コロナウイルスの影響が残るも、アジア全域で求人が増加傾向 アジア各国のホワイトカラー人材紹介市場の動向 2021年10月〜12月
[22/01/26]
提供元:@Press
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[2022年1月26日 東京]
世界11ヵ国で人材紹介事業を展開し、東南アジアでは最大級の規模(※1)を誇る株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント(代表取締役会長兼社長:田崎 ひろみ)は、この度、2021年第4四半期のアジア各国のホワイトカラー人材紹介市場の動向を纏めましたので、お知らせいたします。
(※1)自社調べ(アジアで人材紹介事業を展開する同業他社の売上規模を比較)
●コロナウイルスの影響は残るものの、企業の採用意欲の高まりによりアジア全体で求人は回復傾向に
●マレーシアではIT、建設業など採用意欲の高まりにより昨年動機比で求人が大幅増
●インドネシア、インド、韓国でも、昨年同期比で求人が大幅増。急速な回復を遂げる国が顕著に
※以下リンクより、より読みやすいPDF版のプレスリリースをご参照ください
https://www.atpress.ne.jp/releases/295322/att_295322_1.pdf
【ジェイ エイ シー リクルートメント アジア各社の求人数増減一覧】
対前年四半期比:マレーシア :171%
シンガポール:132%
タイ :107%
インドネシア:160%
ベトナム :73%
中国 :106%
香港 :119%
韓国 :175%
インド :175%
日本(※2) :121%
対前四半期比:マレーシア :104%
シンガポール:90%
タイ :90%
インドネシア:107%
ベトナム :99%
中国 :95%
香港 :62%
韓国 :117%
インド :114%
日本(※2) :107%
(※2)日本企業の海外事業関連求人
■■マレーシア■■
各業界の採用意欲の高まりにより、求人はコロナ前の水準まで回復
海外への事業展開目的に、多言語人材のニーズも
【求人数】
対前年四半期比 171%
対前四半期比 104%
JAC Recruitment マレーシア法人社長 大西 信彰
10月には成人のコロナウイルスワクチン接種率が9割を超え、ブースター接種の推進により収束を図っている状況です。1月10日現在の新規感染者数は2,641人とピーク時(昨年の8月31日)の14%まで押さえ込めています。しかし、世界的な物流の停滞や人流の活発化、オミクロン株蔓延の懸念などを受けて、景気回復にはもう暫く時間を要する見込みです。
一方、昨年12月7日にJETROが発表した海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)によれば、2022年度の営業利益見通しを「横這い、もしくは改善」とした在マレーシア企業の割合は、2021年度の70%(35.0%・35.0%)から95%(36.4%・58.7%)に増加、また景況感を表すDI値も2021年の4.8から53.8へ49ポイントの改善、かつASEAN平均の40.3を上回る水準となっています。
【企業の採用動向】
求人数は前四半期比104%、前年同四半期比171%と大幅に増加しています。例年第4四半期は企業の採用活動が一段落する時期であるものの、昨年は第2四半期と同等の求人数となっており、採用意欲が強くなっています。2021年前半、日系企業は外資/地場企業と比較し採用に慎重な姿勢を取っていましたが、今期に入りコロナ禍前の2019年第4四半期比118%の求人数となり、ポストコロナとして各日系企業が新規採用に向けて動き出しています。
採用が活発な業界は、引き続きICT(情報通信技術)業界関連、半導体、EMS(電子受託製造)・PWB/PCB(プリント基板)、建設業界等。建設業界はコロナ禍によりプロジェクトが中断/遅延していたものが再開、また新規投資の建築が始まるなど労働者を中心に人手不足状態。また半導体業界についても、ペナンを中心に新たな工場設立、増設が進行中であり、労働者はもとより2022年はエンジニアを中心とした人材争奪戦がますます大きな課題となることが予測されます。多言語人材のニーズもシェアードサービスやBPO、FX(外国為替)などで引き続き採用が活発。求められる人材がアジア言語以外に、ポルトガル語、ヒンディー語、アフリカ諸国言語等の多言語人材の需要に広がりを見せています。
【求職者の動向】
年末に向けてボーナス受領を見込んだ候補者の転職意欲が下がり、2月の旧正月明け前後に求職活動が活発になるのが例年の動きではあるものの、2021年前半がロックダウンなどにより思うように転職活動ができなかった反動と、景気底入れ感と相まって、第4四半期に入っても転職希望者の登録は続伸しました。ICT関連の人材については売り手市場が続いているものの、企業が求める要件と候補者のスキルがマッチしないことが多くあり、優秀なICT人材の採用に苦戦している企業が多くみられます。日本人候補者については、コロナウイルスの状況が落ち着き海外への転職意欲も戻りつつあり、年明けから活発になることが見込まれます。
■■シンガポール■■
高水準のGDP伸び率により、求人は回復の兆し
【求人数】
対前年四半期比 132%
対前四半期比 90%
JAC Recruitment シンガポール法人社長 Kirsty Poltock(カースティ ポルトック)
シンガポール貿易産業省が発表した2021年第4四半期の国内総生産(GDP)速報値は、前年同期比で5.9%増、2021年通年の成長率は7.2%増と2010年以来の高水準となり、政府の公式予測とほぼ一致する伸び率を記録しました。しかし、ウィズコロナ政策を掲げ、ワクチン接種完了者を対象に隔離なしの入国許可VTL(Vaccinated Travel Lane)の枠組みの拡大を推し進めていたものの、新たな変異株「オミクロン株」の影響で水を差されることになりました。前年比、前期比ともに一番伸びたのは製造業で、それぞれ14.0%増、2.6%増となり、半導体やエレクトロニクス関連も伸びが目立ちます。第3四半期の渡航規制や入国制限の影響で外国人労働者不足だった建設業は前期比で減速。
オミクロン株の影響を最も受けるとされる観光・航空の回復の遅れが懸念されています。
【企業の採用動向】
オミクロン株の影響の懸念があるものの、2021年第4四半期の求人は前年同期比で増加し、新たな人員増、退職者の欠員補充ともにニーズが増加しています。日系企業では来年度の予算組みの時期でもあることから、予算策定のためにさまざまなポジションの給与相場の調査依頼も増えています。入国制限もあり、国外からの候補者の採用は難しい状況であるものの、専門職など特定のポジションに関しては国外から採用するケースも見受けられました。引き続きシンガポール人やPR(永住権)保持者は採用時に優先して選考される状況にあり、配偶者ビザ保持者もワークパーミット(就労パス)の取得により雇用が可能となることが判明した7月以降は採用の需要が徐々に増えています。
【求職者の動向】
例年通り、12月のAWS(Annual Wage Supplementと呼ばれる1か月分の補償ボーナス)支給後から年末にかけて徐々にローカル求職者の新規登録数が増えています。しかし、本格的に転職活動を始めるのは2022年1月の業績賞与の支給後からという方々が多く、今は自身の現在の市場価値を知る目的の登録が増えています。年明けの退職者数を予想して採用活動を始める企業の求人が増える一方、それらの求人に応募を希望する求職者の数も増加傾向にあります。コロナウイルスの影響による渡航規制や入国規制のため、日本在住の日本人求職者の新規登録は減少傾向です。
■■タイ■■
求人総数は回復傾向も、オミクロン株の不安要素の影響が残る
【求人数】
対前年四半期比 107%
対前四半期比 90%
JAC Recruitment タイランド法人社長 渡邊 信二
2021年10月以降は政府のコロナ規制が緩和されるも、オミクロン株の感染拡大に伴い12月末から再度厳格する方針に戻りました。これに伴い、入国時の隔離期間も7日以上に延長となったため、タイのGDPの10%以上を占めていた観光需要の回復は、コロナ前の水準に戻るには時間が掛かる見込みです。なお、タイ中央銀行は2021年のGDP成長率は0.9%と予測するも、2022年は3.4%、2023年は4.7%とし本格的な景気回復は2023年以降になることが予想されます。
【企業の採用動向】
業種により依然として隔たりはあるものの、全体的な求人数は増加が継続しており、自動車業界を中心とする輸出型製造業やIT企業の求人が顕著です。職種としては営業系職種のニーズが多く、企業の業績拡大に対する期待が強く表れています。
なお、求人の回復要因としてはコロナ禍による採用抑制により、減少した従業員数を増加させる動きが強くなっています。また、長く国を跨いだ往来が制限された影響で、現地採用の強化を意識する企業が増えた事により、管理部門や営業部門で日本人駐在員と同様の高度なスキルを求めた求人依頼が増加しています。
【求職者の動向】
転職市場としては売り手市場が継続しており、求人件数の増加に伴い転職者の活動は活性化に転じていますが、ボーナスが支給される1月以降の動向が2022年の転職市場の動向を左右することになることが考えられます。なお、日本人のタイでの就業は11月の入国隔離期間を1日とした“Test and Go”制度の導入に伴い活性化が期待されましたが、オミクロン株の感染拡大が影響した結果、状況は第3四半期とさほど大きな変化はありません。
■■インドネシア■■
求人数は昨年同期比で60%増となるものの、コロナウイルス発生前の状態には至らず
【求人数】
対前年四半期比 160%
対前四半期比 107%
JAC Recruitment インドネシア法人 アソシエイトダイレクター 山下 冬馬
ジャカルタ特別州のアニス・バスウェダン知事は当初同州の最低賃金の上昇率を0.85%と発表しました。その後労働総合連合が引上げを求め各地でデモが行われ、これを容認する形で5.1%へ修正(4,641,854ルピア)。
この結果、多くの工業団地を有するカラワン県の最低賃金は4,816,921ルピア(0.71%増)、ブカシ市4,798,312ルピア(増減なし)につぎ首都圏で3番目に高い最低賃金価格となりました。国内インフレ率1.6%、GDP成長率3.51%を考慮したもので、経済活性の期待が込められています。
【企業の採用動向】
求人数は前年同期比で60%増と回復傾向となるものの、2019年の第4四半期比では47%減と未だコロナ前までの回復を見せておりません。求人の多くは欠員募集目的で、全業界で積極的な採用活動は未だ見られない状態です。一部の日系企業においては、一時退避で帰国された駐在員の方々がインドネシアに戻ることはなく、加えて後任の駐在員を日本本社から派遣する事が現状難しくなったことから、現地人材の採用ニーズが高まっています。しかし、2022年5月のレバラン休暇までの経済動向を見てから採用を進めるか否かを判断をする企業が多いのも実情です。
多くの自治体で最低賃金上昇率を0%と定めたことを受け、2022年の社内昇給を見送る大手メーカーもあり、一定の利益を確保した後に採用活動を再開する予定の企業が多く見受けられます。
【求職者の動向】
求職者の数は2021年第4四半期から引き続き増加傾向にあり、レバランのボーナス受給権が発生する3月末からさらに増加が見込まれます。インドネシア人求職者の多くはマネージャー以上の役職者で、コロナ禍で今までのような昇給が見込めない中、自身の経験をより高く評価する企業を探しています。日本人求職者数はコロナウイルスが落ち着き、ビザが取得できるようになって以来徐々に増えてきており、20代〜30代はインドネシア国外在住者、インドネシア在住候補者ではシニア層の40歳以上の方々が多い傾向にあります。
■■ベトナム■■
徐々に採用は回復基調となるが、旧正月休暇のため求職者の動きは鈍化
【求人数】
対前年四半期比 73%
対前四半期比 99%
JAC Recruitment ベトナム法人 ダイレクター Le Thuy Dieu Uyen(レー・トゥイ・ユー・ウィン)
2021年第4四半期の国内総生産(GDP)は、2020年の4.61%の成長率より高く、他国の第4四半期の成長率よりは低いものの、昨年の同時期に比べて5.22%増加すると予測されました。2011年から2019年まで、経済全体の一般的な成長率では、農林水産セクターは2.9%増加し、経済全体の成長率に13.97%貢献。産業および建設セクターは4.05%増加し、63.80%。サービス部門は1.22%増加し、22.23%へと貢献しました。一部のサービス産業のマイナス成長が大きな割合を占めていることから、経済全体の全体的な成長率を低下させることとなりました。
【企業の採用動向】
2021年の第4四半期は企業が業績回復の取り組みを進めたことで、ベトナムの労働および雇用状況は改善しています。求人数は昨対比・前期比で増加には至らなかったものの、多くの産業や分野でビジネスの需要を満たす目的に、採用のニーズが増加傾向となっています。一部の企業では生産に携わる労働力を確保できず、多少の減産も余儀なくされています。今後ベトナムでは応用化学、自動化技術、人工知能、生物医学工学、化学、生物学、データ分析などの分野の市場が発展することが予想されており、今年はこれらの分野に関連する人材ニーズが生まれることが期待されます。労働市場も変化に適応するために、企業は柔軟な働き方と雇用を維持するための適切な報酬制度を設ける必要があります。
【求職者の動向】
昨年第4四半期は都市部の多くの労働者がコロナウイルスの感染を避けるために故郷に戻る動きがありましたが、今年は旧正月前後に多くの労働者が都市部で仕事を探す動きを見せています。
最近の求職者が求職する際の傾向として、企業の働き方や給与制度などを重視しています。コロナウイルスの状況は改善に向かっているものの、在宅勤務の企業は対面での面接が不可の状況下、積極的な転職・求職活動までには至っていない状態です。
■■中国■■
冬季オリンピック前にコロナウイルスの影響が懸念されるも、
春節後に転職希望者の動きが活発になる見通し
【求人数】
対前年四半期比 106%
対前四半期比 95%
JAC Recruitment 上海法人 アソシエイトダイレクター 大坪 裕子
中国国内の西安を中心にコロナウイルスの感染が相次ぎ、オミクロン株も上陸。海外からの流入も含めた感染者数が久しぶりに5千人台を超えました。1月末からの春節長期休暇を控え、政府は昨年同様に休暇期間中はなるべく外出を控えるよう国民に呼びかけ、北京冬季オリンピック開催前にコロナウイルスの封じ込めが最重要課題になっています。一方、新疆ウイグル自治区の人権弾圧などを理由に、英米を中心に政府代表を派遣しない「外交ボイコット」が発表され、今後各国の対応が注目されます。
【企業の採用動向】
コロナウイルスの影響に懸念はあるものの企業の採用意欲は依然活発な状態が継続しており、業績回復・拡大の増員目的、新規参入のための新設ポジションの求人などが増加しています。特に、成長領域である半導体・医療・医薬業界他、食品・日用品業界・電子・化学など、多岐にわたる業界で増員の動きがあり、優秀な人材の獲得競争も激化。この動向により、中途採用時の給与額は大幅に上昇しています。日本人向けの求人については、依然新規ビザ取得の難易度が高い状況が続いているため、中国国内で就業ビザ保持者を対象とした求人が多く見られます。また、同様に駐在員・出張者の新規派遣が困難な状況から、現地採用に切り替えて採用を検討する企業も多く見られます。
【求職者の動向】
例年通り、春節以降は求人増加に伴い転職希望者の動きも活発になる見通しです。中国ローカルの民営企業や外資系企業の高額待遇により、日系企業から人材が中国ローカル企業や外資系企業に転職するケースが増え、高額収入の中国籍候補者が増加傾向です。日本人を含めた外国人の転職希望者は、新規ビザ取得には依然招聘状の取得もしくは中国製ワクチンの摂取が条件となるため、引き続きオンラインで面接を実施し採用が決定するケースが主流で、内定後に入国ビザ待ちとなるケースも増えています。
■■香港(中国香港特別行政区)■■
欠員補充目的の採用が多いものの、求人増により転職市場は回復基調に
【求人数】
対前年四半期比 119%
対前四半期比 62%
JAC Recruitment 香港法人社長 Jannet Cheung(ジャネット・チョン)
香港のGDP成長率は前年比6.4%に達する見込みで、過去2年間のコロナウイルスの影響による不況から緩やかに回復しています。地域住民のワクチン接種により、第4四半期のコロナウイルスの感染が悪化した状況から、現在は比較的安定した状態となっています。未だ旅行規制が敷かれている中でも、経済が改善した要因として主に、(1)輸入と輸出の商品出荷がそれぞれ14.2%から16.8%に増加、(2)第3四半期と第4四半期に香港政府が実施した消費バウチャー制度により消費が活性化したことが挙げられます。
【企業の採用動向】
第4四半期の香港の失業率は4.3%から4.1%に低下したものの、第4四半期の求人数は対前年四半期比で約20%増加となりました。各業界の大半の企業が慎重な採用を行っており、当社が紹介した9割以上は欠員補充目的です。一部の銀行・金融機関は引き続き好調で、今後の見通しは明るいと判断しています。経済が正常に戻る前提で各企業は第1四半期に増員する目的で、採用に関する情報を積極的に打ち出しています。地元のスーパーマーケットチェーンやレストラン等のサービス業では、昨年第3四半期以降、ビジネス拡大目的に新規採用に前向きな姿勢を見せています。
【求職者の動向】
2月の旧正月を控え、求職者の動きは鈍化しています。第3四半期に悪化したコロナウイルスの感染状況が続き、第5波の可能性があるため、多くの求職者は様子見をしている傾向です。候補者は年末から年始にかけ給与とボーナスの支給を望んでいると同時に、2022年に向けた転職市場の新しいチャンスについても情報を収集しています。コロナウイルスの影響もあり、日本人の求職者は転職には慎重な姿勢を見せています。
■■韓国■■
求人数は緩やかに増加
財閥企業の好業績により、若手優秀人材の獲得競争に
【求人数】
対前年四半期比 175%
対前四半期比 117%
JAC Recruitment 韓国法人社長 土山 雄一郎
昨年11月末に韓国銀行が発表した「2021年経済展望報告書」で、2021年の実質GDP成長率見通しが前年対比で4.0%、2022年は3.0%となりました。国内景気は輸出と投資が良好な流れが続いており、今後も堅実な成長を続けるとされています。一方で消費者物価指数(CPI)伸び率が10年ぶりに高水準となり生活に影響を及ぼしています。本年度の韓国の経済を左右する大きな3つのテーマとして、3月上旬の「大統領選挙」、「不動産価格の変動」、「オミクロンなどコロナウイルスの変異株への対応」が挙げられます。
【企業の採用動向】
第4四半期の企業求人状況は対前期比で16%増、対前年四半期比で75%増となり、求人件数は緩やかな増加が続いています。業績は財閥大手が好調で、特にサムスン電子、LGエレクトロニクスは第3四半期の売上高が過去最大となり、サプライヤーである機械設備メーカー、部品や材料メーカーが恩恵を受けています。特に部品や材料メーカーで若手営業職の募集が増加しており優秀な人材の獲得競争が激化しています。
また、語学スキルを持つ会計職の募集も堅調です。事務系職種は全般的にSAPをはじめとするERPシステム(基幹業務システム)を扱った経歴者を求める傾向が強くなっています。
【求職者の動向】
コロナウイルスの影響を強く受けたサービス業だけでなく、デジタル化への産業構造転換の影響を受ける会社の就業者が転職を考え当社に登録する傾向が増えています。例年、2月初旬の旧正月(ソルラル)休暇後に求職者が活動を開始しますが、まだ先行きが不透明な状況のため大多数は転職には慎重な様子です。そのため、優秀人材は複数オファーを獲得するなど、転職マーケットで企業同士の人材獲得競争が始まっています。特に近年、給与条件が若手を中心に上昇しており、待遇面の見直しの課題感を抱える企業が増えています。
■■インド■■
企業の採用意欲は高まるものの、売り手市場の影響により採用活動が長期化
【求人数】
対前年四半期比 175%
対前四半期比 114%
JAC Recruitment インド法人社長 小牧 一雄
インドはコロナウイルスの感染状況の改善により行動規制が大幅に緩和されました。感染第2波の落ち込みからの経済回復局面が続いており、特に四輪、二輪などの製造業、サービス業、小売業の回復が顕著で第2波の落ち込みから改善に転じています。足元ではコロナ前の水準まで回復し、経済活動も正常化し始めています。しかし、経済は回復傾向にあり需要はあるものの、半導体不足により自動車の販売に影響を及ぼすなど不安要素が残る状況が続いています。
【企業の採用動向】
コロナウイルスの新規感染者数が落ち着き、一時帰国していた日本人もインドに戻り、これまで保留していた採用活動が一気に活発化しました。製造業だけでなく、会計コンサルやサービス関連の業種なども採用強化し始めるなど新型コロナ前に近い採用状況に戻りました。特に営業職などでは増員の動きはあるものの、同業界での経験者かつ英語力を持つ人材が複数の内定を受け、内定を出すものの辞退されるなど採用が長期化する企業が散見されました。また、駐在員の数を減らす企業も少しずつ増えてきており、経理責任者や営業マネージャーといったマネジメント層を現地採用に切り替える企業の動きも出始めています。
【求職者の動向】
インド就業を目指す候補者は英語を使える環境や経済成長の著しい環境に身を置きたいなど目的が明確な候補者が多く、コロナ禍では転職活動を控えていたものの、感染者数が落ち着き始めたタイミングで活動を再開する候補者が増加傾向にあります。一方でインドがコロナの影響を大きく受けた印象を持っている候補者もおり、インド就業にまだ抵抗を持っている候補者が一定数存在します。
そのため、優秀な人材の採用にはコロナの状況、インドの就業環境、仕事内容、目標値、習得できる経験などを転職エージェントと密にコミュニケーションを取りながら、候補者に正確な情報提供をタイムリーに行うことが求めまれています。
■■日本■■
次世代自動車や脱酸素等、成長分野関連の求人が増加
各社は専門性と言語を有する人材の採用が課題
【求人数】
対前年四半期比 121%
対前四半期比 107%
(日本企業の海外事業関連求人)
JAC Recruitment(日本) チーフアナリスト 佐原 賢治
8月後半にピークアウトした国内の新型コロナウイルス新規感染者数は9月以降急激に減少し、11月後半以降は1日平均100人前後を推移しました。外出制限等によって影響を受けていた小売や外食、旅行等の売上も回復し、それに伴い政府も12月の国内景気の総括判断を「持ち直しの動きがみられる」と発表しました。9月まで6ヶ月連続で前年同月プラスが続いていた輸出は10,11月も続伸。世界的な半導体不足やASEANでのサプライヤーの操業停止等に拠る部品調達難が機械・自動車などの生産の足かせとなっているものの、製造業の事業活動が回復基調であることに間違いありません。一方、年末に見られた新たな変異型「オミクロン型」と見られるウイルス感染の再拡大が年明けに本格化。
自治体によっては再び「まん延防止等重点措置」が実施されており、消費等への影響が懸念されています。
【企業の採用動向】
2021年11月の有効求人倍率は1.15倍。前四半期から着実に改善しています。
当社に寄せられた日系企業の海外事業関連の求人数も前期比107%と大幅に増加。特に大手製造業各社から「CASE(次世代自動車)」や「グリーン(脱炭素)」といった成長分野への投資に伴う募集が続伸しているほか、北関東、東海など地方都市で中堅中小製造業の海外事業要員(海外駐在員の交替要員など)の募集も回復基調です。
CASE関連の分野では、中国や欧州、北米などの企業等との連携を伴う業務も多く、研究や技術など職務の専門性に加えて外国語力を必要とすることから、各社は採用に苦戦しています。また脱炭素対応で先行する欧州市場に対して自社の技術を積極的に売り込む営業系の求人が目立ちます。一方、コロナ禍に伴いヒトとモノの移動が制限されたことで事業の継続性に不安を覚えた企業では、仕入れ、供給の新たなルートを設けたり、日本人不在の海外拠点のガバナンスを保つためのシステム化を進める人員が求められています。
【求職者の動向】
10月〜12月の新規求職者(海外事業経験者の登録者)数は、前四半期比99%と横ばい。前年同時期比では85%と、年末に向けて新規登録が増加する例年の傾向は見られませんでした。
しかしながら、昨今アメリカで大きく唱えられる「グレート・レジグネーション(大辞職時代)」に関する論説の数は、我が国においても急速にメディア上で増加しており、コロナ禍によって速度が増した社会変化への適応や、社会課題解決への貢献意欲の高まりが人々の転職に対する潜在的な関心を高めていることは間違いなく、企業は採用もさることながら貴重な人材の流出を防ぐ繋ぎ留めに具体的な策を講じることを怠ってはなりません。
いずれにせよ、求職者の動きは依然として慎重で、転職は状況次第という姿勢が目立つこと、また企業の選考のハードルが上がっていることから優秀人材の獲得競争が一層し烈であることから、先端ITやヘルスケアなどの高度専門分野や海外ビジネスなどの知見・経験を有する人材を募集する場合にはより競合を意識した条件設定やその他の魅力付けを行う必要があります。
各国の求人数の増減については、その国々の景況感による変動や各国が講じた戦略(高額帯年収の求人やスペシャリスト層求人に特化など)により、意図的に減る場合もあります。そのため、求人数の増減は直接各国の業績に結び付くものではありません。
■株式会社ジェイ エイ シー リクルートメントについて
1988年設立。スペシャリストや管理職の人材紹介に特化し、企業と人材を一人のコンサルタントが同時に担当する「両面型」のビジネスモデルとして国内最大規模の東証一部上場企業です。国際ビジネス経験をもつ人材の紹介も強みの一つで、日本国内では外資系企業や日系企業の海外事業などのグローバル領域の売上が全体の50%以上を占めています。外資系企業の人材紹介に特化したJAC International、ジョブサイトの「キャリアクロス」を運営するシー・シー・コンサルティング、英国、ドイツおよびアジア8ヵ国で人材紹介業を展開するJAC Recruitment Asia Ltdのグループ会社、コンサルティング・金融業界に特化した人材紹介事業を展開するバンテージポイントを傘下に、世界11ヵ国、24拠点で事業を展開するグローバル企業です。
[URL]
http://corp.jac-recruitment.jp (コーポレートサイト)
http://www.jac-recruitment.jp (転職サイト)
世界11ヵ国で人材紹介事業を展開し、東南アジアでは最大級の規模(※1)を誇る株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント(代表取締役会長兼社長:田崎 ひろみ)は、この度、2021年第4四半期のアジア各国のホワイトカラー人材紹介市場の動向を纏めましたので、お知らせいたします。
(※1)自社調べ(アジアで人材紹介事業を展開する同業他社の売上規模を比較)
●コロナウイルスの影響は残るものの、企業の採用意欲の高まりによりアジア全体で求人は回復傾向に
●マレーシアではIT、建設業など採用意欲の高まりにより昨年動機比で求人が大幅増
●インドネシア、インド、韓国でも、昨年同期比で求人が大幅増。急速な回復を遂げる国が顕著に
※以下リンクより、より読みやすいPDF版のプレスリリースをご参照ください
https://www.atpress.ne.jp/releases/295322/att_295322_1.pdf
【ジェイ エイ シー リクルートメント アジア各社の求人数増減一覧】
対前年四半期比:マレーシア :171%
シンガポール:132%
タイ :107%
インドネシア:160%
ベトナム :73%
中国 :106%
香港 :119%
韓国 :175%
インド :175%
日本(※2) :121%
対前四半期比:マレーシア :104%
シンガポール:90%
タイ :90%
インドネシア:107%
ベトナム :99%
中国 :95%
香港 :62%
韓国 :117%
インド :114%
日本(※2) :107%
(※2)日本企業の海外事業関連求人
■■マレーシア■■
各業界の採用意欲の高まりにより、求人はコロナ前の水準まで回復
海外への事業展開目的に、多言語人材のニーズも
【求人数】
対前年四半期比 171%
対前四半期比 104%
JAC Recruitment マレーシア法人社長 大西 信彰
10月には成人のコロナウイルスワクチン接種率が9割を超え、ブースター接種の推進により収束を図っている状況です。1月10日現在の新規感染者数は2,641人とピーク時(昨年の8月31日)の14%まで押さえ込めています。しかし、世界的な物流の停滞や人流の活発化、オミクロン株蔓延の懸念などを受けて、景気回復にはもう暫く時間を要する見込みです。
一方、昨年12月7日にJETROが発表した海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)によれば、2022年度の営業利益見通しを「横這い、もしくは改善」とした在マレーシア企業の割合は、2021年度の70%(35.0%・35.0%)から95%(36.4%・58.7%)に増加、また景況感を表すDI値も2021年の4.8から53.8へ49ポイントの改善、かつASEAN平均の40.3を上回る水準となっています。
【企業の採用動向】
求人数は前四半期比104%、前年同四半期比171%と大幅に増加しています。例年第4四半期は企業の採用活動が一段落する時期であるものの、昨年は第2四半期と同等の求人数となっており、採用意欲が強くなっています。2021年前半、日系企業は外資/地場企業と比較し採用に慎重な姿勢を取っていましたが、今期に入りコロナ禍前の2019年第4四半期比118%の求人数となり、ポストコロナとして各日系企業が新規採用に向けて動き出しています。
採用が活発な業界は、引き続きICT(情報通信技術)業界関連、半導体、EMS(電子受託製造)・PWB/PCB(プリント基板)、建設業界等。建設業界はコロナ禍によりプロジェクトが中断/遅延していたものが再開、また新規投資の建築が始まるなど労働者を中心に人手不足状態。また半導体業界についても、ペナンを中心に新たな工場設立、増設が進行中であり、労働者はもとより2022年はエンジニアを中心とした人材争奪戦がますます大きな課題となることが予測されます。多言語人材のニーズもシェアードサービスやBPO、FX(外国為替)などで引き続き採用が活発。求められる人材がアジア言語以外に、ポルトガル語、ヒンディー語、アフリカ諸国言語等の多言語人材の需要に広がりを見せています。
【求職者の動向】
年末に向けてボーナス受領を見込んだ候補者の転職意欲が下がり、2月の旧正月明け前後に求職活動が活発になるのが例年の動きではあるものの、2021年前半がロックダウンなどにより思うように転職活動ができなかった反動と、景気底入れ感と相まって、第4四半期に入っても転職希望者の登録は続伸しました。ICT関連の人材については売り手市場が続いているものの、企業が求める要件と候補者のスキルがマッチしないことが多くあり、優秀なICT人材の採用に苦戦している企業が多くみられます。日本人候補者については、コロナウイルスの状況が落ち着き海外への転職意欲も戻りつつあり、年明けから活発になることが見込まれます。
■■シンガポール■■
高水準のGDP伸び率により、求人は回復の兆し
【求人数】
対前年四半期比 132%
対前四半期比 90%
JAC Recruitment シンガポール法人社長 Kirsty Poltock(カースティ ポルトック)
シンガポール貿易産業省が発表した2021年第4四半期の国内総生産(GDP)速報値は、前年同期比で5.9%増、2021年通年の成長率は7.2%増と2010年以来の高水準となり、政府の公式予測とほぼ一致する伸び率を記録しました。しかし、ウィズコロナ政策を掲げ、ワクチン接種完了者を対象に隔離なしの入国許可VTL(Vaccinated Travel Lane)の枠組みの拡大を推し進めていたものの、新たな変異株「オミクロン株」の影響で水を差されることになりました。前年比、前期比ともに一番伸びたのは製造業で、それぞれ14.0%増、2.6%増となり、半導体やエレクトロニクス関連も伸びが目立ちます。第3四半期の渡航規制や入国制限の影響で外国人労働者不足だった建設業は前期比で減速。
オミクロン株の影響を最も受けるとされる観光・航空の回復の遅れが懸念されています。
【企業の採用動向】
オミクロン株の影響の懸念があるものの、2021年第4四半期の求人は前年同期比で増加し、新たな人員増、退職者の欠員補充ともにニーズが増加しています。日系企業では来年度の予算組みの時期でもあることから、予算策定のためにさまざまなポジションの給与相場の調査依頼も増えています。入国制限もあり、国外からの候補者の採用は難しい状況であるものの、専門職など特定のポジションに関しては国外から採用するケースも見受けられました。引き続きシンガポール人やPR(永住権)保持者は採用時に優先して選考される状況にあり、配偶者ビザ保持者もワークパーミット(就労パス)の取得により雇用が可能となることが判明した7月以降は採用の需要が徐々に増えています。
【求職者の動向】
例年通り、12月のAWS(Annual Wage Supplementと呼ばれる1か月分の補償ボーナス)支給後から年末にかけて徐々にローカル求職者の新規登録数が増えています。しかし、本格的に転職活動を始めるのは2022年1月の業績賞与の支給後からという方々が多く、今は自身の現在の市場価値を知る目的の登録が増えています。年明けの退職者数を予想して採用活動を始める企業の求人が増える一方、それらの求人に応募を希望する求職者の数も増加傾向にあります。コロナウイルスの影響による渡航規制や入国規制のため、日本在住の日本人求職者の新規登録は減少傾向です。
■■タイ■■
求人総数は回復傾向も、オミクロン株の不安要素の影響が残る
【求人数】
対前年四半期比 107%
対前四半期比 90%
JAC Recruitment タイランド法人社長 渡邊 信二
2021年10月以降は政府のコロナ規制が緩和されるも、オミクロン株の感染拡大に伴い12月末から再度厳格する方針に戻りました。これに伴い、入国時の隔離期間も7日以上に延長となったため、タイのGDPの10%以上を占めていた観光需要の回復は、コロナ前の水準に戻るには時間が掛かる見込みです。なお、タイ中央銀行は2021年のGDP成長率は0.9%と予測するも、2022年は3.4%、2023年は4.7%とし本格的な景気回復は2023年以降になることが予想されます。
【企業の採用動向】
業種により依然として隔たりはあるものの、全体的な求人数は増加が継続しており、自動車業界を中心とする輸出型製造業やIT企業の求人が顕著です。職種としては営業系職種のニーズが多く、企業の業績拡大に対する期待が強く表れています。
なお、求人の回復要因としてはコロナ禍による採用抑制により、減少した従業員数を増加させる動きが強くなっています。また、長く国を跨いだ往来が制限された影響で、現地採用の強化を意識する企業が増えた事により、管理部門や営業部門で日本人駐在員と同様の高度なスキルを求めた求人依頼が増加しています。
【求職者の動向】
転職市場としては売り手市場が継続しており、求人件数の増加に伴い転職者の活動は活性化に転じていますが、ボーナスが支給される1月以降の動向が2022年の転職市場の動向を左右することになることが考えられます。なお、日本人のタイでの就業は11月の入国隔離期間を1日とした“Test and Go”制度の導入に伴い活性化が期待されましたが、オミクロン株の感染拡大が影響した結果、状況は第3四半期とさほど大きな変化はありません。
■■インドネシア■■
求人数は昨年同期比で60%増となるものの、コロナウイルス発生前の状態には至らず
【求人数】
対前年四半期比 160%
対前四半期比 107%
JAC Recruitment インドネシア法人 アソシエイトダイレクター 山下 冬馬
ジャカルタ特別州のアニス・バスウェダン知事は当初同州の最低賃金の上昇率を0.85%と発表しました。その後労働総合連合が引上げを求め各地でデモが行われ、これを容認する形で5.1%へ修正(4,641,854ルピア)。
この結果、多くの工業団地を有するカラワン県の最低賃金は4,816,921ルピア(0.71%増)、ブカシ市4,798,312ルピア(増減なし)につぎ首都圏で3番目に高い最低賃金価格となりました。国内インフレ率1.6%、GDP成長率3.51%を考慮したもので、経済活性の期待が込められています。
【企業の採用動向】
求人数は前年同期比で60%増と回復傾向となるものの、2019年の第4四半期比では47%減と未だコロナ前までの回復を見せておりません。求人の多くは欠員募集目的で、全業界で積極的な採用活動は未だ見られない状態です。一部の日系企業においては、一時退避で帰国された駐在員の方々がインドネシアに戻ることはなく、加えて後任の駐在員を日本本社から派遣する事が現状難しくなったことから、現地人材の採用ニーズが高まっています。しかし、2022年5月のレバラン休暇までの経済動向を見てから採用を進めるか否かを判断をする企業が多いのも実情です。
多くの自治体で最低賃金上昇率を0%と定めたことを受け、2022年の社内昇給を見送る大手メーカーもあり、一定の利益を確保した後に採用活動を再開する予定の企業が多く見受けられます。
【求職者の動向】
求職者の数は2021年第4四半期から引き続き増加傾向にあり、レバランのボーナス受給権が発生する3月末からさらに増加が見込まれます。インドネシア人求職者の多くはマネージャー以上の役職者で、コロナ禍で今までのような昇給が見込めない中、自身の経験をより高く評価する企業を探しています。日本人求職者数はコロナウイルスが落ち着き、ビザが取得できるようになって以来徐々に増えてきており、20代〜30代はインドネシア国外在住者、インドネシア在住候補者ではシニア層の40歳以上の方々が多い傾向にあります。
■■ベトナム■■
徐々に採用は回復基調となるが、旧正月休暇のため求職者の動きは鈍化
【求人数】
対前年四半期比 73%
対前四半期比 99%
JAC Recruitment ベトナム法人 ダイレクター Le Thuy Dieu Uyen(レー・トゥイ・ユー・ウィン)
2021年第4四半期の国内総生産(GDP)は、2020年の4.61%の成長率より高く、他国の第4四半期の成長率よりは低いものの、昨年の同時期に比べて5.22%増加すると予測されました。2011年から2019年まで、経済全体の一般的な成長率では、農林水産セクターは2.9%増加し、経済全体の成長率に13.97%貢献。産業および建設セクターは4.05%増加し、63.80%。サービス部門は1.22%増加し、22.23%へと貢献しました。一部のサービス産業のマイナス成長が大きな割合を占めていることから、経済全体の全体的な成長率を低下させることとなりました。
【企業の採用動向】
2021年の第4四半期は企業が業績回復の取り組みを進めたことで、ベトナムの労働および雇用状況は改善しています。求人数は昨対比・前期比で増加には至らなかったものの、多くの産業や分野でビジネスの需要を満たす目的に、採用のニーズが増加傾向となっています。一部の企業では生産に携わる労働力を確保できず、多少の減産も余儀なくされています。今後ベトナムでは応用化学、自動化技術、人工知能、生物医学工学、化学、生物学、データ分析などの分野の市場が発展することが予想されており、今年はこれらの分野に関連する人材ニーズが生まれることが期待されます。労働市場も変化に適応するために、企業は柔軟な働き方と雇用を維持するための適切な報酬制度を設ける必要があります。
【求職者の動向】
昨年第4四半期は都市部の多くの労働者がコロナウイルスの感染を避けるために故郷に戻る動きがありましたが、今年は旧正月前後に多くの労働者が都市部で仕事を探す動きを見せています。
最近の求職者が求職する際の傾向として、企業の働き方や給与制度などを重視しています。コロナウイルスの状況は改善に向かっているものの、在宅勤務の企業は対面での面接が不可の状況下、積極的な転職・求職活動までには至っていない状態です。
■■中国■■
冬季オリンピック前にコロナウイルスの影響が懸念されるも、
春節後に転職希望者の動きが活発になる見通し
【求人数】
対前年四半期比 106%
対前四半期比 95%
JAC Recruitment 上海法人 アソシエイトダイレクター 大坪 裕子
中国国内の西安を中心にコロナウイルスの感染が相次ぎ、オミクロン株も上陸。海外からの流入も含めた感染者数が久しぶりに5千人台を超えました。1月末からの春節長期休暇を控え、政府は昨年同様に休暇期間中はなるべく外出を控えるよう国民に呼びかけ、北京冬季オリンピック開催前にコロナウイルスの封じ込めが最重要課題になっています。一方、新疆ウイグル自治区の人権弾圧などを理由に、英米を中心に政府代表を派遣しない「外交ボイコット」が発表され、今後各国の対応が注目されます。
【企業の採用動向】
コロナウイルスの影響に懸念はあるものの企業の採用意欲は依然活発な状態が継続しており、業績回復・拡大の増員目的、新規参入のための新設ポジションの求人などが増加しています。特に、成長領域である半導体・医療・医薬業界他、食品・日用品業界・電子・化学など、多岐にわたる業界で増員の動きがあり、優秀な人材の獲得競争も激化。この動向により、中途採用時の給与額は大幅に上昇しています。日本人向けの求人については、依然新規ビザ取得の難易度が高い状況が続いているため、中国国内で就業ビザ保持者を対象とした求人が多く見られます。また、同様に駐在員・出張者の新規派遣が困難な状況から、現地採用に切り替えて採用を検討する企業も多く見られます。
【求職者の動向】
例年通り、春節以降は求人増加に伴い転職希望者の動きも活発になる見通しです。中国ローカルの民営企業や外資系企業の高額待遇により、日系企業から人材が中国ローカル企業や外資系企業に転職するケースが増え、高額収入の中国籍候補者が増加傾向です。日本人を含めた外国人の転職希望者は、新規ビザ取得には依然招聘状の取得もしくは中国製ワクチンの摂取が条件となるため、引き続きオンラインで面接を実施し採用が決定するケースが主流で、内定後に入国ビザ待ちとなるケースも増えています。
■■香港(中国香港特別行政区)■■
欠員補充目的の採用が多いものの、求人増により転職市場は回復基調に
【求人数】
対前年四半期比 119%
対前四半期比 62%
JAC Recruitment 香港法人社長 Jannet Cheung(ジャネット・チョン)
香港のGDP成長率は前年比6.4%に達する見込みで、過去2年間のコロナウイルスの影響による不況から緩やかに回復しています。地域住民のワクチン接種により、第4四半期のコロナウイルスの感染が悪化した状況から、現在は比較的安定した状態となっています。未だ旅行規制が敷かれている中でも、経済が改善した要因として主に、(1)輸入と輸出の商品出荷がそれぞれ14.2%から16.8%に増加、(2)第3四半期と第4四半期に香港政府が実施した消費バウチャー制度により消費が活性化したことが挙げられます。
【企業の採用動向】
第4四半期の香港の失業率は4.3%から4.1%に低下したものの、第4四半期の求人数は対前年四半期比で約20%増加となりました。各業界の大半の企業が慎重な採用を行っており、当社が紹介した9割以上は欠員補充目的です。一部の銀行・金融機関は引き続き好調で、今後の見通しは明るいと判断しています。経済が正常に戻る前提で各企業は第1四半期に増員する目的で、採用に関する情報を積極的に打ち出しています。地元のスーパーマーケットチェーンやレストラン等のサービス業では、昨年第3四半期以降、ビジネス拡大目的に新規採用に前向きな姿勢を見せています。
【求職者の動向】
2月の旧正月を控え、求職者の動きは鈍化しています。第3四半期に悪化したコロナウイルスの感染状況が続き、第5波の可能性があるため、多くの求職者は様子見をしている傾向です。候補者は年末から年始にかけ給与とボーナスの支給を望んでいると同時に、2022年に向けた転職市場の新しいチャンスについても情報を収集しています。コロナウイルスの影響もあり、日本人の求職者は転職には慎重な姿勢を見せています。
■■韓国■■
求人数は緩やかに増加
財閥企業の好業績により、若手優秀人材の獲得競争に
【求人数】
対前年四半期比 175%
対前四半期比 117%
JAC Recruitment 韓国法人社長 土山 雄一郎
昨年11月末に韓国銀行が発表した「2021年経済展望報告書」で、2021年の実質GDP成長率見通しが前年対比で4.0%、2022年は3.0%となりました。国内景気は輸出と投資が良好な流れが続いており、今後も堅実な成長を続けるとされています。一方で消費者物価指数(CPI)伸び率が10年ぶりに高水準となり生活に影響を及ぼしています。本年度の韓国の経済を左右する大きな3つのテーマとして、3月上旬の「大統領選挙」、「不動産価格の変動」、「オミクロンなどコロナウイルスの変異株への対応」が挙げられます。
【企業の採用動向】
第4四半期の企業求人状況は対前期比で16%増、対前年四半期比で75%増となり、求人件数は緩やかな増加が続いています。業績は財閥大手が好調で、特にサムスン電子、LGエレクトロニクスは第3四半期の売上高が過去最大となり、サプライヤーである機械設備メーカー、部品や材料メーカーが恩恵を受けています。特に部品や材料メーカーで若手営業職の募集が増加しており優秀な人材の獲得競争が激化しています。
また、語学スキルを持つ会計職の募集も堅調です。事務系職種は全般的にSAPをはじめとするERPシステム(基幹業務システム)を扱った経歴者を求める傾向が強くなっています。
【求職者の動向】
コロナウイルスの影響を強く受けたサービス業だけでなく、デジタル化への産業構造転換の影響を受ける会社の就業者が転職を考え当社に登録する傾向が増えています。例年、2月初旬の旧正月(ソルラル)休暇後に求職者が活動を開始しますが、まだ先行きが不透明な状況のため大多数は転職には慎重な様子です。そのため、優秀人材は複数オファーを獲得するなど、転職マーケットで企業同士の人材獲得競争が始まっています。特に近年、給与条件が若手を中心に上昇しており、待遇面の見直しの課題感を抱える企業が増えています。
■■インド■■
企業の採用意欲は高まるものの、売り手市場の影響により採用活動が長期化
【求人数】
対前年四半期比 175%
対前四半期比 114%
JAC Recruitment インド法人社長 小牧 一雄
インドはコロナウイルスの感染状況の改善により行動規制が大幅に緩和されました。感染第2波の落ち込みからの経済回復局面が続いており、特に四輪、二輪などの製造業、サービス業、小売業の回復が顕著で第2波の落ち込みから改善に転じています。足元ではコロナ前の水準まで回復し、経済活動も正常化し始めています。しかし、経済は回復傾向にあり需要はあるものの、半導体不足により自動車の販売に影響を及ぼすなど不安要素が残る状況が続いています。
【企業の採用動向】
コロナウイルスの新規感染者数が落ち着き、一時帰国していた日本人もインドに戻り、これまで保留していた採用活動が一気に活発化しました。製造業だけでなく、会計コンサルやサービス関連の業種なども採用強化し始めるなど新型コロナ前に近い採用状況に戻りました。特に営業職などでは増員の動きはあるものの、同業界での経験者かつ英語力を持つ人材が複数の内定を受け、内定を出すものの辞退されるなど採用が長期化する企業が散見されました。また、駐在員の数を減らす企業も少しずつ増えてきており、経理責任者や営業マネージャーといったマネジメント層を現地採用に切り替える企業の動きも出始めています。
【求職者の動向】
インド就業を目指す候補者は英語を使える環境や経済成長の著しい環境に身を置きたいなど目的が明確な候補者が多く、コロナ禍では転職活動を控えていたものの、感染者数が落ち着き始めたタイミングで活動を再開する候補者が増加傾向にあります。一方でインドがコロナの影響を大きく受けた印象を持っている候補者もおり、インド就業にまだ抵抗を持っている候補者が一定数存在します。
そのため、優秀な人材の採用にはコロナの状況、インドの就業環境、仕事内容、目標値、習得できる経験などを転職エージェントと密にコミュニケーションを取りながら、候補者に正確な情報提供をタイムリーに行うことが求めまれています。
■■日本■■
次世代自動車や脱酸素等、成長分野関連の求人が増加
各社は専門性と言語を有する人材の採用が課題
【求人数】
対前年四半期比 121%
対前四半期比 107%
(日本企業の海外事業関連求人)
JAC Recruitment(日本) チーフアナリスト 佐原 賢治
8月後半にピークアウトした国内の新型コロナウイルス新規感染者数は9月以降急激に減少し、11月後半以降は1日平均100人前後を推移しました。外出制限等によって影響を受けていた小売や外食、旅行等の売上も回復し、それに伴い政府も12月の国内景気の総括判断を「持ち直しの動きがみられる」と発表しました。9月まで6ヶ月連続で前年同月プラスが続いていた輸出は10,11月も続伸。世界的な半導体不足やASEANでのサプライヤーの操業停止等に拠る部品調達難が機械・自動車などの生産の足かせとなっているものの、製造業の事業活動が回復基調であることに間違いありません。一方、年末に見られた新たな変異型「オミクロン型」と見られるウイルス感染の再拡大が年明けに本格化。
自治体によっては再び「まん延防止等重点措置」が実施されており、消費等への影響が懸念されています。
【企業の採用動向】
2021年11月の有効求人倍率は1.15倍。前四半期から着実に改善しています。
当社に寄せられた日系企業の海外事業関連の求人数も前期比107%と大幅に増加。特に大手製造業各社から「CASE(次世代自動車)」や「グリーン(脱炭素)」といった成長分野への投資に伴う募集が続伸しているほか、北関東、東海など地方都市で中堅中小製造業の海外事業要員(海外駐在員の交替要員など)の募集も回復基調です。
CASE関連の分野では、中国や欧州、北米などの企業等との連携を伴う業務も多く、研究や技術など職務の専門性に加えて外国語力を必要とすることから、各社は採用に苦戦しています。また脱炭素対応で先行する欧州市場に対して自社の技術を積極的に売り込む営業系の求人が目立ちます。一方、コロナ禍に伴いヒトとモノの移動が制限されたことで事業の継続性に不安を覚えた企業では、仕入れ、供給の新たなルートを設けたり、日本人不在の海外拠点のガバナンスを保つためのシステム化を進める人員が求められています。
【求職者の動向】
10月〜12月の新規求職者(海外事業経験者の登録者)数は、前四半期比99%と横ばい。前年同時期比では85%と、年末に向けて新規登録が増加する例年の傾向は見られませんでした。
しかしながら、昨今アメリカで大きく唱えられる「グレート・レジグネーション(大辞職時代)」に関する論説の数は、我が国においても急速にメディア上で増加しており、コロナ禍によって速度が増した社会変化への適応や、社会課題解決への貢献意欲の高まりが人々の転職に対する潜在的な関心を高めていることは間違いなく、企業は採用もさることながら貴重な人材の流出を防ぐ繋ぎ留めに具体的な策を講じることを怠ってはなりません。
いずれにせよ、求職者の動きは依然として慎重で、転職は状況次第という姿勢が目立つこと、また企業の選考のハードルが上がっていることから優秀人材の獲得競争が一層し烈であることから、先端ITやヘルスケアなどの高度専門分野や海外ビジネスなどの知見・経験を有する人材を募集する場合にはより競合を意識した条件設定やその他の魅力付けを行う必要があります。
各国の求人数の増減については、その国々の景況感による変動や各国が講じた戦略(高額帯年収の求人やスペシャリスト層求人に特化など)により、意図的に減る場合もあります。そのため、求人数の増減は直接各国の業績に結び付くものではありません。
■株式会社ジェイ エイ シー リクルートメントについて
1988年設立。スペシャリストや管理職の人材紹介に特化し、企業と人材を一人のコンサルタントが同時に担当する「両面型」のビジネスモデルとして国内最大規模の東証一部上場企業です。国際ビジネス経験をもつ人材の紹介も強みの一つで、日本国内では外資系企業や日系企業の海外事業などのグローバル領域の売上が全体の50%以上を占めています。外資系企業の人材紹介に特化したJAC International、ジョブサイトの「キャリアクロス」を運営するシー・シー・コンサルティング、英国、ドイツおよびアジア8ヵ国で人材紹介業を展開するJAC Recruitment Asia Ltdのグループ会社、コンサルティング・金融業界に特化した人材紹介事業を展開するバンテージポイントを傘下に、世界11ヵ国、24拠点で事業を展開するグローバル企業です。
[URL]
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