロナなどの「感染症の収束」が40.2%で最も高かった。昨年より割合は低下したものの、2年連続でトップとなった。また「個人消費の回復」(37.7%)は、前回調査(2021年3月)より5.2ポイント減少した。次いで、「原油・素材価格の動向」(26.9%)、「公共事業の増加」(19.7%)、「所得の増加」(15.5%)が続いている。現在、価格の高騰が続いている原油や素材の価格動向をあげる企業が大幅に増加している一方、米国や中国など海外経済の成長に対する期待は大きく後退した。
2022年度の業績見通しを下振れさせる材料では「原油・素材価格の動向」(52.0%)が前回調査より31.2ポイント増加して半数を超えた。次いで、新型コロナなど「感染症の拡大」(43.6%)が4割台、「個人消費の一段の低迷」(30.5%)が3割台で続いた。また、ロシア・ウクライナや東アジア情勢などの政治リスクを含む「カントリーリスク」(25.1%)は前年の約4倍に増加したほか、「物価上昇(インフレ)の進行」(23.8%)もおよそ4社に1社が下振れ材料にあげた。
ロシア・ウクライナ情勢による影響を懸念する企業が多い一方、新型コロナ下におけるテレワークの広がりやDXの推進などデジタル化の需要拡大を上振れ材料とする意見もみられた。
[画像4: https://prtimes.jp/i/43465/469/resize/d43465-469-1761ca85485068991124-1.png ]
2022年3月の国内景気は、まん延防止等重点措置が解除された一方、ロシア・ウクライナ情勢や地震もあり景気は小幅改善にとどまった。とりわけ仕入価格の上昇が過去20年で最高を記録し、価格転嫁が追い付かない状況で推移していた。こうしたなかで2022年度の景気は、下振れリスクを抱えながらも、人出の増加などで緩やかに上向くと見込まれている。
このような状況のなかで、2022年度の業績見通しは増収を見込む企業が増加する一方、コスト負担の上昇もあり利益面での厳しさも見込まれる結果となった。上振れ材料では「感染症の収束」をあげる企業が2年連続で最も多かった。
一方で、下振れ材料では「原油・素材価格の動向」を懸念する企業が1年前より30ポイント以上増加するなど、原材料価格の動向は今後の業績を左右する最大のカギとなろう。さらに、ロシア・ウクライナ情勢の長期化などを受け、カントリーリスクを意識する企業も急増した。
企業活動における先行き不透明感が高まるなかでも、DXの推進を通じたビジネスや働き方などのシステム改革やIT化への取り組みは急速に進んでいる。このような新たな動きにいかに対応するか、企業の生き残りをかけた変革が重要性を増していると言えよう。