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生産性向上を急ぐ企業、「経営企画」求人が2015年1-6月比10.0倍 潜在課題の発見や解決を担える「付加価値創出力」に期待 給与水準も上昇傾向

足元でDX進む、注文の省人化で人件費月10万円減やデータ活用で客単価が想定を超えた飲食店も




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株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村 吉弘、以下リクルート)は、「生産性向上」に関する求人と転職の動向についてまとめましたのでご報告いたします。
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企業の「付加価値創出力」を高めるには、適切な課題設定とグランドデザインを描く人材の確保が重要
解説者:HR横断リサーチ推進部 HRリサーチセンター センター長 津田 郁
HRエージェントDivisionハイキャリア・グローバルコンサルティング4部 コンサルタント 井澤 真美
近年、日本企業にとって生産性の向上が重要なアジェンダとなっており、テクノロジーを通じた付加価値の向上や、省力化投資などによる業務効率化の重要性が高まっています。
「生産性評価要因の国際比較」(発行:公益財団法人 日本生産性本部)によると、生産性向上の要因の一つである「教育・人材」については、日本は他国より優れており、「IT・デジタル化」や「イノベーション」もOECD加盟国の平均並みとなっています。しかし、これら3つの要因それぞれにおいて「付加価値創出力」はOECD加盟国の平均を大きく下回っており、日本の付加価値を創出する力が国際的に見て低いことが示されています。これは、インフラの整備が進んでいる一方で、それを付加価値に変える力が弱いことを示しています。
付加価値を生み出す経営を実現するには、目的や課題を適切に設定し、成果を得るまでのグランドデザインを正しく描いた上で、効率化のみを目的とした取り組みのみならず、付加価値向上を目的としたツールの活用や仕組み作りを進めていくことが大切となります。
近年、付加価値向上に課題を抱える企業も増加傾向にあり、その影響は転職市場にも表れています。『リクルートエージェント』における求人数推移を見ると、企業経営の要であり、経営のグランドデザインを描く役割を担う「経営企画」求人は2015年1-6月期を1として、2024年1-6月期は10.0倍に増加しています。一方でそのような人材の採用は決して容易ではなく、転職者数の伸びは同期間で3.0倍と求人の伸びに追い付いていません。また、リクルートが実施した調査では、業務プロセスの改善・向上について、対応の必要性を感じている中小・中堅企業の約5割が「企画・推進」人材の不足を課題に感じていることが明らかになりました。今回のリリースでは、経営のグランドデザインを描く役割を担う「経営企画」人材を採用する際の考え方に加えて、副業や外部サービスの活用によって企業経営における「付加価値創出力」を高めるための仕組み作りについてご紹介します。

【Part1】企画やプロジェクトの推進を担う人材を外部から採用する際の考え方
転職市場における「経営企画」求人の動向:2015年1-6月比10.0倍に増加
『リクルートエージェント』における求人数推移を見ると、「経営企画」求人は2015年1-6月期を1として、2024年1-6月期は10.0倍に増加しています。一方で、転職者数も同期間で3.0倍に伸びているものの、求人の増加には追い付いていない状況です。
求人には「新規」「技術」「プロジェクト」「戦略」「課題」といったキーワードが多く、新規事業開発や技術革新、戦略的ビジネス展開を通じて企業が付加価値を高めようとしている姿が見て取れます。
外部環境が大きく変わる中、企業は多くの変革を求められています。グリーントランスフォーメーションや人的資本経営、DX、ガバナンス強化といった重要な課題が増え、経営の高度化・複雑化が加速しています。
こうした中、採用市場では企業独自の戦略を描き、それを実行する「経営企画」人材の重要性を強調する声が多く聞かれます。
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「経営企画」人材の採用に向けて
経営の高度化・複雑化が進む中、「経営企画」人材に求められる業務も多様化しており、採用市場では、求人内に記載されているミッションが抽象的で、曖昧なことが多いという新たな問題が生まれています。
例えば、「事業成長のための課題解決を幅広くお任せします」といった表現で求人募集する企業も多く、要件が曖昧でマッチングがうまくいかないケースも多々発生しています。企業は目的を明確にし、具体的にどのような課題を解決してもらいたいのかを言語化して求職者に訴求することが重要です。
また、一般的に企業はどの職種であっても求めるパフォーマンスに見合った報酬を設定する必要がありますが、求職者の希望する給与水準が高くなる傾向にある「経営企画」ポジションでは特に、既存の人事制度が足かせとなり、候補者の希望する給与水準を提示できないケースが多く発生しています。
既存の人事制度を背景にパフォーマンスに見合った報酬の提示ができていない企業は、人事制度の見直しも併せて検討する必要があるでしょう。

スタートアップを中心に300人未満の企業への転職が増加。300人以上の企業への転職者の増加率を上回る
「経営企画」求人への転職状況を企業規模別で見ると、従業員数が300人未満の企業への転職者数は2019年1-6月期と比較して2024年1-6月期は2.0倍に増加しています。一方、従業員数が300人以上の企業への転職者数は同期間で1.6倍となっており、300人未満の企業への転職者の増加率の方が上回っていることが分かります。
増加をけん引しているのは「スタートアップ企業」です。最近では「スタートアップ企業」に集まる資金が増えており、事業づくりのスピードも以前にも増して速くなっています。キーワードは複数のサービスやプロダクトを展開していく「マルチプロダクト戦略」や「コンパウンド戦略」です。特に事業づくりのスピードの加速が顕著であるIT系の企業では、新規事業の立ち上げを目的とした「経営企画」求人の募集が旺盛で、集まった資金を生かして新たな付加価値を効果的に生み出せるような人材のニーズが高まっています。
・マルチプロダクト戦略:一つの企業が複数の製品やサービスを展開することで、リスクを分散し、収益源を多様化する戦略
・コンパウンド戦略:既存の製品やサービスに新しい要素を組み合わせることで、価値を高めたり、新しい市場を開拓したりする戦略
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求職者においても、「スタートアップ企業」ならではの経験やキャリアに魅力を感じ、入社を希望する方が増えてきています。給与水準も上昇してきており、大手企業と遜色のないレベルで給与提示を行うケースも増えています。
例えば49歳のミドル・シニア世代の方が「スタートアップ企業」の事業開発ポジションに転職する事例などもあり、年齢に関わらずスキルベースでのマッチングを行う企業が多いのも「スタートアップ企業」の特徴です。

副業市場でも「経営企画」求人が増加。副業人材との交流が既存社員の学びやスキル獲得のきっかけにも
「経営企画」機能強化のために、副業人材の受け入れを行う企業も増えています。
地方の中小企業向けに展開しているリクルートの副業マッチングサービス「ふるさと副業」では、「経営企画」求人は2022年1-6月期を1とすると2024年1-6月期は2.9倍に増加しています。
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昨今副業を希望する個人が増加しており、転職市場では人材採用に苦戦する地方の中小企業であっても、副業市場では多くの応募に恵まれるケースが増えています。
中にはコンサルティング業界や監査法人出身といった、通常では採用が難しい人材を副業人材として仲間に招き入れた地方中小企業の事例も生まれています。
特に中小企業では「経営企画」に関わる業務は社長一人に集中するケースが多く、社長一人では対応し切れないことも多くあります。そうした際に副業人材の力を借りるというのも有効な選択肢の一つになるでしょう。既存の従業員が副業人材との協働を通じて新たな知見を獲得し、これまでは対応できなかった業務を内製化できるようになったという声も聞かれています。
「ふるさと副業」を活用した取り組み詳細は以下URLをご参照ください。
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20240912_work_02.pdf

生産性向上のための対応の必要性を感じている中小・中堅企業のうち、対応できていない企業は35.9%
リクルートが2024年3月に行った、「中小・中堅企業の事業課題・人材課題に関する調査」によれば、業務プロセス(生産性・品質)の改善・向上について、対応の必要性を感じている事業責任者のうち、35.9%が「対応できていない」と回答しました。
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※「対応の必要性を感じている群」は、業務プロセス(生産性・品質)の改善・向上のための対応の必要性を「非常に感じている」「やや感じている」と回答した群
※「対応できていない」は、「できていない」「あまりできていない」の計。「対応できている」は、「できている」「ややできている」の計
出所:リクルート「中小・中堅企業の事業課題・人材課題に関する調査」

生産性向上における一番のボトルネックは「企画・推進」人材の不足
業務プロセス(生産性・品質)の改善・向上について、対応の必要性を感じている中小・中堅企業の事業責任者に、具体的な課題について聴取したところ、最も大きな課題として浮かび上がったのは「業務プロセスの改善を企画し、プロジェクトを推進する人材がいない」(49.9%)という点でした。
業務の生産性向上を推進する「企画・推進」人材の不足が、一番のボトルネックとなっていることが分かります。
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出所:リクルート「中小・中堅企業の事業課題・人材課題に関する調査」

【Part2】ツール活用や人材育成によって「付加価値創出力」を高める仕組み作りについて
ここからは、企業経営における「付加価値創出力」を高める仕組み作りの工夫・ポイントを、デジタルツールの活用と人材育成の二つの観点でご紹介します。

ツール活用や人材育成により労働生産性向上につながる仕組み作りを進めている事例
インバウンド増加の影響も大きい飲食・化粧品・宿泊業界における事例をご紹介いたします。
※リクルートのサービスをご活用いただいている事例。ご取材可能です

1.ツール活用により、生産性向上(付加価値UP・業務改善)を実現した飲食業界の事例

◆「地鶏×魚×天麩羅の店 燦々」(宮崎県) 
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【課題】
・新店舗オープンに当たって、人件費を抑えたい(少ないスタッフで運営したい)
・来店客のデータや注文データを活用して売り上げを向上させたい

【取り組み内容】
・来店客が自分のスマートフォンで注文できる『Airレジ オーダー』を導入
・『Airメイト』(管理システム)を併用し、売れ筋商品の分析や需要のタイミングを分析

【効果】
・『Airレジ オーダー』の導入により、注文確認の手間が減り、少ないスタッフでの運営が可能になった。その結果、月約7万円の人件費を削減できた。
・スタッフが来店客とより多くのコミュニケーションを取れるようになり、顧客満足度が向上した。
・調理スタッフがホール業務を手伝う必要がなくなり、料理により多くの手間をかけられるようになり、天ぷらなどの主力商品の品質が向上した。
・売れ筋商品の分析や需要のタイミングの見直しが可能になり、商品ラインナップや提供タイミングの改善に成功した。
・これらの取り組みにより、客単価が5,083円となり、新店オープン時に想定していた4,500円を583円上回った。

◆「串天ぷらスタンド ソル兵衛 別院通り店(金沢駅前)」(石川県) 
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【課題】
・アルバイト中心で運営できる店づくりを目指し、効率的で容易なオペレーションを実現したい
・会計業務を効率化し、オペレーションをさらにスムーズにすることで、集客を増やしたい

【取り組み内容】
・来店客が自分のスマートフォンで注文できる『Airレジ オーダー』を導入
・『Airレジ オーダー』を利用することで、注文業務を省人化し、スタッフが調理や会計を含む接客に専念できるようにした
・『ホットペッパーグルメ』の「スマート支払い」機能を併用し、クレジットカード情報を登録した利用客から自動で飲食代金を決済できる仕組みを導入。無断キャンセル時のキャンセル料徴収も可能にした

【効果】
・『Airレジ オーダー』のモバイルオーダー店内版(以下『Airレジ オーダー』)の導入により、開店前に社員が料理の仕込みや当日のメニュー決定を済ませ、その後の営業時間はアルバイト中心に店舗を運営し、月約10万円の人件費を節減できた。
・アルバイトスタッフは店舗運営を任されることでモチベーションが向上し、主体的に業務に取り組むようになった。店舗運営の改善点を社長に提案することもある。
・『Airレジ オーダー』のメニュー表示が自動翻訳されることで、外国語での説明の負担が軽減された。
・客単価に変化はないものの、回転率が改善し、月額売上高が前年比で約5%増加した。
・予約サイト『ホットペッパーグルメ』で事前にクレジットカード情報を登録する「スマート支払い」の活用により、アルバイトスタッフが現金を扱う際の不安が減り、無断キャンセル時のキャンセル料徴収もスムーズになった。

2.ツール活用により、生産性向上(付加価値向上・業務改善)を実現した化粧品業界の事例

◆百貨店内での活用 資生堂ジャパン(東京都)  
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【課題】
・来店客の待ち時間の不満を解消したい
・店舗の混雑を減らし、接客の質を保ちたい

【取り組み内容】
・リクルートの待ち時間管理アプリ『Airウェイト』を導入し、お店の待ち状況や接客時間を可視化した
・『Airウェイト』の多言語対応機能にて、海外からのインバウンド観光客にも対応できる仕組みを整備した

【効果】
●資生堂ジャパンにとって
・店舗の行列が少なくなり、スムーズな案内や接客に集中することが可能になった。
・『Airウェイト』のデータを使って、混む時間帯や順番待ちの来店客の離脱率を把握でき、シフト体制やスタッフ配置、店舗レイアウトの改善を含む店舗の経営戦略に役立てている。
●来店客にとって
・店舗の待ち状況の把握ができ、呼ばれた後も接客を受けるおおよその所要時間の想定が可能となった。
・待ち時間に他のフロアで買い物や食事をして、有意義に過ごせるようになった。
3.付加価値向上と人材力強化に取り組む宿泊業界の事例

◆松本楼(群馬県・伊香保温泉)
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【課題】
・若手〜ベテランまで社歴を超えて、従業員に主体的に宿の強みを発掘してもらいたい
・最大繁忙期の秋季(紅葉時期)以降の離職を抑えたい

【取り組み内容】
・『じゃらんリサーチセンター』が開発した調査を使って、従業員が考える宿の魅力を整理
・調査結果を基に社内ワークショップを開き、宿の新たな強みとなり得るアイデアを見つける
ワークショップの基本ステップ
1. 【発散】まず、個人で考えたことをグループで共有し、整理する
2. 【収束】「旅館・ホテルの新しい強みや可能性」と感じるアイデアをグループで絞り込む
3. 【磨き込み】他グループのアイデアを聞き、さらにアイデアを改善・掘り下げる
4. 【アウトプット】グループごとにアイデアを発表

【効果】
・最大繁忙期の秋季(紅葉時期)を過ぎると例年退職者が多く出る傾向にあるが、本施策を実施した2023年は少なかった。
・今回の調査やワークショップを通じて、主体的に宿の運営に参加する意識がより一層高まった。例えばあるメンバーはInstagramや自社ブログで自主的に宿の魅力を発信する動きが活発化する等の変化があった。

◆「次世代旅館・ホテル経営者育成プログラム」
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ご参加いただいた複数の旅館・ホテルの皆さま

【課題】
・宿泊業界は大きな投資が必要であったり、景気の悪化や自然災害などによるさまざまなリスクが存在したりするなど、経営難度が高い
・少子高齢化に伴う人手不足
・先代の親世代の頃からは経営環境が劇的に変化しており、何をしたらよいか悩む次世代経営者も多いが、学ぶ機会、相談できる人が少ない

【取り組み内容】
・『じゃらんリサーチセンター』が、次世代経営者育成のために「次世代旅館・ホテル経営者育成プログラム(以下、次世代プログラム)を2012年より毎年実施
次世代プログラムの特徴
・自分の「想い」や「目指す姿」、旅館やホテルの「強み」「ビジョン」「地域とのつながり」を探求し、「Be型リーダーシップ」※を育む
・経営ノウハウ(マーケティング、財務、人材マネジメント、事業計画)を実践的に学ぶ
・全国から集まった他社の次世代経営者たちと「仲間」としての絆をつくる(異なる地域の事業者のため、直接のライバルではなく心を開きやすい)
※Be型リーダーシップ:あり方から始めるリーダーシップのことで、環境変化が厳しい中でも変化に順応しながら継続的に成果を出し続けられる。

【効果(参加者の事例)】
・1期生の卒業生は参加当時描いた「ありたい未来」である「ランナーに優しい長期滞在型観光地」を10年かけて実現。さらにインバウンド観光客誘致のために、観光パンフレットや地域ウェブサイト、地域店舗メニューの多言語化、ツアーアクティビティの充実などを実践。結果、「ランナーとサイクリストと外国人」が長期滞在型観光客の中心となり、2022年度の売り上げは10年前の2倍以上に。
・半年間の受講により、財務知識を習得したことで銀行担当者と一対一で話せるようになった。また、食事メニューの変更で従業員の業務時間削減に成功。業務時間削減により、地域を学ぶ研修を新たにスタートすることができた。じゃらんのクチコミは4.4→4.8へとアップし、地域、お客さま、スタッフから愛される宿に。

調査概要
調査方法:『リクルートエージェント』求人データの分析
調査対象:『リクルートエージェント』求人データ
有効回答数:非公開
調査実施期間:2024年7月〜2024年8月
調査機関:リクルート


▼リクルートについて
https://www.recruit.co.jp/

▼本件に関するお問い合わせ先
https://www.recruit.co.jp/support/form/
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