ユニセフ広報官、ガザより報告「支援が妨害され、命が失われている」【プレスリリース】
[24/03/29]
提供元:PRTIMES
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【2024年3月26日 ガザ(パレスチナ)発】
ユニセフ(国連児童基金)広報官のジェームズ・エルダーは、3月26日の国連の定例記者会見において、ガザの惨状について現地よりオンラインで報告を行いました。以下は発言の概要です。
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今日は、ガザの人々が自分たちの生存にとって重要だとする2つの大きな問題についてお話ししたいと思います。ラファにいる人々の安全と、支援物資の搬入です。
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現在のラファは、過密状態で、街角や砂っぽい空き地にはテントが乱立し、かつての姿をとどめていません。人々は路上や公共施設、その他空いている場所で寝ています。人道的緊急事態の世界基準では、1つのトイレを共用できるのは最大20人までとされていますが、ラファでは、850人に1つしかトイレがありません。シャワーはその4倍、3,600人に1つです。これは、人間の基本的欲求と尊厳を無視した地獄のようなものです。
同じ基準では、人は一人当たり日々15リットルの水を必要とし、ただ生存するためだけでも、最低3リットルが必要です。私が11月にここにいた時、ガザ地区の家族や子どもは、一人1日3リットル以下の水で過ごしていました。現在では、調査対象の世帯で利用できる安全な水は、平均して一人1日1リットル未満です。
ラファの隣にあるハンユニスも、見る影もありません。しかしその理由は異なり、街がもうほとんど存在していないようなものだからです。国連で働いてきた20年間で、私はこれほどの惨状を見たことはありません。瓦礫が四方八方に散乱し、混沌と荒廃だけが広がっています。まさに全滅です。
街中を歩いていると、喪失感に打ちのめされました 。
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話をラファに戻します。ラファで大規模な軍事作戦が展開されるという話が長く続いています。ラファは子どもたちの街です。60万人の女の子と男の子がいます。この作戦は「ラファでの軍事攻撃(military offensive)」とも表現されていますが、正に"攻撃"という言葉がふさわしい行いです。ラファには、ガザに残された最後の病院、避難所、市場、水道システムがあるのです。
そしてガザ地区の北部です。昨日、再びジャバリアに行きました。何万人もの人々が、飢えを表す世界共通のサインである口元に手を当てるしぐさをしながら、通りに群がっていました。
1週間前に私がガザ地区に入った時、命を守る人道支援物資を積んだ何百台ものトラックが、それらを切実に必要としている人々の元へ届けるために、待機していました。しかしトラックがいたのは境界の反対側です。現在も、何百台もの国連と国際NGOのトラックが、ガザへの入域を足止めされています。
先週発表された総合的食料安全保障レベル分類(IPC)の報告では、ガザ北部で飢饉が差し迫っていると指摘されました。ガザにおける最も深刻な状態に分類される人口の割合は、さまざまな国を分析対象としたIPCが2004年に報告を開始して以来、最も大きな数字です。
この戦争以前は、ガザ地区では消耗症はめったに見られず、5歳未満の急性栄養不良の子どもは1%未満でした。現在では、2歳未満の子どもの3人に1人が急性栄養不良の状態です。北部では大量の食料と栄養治療が緊急に必要なのは明らかです。しかし、はっきりさせましょう。その支援を提供する私たちの努力は妨げられているのです。
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飢饉に直面している人々がいる場所から10分の所に、エレズという昔からの検問所があります。10分です。そこを開放すれば、北部の人道的危機を数日で好転させることができます。しかし、それは閉ざされたままなのです。
3月1日から22日にかけて、ガザ北部への40の人道支援計画のうち4分の1が拒否されました。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は現在、北部への食料の搬送を止められていますが、北部への食料の50%はUNRWAによって搬送されていたのです。
はっきり言いましょう。救命支援は妨害されています。命が失われています。尊厳が否定されています。
窮乏と、追い込まれ切羽詰まった状況により、絶望が人々の間に広がっているのです。容赦ない攻撃の中で、人々の神経は打ち砕かれています。
まだ希望はあるのか、とよく聞かれます。ここではすべてが極端で、その質問への答えも同じです。一方では、ある母親が、愛する人を失い、家も失い、子どもたちに普通に食事を与えることもできなくなりました。彼女に残されているのは、希望を持つことだけなのです。そして昨日、ユニセフは10代の若者たちと会いました。彼らのうちの何人かは、悪夢を終わらせたいと切望するあまり、殺されることを望んでいると言いました。
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ガザでは、言葉に表せないようなことがよく語られます。10代の女の子が殺されることを望んだり、子どもが家族全員の最後の生き残りだと言われたり。このような恐怖は、ここではもはや珍しくないのです。
そのような中、多くの勇敢で寛大、そして不屈のパレスチナ人が、互いに支え合っています。そして、関連国連機関とユニセフも支援を続けています。ユニセフは、すべての子どものために粘り強く活動しています。水、保護、栄養、安全な場所を提供するため、ユニセフはここにいます。
昨日聞いた通り、停戦は象徴的なものではなく、実態を伴うものでなければなりません。人質は家に戻らなければなりません。ガザの人々は生きることを許されなければなりません。
私が以前ガザを訪れてから3カ月の間に、すでに悪かったあらゆる数値が劇的に悪化しました。ガザは、人類の歴史で最も暗い1ページとなりました。人類は、急いで新たな別のページに取りかからなければなりません。
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ユニセフ「ガザ人道危機 緊急募金」 ご協力のお願い
ガザの子どもたちとその家族に支援を届けるため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「ガザ人道危機 緊急募金」を受け付けています。詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.unicef.or.jp/kinkyu/gaza/
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。https://www.unicef.or.jp/
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。https://www.unicef.or.jp/